魔王でした。自分を殺した勇者な婚約者などお断りです。

一零

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勇者なんかお断り!

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「本日をもって、魔王の生まれ変わりである悪辣女リヨネッタを光の棟に幽閉する!」
「願ってもいないことですわ。さようなら王子。」


 夏休みに入る直前の全校集会の場で、生徒代表のあいさつを終えた第一王子スティーブは高らかに宣言した。
 堂々とこちらを指さす婚約者を睨みながら、リヨネッタは不敵に笑っていた。




時を遡ること115年前ほど昔。
 魔族の女王として君臨している女がいた。魔物である両親を冒険者を名乗る人間に殺されて以降、人間を恨み、殺して、殺して、殺し続けた彼女はいつの間にか魔王と呼ばれるものになっていた。
 姿も小さな魔物の姿から妖艶な女性型魔族に変わっていき、世界中の人間が彼女を恐れ、魔物も魔族も彼女の支配下についた。

 いつの日だったか、とある亡国の王子が打倒魔王を掲げて立ち上がった。
 彼の元に剣士が、魔法使いが、僧侶が、聖女が、どんどんと人が集まった。彼は人々から勇気ある人、勇者と呼ばれるようになっていった。

 数年の間に魔物も魔族も倒されていく一方だった。
 魔王である彼女も負けじと策を講じていたが、気が付けば勇者一行は魔王城まできてしまった。

 そして魔王は勇者に打たれ、世界は再び人間の為の世界となった。

 勇者はその後、仲間と国を建国することで魔王たちによって住む家や国を失った人々に住む場所を与えた。
 希望の国を作っていきながら、残りの魔物と魔族の掃討も続け、傷ついた世界を救い続けたそうだ。


 世界から”悪”が消えて、100年経った頃に、貴族の家でリヨネッタは生まれた。
 何不自由なく愛されて育った彼女は時折、何かを思い出すように人に怯えるしぐさを見せた。

 恥ずかしがり屋だと思われていたリヨネッタが5歳になった時、第一王子スティーブの婚約者候補として登城するように命令が下った。
 105年経っても畏怖と尊敬の支持率を得て、王族は絶対的な時の権力者のままだった。皆がここぞとばかりに娘を連れていき、リヨネッタの家も当然のように参加した。

 勇者の子孫である王族は、勇者によく似た金髪に青い瞳と特別な力を持っていると言われている。
 その中でも勇者そっくりだと言われる第一王子スティーブを見た時に、リヨネッタは前世で魔王だったことを思い出した。

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