見知らぬ世界で秘密結社

小松菜

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六七五

 俺はヴァルキリーを見た。
コイツ、何故プニーフタールを裏切る気になったんだ。
九条晃を連れ戻しに来たと言うのであれば、まだ理解できるのだが。

「晃だ。何か用か」

 通信に九条晃が出た。

「ここにヴァルキリーってのが来ている。君と話がしたいんだそうだが。どうする?」

「ヴァルキリーが?」

 晃は少し考えた。

「判った。会おう」

「そう言う訳だから、すぐにそっちへ向かわせる」

 オオムカデンダルはそう言って通信を切った。
自分も来るつもりなのか。

「それで、あの大軍勢は何なんだ。我々を狙って来たのでは無いのか?」

 オニヤンマイザーが尋ねた。

「あれは護衛だ」

 護衛だと?
馬鹿を言うな。
どこの世界に、王女の護衛に正規軍の大部隊を引き連れて歩く奴が居るのか。
明らかに戦争に行く規模だぞ。

「私は狙われているからな」

「裏切ったからか?」

「向こうはそう思っているだろうな。元々本気で仲間に加わっていた訳では無いのだがな」

 つまり潜入していたと言いたい訳か。
だがそれは、どちらからも信用は得難い。
現に俺はそれも嘘なのでは無いかと疑っている。

「仲間は残りわずかなのだろう?こんな大部隊が必要かね?」

 オニヤンマイザーが言った。

「確かに残りはバルログとリッチだけだが、この二人だけでこの軍隊の大部分は壊滅するだろう」

 ざっと見た限り、一万は居るだろう。
これを二人で壊滅させるのか。オオムカデンダル並みだな。

「リッチなど立っているだけで周りは死んでいくからな。バルログも破壊と殺戮が好きな凶悪さだ。魔力も体力も私などとは比較にならない」

 噂には聞いていたがリッチとはそこまで危険な存在なのか。
そんな奴をどうやって倒すんだ。

「簡単さ」

 オニヤンマイザーが言った。

「本当か?どうやって倒すのだ」

「それは企業秘密だ。君が本当に信用できるか僕はまだ疑っている。だから教えられないな」

 オニヤンマイザーはそう言って、リッチ打倒の方法を秘密にした。
本当にそんな事が可能なのか。
まさかブラフなんじゃ無いだろうな。

「話を聞く限りは簡単だろう。九条晃だってリッチみたいなモノだ。だが倒せただろう。不老不死と不死身は違う。ただの長生きな魔法使いなど、恐れるに足りない」

 オニヤンマイザーはたいした事では無いと言う風に言い切った。

「もしそれが本当だと言うのならネオジョルトと言うのは恐ろしい組織だな」

 ヴァルキリーは額に冷や汗を浮かべて言った。
そうこうするうちにメタルシェルがやって来た。

「あれは……」

「あれに晃が乗っている。さて、僕はジャバウォックとヒポグリフの積み込み作業があるから、これで失礼しよう」

 オニヤンマイザーはそう言ってメタルシェルへと向かった。
それと入れ替わりに九条晃がやって来る。

「アキラ……」

「リーオ」

 九条晃はヴァルキリーをリーオと呼んだ。
なるほど、それが個人の名前か。

「どうしてここへ?」

「それはお前が黙って抜けたからだ」

「連れ戻しに来たのか。だが、俺は戻らない」

「判っている。だから私も抜けて来た」

「なんだって」

 九条晃は驚いた顔でリーオを見た。
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