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七六〇
俺はくるりと振り返った。
子供たちが俺を見ている。
俺は少しだけ後悔した。
あまり子供に見せて良い物では無い。
俺は子供たちに歩み寄った。
「……大丈夫か?」
子供たちは大きく首を縦に振った。
「そうか」
「おじちゃん、アイツらをやっつけたの?」
「ああ」
俺は少し気後れしていた。
おかしな話だが、こんな怪人の姿で悪党を惨殺した俺が、子供たちの前で気後れしている。
「おじちゃん強いな!カッコイイ!」
子供たちが口々にそう言った。
俺は意外な反応に面食らった。
「カッコイイか?俺は怪人だぞ?」
「カッコイイよ!強いし、僕たちを助けに来てくれた」
「…そうか」
俺は反応に困った。
こう言うのはあまり慣れていない。
「ところで、アイツらの仲間がどこに居るか知らないか?」
質問を変えたら、少年たちは急に元気を無くして首を横に振った。
何も知らないのか。
「王国ですよ」
子供たちに混じっていた青年が答えた。
このグループでは唯一の青年だ。
「王国だと?」
「コイツらの組織がどう言う仕組みかは判りませんが、王国に納入してるのは確かです」
王国絡みなのか。
それとも単に王国に拠点を置く、組織が暗躍しているだけなのか。
これだけでは判然としない。
「俺は王国に行ってみよう。お前らは帰れるのか?」
子供たちは一層暗くなった。
帰れないのか。
話を聞いた感じでは、帰る宛もとうに無い者も多いのだろう。
涙を堪えているが、しゃくりあげるように堪えている。
いつでも子供の方が強いな。
ナイーダも、キロも、みんな強く逞しく生きていた。
このままには、するまい。
「しばらくここで待てるか?」
「食料も水もあります。大丈夫です」
「男たちはあれで全部か?」
「ここに居るのはあれで全員ですが、定期的に他の男たちが来ます」
「じゃあ、他の子供たちも解放してやれ。俺は王国を見てこよう」
「それは良いのですが……今から立たれるのですか?もう明日にされた方が」
「問題ない。すぐに着くからな」
俺はそう言うとボードを呼び出した。
ひゅーん
すぐさまボードがやって来る。
俺はそれに飛び乗ると青年に言った。
「一応何があるか判らんからな。隠れていろ。子供たちを頼んだ」
子供たちは全員が目を丸くして俺を見上げていた。
「わ、判りました。お気を付けて」
青年の返事を聞くと、俺はそのまま空へと滑り出す。
歩けば半日掛かる距離も、ボードならひとっ飛びだ。
小一時間も飛んで、俺は王国へと到達した。
すたっ
俺は王国内へと飛び降りた。
城門を無視して入れるのも、ボードのメリットだ。
俺は人間の姿へと戻ると、とりあえず王国内を歩いた。
王国に来るのは三回目だ。
冒険者時代に一度訪れた事がある。
二度目はオレコに会いに来た時だ。
帝国よりも規模は小さいが、人々がのんびりしている雰囲気がある。
単に政治体制の違いなのだろうか。
俺には難しい事は判らない。
ひと目見ただけでは特に何も無い。
普通の町並み、普通の人々。
特別退廃しているような事も無い。
麻薬が出回っているようには見えなかった。
まあ、そんなおおっぴらに蔓延している訳は無いか。
俺はそう思い直した。
だとすると、想像するのは貧民街か王国の外に販路を持っている事だが。
来たは良いが、いったいどうやって見付ければ良いのか。
俺はため息を吐いた。
そうだ。
突然思い出した事がある。
キロの姉だ。
名前は何と言ったか。
とにかく彼女は王国に居た筈だ。
人買いに買われたのだと、仲間も大勢居たと言っていた。
俺は貧民街を探す事にした。
子供たちが俺を見ている。
俺は少しだけ後悔した。
あまり子供に見せて良い物では無い。
俺は子供たちに歩み寄った。
「……大丈夫か?」
子供たちは大きく首を縦に振った。
「そうか」
「おじちゃん、アイツらをやっつけたの?」
「ああ」
俺は少し気後れしていた。
おかしな話だが、こんな怪人の姿で悪党を惨殺した俺が、子供たちの前で気後れしている。
「おじちゃん強いな!カッコイイ!」
子供たちが口々にそう言った。
俺は意外な反応に面食らった。
「カッコイイか?俺は怪人だぞ?」
「カッコイイよ!強いし、僕たちを助けに来てくれた」
「…そうか」
俺は反応に困った。
こう言うのはあまり慣れていない。
「ところで、アイツらの仲間がどこに居るか知らないか?」
質問を変えたら、少年たちは急に元気を無くして首を横に振った。
何も知らないのか。
「王国ですよ」
子供たちに混じっていた青年が答えた。
このグループでは唯一の青年だ。
「王国だと?」
「コイツらの組織がどう言う仕組みかは判りませんが、王国に納入してるのは確かです」
王国絡みなのか。
それとも単に王国に拠点を置く、組織が暗躍しているだけなのか。
これだけでは判然としない。
「俺は王国に行ってみよう。お前らは帰れるのか?」
子供たちは一層暗くなった。
帰れないのか。
話を聞いた感じでは、帰る宛もとうに無い者も多いのだろう。
涙を堪えているが、しゃくりあげるように堪えている。
いつでも子供の方が強いな。
ナイーダも、キロも、みんな強く逞しく生きていた。
このままには、するまい。
「しばらくここで待てるか?」
「食料も水もあります。大丈夫です」
「男たちはあれで全部か?」
「ここに居るのはあれで全員ですが、定期的に他の男たちが来ます」
「じゃあ、他の子供たちも解放してやれ。俺は王国を見てこよう」
「それは良いのですが……今から立たれるのですか?もう明日にされた方が」
「問題ない。すぐに着くからな」
俺はそう言うとボードを呼び出した。
ひゅーん
すぐさまボードがやって来る。
俺はそれに飛び乗ると青年に言った。
「一応何があるか判らんからな。隠れていろ。子供たちを頼んだ」
子供たちは全員が目を丸くして俺を見上げていた。
「わ、判りました。お気を付けて」
青年の返事を聞くと、俺はそのまま空へと滑り出す。
歩けば半日掛かる距離も、ボードならひとっ飛びだ。
小一時間も飛んで、俺は王国へと到達した。
すたっ
俺は王国内へと飛び降りた。
城門を無視して入れるのも、ボードのメリットだ。
俺は人間の姿へと戻ると、とりあえず王国内を歩いた。
王国に来るのは三回目だ。
冒険者時代に一度訪れた事がある。
二度目はオレコに会いに来た時だ。
帝国よりも規模は小さいが、人々がのんびりしている雰囲気がある。
単に政治体制の違いなのだろうか。
俺には難しい事は判らない。
ひと目見ただけでは特に何も無い。
普通の町並み、普通の人々。
特別退廃しているような事も無い。
麻薬が出回っているようには見えなかった。
まあ、そんなおおっぴらに蔓延している訳は無いか。
俺はそう思い直した。
だとすると、想像するのは貧民街か王国の外に販路を持っている事だが。
来たは良いが、いったいどうやって見付ければ良いのか。
俺はため息を吐いた。
そうだ。
突然思い出した事がある。
キロの姉だ。
名前は何と言ったか。
とにかく彼女は王国に居た筈だ。
人買いに買われたのだと、仲間も大勢居たと言っていた。
俺は貧民街を探す事にした。
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