見知らぬ世界で秘密結社

小松菜

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六六六

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「はあっ!」

 俺は突っ込んでくるジャバウォックを、両手を広げて受け止める。

 がしっ!
びしゃびしゃびしゃびしゃしゃしゃ!

 受け止めたものの、ぬかるんだ地面では踏ん張れない。
俺は滑るように体を運ばれる。

「おおおおっ!」

 俺は苦し紛れにジャバウォックの横っ面を殴り付ける。

「キシャアアアア!」

 殴られたジャバウォックがこちらを睨み付ける。
この雰囲気はヤバい。

 ジャバウォックの頭の前に魔方陣が浮かび上がった。
これは!

「くそっ!」

 俺は慌てて両腕で頭を守った。

 ひゅばばばばばばばば!

 光の雨が魔方陣から放たれる。
まるで銃弾の雨だ。

「うおおおおおっ!」

 俺の装甲が悲鳴を上げる。
視界に『危険』の文字が赤く表示された。
判ってるよそんな事は。

 しかし、何と言う威力だ。
これが古代魔法の威力なのか。
確かに俺の知っている魔法とは比べ物にならない。
規模はそれほど大きくも無いのに、この威力なのか。

 ジャバウォック本体のパワーには負けていないと思うが、環境が良くない。
雨でぬかるんで踏ん張りが効かない上に、空を飛ばれると攻撃の選択肢が一気に狭まる。

 遠距離攻撃してくるジャバウォックに対して俺は明らかに不利だ。
しかも、ヒポグリフまで居るとなれば。

「ふん。人間を守ったのか。そんな攻撃を食らうとは」

 蜻蛉洲の声がした。
俺はジャバウォックの後方に蜻蛉洲の姿を見つけた。
ここまで下りて来たのか。

「時間掛けすぎだ。早くしろ」

 蜻蛉洲は既に変身済みだ。
オニヤンマイザーの姿になっている。

「ブルルルアアッッ!」

 空から急接近するヒポグリフは、進路を変えてオニヤンマイザーに向かった。

「ふん、下等生物め」

 オニヤンマイザーは突っ込んで来たヒポグリフを片手で受け止めた。

 ずぶぶっ!

 オニヤンマイザーの脚が深く泥の中に埋まる。
しかし、それで止まった。
体ごと持っていかれるような事は無かった。

「なんだと……」

 俺は呆気にとられる。

「お前は力の使い方がなっていない。だから受け止めきれないんだ。腕だけで受け止めるな」

 オニヤンマイザーはそう言うと、軽々とヒポグリフを横に投げ飛ばした。

 どしゃあっ!

「ブヒヒヒィンッ!」

 ヒポグリフが悲鳴をあげた。

「キシャアアアア!」

 今度はジャバウォックがオニヤンマイザーに向かう。
俺よりもオニヤンマイザーを危険と判断したか。

 ぱあああ

 再び魔方陣が展開する。
またあの攻撃か。

「させんぞ」

 オニヤンマイザーは一瞬で距離を潰す。
あっという間に懐に入った。
速い。

 ゴッ!

 鋭いアッパーがジャバウォックのアゴに炸裂した。
ジャバウォックの頭が跳ね上がる。

 羽だ。
オニヤンマイザーの背中からトンボのような大きな羽が生えている。
あれで高速移動を可能にしている。
しかも鳥のような前に進むだけの飛び方では無い。

 トンボのような、自由な空中での移動を可能にしている。
空中で静止したり、そこから一瞬で移動したり、まさに変幻自在だ。

 堪らずジャバウォックは空中へと逃げる。

「所詮は爬虫類か。馬鹿なヤツめ」

 オニヤンマイザーは不敵に言った。
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