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ミストリアの聖女
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ミストリア王国には聖女がおわす。
聖女さまがお作りになる聖水は、最高品質のポーションよりも効果がある。
ミストリア人なら誰でも知っていることだ。
けれど、聖水の作り方となるとそれを知る者は、神殿の中でも高位の者と、聖女の側仕えに限られる。極秘事項なのだ。
アリステアは陽に透かすと金に見える薄茶色の髪と煮詰めた紫の瞳を持つ第37代聖女だ。
もっとも、聖女を継いだのはつい2ヶ月前。歴代より少し遅めの15歳での継承だ。
聖女の1日は、濃厚な朝一番から始まる。
毎朝決まった時刻に側仕えの手で採取され、状態維持の魔術をかけられるのだ。
アリステアは初めて聖水の作り方を聞いたとき思わず耳を疑った。冗談でしょう? と聞き返しもした。
先代も、巫女も、側仕えも、皆真剣だった。
アリステアは想像して、顔を真っ赤にした。
なにしろ聖水とは、聖女のおしっこだったのだから!
聖女の位を継ぐと、完全に聖水製作用の食事に切り替わり、身体も聖水作りに集中できるように少しずつ組み替えられる。
つまり、おしっこに集中できるようにうんちも生理も不要な身体になる。聖女の身は清らかでなければならないから、一度でもその位にいた者は、月1の血祭りに苦しまなくても健康でいられる代わりに、神の花嫁となるのである。
こうした身体に変化しきったら、いよいよ世間に代替わりを公表するのだ。
アリステアはようやく公表を終えたばかりの新米聖女。聖水を取られるのは、まだ慣れない。
聖水は日に3度、6時12時18時と規則正しく採取される。特に朝一番は熟成時間が長く、高品質なものがとれる、らしい。
アリステアにしてみれば、品質が変わろうが酷い羞恥を煽られる行為であることに変わりはない。
その日、アリステアは下腹部の鈍い重みで目を覚ました。時刻は5時。朝の採取まで1時間ある。
聖女でなければ迷わずトイレに駆け込んでいる程度の尿意だ。
けれど聖女には定刻以外に聖水を溢すことは許されていない。
キュッと股間に力を入れて、足を重ねて気を紛らわす。少しでも楽な姿勢をと寝返りをうつ。側仕えが起こしにくるまで二度寝してしまおう。
思いつく限りを試してみるも、結果は芳しくない。
このいつにない尿意の心当たりを思い返すと、昨夜食べた聖水の原料に行き当たった。いつもと違う産地の茶葉を使ったと言っていた気がする。
アリステアは内心で聖水レシピの研究者に悪態をついた。なにも朝の採取にあてなくてもいいじゃない!
しかも彼女は知らぬことだが新しい茶葉の産地というのが、夜会慣れした貴婦人ですら膀胱が悲鳴をあげる茶会で有名な澪嶺国なのだ。15歳の少女にはひとたまりもない。
一度気がついてしまった尿意はアリステアの身を蝕んでいく。
腹を庇うように身体を丸め、手はギュッと出口を押さえた。口はうわごとのように早く、早くと繰り返している。
扉の外に寝ずの番はいるが、聖女の括約筋が限界でもうんともすんとも言わない。なぜなら限界ギリギリの方が品質が高くなるから。
別に寝ずの番だって意地悪で採取時間を早めない訳ではないのである。彼女たちは聖女の側近である以前に神の僕なのだから、恵みたる聖水の方が優先順位が高いだけで。
ベッドサイドの置き時計を見ると、時刻は5時半。あと30分は耐えなくてはならない。
聖女になってから、いや、人生で一番の危機かもしれない。馬車で王都に移動したときだって、こんなには辛くなかった。
気を紛らわすように足は小刻みに揺れ、秘所はヒクヒクと痙攣し一刻も早い解放を訴えている。
30分も持たない。然るべき場所に移動する前に限界を迎える。嫌な想像がアリステアの脳裏に次々と浮かぶ。
そんなとき、突如アリステアを尿意の波が襲った。
「ひぃっ……!」
咄嗟に両手で押さえたものの、その程度ではどうにもならず、聖女らしい純白の下着に恥ずかしいシミを作ってしまった。
指先がじんわり湿っているのを感じ取る。
想像が現実に近づいてきた。
嫌だ嫌だ嫌だ。15歳にもなっておもらしだなんて! なんで私がこんな目に! 聖女じゃなければ好きにおしっこできるのにぃ!
紫水晶の瞳が涙で滲む。金糸は汗でじっとりし、額に張り付いている。
限界はすぐそこまで来ていた。波が来てなくても、耐えきれなくなった防波堤からじわりじわりと聖水が溢れ始めていた。
聖女さまがお作りになる聖水は、最高品質のポーションよりも効果がある。
ミストリア人なら誰でも知っていることだ。
けれど、聖水の作り方となるとそれを知る者は、神殿の中でも高位の者と、聖女の側仕えに限られる。極秘事項なのだ。
アリステアは陽に透かすと金に見える薄茶色の髪と煮詰めた紫の瞳を持つ第37代聖女だ。
もっとも、聖女を継いだのはつい2ヶ月前。歴代より少し遅めの15歳での継承だ。
聖女の1日は、濃厚な朝一番から始まる。
毎朝決まった時刻に側仕えの手で採取され、状態維持の魔術をかけられるのだ。
アリステアは初めて聖水の作り方を聞いたとき思わず耳を疑った。冗談でしょう? と聞き返しもした。
先代も、巫女も、側仕えも、皆真剣だった。
アリステアは想像して、顔を真っ赤にした。
なにしろ聖水とは、聖女のおしっこだったのだから!
聖女の位を継ぐと、完全に聖水製作用の食事に切り替わり、身体も聖水作りに集中できるように少しずつ組み替えられる。
つまり、おしっこに集中できるようにうんちも生理も不要な身体になる。聖女の身は清らかでなければならないから、一度でもその位にいた者は、月1の血祭りに苦しまなくても健康でいられる代わりに、神の花嫁となるのである。
こうした身体に変化しきったら、いよいよ世間に代替わりを公表するのだ。
アリステアはようやく公表を終えたばかりの新米聖女。聖水を取られるのは、まだ慣れない。
聖水は日に3度、6時12時18時と規則正しく採取される。特に朝一番は熟成時間が長く、高品質なものがとれる、らしい。
アリステアにしてみれば、品質が変わろうが酷い羞恥を煽られる行為であることに変わりはない。
その日、アリステアは下腹部の鈍い重みで目を覚ました。時刻は5時。朝の採取まで1時間ある。
聖女でなければ迷わずトイレに駆け込んでいる程度の尿意だ。
けれど聖女には定刻以外に聖水を溢すことは許されていない。
キュッと股間に力を入れて、足を重ねて気を紛らわす。少しでも楽な姿勢をと寝返りをうつ。側仕えが起こしにくるまで二度寝してしまおう。
思いつく限りを試してみるも、結果は芳しくない。
このいつにない尿意の心当たりを思い返すと、昨夜食べた聖水の原料に行き当たった。いつもと違う産地の茶葉を使ったと言っていた気がする。
アリステアは内心で聖水レシピの研究者に悪態をついた。なにも朝の採取にあてなくてもいいじゃない!
しかも彼女は知らぬことだが新しい茶葉の産地というのが、夜会慣れした貴婦人ですら膀胱が悲鳴をあげる茶会で有名な澪嶺国なのだ。15歳の少女にはひとたまりもない。
一度気がついてしまった尿意はアリステアの身を蝕んでいく。
腹を庇うように身体を丸め、手はギュッと出口を押さえた。口はうわごとのように早く、早くと繰り返している。
扉の外に寝ずの番はいるが、聖女の括約筋が限界でもうんともすんとも言わない。なぜなら限界ギリギリの方が品質が高くなるから。
別に寝ずの番だって意地悪で採取時間を早めない訳ではないのである。彼女たちは聖女の側近である以前に神の僕なのだから、恵みたる聖水の方が優先順位が高いだけで。
ベッドサイドの置き時計を見ると、時刻は5時半。あと30分は耐えなくてはならない。
聖女になってから、いや、人生で一番の危機かもしれない。馬車で王都に移動したときだって、こんなには辛くなかった。
気を紛らわすように足は小刻みに揺れ、秘所はヒクヒクと痙攣し一刻も早い解放を訴えている。
30分も持たない。然るべき場所に移動する前に限界を迎える。嫌な想像がアリステアの脳裏に次々と浮かぶ。
そんなとき、突如アリステアを尿意の波が襲った。
「ひぃっ……!」
咄嗟に両手で押さえたものの、その程度ではどうにもならず、聖女らしい純白の下着に恥ずかしいシミを作ってしまった。
指先がじんわり湿っているのを感じ取る。
想像が現実に近づいてきた。
嫌だ嫌だ嫌だ。15歳にもなっておもらしだなんて! なんで私がこんな目に! 聖女じゃなければ好きにおしっこできるのにぃ!
紫水晶の瞳が涙で滲む。金糸は汗でじっとりし、額に張り付いている。
限界はすぐそこまで来ていた。波が来てなくても、耐えきれなくなった防波堤からじわりじわりと聖水が溢れ始めていた。
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