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七六七
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バーロックは素っ頓狂な声を上げた。
なんだ、勇者様同士お知り合いか。
「彼はあまり言い噂を聞かなかったな……同じ勇者を生業とする家系の者として、一度話し合ってみたかったんだけど。でもどうして君が彼を知っているんだい?もしかして知り合いかい?」
知り合いと言うか何と言うか。
あまり思い出したくは無い。
「そうなのか。彼は最後ニーズヘッグへとモンスター化したと聞く。勇者の末裔なのに何という事だ」
結構知っているな。
やはり相当噂にはなっているのだな。
俺は死んでいたから知らなかったが。
「でもモンスター化してしまったとは言え、彼をそこまでさせた相手を知りたいもんだね。確か……『ネオジョルトのサフィリナックス』とか何とか。怪人なんだってね。君、知ってるかい?」
面倒な事を聞いてくるな。
どう考えてもコイツには教えたくない。
「いや、知らん」
「そうか。バーデンを知っているからもしかしてと思ったんだけどな。そう簡単にはいかないか」
バーロックはそう言って高らかに笑った。
笑っている場合か。
お前仕事中だろ。
俺もお前に捕まる訳にはいかないが、だからと言って気さくに話している場合でも無い。
と言うか、付いてくんな。
「ところでどこへ行くんだい?まだ話は終わってないんだけど」
「どこでも良いだろう。お前の居ない所だよ」
「そりゃあ無理だ。王国内に居る限り僕はどこでも着いていくよ。だって君は怪しいからね」
俺は足を止めて振り向いた。
「怪しむのは判るが、俺は何も知らない。別に奴らの仲間でも無い」
「えー、本当かなぁ。じゃあ何で逃げるんだい?」
「面倒事に巻き込まれるのはご免だ」
俺はそれだけ言うと、再び走り出した。
少し本気を出して振り切る。
「あ!待ち給え!逃がしはしないよ!」
バーロックも本気で走った。
タタタタタタタタタタタタ
足音が俺と同じテンポで付いて来る。
俺は大通りに出ると正面の建物を蹴って、強引に右へと曲がる。
「わあお!そんな曲がり方があるのかい!?」
バーロックはそう言いながら俺の曲がり方を真似た。
「なるほど。これは良い曲がり方だね。今度から真似しよう」
しつこいな。
簡単に言っているが、この走りに着いて来れる事自体が異常だ。
さすがは勇者と言う訳か。
「この僕が追い着けないなんて……」
バーロックが困惑したように言う。
だが、それは俺も同じだった。
勇者が規格外なのは知っているが、パワーアップした俺の走りにここまで着いて来るとは。
「益々君の事が知りたくなったよ」
バーロックはそう言うと俺の前に舞い降りた。
「なに!?」
壁を走って上から俺を飛び越えたのか。
無茶苦茶だなコイツ。
「さあ、逃がさないぞ」
仕方が無い。
大人しく着いて行くか。
それとも一戦交えるか。
俺は少し考えた。
「あ、アイツだ!旦那、アイツです!」
今度はなんだ。
見ると丁度向こうを、さっきのチンピラたちが兵士たちに連行されて行くのが見える。
その中に、耳を引きちぎられた大男が居た。
そいつが俺を指さして騒いでいる。
あの野郎。
「なんだ。やっぱり君も彼らのご同輩なんじゃないか」
ちっ、余計な事を。
俺はムカついてチンピラたちの元へと歩いた。
「あれ?」
バーロックが意表を突かれて俺を見守る。
「あ!」
大男が接近する俺を見て慌てふためく。
「あ、あ、あ!助けて!旦那!アイツを捕まえて!」
うるせえよ。
この野郎。
「仲間みたいに気安く声を掛けるんじゃない!」
俺は大男に向かって怒鳴った。
「ひいい!」
「彼が君の仲間なのかい?」
バーロックが言う。
「こ、こんな化け物が仲間だなんて!冗談も大概にして下さい!は、早くあっちへ連れて行って下さいよ!」
大男が更にパニックへと陥る。
なんだとこの野郎。
「なんだ。君は彼らの一味じゃ無いのか」
「最初からそう言っている」
「なんだ、なら初めからそう言ってくれれば良いのに」
バーロックはごまかすように大笑いした。
なんだ、勇者様同士お知り合いか。
「彼はあまり言い噂を聞かなかったな……同じ勇者を生業とする家系の者として、一度話し合ってみたかったんだけど。でもどうして君が彼を知っているんだい?もしかして知り合いかい?」
知り合いと言うか何と言うか。
あまり思い出したくは無い。
「そうなのか。彼は最後ニーズヘッグへとモンスター化したと聞く。勇者の末裔なのに何という事だ」
結構知っているな。
やはり相当噂にはなっているのだな。
俺は死んでいたから知らなかったが。
「でもモンスター化してしまったとは言え、彼をそこまでさせた相手を知りたいもんだね。確か……『ネオジョルトのサフィリナックス』とか何とか。怪人なんだってね。君、知ってるかい?」
面倒な事を聞いてくるな。
どう考えてもコイツには教えたくない。
「いや、知らん」
「そうか。バーデンを知っているからもしかしてと思ったんだけどな。そう簡単にはいかないか」
バーロックはそう言って高らかに笑った。
笑っている場合か。
お前仕事中だろ。
俺もお前に捕まる訳にはいかないが、だからと言って気さくに話している場合でも無い。
と言うか、付いてくんな。
「ところでどこへ行くんだい?まだ話は終わってないんだけど」
「どこでも良いだろう。お前の居ない所だよ」
「そりゃあ無理だ。王国内に居る限り僕はどこでも着いていくよ。だって君は怪しいからね」
俺は足を止めて振り向いた。
「怪しむのは判るが、俺は何も知らない。別に奴らの仲間でも無い」
「えー、本当かなぁ。じゃあ何で逃げるんだい?」
「面倒事に巻き込まれるのはご免だ」
俺はそれだけ言うと、再び走り出した。
少し本気を出して振り切る。
「あ!待ち給え!逃がしはしないよ!」
バーロックも本気で走った。
タタタタタタタタタタタタ
足音が俺と同じテンポで付いて来る。
俺は大通りに出ると正面の建物を蹴って、強引に右へと曲がる。
「わあお!そんな曲がり方があるのかい!?」
バーロックはそう言いながら俺の曲がり方を真似た。
「なるほど。これは良い曲がり方だね。今度から真似しよう」
しつこいな。
簡単に言っているが、この走りに着いて来れる事自体が異常だ。
さすがは勇者と言う訳か。
「この僕が追い着けないなんて……」
バーロックが困惑したように言う。
だが、それは俺も同じだった。
勇者が規格外なのは知っているが、パワーアップした俺の走りにここまで着いて来るとは。
「益々君の事が知りたくなったよ」
バーロックはそう言うと俺の前に舞い降りた。
「なに!?」
壁を走って上から俺を飛び越えたのか。
無茶苦茶だなコイツ。
「さあ、逃がさないぞ」
仕方が無い。
大人しく着いて行くか。
それとも一戦交えるか。
俺は少し考えた。
「あ、アイツだ!旦那、アイツです!」
今度はなんだ。
見ると丁度向こうを、さっきのチンピラたちが兵士たちに連行されて行くのが見える。
その中に、耳を引きちぎられた大男が居た。
そいつが俺を指さして騒いでいる。
あの野郎。
「なんだ。やっぱり君も彼らのご同輩なんじゃないか」
ちっ、余計な事を。
俺はムカついてチンピラたちの元へと歩いた。
「あれ?」
バーロックが意表を突かれて俺を見守る。
「あ!」
大男が接近する俺を見て慌てふためく。
「あ、あ、あ!助けて!旦那!アイツを捕まえて!」
うるせえよ。
この野郎。
「仲間みたいに気安く声を掛けるんじゃない!」
俺は大男に向かって怒鳴った。
「ひいい!」
「彼が君の仲間なのかい?」
バーロックが言う。
「こ、こんな化け物が仲間だなんて!冗談も大概にして下さい!は、早くあっちへ連れて行って下さいよ!」
大男が更にパニックへと陥る。
なんだとこの野郎。
「なんだ。君は彼らの一味じゃ無いのか」
「最初からそう言っている」
「なんだ、なら初めからそう言ってくれれば良いのに」
バーロックはごまかすように大笑いした。
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