670 / 826
六六九
しおりを挟む
兵士たちは、お互いに顔を見合わせた。
「世界征服しても何もしない……?」
そこに引っ掛かったか。
まあ、気持ちは判る。
俺も完全に理解できている訳では無い。
何もしないなら征服などしなければ良いではないか。
彼らはきっとそう思っている。
「う、嘘を吐くな……!」
隊長らしき男が言った。
「嘘など吐かん。信じなければそれでも良かろう。お前たちの意思など僕たちには関係無い。勝手に征服させてもらう」
史上かつて、これほど勝手にされて困る事も無いが。
「人間は馬鹿だからね。まあ、愛すべき馬鹿な訳だが……自由が無ければ進歩しない。しかし、勝手にさせると自ら滅びの道を行こうとする」
オオムカデンダルと違って説明はする気なのか。
「権力を持てば他人を隷属させ、富を持てばどこまでも自我が増長する。人間と言うのはホントにどうしようもない存在だ」
兵士たちはオニヤンマイザーの話を黙って聞いた。
「だから自由にはさせる。ただし、あまりに道から外れたら取り除く」
「取り除く……」
兵士たちが呟く。
「そうだ。この星にそんな人間は要らない。不要な害虫は駆除しなければならない。人間は嘘を吐くし、誤魔化そうとする。同じ人間がそれを裁き罰を下す。そもそも無茶な話だ。だから僕らがその役を引き受ける」
「ほ、法になろうと言うのか!?」
「へぇ。上手い事を言うね。そう言う見方も出来るな。まあ、事はそう単純でも無いが、判りやすく言えばそう言う事だ」
本当はもっと複雑な筈だ。
だが、今のこの時点でネオジョルトの理想を完全に理解できる人間は、この世界には一人も居まい。
「ふ……ふざけるな!」
兵士の一人が怒りを露にした。
「何様のつもりだ!我らが王がそんな事をお認めになる筈が無い!帝国の皇帝もだ!貴様のような異形の化け物に支配なんかされて堪るか!」
なかなか度胸があるな。
オニヤンマイザーの姿を見てそこまで言い切れるとは。
だったらジャバウォックにも同じ感じで挑んで欲しかった。
「君たちの意見など聞かないと言っただろう?これだから馬鹿なヤツとは話したくないんだ」
「貴様あ……ッ!」
「そんな小市民の意見など一々聞いていたら、出来る事も出来ない。もう一度言う。僕らはお願いしている訳でも、意見を求めている訳でも無い。邪魔するなら殺すと言っている。難しい事などこれっぽっちも言っていない。理解したかね?」
「お……面白い。俺は誇り高き王国騎士団の団員だ。王国を滅ぼすと言われてスゴスゴ帰れるか!ここで貴様を成敗する!」
コイツ、さっきの戦いを見なかったのか。
腰が抜けていただろうに。
なまじ会話が成立すると、相手を自分と同じだと錯覚する。
お前など一秒で痕跡すら残らないぞ。
「ま、待て!」
隊長らしき男が若い兵士を止めた。
「止めないで下さい!」
「お前が敵う相手か良く考えろ」
「敵わないから立ち向かわないなんて、王国騎士団の名折れです!」
「良いから引っ込んでいろ!」
隊長は強引に兵士を後ろへ引っ張った。
「アンタ……見た目によらず紳士的だな。鼻持ちならないが……」
隊長がオニヤンマイザーに言った。
「世界征服しても何もしない……?」
そこに引っ掛かったか。
まあ、気持ちは判る。
俺も完全に理解できている訳では無い。
何もしないなら征服などしなければ良いではないか。
彼らはきっとそう思っている。
「う、嘘を吐くな……!」
隊長らしき男が言った。
「嘘など吐かん。信じなければそれでも良かろう。お前たちの意思など僕たちには関係無い。勝手に征服させてもらう」
史上かつて、これほど勝手にされて困る事も無いが。
「人間は馬鹿だからね。まあ、愛すべき馬鹿な訳だが……自由が無ければ進歩しない。しかし、勝手にさせると自ら滅びの道を行こうとする」
オオムカデンダルと違って説明はする気なのか。
「権力を持てば他人を隷属させ、富を持てばどこまでも自我が増長する。人間と言うのはホントにどうしようもない存在だ」
兵士たちはオニヤンマイザーの話を黙って聞いた。
「だから自由にはさせる。ただし、あまりに道から外れたら取り除く」
「取り除く……」
兵士たちが呟く。
「そうだ。この星にそんな人間は要らない。不要な害虫は駆除しなければならない。人間は嘘を吐くし、誤魔化そうとする。同じ人間がそれを裁き罰を下す。そもそも無茶な話だ。だから僕らがその役を引き受ける」
「ほ、法になろうと言うのか!?」
「へぇ。上手い事を言うね。そう言う見方も出来るな。まあ、事はそう単純でも無いが、判りやすく言えばそう言う事だ」
本当はもっと複雑な筈だ。
だが、今のこの時点でネオジョルトの理想を完全に理解できる人間は、この世界には一人も居まい。
「ふ……ふざけるな!」
兵士の一人が怒りを露にした。
「何様のつもりだ!我らが王がそんな事をお認めになる筈が無い!帝国の皇帝もだ!貴様のような異形の化け物に支配なんかされて堪るか!」
なかなか度胸があるな。
オニヤンマイザーの姿を見てそこまで言い切れるとは。
だったらジャバウォックにも同じ感じで挑んで欲しかった。
「君たちの意見など聞かないと言っただろう?これだから馬鹿なヤツとは話したくないんだ」
「貴様あ……ッ!」
「そんな小市民の意見など一々聞いていたら、出来る事も出来ない。もう一度言う。僕らはお願いしている訳でも、意見を求めている訳でも無い。邪魔するなら殺すと言っている。難しい事などこれっぽっちも言っていない。理解したかね?」
「お……面白い。俺は誇り高き王国騎士団の団員だ。王国を滅ぼすと言われてスゴスゴ帰れるか!ここで貴様を成敗する!」
コイツ、さっきの戦いを見なかったのか。
腰が抜けていただろうに。
なまじ会話が成立すると、相手を自分と同じだと錯覚する。
お前など一秒で痕跡すら残らないぞ。
「ま、待て!」
隊長らしき男が若い兵士を止めた。
「止めないで下さい!」
「お前が敵う相手か良く考えろ」
「敵わないから立ち向かわないなんて、王国騎士団の名折れです!」
「良いから引っ込んでいろ!」
隊長は強引に兵士を後ろへ引っ張った。
「アンタ……見た目によらず紳士的だな。鼻持ちならないが……」
隊長がオニヤンマイザーに言った。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~
ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。
王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。
15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。
国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。
これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜
のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、
偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。
水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは――
古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。
村を立て直し、仲間と絆を築きながら、
やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。
辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、
静かに進む策略と復讐の物語。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる