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第6話
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先に進むと、石壁のではなくなり、洞窟のような感じになる。
開けた場所に出ると、壁際に茶色、緑、しろ、オレンジの結晶が並んでいて、中央には水色のような小さな結晶が浮かんでいる。
…綺麗。
「…新要素解放クエストか?!」
…聞き慣れない言葉だ。
[それはなんですか?]
「んーっと、まあ、守護霊みたいなものさ。最初はなかったものだけど、特定のイベントクリアすると新要素として解放されるって感じ。」
そんなものがあるのですか。
何が解放されるのでしょう。
中央の結晶が気になります。
「トリガーはなんだ?とりあえず触ってみるか。…うお?!」
「どうした?ユウ。」
「…いや、頭の中に声が響いたからびっくりした。…でも、俺じゃダメみたいだ。“資格が足りぬ出直せ”って言われた。」
ん?でも、緑の結晶はほんのり光りましたよね?
「じゃ次俺な。…だめか。」
次は茶色?
……んー。魔法属性でしょうか?それだと私では無理だと思いますが…。
「次はメイがやってみろよ。」
[そうします。]
さて、どうなる?
《資格ありし者よ、我らの試練に挑戦するか?》
…あれ?
全部光った…魔法属性じゃ無いのか?
じゃあ…
[すみません、ちょっとお聞きしたいのですが、生産系スキル何をお持ちですか?]
「え?俺は…調薬だけど?」
「俺は鍛治。」
ユウが調薬でケンジさんが鍛治…
調薬が緑で、鍛治が茶色?
……まあ、結果を言ってからにするか。
[それで、私は資格ありし者として認められたのですが受けた方がいいですか?]
「「受けて!!」」
はいはい。
受けるを選ぶと、
《我らの望む物、今作れる最高の一品を見せよ。》
その声の後に目の前に鍛治、調薬、料理、その他と書かれた枠と自分のアイテム一覧が出てくる。
やっぱり、生産スキルがいるのか。それも四つ。
えっと、料理はアマンサさんの所で少し調理器具借りて作ったダークネスウルフのステーキ丼でいいかな。あと、ダークウルフの装備一式をその他枠に…と、鍛治はウルフソードで、調薬は作れるやつ全種類…よし、これで決定。と。
《………。》
あれ、失敗?
《……鍛治・クリア。調薬・クリア。その他・クリア…料理……おかわり。》
……え。おかわり?…枠出てきたし。まあ、特大サイズだったからいっぱいあるけど。…んー。3つ入れてみよう。結晶の数だけ…
《………もうひとつ頼む。》
あ、中央の結晶の分があったね。
もうひとつっと。
《感謝する。見えぬ友よ。我らの加護を与え、我らが見えるように、全精霊の封印を解いてやろう!》
ーーー 只今、新要素解放クエストがクリアされました。プレイヤーの皆様にランダムで、精霊が見えるスキルが贈呈されます。もちろん、とある国に住むとあるNPCのクエストを受けクリアすれば報酬としてスキルが手に入ります。詳しくは公式サイトの最近あった出来事欄に書き込まれておりますので、ご覧ください。繰り返します…ーーー
「「おおぉーーー!!!精霊キター!!!」」
精霊…
彼らが?
目の前にいや、各結晶の前に、豪快に笑う赤髪のオールバックな男の人。
優しそうに微笑む薄い緑の長い髪の女の人。綺麗なコック服を着た男の人。
オレンジの髪の短髪な元気そうな女の子。
最後に、目の前には口元に米粒つけた水色の髪の男の子がいた。
《我らを解放したものよ、名を。》
えっと…
[トーメイです。メイとお呼びください。]
《…しばし待たれよ。》
…?
あれ?そういえばみんなには見えているのでしょうか…え?
時が止まったかのように固まってる。アルまで?!
《これで、お前の声を聞くものは我らのみ。もう一度、名を。》
…これは声に出せということか。
縛ってるのに…しょうがないか。
「……トーメイです。メイとお呼びください。」
《メイよ。そなたの数々の作品に我らは歓喜した。料理も、我らの人数分用意してくれて嬉しかった。ありがとう。》
「いえいえ。お口にあってなによりです。えっと…水色の髪の子…少し失礼しますね?」
《え?……ぁ。ありがとう。》
「ふふ、いいですよ。」
モジモジして可愛い。口元についた米粒をとってあげたのです。
「皆さんは生産スキルの精霊さんなのですか?」
《いや、違う。魔法属性だ。》
…ありゃ。じゃあ、私に加護があっても意味が…
「あの。私は魔法スキルは持ってません。なので、後ろで固まっているアルにお願いします。」
《…その心配はいらない。我らは基本属性の精霊ではない。それに、我らの扱う属性は異界人がスキルとして取得してないものだ。》
え。未知の魔法属性?
《メイ、そなたに与えるのは我らの加護ではなく、我らとの契約権、そして、我らの扱う魔法属性のスキルだ。》
………は?
契約?
え。
「えぇ?!マジですか!」
《うむ。》
……普通に返された。
《さて、契約を始めよう。》
え?!
魔法陣が急に出てきた?!
ちょっ!拒否権は?!そんな目立ちそうなこと嫌なんだけど?!
「え。え、ええ??」
《まず、我に名を。我の属性は大地。》
名前?!
「え、えっと…じゃあ!ガイア!」
《うむ!我はガイアと名乗ろう。》
《では次、私ね。属性は森。》
「森……ソフィー!」
《ありがとう。私はソフィーね。》
《私の属性は、太陽。》
「えっと……ライト!」
《うん。私はライトですね。》
《ボクの属性は影。》
「影…クラウン!」
《うわぁ!ありがとう!ボクはクラウン!》
《そして僕が最後…属性は無。》
「無………ムゲン!」
《ムゲン…ムゲン!よろしくね!お母さん!》
…え。
《ふふ、ムゲンに、ようやくお母さんできたわね。》
《我らはメイと呼ぶからな。》
《うん、よろしく。》
《ボクら、さっきは生産スキルの精霊ではないって言ったけど、生産スキルは持ってるからお手伝いできるよ!》
…ムゲンの呼び方についても突っ込みたいけど、その前に!
「私のこと…見えてるのですか?」
《いや、全然。》
声揃えて、否定。
《でも、そこの守護霊みたいに、触れれば見えるよ!だから、ぎゅーして!お母さん!》
「…アルと同じ?」
…えっと、待ち構えてるから、ぎゅーてしてあげると。
《…はわ。》
「ん?どうしたの?ムゲン。」
《にゃ、にゃんでもないっ。》
噛んでる噛んでる。
《我らにも、ハグ…グエ……》
あ、ガイアがソフィーに吊るされてる。
「ソフィー、喧嘩はダメ。うわっ。」
木のツルに気づかずつまずいて、ソフィーにダイブしちゃった。私にはないふかふか…
「あぅ。ごめん。」
《……メイ…様っ。可愛いっ。》
なんとか、立て直して、肩に手を当てたまま話す。
「え?そうかな?えへへ。」
バタ!
え?!倒れた!!
「ソフィー大丈夫?!」
《だいじょうぶれすぅ…》
私が倒れた後にソフィーが倒れるなんて!
よかった生きてる。
《…(ゴクリ)そ、そんな大げさな。えっと、握手で頼む。》
ガイアが手を出してきた。
私も手を繋ぐ。
《こ、これわぁ?!》
「…?」
《ぐふっ。》
首傾げたら口抑えてしゃがんだ!
「え。大丈夫?!ガイアまで!!」
《気、気にせんでくれ。すぐ収まる。》
赤いものが見える…まさか鼻血…え…
軽く引く前に次が来る。
《……あの、メイ様。私とも握手でお願いします。》
次はライトだ。
ライトの手、大きいなぁ。
《…メイ。結こn…ッ~~!!!》
『体が急に動かなくなってびっくりしましたが、少し動けるようになって…メイ様の様子を伺おうとしたらなんで、変質者が増えてるのですか。』
アルがライトの下半身を蹴り上げ、ライトと私をベリっと引き剥がす。
そんなことよりアル…幽霊なのに足あるの。
「あ、アル!よかった!動いた!」
『ご無事ですか?手をベタベタと触られてますね。手を洗いましょうね。』
水魔法で水を出して、それに手を突っ込むように言われる。
《ボクとの挨拶まだなんだけど…。》
「ごめん、クラウン!握手?」
《ハグがいい!》
じゃ、ぎゅー。
《わぁ!かわいいね!よろしく!》
普通だった。
『ほら、メイ様。手を洗って…はい、タオルです。』
「ありがとう。アル。」
はい。ライト以外復活しました。
ライトは…下半身を抑えてまだ悶絶中。
《あーコホン。守護霊アルよ、我らはメイ様と契約した精霊だ。我はガイアという。これから頼むな。》
《ソフィーよ。で、あそこに倒れてるのがライト。ボクっ娘のクラウン。で、そこにいる子が…》
《ムゲンだよっ!アルお兄ちゃん!》
…さぁ、アルの反応は!
『…メイ。子供と女の人以外と契約切ってください。』
切実なお願いをされた…
「…えっと、でも、生産スキル持ってるからアイテム製作の人手となり得るんだよ。…アル、ダメ?」
《ぐふ…》
すごく息苦しそうな声で呻く2名。
ガイアとソフィーだね。
『……はあ。わかりました。…ですが、後で添い寝してくださいね。なんか疲れました。』
え。添い寝…なぜ添い寝…
「添い寝…するの?」
『ダメなのですか?』
「…まあいいか。」
《…アルお兄ちゃん、メイお母さんのこと好きなの?》
『ええ、好きですが?…というかお母さん?』
《…じゃあ、お兄ちゃんじゃなくてお父さんて呼んだ方がいい?》
『………是非ともお願いします。』
…家族設定が出来上がった瞬間である。
「あの、そろそろ時を止めてるのかわからないけど、動かしてもらえると助かる。」
《おぉ、そうだな。しばし待たれよ。》
……
「メイ!お前は精霊眼ってスキル手に入った?」
[確認してみます。]
唐突に戻るから、声出しそうになった。
危ない危ない。
えっと、ステータスは…
Lv:15
名前:トーメイ(女)
貢献度:3951P(ランキング2810位)
固有スキル
透明化
スキル
剣☆13 大地魔法☆0 森魔法☆0 太陽魔法☆0 影魔法☆0 無属性魔法☆0 精霊眼☆3 軽業☆3 鑑定☆4
控え
鍛治☆8 調薬☆2 料理☆9 裁縫☆7 釣り☆0 植物知識☆1 鉱物知識☆1
…うん。増えてる。色々…いつの間にか、貢献度が上がってる。
[精霊眼ありました。というか、目の前に精霊がいますよ。それと、貢献度が高かった。ランキング2810位でした。]
「…え。ちょっと待って。2810位?」
「いやいやいや、何したの。開始二日目でなんでそんな高いの。」
[高いですか?]
「…高いよ。プレイヤー人数何人いると思ってるの。50万人突破してるんだよ?」
そんなにいたのですか。でも、貢献したと言ったら、おばあちゃんとアマンサさんのお手伝いくらいですよね?
[お手伝いくらいしか…心当たりないです。]
『あと、私をあの屋敷から出したことでしょうね。』
《あと、我らの解放じゃな。》
…結構あるという。
[精霊解放も貢献度上がるんですか?]
「あ、そっか。それがあるか。」
「得したなー。」
[じゃ、一度出ましょう。]
「だなー。」
ということで、6階に向かう扉に触れて外に出ました。
透明軍団ですね。本当に。いや、本当に透明なのは私のみなんですが。スケスケです。
「しかし、メイちゃんがいるのってどうやったら証明できるかな。」
「確かに…フレンドにどう紹介すれば…」
[あ、大将さんに鈴をもらいまして、近くにいるときは鳴らすように決めているのですが、そうしましょうか?]
「大将と知り合い……あれ。もしかして、昨日客として店行った?」
[はい、行きました。ケンジさんはそのとき一度見てます。]
「あー。あれ、メイちゃんだったわけか。…大将見えてないんだよね?」
[おそらく第六感的なやつでは?]
「…大将怖っ。」
「で、鈴ってどんな音すんの?」
リィーン…
[こんな感じです。]
「あー、いいね。それで行こう。俺らを見かけたら近くで鳴らしてよ。」
[分かりました。店がオープンしたらまたおしらせします。]
「店?」
「あぁ、メイは生産スキル四つとってんだよ。それで、あの…イベント結局起きないじゃん屋敷を昨日買ったらしくて、そこで店やるんだってよ。」
「ははぁーん。なるほどなるほど。……今日はあとどれくらい空いてる?」
えっと、今3時か。
[あと5時間いれますよ。]
「じゃ、ボスウルフのとこ行くか。」
「ちょい待ち……おい、ケンジ。お前そういえばなぜ広場にいたわけ?」
「あん?そりゃあ、リラに買い物……ああー!!!」
「…怒られるぞ。絶対、怒られる。」
「や、やべーよ。死ぬ!殺される!!」
リラと言う人がどのような方かわかりませんがとても怖い人なのですか?
「あ~ら?ケンジ君。こんなところで何してるのかな~~??私の頼んだことサボって、ユウ君とダンジョンかな~~??」
「ヒッ!リ、リラ様っ。お、落ち着いて!!」
修羅場というやつのようだ。ケンジさん、青ざめて、土下座を何回もしてる…あ、足蹴にされた。
「……しーらね。」
「で、そこのゴースト…初めて見るけど…何?イベント中?」
『えっと、メイ様の守護霊をしています。アルと申します。』
「守護霊?…まんまね。プレイヤーはどこ?」
『メイ様なら、今は…ケンジ様のそばにおられますね。』
「はい?」
ツンツンしてます。
ケンジさんの前に紙を置く
[だいじょぶですか?]
「助けて…メイちゃん…」
「……どういうこと。見えないんだけど。バグ?」
[初めまして、メイと言います。…サボったのは悪いことですが。許してあげてください。]
「きゃあっ!何?!」
『メイ様、足元に急に紙を置いたら誰だってびっくりするので、私に貼り付けてください。』
[なんか木の板とか買おうかな。]
『それが1番ですかね。』
「だ、だからなんなの!」
『メイ様は透明人間の冒険者ですよ。リラさん。』
[声は縛りでやってます。驚かせてすみません。]
「……バグではないの?」
[はい。]
「さっき、新要素解放あったろ?それしたのメイだから。こいついなかったら精霊なんていないんだぜ?」
「…そうよ!精霊で思い出した!彼ら、生産スキル持ってて、私と契約した子鍛治持ってるのよ!というわけでケンジ君!早く来なさい!鍛治場とかの説明してもらいたいの!」
「え”。これから、属性素材取ってきたいんだけど…リラ様っ!お願いっ!その後にして!!」
「…属性素材なんて、この国じゃ取れないでしょ?」
「それが違うんだよ!ボスウルフを連続キルしたら属性のウルフが出てきたって、メイちゃんが言ってるんだ!」
「…証拠は?あるかな?」
[はい。]
「っ!見せて!」
えっと、素材はまだ牙があるでしょ、あと、装備一式の黒のオオカミさんと、ウルフソードを出す。あ、丼も出しておこう。
「「「?!」」」
固まった。………バグ?
開けた場所に出ると、壁際に茶色、緑、しろ、オレンジの結晶が並んでいて、中央には水色のような小さな結晶が浮かんでいる。
…綺麗。
「…新要素解放クエストか?!」
…聞き慣れない言葉だ。
[それはなんですか?]
「んーっと、まあ、守護霊みたいなものさ。最初はなかったものだけど、特定のイベントクリアすると新要素として解放されるって感じ。」
そんなものがあるのですか。
何が解放されるのでしょう。
中央の結晶が気になります。
「トリガーはなんだ?とりあえず触ってみるか。…うお?!」
「どうした?ユウ。」
「…いや、頭の中に声が響いたからびっくりした。…でも、俺じゃダメみたいだ。“資格が足りぬ出直せ”って言われた。」
ん?でも、緑の結晶はほんのり光りましたよね?
「じゃ次俺な。…だめか。」
次は茶色?
……んー。魔法属性でしょうか?それだと私では無理だと思いますが…。
「次はメイがやってみろよ。」
[そうします。]
さて、どうなる?
《資格ありし者よ、我らの試練に挑戦するか?》
…あれ?
全部光った…魔法属性じゃ無いのか?
じゃあ…
[すみません、ちょっとお聞きしたいのですが、生産系スキル何をお持ちですか?]
「え?俺は…調薬だけど?」
「俺は鍛治。」
ユウが調薬でケンジさんが鍛治…
調薬が緑で、鍛治が茶色?
……まあ、結果を言ってからにするか。
[それで、私は資格ありし者として認められたのですが受けた方がいいですか?]
「「受けて!!」」
はいはい。
受けるを選ぶと、
《我らの望む物、今作れる最高の一品を見せよ。》
その声の後に目の前に鍛治、調薬、料理、その他と書かれた枠と自分のアイテム一覧が出てくる。
やっぱり、生産スキルがいるのか。それも四つ。
えっと、料理はアマンサさんの所で少し調理器具借りて作ったダークネスウルフのステーキ丼でいいかな。あと、ダークウルフの装備一式をその他枠に…と、鍛治はウルフソードで、調薬は作れるやつ全種類…よし、これで決定。と。
《………。》
あれ、失敗?
《……鍛治・クリア。調薬・クリア。その他・クリア…料理……おかわり。》
……え。おかわり?…枠出てきたし。まあ、特大サイズだったからいっぱいあるけど。…んー。3つ入れてみよう。結晶の数だけ…
《………もうひとつ頼む。》
あ、中央の結晶の分があったね。
もうひとつっと。
《感謝する。見えぬ友よ。我らの加護を与え、我らが見えるように、全精霊の封印を解いてやろう!》
ーーー 只今、新要素解放クエストがクリアされました。プレイヤーの皆様にランダムで、精霊が見えるスキルが贈呈されます。もちろん、とある国に住むとあるNPCのクエストを受けクリアすれば報酬としてスキルが手に入ります。詳しくは公式サイトの最近あった出来事欄に書き込まれておりますので、ご覧ください。繰り返します…ーーー
「「おおぉーーー!!!精霊キター!!!」」
精霊…
彼らが?
目の前にいや、各結晶の前に、豪快に笑う赤髪のオールバックな男の人。
優しそうに微笑む薄い緑の長い髪の女の人。綺麗なコック服を着た男の人。
オレンジの髪の短髪な元気そうな女の子。
最後に、目の前には口元に米粒つけた水色の髪の男の子がいた。
《我らを解放したものよ、名を。》
えっと…
[トーメイです。メイとお呼びください。]
《…しばし待たれよ。》
…?
あれ?そういえばみんなには見えているのでしょうか…え?
時が止まったかのように固まってる。アルまで?!
《これで、お前の声を聞くものは我らのみ。もう一度、名を。》
…これは声に出せということか。
縛ってるのに…しょうがないか。
「……トーメイです。メイとお呼びください。」
《メイよ。そなたの数々の作品に我らは歓喜した。料理も、我らの人数分用意してくれて嬉しかった。ありがとう。》
「いえいえ。お口にあってなによりです。えっと…水色の髪の子…少し失礼しますね?」
《え?……ぁ。ありがとう。》
「ふふ、いいですよ。」
モジモジして可愛い。口元についた米粒をとってあげたのです。
「皆さんは生産スキルの精霊さんなのですか?」
《いや、違う。魔法属性だ。》
…ありゃ。じゃあ、私に加護があっても意味が…
「あの。私は魔法スキルは持ってません。なので、後ろで固まっているアルにお願いします。」
《…その心配はいらない。我らは基本属性の精霊ではない。それに、我らの扱う属性は異界人がスキルとして取得してないものだ。》
え。未知の魔法属性?
《メイ、そなたに与えるのは我らの加護ではなく、我らとの契約権、そして、我らの扱う魔法属性のスキルだ。》
………は?
契約?
え。
「えぇ?!マジですか!」
《うむ。》
……普通に返された。
《さて、契約を始めよう。》
え?!
魔法陣が急に出てきた?!
ちょっ!拒否権は?!そんな目立ちそうなこと嫌なんだけど?!
「え。え、ええ??」
《まず、我に名を。我の属性は大地。》
名前?!
「え、えっと…じゃあ!ガイア!」
《うむ!我はガイアと名乗ろう。》
《では次、私ね。属性は森。》
「森……ソフィー!」
《ありがとう。私はソフィーね。》
《私の属性は、太陽。》
「えっと……ライト!」
《うん。私はライトですね。》
《ボクの属性は影。》
「影…クラウン!」
《うわぁ!ありがとう!ボクはクラウン!》
《そして僕が最後…属性は無。》
「無………ムゲン!」
《ムゲン…ムゲン!よろしくね!お母さん!》
…え。
《ふふ、ムゲンに、ようやくお母さんできたわね。》
《我らはメイと呼ぶからな。》
《うん、よろしく。》
《ボクら、さっきは生産スキルの精霊ではないって言ったけど、生産スキルは持ってるからお手伝いできるよ!》
…ムゲンの呼び方についても突っ込みたいけど、その前に!
「私のこと…見えてるのですか?」
《いや、全然。》
声揃えて、否定。
《でも、そこの守護霊みたいに、触れれば見えるよ!だから、ぎゅーして!お母さん!》
「…アルと同じ?」
…えっと、待ち構えてるから、ぎゅーてしてあげると。
《…はわ。》
「ん?どうしたの?ムゲン。」
《にゃ、にゃんでもないっ。》
噛んでる噛んでる。
《我らにも、ハグ…グエ……》
あ、ガイアがソフィーに吊るされてる。
「ソフィー、喧嘩はダメ。うわっ。」
木のツルに気づかずつまずいて、ソフィーにダイブしちゃった。私にはないふかふか…
「あぅ。ごめん。」
《……メイ…様っ。可愛いっ。》
なんとか、立て直して、肩に手を当てたまま話す。
「え?そうかな?えへへ。」
バタ!
え?!倒れた!!
「ソフィー大丈夫?!」
《だいじょうぶれすぅ…》
私が倒れた後にソフィーが倒れるなんて!
よかった生きてる。
《…(ゴクリ)そ、そんな大げさな。えっと、握手で頼む。》
ガイアが手を出してきた。
私も手を繋ぐ。
《こ、これわぁ?!》
「…?」
《ぐふっ。》
首傾げたら口抑えてしゃがんだ!
「え。大丈夫?!ガイアまで!!」
《気、気にせんでくれ。すぐ収まる。》
赤いものが見える…まさか鼻血…え…
軽く引く前に次が来る。
《……あの、メイ様。私とも握手でお願いします。》
次はライトだ。
ライトの手、大きいなぁ。
《…メイ。結こn…ッ~~!!!》
『体が急に動かなくなってびっくりしましたが、少し動けるようになって…メイ様の様子を伺おうとしたらなんで、変質者が増えてるのですか。』
アルがライトの下半身を蹴り上げ、ライトと私をベリっと引き剥がす。
そんなことよりアル…幽霊なのに足あるの。
「あ、アル!よかった!動いた!」
『ご無事ですか?手をベタベタと触られてますね。手を洗いましょうね。』
水魔法で水を出して、それに手を突っ込むように言われる。
《ボクとの挨拶まだなんだけど…。》
「ごめん、クラウン!握手?」
《ハグがいい!》
じゃ、ぎゅー。
《わぁ!かわいいね!よろしく!》
普通だった。
『ほら、メイ様。手を洗って…はい、タオルです。』
「ありがとう。アル。」
はい。ライト以外復活しました。
ライトは…下半身を抑えてまだ悶絶中。
《あーコホン。守護霊アルよ、我らはメイ様と契約した精霊だ。我はガイアという。これから頼むな。》
《ソフィーよ。で、あそこに倒れてるのがライト。ボクっ娘のクラウン。で、そこにいる子が…》
《ムゲンだよっ!アルお兄ちゃん!》
…さぁ、アルの反応は!
『…メイ。子供と女の人以外と契約切ってください。』
切実なお願いをされた…
「…えっと、でも、生産スキル持ってるからアイテム製作の人手となり得るんだよ。…アル、ダメ?」
《ぐふ…》
すごく息苦しそうな声で呻く2名。
ガイアとソフィーだね。
『……はあ。わかりました。…ですが、後で添い寝してくださいね。なんか疲れました。』
え。添い寝…なぜ添い寝…
「添い寝…するの?」
『ダメなのですか?』
「…まあいいか。」
《…アルお兄ちゃん、メイお母さんのこと好きなの?》
『ええ、好きですが?…というかお母さん?』
《…じゃあ、お兄ちゃんじゃなくてお父さんて呼んだ方がいい?》
『………是非ともお願いします。』
…家族設定が出来上がった瞬間である。
「あの、そろそろ時を止めてるのかわからないけど、動かしてもらえると助かる。」
《おぉ、そうだな。しばし待たれよ。》
……
「メイ!お前は精霊眼ってスキル手に入った?」
[確認してみます。]
唐突に戻るから、声出しそうになった。
危ない危ない。
えっと、ステータスは…
Lv:15
名前:トーメイ(女)
貢献度:3951P(ランキング2810位)
固有スキル
透明化
スキル
剣☆13 大地魔法☆0 森魔法☆0 太陽魔法☆0 影魔法☆0 無属性魔法☆0 精霊眼☆3 軽業☆3 鑑定☆4
控え
鍛治☆8 調薬☆2 料理☆9 裁縫☆7 釣り☆0 植物知識☆1 鉱物知識☆1
…うん。増えてる。色々…いつの間にか、貢献度が上がってる。
[精霊眼ありました。というか、目の前に精霊がいますよ。それと、貢献度が高かった。ランキング2810位でした。]
「…え。ちょっと待って。2810位?」
「いやいやいや、何したの。開始二日目でなんでそんな高いの。」
[高いですか?]
「…高いよ。プレイヤー人数何人いると思ってるの。50万人突破してるんだよ?」
そんなにいたのですか。でも、貢献したと言ったら、おばあちゃんとアマンサさんのお手伝いくらいですよね?
[お手伝いくらいしか…心当たりないです。]
『あと、私をあの屋敷から出したことでしょうね。』
《あと、我らの解放じゃな。》
…結構あるという。
[精霊解放も貢献度上がるんですか?]
「あ、そっか。それがあるか。」
「得したなー。」
[じゃ、一度出ましょう。]
「だなー。」
ということで、6階に向かう扉に触れて外に出ました。
透明軍団ですね。本当に。いや、本当に透明なのは私のみなんですが。スケスケです。
「しかし、メイちゃんがいるのってどうやったら証明できるかな。」
「確かに…フレンドにどう紹介すれば…」
[あ、大将さんに鈴をもらいまして、近くにいるときは鳴らすように決めているのですが、そうしましょうか?]
「大将と知り合い……あれ。もしかして、昨日客として店行った?」
[はい、行きました。ケンジさんはそのとき一度見てます。]
「あー。あれ、メイちゃんだったわけか。…大将見えてないんだよね?」
[おそらく第六感的なやつでは?]
「…大将怖っ。」
「で、鈴ってどんな音すんの?」
リィーン…
[こんな感じです。]
「あー、いいね。それで行こう。俺らを見かけたら近くで鳴らしてよ。」
[分かりました。店がオープンしたらまたおしらせします。]
「店?」
「あぁ、メイは生産スキル四つとってんだよ。それで、あの…イベント結局起きないじゃん屋敷を昨日買ったらしくて、そこで店やるんだってよ。」
「ははぁーん。なるほどなるほど。……今日はあとどれくらい空いてる?」
えっと、今3時か。
[あと5時間いれますよ。]
「じゃ、ボスウルフのとこ行くか。」
「ちょい待ち……おい、ケンジ。お前そういえばなぜ広場にいたわけ?」
「あん?そりゃあ、リラに買い物……ああー!!!」
「…怒られるぞ。絶対、怒られる。」
「や、やべーよ。死ぬ!殺される!!」
リラと言う人がどのような方かわかりませんがとても怖い人なのですか?
「あ~ら?ケンジ君。こんなところで何してるのかな~~??私の頼んだことサボって、ユウ君とダンジョンかな~~??」
「ヒッ!リ、リラ様っ。お、落ち着いて!!」
修羅場というやつのようだ。ケンジさん、青ざめて、土下座を何回もしてる…あ、足蹴にされた。
「……しーらね。」
「で、そこのゴースト…初めて見るけど…何?イベント中?」
『えっと、メイ様の守護霊をしています。アルと申します。』
「守護霊?…まんまね。プレイヤーはどこ?」
『メイ様なら、今は…ケンジ様のそばにおられますね。』
「はい?」
ツンツンしてます。
ケンジさんの前に紙を置く
[だいじょぶですか?]
「助けて…メイちゃん…」
「……どういうこと。見えないんだけど。バグ?」
[初めまして、メイと言います。…サボったのは悪いことですが。許してあげてください。]
「きゃあっ!何?!」
『メイ様、足元に急に紙を置いたら誰だってびっくりするので、私に貼り付けてください。』
[なんか木の板とか買おうかな。]
『それが1番ですかね。』
「だ、だからなんなの!」
『メイ様は透明人間の冒険者ですよ。リラさん。』
[声は縛りでやってます。驚かせてすみません。]
「……バグではないの?」
[はい。]
「さっき、新要素解放あったろ?それしたのメイだから。こいついなかったら精霊なんていないんだぜ?」
「…そうよ!精霊で思い出した!彼ら、生産スキル持ってて、私と契約した子鍛治持ってるのよ!というわけでケンジ君!早く来なさい!鍛治場とかの説明してもらいたいの!」
「え”。これから、属性素材取ってきたいんだけど…リラ様っ!お願いっ!その後にして!!」
「…属性素材なんて、この国じゃ取れないでしょ?」
「それが違うんだよ!ボスウルフを連続キルしたら属性のウルフが出てきたって、メイちゃんが言ってるんだ!」
「…証拠は?あるかな?」
[はい。]
「っ!見せて!」
えっと、素材はまだ牙があるでしょ、あと、装備一式の黒のオオカミさんと、ウルフソードを出す。あ、丼も出しておこう。
「「「?!」」」
固まった。………バグ?
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