見知らぬ世界で秘密結社

小松菜

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七〇七

 終わったか。
しかし、いきなり王国が仕掛けてくるとは。
ヴァルキリーの命令によるものなのか。

「まあ、そうだろうな」

 オオムカデンダルが言う。
自分でも俺に勝てないのに、兵士をけしかけて何になると言うのか。

「電撃的に西の繁華街を取りたかったんだろ。そしてそれは可能だと判断したんだ。俺たちが駆けつけるより先に占領すれば、手出し出来ないと考えたんだろ」

 オオムカデンダルがつまらなさそうに言った。

「でもまあ、それは当てが外れた訳だ」

 突然ニカッと笑うとオオムカデンダルが俺を見る。

「まさか王国正規軍を住民が返り討ちに出来るとは、さすがに思わなかったみたいだな」

 それは俺も同感だ。
まさか、あれだけやれるとは。
それもこれも、ネオジョルトの力があっての事だが。

 そうして、俺たちはまた何事も無かったかのように日常に戻った。
たった数週間だが、とても長い間そうしていたような気がする。
いつでも問題に直面しっぱなしの俺にとっては、少々堪えられないような時間の長さだ。

 ある日。

「なあ、敵の動きは無いのか?」

 俺は痺れを切らしてオオムカデンダルに尋ねた。

「んあ?何だよ敵って」

 おい。
アンタがまだプニーフタールの件は終わっていないと言ったんじゃないか。

「あー。さあ?」

 オオムカデンダルはとぼけたように言う。

「さあって何だよ。何もしてないのか?」

 俺は語気を強めてオオムカデンダルに詰め寄った。

「何もしてないとは何だ。向こうが動かないと手がかりゼロだろうが。向こうだって馬鹿じゃない。じっとしてるんだよ」

 て事は何か。
向こうがプニーフタールを復活させてからじゃ無いと、動かないと言うのか。

「まあ、それは最悪のケースだが、そう言う事態も有り得るかもなあ」

 オオムカデンダルは他人事のようにそう言ってアゴを触った。

「こんな事は言いたくないが、真面目にやってくれ。俺は妹を元に戻したいんだ!」

 俺は思わずテーブルを叩いた。
カルタスたちが俺を見る。

「レオのヤツ、ずいぶんとカリカリしてんな」

「仕方がないわよ。妹さん相変わらずレオを敵だと思ってるもの」

 オレコとカルタスがヒソヒソと背後で何か言っているな。

「まあ、お前の気持ちも判るが、焦っても事態が好転する訳でも無いのだ。なあに、もうじき動く時が来るって」

 本当か。
また適当に俺をあしらおうと言うんじゃ無いだろうな。

「嘘じゃ無い。お前の妹を拐いにヤツがそろそろ来る頃だろ」

 なんだと。
誰だそいつは。

「お前の妹は精神的な操作か記憶の改竄が行われている。それもかなりの強度でだ。無理に脳に手を突っ込むと人格さえ失いかねない。だから、ヤツが来るまでは安静にしててもらうのが良いんだ」

「それと敵が来るのとどう言う関係があるんだ」

「掛けたヤツに解かせるのが一番だろ」

「だからソイツは誰なんだと言っている!」

 俺はイライラが頂点に達した。

「ホントに気付かないのか?意外と馬鹿だねえ」

 オオムカデンダルが笑いながら背もたれにもたれ掛かった。
くそ、なんだこのヤロー。
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