戦争代理人 神の使者で異世界へ

ドラロー

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0章 戦争代理人 魔神と出会う

ラビリス

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 異世界に行ってみたい。
 この願いはどんな小説でも唐突に訪れるものだ。

 そして主人公達は唐突に訪れた異世界召喚、転移、転生に戸惑いながらもその世界を知り、力強く生き残る為に努力するのだ。

 ただ、神崎龍弥は事情が違った。目の前に座る魔神リリーがわざわざ地球から異世界に行って欲しいとお願いをしているのだ。だから必要な情報は全て教えてもらえるし、やらなければならないこと、目標も既に決まっていた。“異世界転生モノ”としては考えられないような好条件とも言える。

「じゃあまずは地球との差異についてから教えてもらおうかな」

「そうですね、違いすぎると戸惑いますしまずはラビリスの生活水準をお伝えしますね」


 リリー曰く

 文明は中世ヨーロッパレベルから少し劣っている部分もあれば日本のレベルまで発展している部分も存在する

 例えば食事。香辛料が足りないということはなく地球からの転生でもそれなりに満足できる味は保証できるとのことだ。

 龍弥は一応名家の出なので少し心配していたが杞憂だったようだ。

 トイレや風呂などは貴族や高級宿、大商人の家には基本的に完備されているが、住民全てがトイレや風呂にありつけるわけではなく、路地裏などには糞尿が溜まっていることもあるらしい。

 また、奴隷も存在している。ただし奴隷に対して理不尽に暴力を振るったり、性奴隷として扱うことは基本的には禁止されているが、犯罪奴隷に限りその制約は無くされるようだ。

 異世界にありがちである、獣人やエルフ、竜人も存在が確認されていて、それ以外の人類も存在しているようだが、そこは詳しくは伝えられないようだ。

 金の種類は石貨、銅貨、銀貨、金貨、白金貨、光金貨で分けられ地球で言うと
 石貨=10円
 銅貨=100円
 銀貨=1000円
 金貨=10万円
 白金貨=100万円
 光金貨=1000万円

 となる。光金貨なんてものはそう簡単にはお目にかかることはないが、冒険者のトップランカーになれば見ることもあるようだ。

 ラビリスには7つの大陸が存在している。
 そしてその大陸ごとに崇める神が違うようだ。龍弥が飛ばされる予定の大陸はサティラン大陸。魔神リリー様を崇める大陸だ。


 当然のことだが魔神を崇めているために魔導士が多く存在する大陸である。

 龍弥は理由は全く分からないが魔力量が他の人間とは比較にならないので、普通に生活する分には修行なんて全く必要がないそうだ。

(まぁ他の使者と争わなきゃいけないから、普通に生活するだけの毎日なんて送らないつもりだけどな)

 サティラン大陸ではリリーを崇めてる人間がほとんどなのでリリーの使者ってことを他の人間に伝えることはそれなりにリスクが存在する。

 まず、自分すら崇められてしまって修行とかさせてもらえなくなる可能性。

 当然の可能性だろう、自分の崇める神の使者が魔物や盗賊に殺されてしまうなど大問題だからだ。

 後は、犯罪者になる可能性。
 神の名を冒涜するような行為になる場合もあるようだからこれもあるだろう。

 さらに言えば、他の使者に簡単に見つかってしまうというのもある。手っ取り早くポイントを稼ぎたい過激派の使者はすぐに襲ってくるだろう。

 つまり、自分の身を自分で守れるようになるまで他人には使者であることを伝えるのは避けた方が良いのだ。

 そしてこれが地球とラビリスで最も大きな違いとなるだろうものだが


 ラビリスという世界には魔物が存在する。


 魔物というのは、虫や動物などが魔力を取り込みすぎた結果、体内で魔石を作り出すようになり、体内魔力が暴走して進化した生物のことをいう。

 魔物は人間を襲うこともあるし、強力な魔物になると1匹で村、町、国を滅ぼすこともできるようなレベルらしい。


 ―とんでもなく恐ろしい生物だ。


 そんな魔物に対抗するために立ち上がったのが冒険者と呼ばれる人達だ。

 冒険者は基本的には魔物を倒すことに特化した人間達のことで、村や町、国の周辺の魔物を狩ったり、ダンジョンと呼ばれる魔物巣窟を探索して魔物を狩ったりするのが仕事だそうだ。

 冒険者は狩った魔物の素材や肉を持って帰ってギルドに売ることができる。
 素材は装備を作り出すことができるし、肉はランクが高い魔物ほど美味しくなるようなのでそれで生活費を稼いでいるようだ。

 そして最も高価で売れるのが魔石だ。

 魔石は魔力が固まったものなので、様々な使い道があるようだ。
 バッテリーみたいな使い方と考えていいだろう。

 冒険者にはランクが存在する。
 Hから始まりSSSランクが最高のようだが使者以外でSSSランクに到達することは基本的には不可能らしい。


 ランクは魔物の討伐を繰り返すことによって自動で上がっていく。
 自分のステータスは『ステータス』と念じれば確認はできるが、他人からは『鑑定』というスキルや『魔眼』というスキルを使わない限り見られないようだ。

 また、冒険者ギルドでは名前とレベル、ランクだけを表示する水晶があり、その水晶に触れ、自分のステータスをギルドの職員に見せれば冒険者カードをもらえ、冒険者になれるそうだ。

 ステータスが確認できるというので実際に龍弥は見てみた。


 ーー
 lv  1
 ランクH

 HP     ー
 MP     ー
 筋力   ー
 体力   ー
 敏捷力ー
 魔力   ー
 魔法防御力   ー
 知力 ―
 運      ー

 スキル
『全属性魔法Ⅰ』『無属性魔法Ⅰ』『無詠唱』『剣技Ⅴ』

 ユニークスキル
『スキルポイント』『魔神の加護』『剣神の加護』『……』



 龍弥はまだ転生してないので名前は表記されていない。
 ステータスに関してはこの空間内では、魂にただ身体を纏わせているだけなのでこれも表記されていない。
 しかし、このステータスにはツッコミどころが満載だった。

 魔神の加護は分かる。目の前の魔神様の使者なのだからあることは当然だ。

 ―じゃあ剣神は…??

 これに関しては意味がわからなかった。
 龍弥は地球で剣神と呼ばれていたが、この世界とは全く関係ないだろう……

「剣神の表記ですか……予想はできます。しかし、自分勝手で申し訳ないのですが……」

「あぁー、まぁリリーがそう言うなら全然いいよ。危険があるわけじゃないんだろう?」

「えぇ、むしろ危険があるというより逆にすごい有利だと思いますよ! 何せ加護が2つなので!! 他の使者は1つしか持ってないのでとっても有利です!」

「まぁそりゃそうだよな。ところで加護ってどういう効果があるんだ?」

「加護はですねー、簡単に言うとそれぞれの神の得意分野を人間に置き換えて、そのステータスの上昇を促したり、スキルを与えることができるんですよー! 」

「なるほどなー、じゃあ魔神の加護があるから『全属性魔法』とか『無属性魔法』とか『無詠唱』があるわけだな?」

「そうなりますね。で、魔神のステータスはMPの上昇が飛躍的に伸びます。将来的にはとっても強い魔法使いになれるってことですね!」

「なるほどなー、じゃあこのスキルポイントってのは何?」

「それはですねー、魔神の使者って基本的に後衛では無類の強さなんですけど、1対1だと基本的に最弱なのでそれに合わせて作られたユニークスキルですねー。ステータスを出して、スキルポイントってところタッチしてみて下さい」


 そう言われたので、ステータスと念じ、目の前にゲーム画面のようなステータスを出し、スキルポイントをタッチしてみると画面が切り替わって説明文章が出てきた。


『スキルポイント』
 ・レベルアップ時にスキルポイントが与えられ、スキルポイントを使って新たなスキルを手に入れられる
 ・また、スキルポイントを使って、スキルを他人に付与することができる


 ―とんでもないチートスキルじゃねぇか




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