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本編
ビビ子の魔人会に関する調査まとめ
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コーベ領から戻って一週間ほどが経った。
牛嶋もビビ子も何も言わない。
黙して語らずと言う奴だ。
まあ、言いたくない事を無理に聞くのも性には合わない。
美紅も唯桜も、そしてヤーゴもそれ以上この件には触れなかった。
特にヤーゴは、元々は自分も部外者であった事からビビ子にとっては先輩の様な部分もある。
何となく両方の気持ちを汲んでいるのかも知れない。
唯桜達三人は、結束は固いが個人主義が徹底している。
お互いが不干渉を貫いている。
かと言って無関心と言う訳でも無い。
ビビ子には中々理解し難い関係の様だ。
正体が標的にばれたのに行動を共にすると言うのも不思議な感じがする。
それはそうだろう。普通なら有り得ない。
しかし牛嶋はそれで良いらしい。
もっと敵を知らなければならない。
戦力だけに留まらず、その実態や思想、目的などだ。
ビビ子は最近特にそう思うようになった。
敵と言う言い方をするには理由がある。
そう別けておかないと仲間になってしまいそうな妙な居心地の良さがあるからだ。
普段の魔人会とはどの様な活動をしているのか。
ビビ子は入念な調査を行った。綿密な聞き取りを中心に、様々な調査を行った。
と言っても秘密など無く全てがオープンだ。
まず従業員と呼ばれる者達が大勢いる。
目算でざっと二百人程度だ。
全員女性で構成されており、主な仕事内容は農作業である。
その他の雑務も色々こなすが、基本的には農園で作物を育てている。
一見のどかな風景の様にも思えたが、実態は少し違う。
栽培しているのは煙草の葉である。
日本では全国的に禁止されている違法な薬物の原料だ。
やはり悪の組織と言った所か。
この敷地は元々ロッゴ傘下のルービーの所有地及び所有物であった。
それを魔人会が収奪したのだと言う。
煙草に関する物も、例えば苗などは黒いカラスからやはり収奪した物らしい。
調べるほど魔人会と言うのは超の付く武闘派だ。
従業員の女性に接触し話を聞いた。
全員奴隷として拐われてきた者達だと言う。
だが何故か魔人会に連れて来られてからは従業員扱いらしい。
保証は手厚く給料も良い。
支払いは滞る事も無く、過酷な強制労働の類いは無いのだと言う。
退職も一定期間作業に従事すれば認められると言い、退職金も支払われる。
だが今の所、退職希望者は一人もいないと言う。
ビビ子は調べれば調べるほど訳が解らなかった。
何なのここ。
やけっぱちになって直接牛嶋に聞きに行った。
何故奴隷に給料を支払うのか?
「その方が組織の運営としては後々メリットがあるとウチの大番頭が言うんでな」
奴隷のままコキ使った方が楽なのではないか?
「女に力仕事は無理だろう。やらせても良いが耐えられずに端から順番に死なれたのでは本末転倒だろう」
幹部自らが水を引く作業に従事するのは何故か?
「俺がやった方が早い。女を百人投入しても一月では終わるまい。俺がやれば一人で一週間だ。その間女達は他の仕事が出来るだろう」
非常に効率的かつ、健全な論理に乗っ取っている。
何なのこの悪の組織。
ビビ子は思い切って見も蓋もない事を質問した。
ここは悪の組織では無いのか?
牛嶋は少し考えた。
やはり核心を突き過ぎたか。
「悪の組織だろうな。その言い方は恥ずかしいが、世の中が是とする事とは違う価値観を求めているならば、それはやはり悪なのだろう」
認めた。
あっさり認めた。
悪の組織の自覚があるなら改善しようとは思わないのか?
「思わん。所詮イデオロギーの相違は和解など出来ん。ぶつかり合う物なのだ。ならばどちらが勝つか、戦うしかあるまい」
侍の格好でイデオロギーとか言われても、ビビ子にはピンと来なかった。
そもそもそんな思想的な事は、この時代ではあまり知られていない。
結局この一週間でビビ子が調べた事は、良く解らない組織だと言う事だった。
牛嶋もビビ子も何も言わない。
黙して語らずと言う奴だ。
まあ、言いたくない事を無理に聞くのも性には合わない。
美紅も唯桜も、そしてヤーゴもそれ以上この件には触れなかった。
特にヤーゴは、元々は自分も部外者であった事からビビ子にとっては先輩の様な部分もある。
何となく両方の気持ちを汲んでいるのかも知れない。
唯桜達三人は、結束は固いが個人主義が徹底している。
お互いが不干渉を貫いている。
かと言って無関心と言う訳でも無い。
ビビ子には中々理解し難い関係の様だ。
正体が標的にばれたのに行動を共にすると言うのも不思議な感じがする。
それはそうだろう。普通なら有り得ない。
しかし牛嶋はそれで良いらしい。
もっと敵を知らなければならない。
戦力だけに留まらず、その実態や思想、目的などだ。
ビビ子は最近特にそう思うようになった。
敵と言う言い方をするには理由がある。
そう別けておかないと仲間になってしまいそうな妙な居心地の良さがあるからだ。
普段の魔人会とはどの様な活動をしているのか。
ビビ子は入念な調査を行った。綿密な聞き取りを中心に、様々な調査を行った。
と言っても秘密など無く全てがオープンだ。
まず従業員と呼ばれる者達が大勢いる。
目算でざっと二百人程度だ。
全員女性で構成されており、主な仕事内容は農作業である。
その他の雑務も色々こなすが、基本的には農園で作物を育てている。
一見のどかな風景の様にも思えたが、実態は少し違う。
栽培しているのは煙草の葉である。
日本では全国的に禁止されている違法な薬物の原料だ。
やはり悪の組織と言った所か。
この敷地は元々ロッゴ傘下のルービーの所有地及び所有物であった。
それを魔人会が収奪したのだと言う。
煙草に関する物も、例えば苗などは黒いカラスからやはり収奪した物らしい。
調べるほど魔人会と言うのは超の付く武闘派だ。
従業員の女性に接触し話を聞いた。
全員奴隷として拐われてきた者達だと言う。
だが何故か魔人会に連れて来られてからは従業員扱いらしい。
保証は手厚く給料も良い。
支払いは滞る事も無く、過酷な強制労働の類いは無いのだと言う。
退職も一定期間作業に従事すれば認められると言い、退職金も支払われる。
だが今の所、退職希望者は一人もいないと言う。
ビビ子は調べれば調べるほど訳が解らなかった。
何なのここ。
やけっぱちになって直接牛嶋に聞きに行った。
何故奴隷に給料を支払うのか?
「その方が組織の運営としては後々メリットがあるとウチの大番頭が言うんでな」
奴隷のままコキ使った方が楽なのではないか?
「女に力仕事は無理だろう。やらせても良いが耐えられずに端から順番に死なれたのでは本末転倒だろう」
幹部自らが水を引く作業に従事するのは何故か?
「俺がやった方が早い。女を百人投入しても一月では終わるまい。俺がやれば一人で一週間だ。その間女達は他の仕事が出来るだろう」
非常に効率的かつ、健全な論理に乗っ取っている。
何なのこの悪の組織。
ビビ子は思い切って見も蓋もない事を質問した。
ここは悪の組織では無いのか?
牛嶋は少し考えた。
やはり核心を突き過ぎたか。
「悪の組織だろうな。その言い方は恥ずかしいが、世の中が是とする事とは違う価値観を求めているならば、それはやはり悪なのだろう」
認めた。
あっさり認めた。
悪の組織の自覚があるなら改善しようとは思わないのか?
「思わん。所詮イデオロギーの相違は和解など出来ん。ぶつかり合う物なのだ。ならばどちらが勝つか、戦うしかあるまい」
侍の格好でイデオロギーとか言われても、ビビ子にはピンと来なかった。
そもそもそんな思想的な事は、この時代ではあまり知られていない。
結局この一週間でビビ子が調べた事は、良く解らない組織だと言う事だった。
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