1 / 1
叫び
しおりを挟む6年も引きこもっていた俺はようやく今日外へ出た。
日の光が眩しく、思わず目を細める。
引きこもりだった俺に取柄はない。
取柄がないやつにもたった一つできることは「叫ぶ」ことだ。
音楽ができるやつはミュージシャンとして、
文章が書けるやつは作家、あるいはブロガーとしてその叫びを表現できる。
しかし、俺には文字通り「叫ぶ」ことしかできない。
唯一できることを命尽きるまで精一杯してやる。
俺はできるかぎり大声で叫んだ。
この叫びが誰かに伝わったとき、俺は運命の相手とだって結ばれることだってできるんだ。
できるはずだ。
俺は魂の叫びを毎日続けた。
叫びと言うのは、伝わらなければただの耳障りな雑音でしかない。
雑音と感じた「人」からは「うるさい」と罵倒されることもある。
が、そんなことは俺には関係ない。ただ、ひたすら、叫ぶだけだ。
次の日も、その次の日も、、、。
7日目。
俺は疲れていた。すべてを出し尽くし、叫びつくした。
が、結局、成果という成果はなかった。
全てを出し尽くした俺は地面に倒れた。
意識が薄れていく。
ああ、俺は何のために生まれたのだろう。そう思いながら死んでいくやつらが大半だろう。
だが俺に悔いはなかった。
なぜなら「自分ができることを、全力で最後までやり尽くした」からだ。
周りから馬鹿にされようと、哀れに思われても関係ない。
俺は俺のやり尽くしたことを誇りに思っている。
「6年も引きこもってやっと外に出たのに、たった7日で死ぬなんて、悲しいね」
と「人」は言う。
が、それはあくまでそいつの主観だ。大事なのは「自分がどう思っているか」だと俺は思う。
自分の全力を出し尽くした人生を俺は「悲しい」とは思わない。
全力も出さずになんとなく数十年生きる方がよっぽど俺は「悲しい」と感じる。
とにもかくにも、俺は最後に心の中でこうつぶやいた。
「良い一生だった。」
夏の太陽が照り付ける中、同胞たちの「ミーンミーン」という「叫び」を聞きながら、
自らの誇りとともに、俺は静かに息を引き取った。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
意味がわかると怖い話
邪神 白猫
ホラー
【意味がわかると怖い話】解説付き
基本的には読めば誰でも分かるお話になっていますが、たまに激ムズが混ざっています。
※完結としますが、追加次第随時更新※
YouTubeにて、朗読始めました(*'ω'*)
お休み前や何かの作業のお供に、耳から読書はいかがですか?📕
https://youtube.com/@yuachanRio
幼馴染の許嫁
山見月あいまゆ
恋愛
私にとって世界一かっこいい男の子は、同い年で幼馴染の高校1年、朝霧 連(あさぎり れん)だ。
彼は、私の許嫁だ。
___あの日までは
その日、私は連に私の手作りのお弁当を届けに行く時だった
連を見つけたとき、連は私が知らない女の子と一緒だった
連はモテるからいつも、周りに女の子がいるのは慣れいてたがもやもやした気持ちになった
女の子は、薄い緑色の髪、ピンク色の瞳、ピンクのフリルのついたワンピース
誰が見ても、愛らしいと思う子だった。
それに比べて、自分は濃い藍色の髪に、水色の瞳、目には大きな黒色の眼鏡
どうみても、女の子よりも女子力が低そうな黄土色の入ったお洋服
どちらが可愛いかなんて100人中100人が女の子のほうが、かわいいというだろう
「こっちを見ている人がいるよ、知り合い?」
可愛い声で連に私のことを聞いているのが聞こえる
「ああ、あれが例の許嫁、氷瀬 美鈴(こおりせ みすず)だ。」
例のってことは、前から私のことを話していたのか。
それだけでも、ショックだった。
その時、連はよしっと覚悟を決めた顔をした
「美鈴、許嫁をやめてくれないか。」
頭を殴られた感覚だった。
いや、それ以上だったかもしれない。
「結婚や恋愛は、好きな子としたいんだ。」
受け入れたくない。
けど、これが連の本心なんだ。
受け入れるしかない
一つだけ、わかったことがある
私は、連に
「許嫁、やめますっ」
選ばれなかったんだ…
八つ当たりの感覚で連に向かって、そして女の子に向かって言った。
サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします
二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位!
※この物語はフィクションです
流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。
当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる