見知らぬ世界で秘密結社

小松菜

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八二二

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「さて。次行くぞ」

「嫌ーだぁー!止めて止めて!」

「レオ!」

 ケンが俺を止める。

「邪魔をするならお前も敵だ。俺は子供たちを助ける事以外興味が無い」

 ケンが何とも言えない表情で俺を見つめる。
なんて顔だ。

 そんな辛そうな顔をするな。
こいつは優しい男だなと俺は思った。

 俺とて初めからこうだった訳では無い。
冒険者としてモンスターを追い、宝を求めてダンジョンに潜る。
そんな日々も確かに悪くは無い。

だが、モンスターを討伐し、日銭を稼ぐ日々では思いも寄らなかった事が世界にはたくさんある。
俺たちが気にもしていなかった裏側で、様々な存在が様々な思惑で蠢いている。
それを知った今、もう昔の俺には戻れない。

 そう言う者たちの餌食になるのはいつも弱い者たちだ。
そういった事を無くし、誰もが自由に生きられる世界。
口で言うのは簡単だ。
だが一筋縄にはいかない。
必ずそこから抜きん出て、その他を支配しようと考える者が出て来る。
それが己の私利私欲の為で無いなら放っておこう。

 だが、だいたいはそうでは無い。
自分だけが絶対的支配者であり、思うままにその全てをしゃぶり尽くそうとする者たち。
ネオジョルトはそれを許さない。
それがネオジョルトの理念。

「さあ言え!どこと繫がっている!」

 俺が声を荒げ問い詰めた時、オオムカデンダルの声が聞こえた。

「ああ、もう良いぞ」

 なに。
どう言う事だ。

「少し手間だけどこっちで聞くから。自白させる手段は幾つもある。最悪、また脳味噌に聞くし。だから良いぞ」

 あの方法か。
俺は宰相の手を離した。

「痛みは無いが確実に吐かされるな。彼に隠し事は不可能だ。どっちが良いかは判らんがな」

 俺は国王を振り返る。
まだ這いつくばっていた。

「おい、まさか国王陛下にこれ以上は……」

 ケンの顔がこわばった。

 別にこれ以上戦う理由は無い。
後は宰相を吐かせるだけだ。
国王にも、もう戦う理由は無い筈だ。
いくら戦闘狂の国王でも、あの様子ではもう戦う気力はあるまい。

 ただ、封印はしなくてはならないだろう。
万が一、死なれては困る。
もし『無かった事』にされては、次は勝てないかもしれないのだ。

「そんな……封印は待ってくれ!もしも陛下無かりせば、この国を守り抜くのは不可能だ!国体の護持が必要なんだよ!このままでは必ず他国に攻め入られる!頼むよ!陛下だけはっ!」

 ケンがすがりつく。
そこまで王国に忠誠を尽くすのか。
こんな国王であっても。

 貴族と言うだけで、ここまで。
勇者だからなのか。

 俺はウロコフネタマイトを見た。

「良いんじゃないかしら。ただしちょっとだけ手は掛けさせてもらわないとね」

 ウロコフネタマイトの言葉に、俺は首をかしげた。
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