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雫の敗北
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あれから20分、自宅まではまだ半分残っている。明らかに予定よりも遅れていた。
雫の脳裏に「おもらし」の文字が過ぎる。もう平然としたふりはできそうになかった。人通りがないのをいいことに、隠せるものもないのに右手はギュッと股間を押さえている。息も荒くて、誰が見ても「おしっこを我慢してる」ことがわかるだろう。
今なら少しくらいの恥も捨ててスーパーやコンビニの店員にトイレを借りたいと言えるくらい切羽詰まっている。でも生憎、ここは戸建てとマンションが立ち並ぶ住宅街。知らない人の家にトイレ貸してと言えるほど雫の神経は太くない。
震える足を叱咤して歩を進めていたが、突如襲った波に思わず立ち止まった。
「んんんんっ! っはぁ……ぁああ……うぅぅ」
急速に高まる尿意、収縮する膀胱、開放を待ち焦がれる秘所はひくひく震え、雫の理性を焼き焦がす。少しくらい……と過ぎる邪心を決死の思いで振り払う。この少しくらいが命取りなのだ。ここで負けたら全部出てしまいかねない。
雫は背を丸めて欲を逃しながら時が過ぎ去るのを待つことしかできなかった。
さらなる悲劇が雫を襲う。
「え、うそ? っは……なんで、こんなときにぃ……!」
雫の身は、仮装魔造体へと変化し始めていた。
魔法少女は接敵すると自動的に仮装魔造体に変身し、これまた自動生成された結界の中で戦うことになる。
おしっこ我慢に気を取られていた雫は、周囲に敵が近づいて居ることに気が付かなかった。
本日二度目のティアドロップ、尿意から解放された仮装魔造体の身なので動きも軽やかだ。
逆ギレしながらも索敵に入る。
異空間の保管されているもとの身体に意思はない。ちゃんと我慢できてるか不安で仕方がない。早く終わらせないと、本当に「おもらし」してしまう!
ティアドロップは高火力の大振りなアタッカータイプ。素早い相手は苦手だが、魔法少女としては優秀な部類に入る。
スピードタイプでさえなければ敵を見つけたら、トドメを刺すのもすぐだ。
「この急いでるときに、手間取らせないでよね!」
危なげなく首を刎ねたとき、はたと思いつく。
「コイツを誘導して家まで近づけばよかった! あーー私のバカ! もう少し早く気付いていれば!」
後悔してももう遅い。敵は浄化エフェクトとともに消滅を始めているし、ここは家から遠ざかっている。
結果は眩く溶け、現実へと立ち返る。当然、その身も仮装魔造体から本体へと。
「え、やだやだ、うそ、なんで?? なんで止まらないのぉ……!」
現実へと戻ってきた雫の身体は、すでに肉体の限界を越えていた。強靭な意思の元でもあと何分もつかというレベル。
そんな状態の身体に戻っても、十全な我慢などできるわけもなく、閉ざそうと必死に痙攣する括約筋を押しのけて、ホットパンツをぐっしょり濡らしたおしっこは、内腿をだらだらつたっていった。
雫は半ば泣きながら混乱していた。どんなに必死に止めようとしても、一度決壊を始めた水門は自分の身体じゃないかのように言うことを聞かない。
「ううう……やぁぁ……はぁっ、はっぁ……」
溢れ出た水流は勢いを増し、恥ずかしい水溜りを大きくした。10時間熟成物、量もにおいも半端ない。スニーカーまでぐっしょりで動くとぺたぺた間抜けな音が鳴る。どう足掻いても誤魔化せない大失敗だ。
星振雫、魔法少女としては勝利したが、年頃の乙女としては大敗北。涙目で途方に暮れるほかなかった。
雫の脳裏に「おもらし」の文字が過ぎる。もう平然としたふりはできそうになかった。人通りがないのをいいことに、隠せるものもないのに右手はギュッと股間を押さえている。息も荒くて、誰が見ても「おしっこを我慢してる」ことがわかるだろう。
今なら少しくらいの恥も捨ててスーパーやコンビニの店員にトイレを借りたいと言えるくらい切羽詰まっている。でも生憎、ここは戸建てとマンションが立ち並ぶ住宅街。知らない人の家にトイレ貸してと言えるほど雫の神経は太くない。
震える足を叱咤して歩を進めていたが、突如襲った波に思わず立ち止まった。
「んんんんっ! っはぁ……ぁああ……うぅぅ」
急速に高まる尿意、収縮する膀胱、開放を待ち焦がれる秘所はひくひく震え、雫の理性を焼き焦がす。少しくらい……と過ぎる邪心を決死の思いで振り払う。この少しくらいが命取りなのだ。ここで負けたら全部出てしまいかねない。
雫は背を丸めて欲を逃しながら時が過ぎ去るのを待つことしかできなかった。
さらなる悲劇が雫を襲う。
「え、うそ? っは……なんで、こんなときにぃ……!」
雫の身は、仮装魔造体へと変化し始めていた。
魔法少女は接敵すると自動的に仮装魔造体に変身し、これまた自動生成された結界の中で戦うことになる。
おしっこ我慢に気を取られていた雫は、周囲に敵が近づいて居ることに気が付かなかった。
本日二度目のティアドロップ、尿意から解放された仮装魔造体の身なので動きも軽やかだ。
逆ギレしながらも索敵に入る。
異空間の保管されているもとの身体に意思はない。ちゃんと我慢できてるか不安で仕方がない。早く終わらせないと、本当に「おもらし」してしまう!
ティアドロップは高火力の大振りなアタッカータイプ。素早い相手は苦手だが、魔法少女としては優秀な部類に入る。
スピードタイプでさえなければ敵を見つけたら、トドメを刺すのもすぐだ。
「この急いでるときに、手間取らせないでよね!」
危なげなく首を刎ねたとき、はたと思いつく。
「コイツを誘導して家まで近づけばよかった! あーー私のバカ! もう少し早く気付いていれば!」
後悔してももう遅い。敵は浄化エフェクトとともに消滅を始めているし、ここは家から遠ざかっている。
結果は眩く溶け、現実へと立ち返る。当然、その身も仮装魔造体から本体へと。
「え、やだやだ、うそ、なんで?? なんで止まらないのぉ……!」
現実へと戻ってきた雫の身体は、すでに肉体の限界を越えていた。強靭な意思の元でもあと何分もつかというレベル。
そんな状態の身体に戻っても、十全な我慢などできるわけもなく、閉ざそうと必死に痙攣する括約筋を押しのけて、ホットパンツをぐっしょり濡らしたおしっこは、内腿をだらだらつたっていった。
雫は半ば泣きながら混乱していた。どんなに必死に止めようとしても、一度決壊を始めた水門は自分の身体じゃないかのように言うことを聞かない。
「ううう……やぁぁ……はぁっ、はっぁ……」
溢れ出た水流は勢いを増し、恥ずかしい水溜りを大きくした。10時間熟成物、量もにおいも半端ない。スニーカーまでぐっしょりで動くとぺたぺた間抜けな音が鳴る。どう足掻いても誤魔化せない大失敗だ。
星振雫、魔法少女としては勝利したが、年頃の乙女としては大敗北。涙目で途方に暮れるほかなかった。
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