見知らぬ世界で秘密結社

小松菜

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七〇一

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「これで殿下とは事を構えなくて済むな。いやぁ良かった良かった」

「ふふふ。それはこちらも同じ事」

「でも大丈夫か?皇帝に叱られるんじゃないのか?」

「そうかも知れぬが、それはこっちで何とかしよう」

 ライエル将軍が微妙な顔をしている。
こんな密談めいた事を聞いてしまって困惑しているのだろう。
だが、自分でこの場に残ったのだから誰に文句を言う立場でもない。

「アンタ、皇帝に告げ口しそうだな」

 オオムカデンダルがライエルを見て意地悪に言った。

「な、ば、馬鹿を言え!」

 そう言ったライエル将軍だが、表情は明らかにこわばっている。

「良いぞ。良心の呵責に堪えられぬのならば、いっそ陛下に話して楽になれば良かろう」

 ソル皇子がライエル将軍に言った。
良いのか。
俺は今一つソル皇子の事が判らない。
自分の立場が危うくなるのも気にしないと言う事なのか。

「殿下は相変わらず泰然自若だな」

「ほほほほ。ジタバタしても詮無い事よ」

 オオムカデンダルとソル皇子はお互いに声を出して笑った。

「じゃあ用は済んだから帰るぜ。金は明日持ってくる」

「うむ。あい判った」

 オオムカデンダルは、じゃあなと言って部屋を後にした。
俺も殿下に一礼すると、その後を追う。

 しかし、わざわざ買わんでも好きにやれてたのだから、あんまり大事にしなくても良かったんじゃないか。

「まあな。だが、こう言うのは手続きが肝心な時もある」

 手続き?

「これで、晴れて俺たちが好き勝手しても帝国とは関係無い。俺たちは公に独立したも同然だ」

 つまり、帝国に迷惑を掛けない為にやったのか。

「言っただろ。俺たちが世界を統一しても、別に何も変わらんと。出来るならソル皇子にも現状のままで居てもらいたい。彼は優秀だからな。統一後の世界でも帝国を担ってもらわんと」

 オオムカデンダルはそう言うと、メタルシェルに乗り込んだ。
なるほどな。
そんな風に考えていたのか。

「それに、そろそろ敵も動き出す筈だからな。後顧之憂は絶っておかんと」

 こうこのうれい?
難しい事を言うなあ。
所詮冒険者上がりの俺には、そんな学は無い。
そう言うのは幹部様に任せておこう。

「ところで、敵って何の事だ?」

 俺は『こうこのうれい』とやらよりも、敵って言葉に引っ掛かる。

「おいおい、寝ぼけるなよ。まだプニーフタールやら神様やら残ってるだろ?」

 は?
何を言っている。
プニーフタールは復活阻止しただろ。
それともまさか、アンタが復活させるつもりなんじゃ無かろうな。

「馬鹿言え」

 オオムカデンダルが鼻で笑う。

「プニーフタール復活を諦めきれないのが居るだろ?この流れだと神様にも会えるぞ」

 言葉とは裏腹にオオムカデンダルが小躍りした。
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