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1章

第4話 災害

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王立騎士魔導学院ウェルウィッチア
式典記念講堂

教員・新入生『誰だ?』

?????「私は秘密結社カラミティのメンバー、シャットンというものだ」
新入生「何なのこれ?!」
理解不能の生徒。
ノア『カラミティだと・・・・・・?!』『犯罪組織として、噂で聞いたことがあったが・・・・・・実在したのか?!』

シャットン「本日は新入生の諸君にご提案があって、このような場を企画した!」
カーリン『・・・・・・提案?』
シャットン「ズバリ言う。新入生の諸君、この学院を辞めたまえ!」
ざわつく一同。
ノア『何を言っている、こいつは?!』

シャットン「正直に言おう」「我々カラミティにとって、騎士団は邪魔な存在だ!」「常に手を焼かされている」
新入生「・・・・・・」
シャットン「そこで我々は考えた・・・・・・」「騎士団とやりあうより、そもそも、騎士になろうとすることを諦めてもらうのが効率いいのでは?とね」
グレイン『バカにしやがって・・・・・・』
憤慨するグレイン。

シャットン「しかし、ただ辞めてもらうだけでは君たちにメリットがない」
「そこで、提案だ」「もし、この学校を辞めるのならその者の命は保証しよう」
「その代わり、この学校に留まるというのなら、順番に死んでもらう」
キャロル『なにそれ?!』
ノア『話にならん・・・・・・』

シャットン「どうだね、素晴らしい提案だろう!!」「君たちは命を永らえ、我々は悩みの種が減る!」「最高じゃないか!!!」
カーリン『・・・・・・完全に自分の都合ね』
シャットン「それでは、新入生諸君の賢明な判断を期待する!」

「シュン・・・・・・」
投影が消える。中空で光を発していた球体が落下する。
「バチンッ!」
明かりが戻る。どうやらなんらか手段で照明のエネルギーを強奪して動いていたようだ。

ミック「おいおい、大丈夫なのか~」
ざわめく一同
グレイン「なんだこの茶番は!」
机に拳を叩きつけるグレイン。

ニャータ学院長がダニエル教務主任に耳打ちする。
ニャータ「皆さん、静粛に」「これから、緊急職員会議を行います」
ダニエル「入学式はここで中止にします」「一旦、寮に戻って待機してください」

不安な気持ちで講堂を後にし、寮に戻っていく新入生。
「わたし、辞めようかな・・・・・・」
早くも、そうつぶやく同級生の言葉がキャロルにとっては一番の衝撃だった。

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王立騎士魔導学院ウェルウィッチア
職員会議室
臨時に盗聴防壁が展開され壁面が青く光っている。

緊急職員会議

マーガレット副学院長「直ちに、校舎の安全確認を行うべきです」
長身でカージナルレッドの長髪が目立つベテラン女性教師マーガレット。

ライル教頭「そもそも、あの投影球がどうやって持ち込まれたかが問題だ」
片めがねが特徴。灰色髪のベテラン男性教師ライル。

ケイ「生徒の荷物等にくっついて入ってきたのでは?」
筋肉質で体格のいい、黒髪短髪刈り上げヘアスタイルの中堅男性教師ケイ。

アーミン「生徒の中に奴らの手先が紛れ混んでいる可能性もある・・・・・・」
黒紫色の長髪で整った顔の若手男性教師アーミン。

アニエルカ「生徒を疑うんですか?!」
銀縁のラウンド眼鏡、白衣姿、ツインテールの新任女性教師アニエルカ。

キアラ技術主任「今日は新入生の初登校日、いくらでも隙はあったはず。犯人や手段を今断定するのは良くありません」
ウェリントン眼鏡、灰色と緑が混じった少し長めの髪を後ろで結ぶ男性教師キアラ。

エリザール「入学初日からこんなことになるとはのぉ・・・・・・生徒の気持ちも心配じゃ」
杖を持ち、ワシ鼻で小柄、学院最高歳の女性教師エリザール。

ライル教頭「まさしく、生徒のケアが最優先だ」「退学希望が殺到する事になれば責任問題になる」
ニャータ「退学希望者が出た場合、速やかに受理するほかあるまい」
ダニエル教務主任「学院長!?」
マーガレット副学院長「こうなった以上、生徒の意思を尊重しなければ」
ダニエル教務主任「それでは、カラミティとやらの思うつぼでは!?」
ニャータ「もちろん、生徒の安全を最大限確保するのが最優先じゃ」「が、万が一ということもある」
キアラ技術主任「現に、投影球の侵入を許している」
ダニエル教務主任「・・・・・・」
ニャータ「マーガレット先生、王室参謀府への報告をお願いする」
マーガレット副学院長「分かりました」
ニャータ「キアラ先生、現在の学院防衛システムに不審者・不審物を検知する術を追加実装することは可能性かな」
キアラ技術主任「できると思います。時間を頂ければ!」
ニャータ「了解した。お願いする」「残りの先生はワシと一緒に目視で学院の安全確認を開始する」「今日中に終わらせる」
教員一同は頷き、解散する。

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王都おうと/王城都市おうじょうとしアクトゼリシア
六芒星ろくぼうせいの間
王室参謀府参与おうしつさんぼうふさんよ六老賢ろくろうけん
緊急秘密会議

星の陵に位置に座席が置かれている。
特別に選任された6人の賢人ー六老賢ろくろうけんーが待機。
全員深いフード付きのローブを纏い顔はよく見えない。
少し下がった中心にハロルド王室最高司令官(参謀総長)が立つ。

ハロルド参謀総長「六老賢ろくろうけんの皆様、緊急招集に応じて頂き助かります」

六老賢A「なんの、そのために我々がおるのだ」
ハロルド「恐縮です。先ほどウェルウィッチアのマーガレット・コールマン・ウィリス副学院長から緊急報告を受けました」
「秘密結社カラミティによる犯行声明に関してが本日の議題です」
六老賢B「生徒に対する直接恫喝・・・・・・」「王国崩しの新しい手法といったところか・・・・・・」
六老賢C「まず、今回の事件だけでも学院の信頼を落とす効果がある」
六老賢D「カラミティとは、何なのだ?」「敵対国の差し金なのか?」
六老賢E「背後にはディアボリック帝国がいるとしか考えられん」「そもそも秘密と言いながら表に出てくるのが怪しい」
六老賢C「ダミー組織の可能性もあるな・・・・・・」
ハロルド「わたしもそう考えていましたが、国家間にまたがる犯罪組織である可能性もあります」
六老賢F「そうなると、敵は世界か?」
沈黙する一同。

六老賢E「ディアボリック帝国には聖域の抑えが効いている」「軍事的には表立った動きはない」
六老賢B「そうなると、作戦を変えてきたということか?」
ハロルド「外側からではなく、内側から壊していこうという策だと判断しています」
六老賢C「然り・・・・・・わたしが敵ならそうする」「停戦協定は無いも同じ」
六老賢A「もはやカラミティが何者であるかは関係ないのお」
六老賢E「王国の脅威が再び蠢き始めているのか・・・・・・」
六老賢F「気付いた時には手遅れ、ということだけは避けたいものだ」
ハロルド「引き続きの情報収集に努めます」
頷く六老賢ろくろうけんたち。
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