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1章 少年期
クリシュの成長記2
しおりを挟む俺が生まれてから3年の月日が流れた。
リリーからの報告では現在の貢献ポイントのランキングはこんな感じだ。
1位 王神
2位 賢神
3位 龍神
4位 獣神
5位 破神
6位 剣神
7位 魔神
王神と賢神の間と獣神と破神の間にはかなりの差があるようだ。
恐らく王神は王子とかになったんじゃないかと言っていた。
また破神より下はほとんど変わらないようで、修行中なのではないかと予想している。
そもそも俺も修行中なのだ。
家族のみんなは俺の成長が早いことは喜んでくれていたので、ばんばん修行したら、この歳で護衛のメイドや執事とほぼ互角に戦えるようになった。
あの2人は暗器や何故かナイフで戦うのが好きなようだが、剣や魔法が使えないわけではない。
獣人は魔法を使うのが苦手だと聞いていたが、レベルの高い獣人は普通に使えるようだ。
ちなみにマルティナのレベルは40で、トールのレベルは45だ。
2人とも元冒険者で俺の父親であるレインに命を救ってもらった時に一生仕えることに決めたらしい。
「クリシュ様、今日はここまでにしておきましょうか。というよりこれ以上やると私の体力が持たないので、申し訳ないのですが……」
「うん! ここまでにしよっか! ありがとうマルティナ」
「いえいえ、クリシュ様が強くなってくれるのは非常に嬉しいことですので」
「いつか父上にも勝ちたいんだけどねー、あの強さはほんとにズルいよねー、俺も早く魔物狩りたいよ」
「そうですねー、うーんレベルの差がかなりにあるのに私とほぼ互角の実力がありますし、私とトールを護衛に付けるという条件で提案してみるのもいいかもしれませんね。この屋敷の守護はロウ様がいますし」
おお!ついに俺の魔物狩りのスタートか!
修行でも経験値は溜まるが魔物を狩った方が遥かに効率がいいらしいので、一気に強くなれるチャンスのはずだ。
魔物狩ると貢献ポイントも溜まるし一石二鳥だな!
ちなみにロウというのは俺の母であるエルのペットだ。
エルはモンスターテイマーで、ステータス自体は低いのだが、ユニークスキル持ちで、レベル差があればあるほどモンスターテイムできる確率が高まるらしい。
つまり、ロウは魔物なのだ。しかもSランクの魔物。
ランクだけ見ればレインよりも強い、この家最強の守護獣である。
「よし、じゃあ今日父上に聞いてみるよ」
「それが良いでしょう。クリシュ様は将来英雄になるお方なので、経験はいっぱい積んだ方が良いですね」
マルティナに魔物と出会った時の心構えや、冒険者として必要な基礎知識を教えてもらいながら屋敷に入ると猫耳の少女が玄関で頭を下げて待っていた。
「お疲れ様でしたクリシュ様。お風呂の準備はできているので、汗をお流し下さい」
この少女の名はアリス。
トールとマルティナの娘で、俺の専属メイドとなるために猛特訓中である。
金髪ロングの髪の上に可愛らしい猫耳がピコピコしていて、ピコピコが始まると褒めて欲しい時の合図だ。
ちなみに身内びいきでも何でもないが、凄まじい美少女だ。
リリーと出会ってしまった俺は、そんじょそこらの美少女や美女になびくことなどないと思っていた。
村に出向いて散歩しつつ、観察していたが美少女や美女にあまり出会わなかったからだ。
しかし、エル、マルティナ、アリスの3人は正直別格だと思う。
身内びいきではなく、そう思う。
「ありがとうアリス。汗がベタベタしてたから丁度いいよ」
そう言うとアリスは太陽のような笑顔を浮かべて
「クリシュ様のお役に立つことができて良かったです!」
と言うのだ。
うん、可愛いよな。アリスは俺のために一通りの家事を習い、礼儀作法を習い、勉強を習い、果てには戦闘訓練をしているのだ。
普通、5歳児の子供がここまで頑張ることは中々困難だと思うが、アリスは弱音も吐かずに続けている。
将来は立派なパーフェクトメイドになるだろう。
「アリス。クリシュ様はお疲れですのでお背中をお流ししてきなさい」
「はいお母様! さぁクリシュ様行きましょう!」
「えっ!? いやいや自分で出来るから! 」
「お背中をお流しするのはメイドの務めですので! それともクリシュ様は私なんかに洗われるのは嫌なのでしょうか……?」
そう言って目をウルウルさせるのは正直反則だと思う。
「い、いや、うん今日は疲れたからアリスが洗ってくれるのは嬉しいなー」
「そうですか! では行きましょー!」
「……ふふ、これで私の娘が英雄の専属メイドなのは間違いないわね」
何か小声で聞こえた気がしたが俺はそんなことに耳を傾ける余裕は無かった。
神に懺悔中だから。
リリー、すまないこれは浮気じゃないんだ。1番好きなのは変わらず君なんだ。
そう心の中で懺悔しつつ、アリスと一緒に風呂に入ることに関しては嫌なことなんて1つもないので頬を緩めながら風呂場へ向かうのだった。
その日の夕食時、俺は父上に魔物を狩る許可を貰うために機会をうかがっていた。
我が家の独自のルールで主人、メイド関わらず全員で食事を出来る限り取ることにしてるので、この場には家族全員が集まっている。
「レイン様、お話があります」
マルティナがそう言うと家族全員の視線が集まった。
どうやら俺が中々言い出さなかったから、言えなくて困ってるように見えたのだろう。
ありがたいことだった。だって絶対反対する人が2人いるから。
「クリシュ様はすでに模擬戦では私やトールとほぼ互角なので、魔物狩りに連れて行きたいのですが許可を貰えますか?」
「おい、マルティナ何言ってるんだ? レイン様申し訳ありません。マルティナの言うことは無視して結構です。クリシュ様は私たちが一生守りますので」
「トール、これはクリシュ様のご意思なのよ? クリシュ様が魔物狩りをしたいって言ってるんだから、させてあげなきゃでしょ?」
ちなみにトールは過保護で、マルティナは俺至上主義だ。
マルティナは基本的に俺の意見に逆らうことはない。
「ねぇマルティナ? まだ早いんじゃないかなぁ? クリシュは3歳なのよ? 怪我したら一生残るかもしれないし、私の可愛いクリシュが魔物に一生怯えて過ごすのなんて嫌だわ」
エルはトールを超える過保護だ。
俺が成長するのは喜んでくれるが、戦闘訓練ですら怪我を心配して基本的には反対している。
「クリシュ様のご意思ならしょうがないよね……私も早く追いつかないと」
こんなに可愛いことを言うのはアリスしかいない。
アリスもまた俺至上主義だ。母親からの影響が大きいのだろう。
「そもそもね、クリシュは生き急ぎすぎてるわ。村の子供たちはクリシュぐらいに成長するまで10年以上もかかるわ」
「いやエルよ、クリシュは勉強もできるし、礼儀作法もできるし、戦闘に関してはCランクのトールやマルティナと同等なのだろう?10年では到底追いつかないだろうよ」
レインはどっちに転ぶか分からない。
俺を強くしようとしてくれてはいるがやり方が騎士風なんだよな。
訓練で強くしようとしてる。
魔物によるレベルアップはあまり良しとしていない。
魔物を狩って経験値を得ると、レベルアップに体が馴染むまで少し時間がかかるらしい。
いきなりステータスが上がるからだ。
「あなたはどう思うの? 今クリシュを除いた4人は2対2だから、あなたの意見で決まるわよ?」
うちは大切なことは基本的に家族会議をして全員の意見が一致しなかったら多数決で決める。
だからこの場合、俺は除かれているようなので、レインが反対したら俺は魔物狩りにはまだ行くことができなくなる。
「よし、じゃあ明日俺と模擬戦をして、俺に致命的なダメージを与えるか降参させたら魔物狩りを認めよう」
「ちょ、ちょっと! レイン様! それは認めてないのと同じですよ!?」
「うん、私もレインに1本入れるぐらいの実力があるなら認めてあげるわ」
うちの両親はどうしても俺に魔物狩りさせる気はないらしい。
「ちなみにそれは魔法もありなのですか?」
と聞いてみた。
「もちろんだ。剣と魔法で模擬戦を行う。俺も盾を持つからな? まぁ模擬戦は毎日行ってやるから、いつかは魔物狩りに行けるだろうよ」
と言ってレイン、エル、トールは俺が勝てるはずないと笑っている。
しかし俺とマルティナは俯いてニヤニヤしていた。
ほぼ最高の条件を得たと言っても過言ではない。
トールには剣と魔法を同時に使う俺を見せてないから仕方ないかもしれないが、マルティナとはよくやってるんだよな。
マルティナやトールと互角なのは、俺が魔法を使わない場合のみ。
魔法ありだとマルティナは全力でやっても俺に勝つことはほぼ不可能だ。
魔法戦闘において俺は負ける気がしない。
クリシュ=レンメール
lv 12
ランクH
称号 【嘘泣きマスター】
HP 3000
MP 4500
筋力 1200
体力 1000
敏捷力 750
魔力 4000
魔法防御力 3000
知力 2800
運 5
スキル
『全属性魔法Ⅴ』『無属性魔法Ⅴ』『無詠唱』『剣技Ⅶ』『身体強化Ⅲ』『魔力制御Ⅴ』『俊足Ⅲ』
ユニークスキル
『スキルポイント』『魔神の加護』『剣神の加護』『メニュースキル』
魔法系のステータスとスキルは中々に育ってるからな。
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