THEY

RIVER Oikawa

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第二話

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部屋のインターホンが鳴り、出てきたのは獣人で彼女の友達だった。



「手に入れたよ、機密事項!」 



「え!?凄いじゃん」



「貴方は一体?誰ですか」



「私は昨日の実験で獣にされたんだ、こんな姿だけど人間保っているから安心してね」



少女は監視カメラの存在に気付いたのか、遠距離からこの部屋全てのカメラやセンサーシステムを破壊、無力化した。



「肝心の中身は?」



「ちょっと待ってて、やってみる」



その子はアタッシュケースを彼女に持って貰い、手を添えて何らかの力で宙に浮かび上げ、頭の中でその中身を透視した。



「凄い!宙に浮かせたよ、スゴいよ」



「えーとね、……これってもしかして……」



「何か分かったの?」



「こ、これ、この中の書類やデータ、私達の身体データとか……」



「どうしたのそんなに怖くなって」



「私達実験体だったの?私達を改造して獣にしようと皆考えていたの?」



「ちょっと待ってよ、どうゆうこと?」



「じゃあ、私のこんな姿は人間実験で獣にされたってことなの…」



「落ち着いて、落ち着いて……部屋でも上がってゆっくり話そ」



「えぇそうね、考えすぎたかも」



部屋に上がり、ソファーに腰掛ける。



「実験体!?僕らはモルモットみたいな動物じゃないかよ」



「貴方の事も書いてあったわ、私達のような昨日カプセルに入った人間とその関係者はみんな書いてあった、そこの貴方もよ」



「俺も!?彼女とペアだったからかよ」



「そうかもね、私たち良く……」 



「そんなに君は凄い存在なのか?」



「研究員の奴らにとっては貴重な実験体だよ」



「その実験体って言ってるけど何の実験をされてるの?」



「俺も気になってたところなんだよ、教えてくれ」



「……分かった。この事は他の皆にも話しちゃ駄目だからね」



彼女の表情が変わり、少し落ち着いたように話した

「わかってるよ」



「かつての日本でオオカミが居たこと知ってる?何百年前の話なんだけどね、元々は人が狩猟してとったり人の都合で徐々に数を減らしていって絶滅したの。ここ現代になって日本の自然界での頂点的存在が消えつつある。この事態を重く見た偉い人達は日本原産の絶滅したニホンオオカミを復活させようとしたんだけど、その研究は失敗、現代の気候、環境に合わずに次々と亡くなっていく。その時海外では医療関係ルーツで極秘に動物と人間のハイブリッド的な研究に成功したという噂を聞いて極秘で情報を盗み、ニホンオオカミのDNAを持たせたヒトの研究をしているってこと」



「いや、待て待て何故自然界と関係がある?人間を動物にすることもおかしいぞ」



「ヒトと狼の混合種……つまり人狼を造り出そうとしているのよ」



「人狼?人の形した中身「狼」じゃない。」



「私みたいに……身体を獣にされたけどまだ人間の心はあるよ」



「……なぁ君、さっきの自然界との関係は?」



「本当は、人間の意思を持たず人間の体を狼の姿に変貌させる実験よ。このまま自然界に投げ出されて野生として生きてゆくのが私達の使命であり、宿命なのよ」



「使命?そんなことあるのか?」



「貴方達には無いと思うけど、私はそうゆうようにプログラムされてある。こんな姿で意思を持った私みたいな人はアイツらは大好物だからね」



「私達の仲でしょ、ここから何とかならないの?」



「地上への電波は完全に遮断されている。どう足掻いたって助けは来ないの……残念だけど無理なのよね」



「地下にこの施設はあるの?地上への抜け道や繋がる所は?」 



「無いと思う。私、字を読むの苦手なの……」



「それで良く資料透視したね」



「透視して見ることは出来るんだけど読むこととか考えることが無理なの」



「このアタッシュケース開かないの?」



「やってみないと分からないけど電子的な何かが必要なの」



「ここの鍵だけ破壊するだけで開くと思うよ」

「え、どれどれ……」



「それだよ、そこのキー差すところ」



「あぁこれね、やってみるね」



アタッシュケースをテーブルに置き、鍵部分を彼女は爪で切りつけたが開くことは無かった。



「結構深くない?開いたでしょ」



「うーん、取れないなぁ」



「もういっちょいくよ!そーれ!」



アタッシュケースを思いっきり爪やパンチで叩き付けたおかげで部屋全体に爆音が響き、その衝撃で鍵は破壊された。



「開いたのか……?」



恐る恐る手を伸ばすと紙の資料が山ほど出てきた。



「実験内容、結果、経過、議案書、DNA遺伝子組み換え……?この研究所施設の事が書いてあるぞ!」



「どれどれ?これなの、まるでドーナツ型の施設じゃないの」



「地上へのルートは……エレベーター?エスカレーター?階段?」



「地上には何か施設があるけど、この施設の管理所みたいな感じかな?」



「何やらそこは大変みたいだね」



「そこまで行くのには本部があるのね、その隣が広場…」



「そう簡単には脱出出来ないのかよ」



「脱出?貴方ここから脱獄するの?」



「あぁそうさ、こんな所から脱獄して自由を手に入れるんだ!」



「自然界でのね……猟友会に撃ち落とされて死ぬのよ」



「獣になる前提じゃなくて、人間として生きるんだ!」



「こんな身体で人間として生きていけないよ」



「人間に戻して貰えばいいじゃないか」



「馬鹿言わないでもう私はヒトじゃなくて獣なのよ」



「だからって運命があるっていうのか?俺だったらその運命を破いて自分の道を行くよ」



「まぁまぁ二人とも喧嘩しないでよ、ねぇーさ」



「未来とかこれからは自分で手にするものじゃないのか?」



「とにかく!奴等のやっていることは分かったでしょ!この資料は置いていくから何かに使ってね」



「あぁ、分かったよ……」



「いろいろとありがとね、これからどうするの」 



「分からないけど自分はもう決まってるから」



「そうなのじゃあね、気を付けて」



「うん、また会えたら」



獣の少女は部屋を出て、その場を後とした。



「この鞄どうする?」



「誰も見つからない所に閉まっておこう。バレると厄介だ」



「そうね、あの子……大丈夫かな?」



「あんな感じだから問題無いでしょ、飲み物貰うね」



「そうね……大丈夫だと良いけど……」



突然、あの子の歩く姿が画面に映し出される。担当の人が近くにやって来て話し出す。しばらくたって前から警備員二人が来て隣のルームへと連れ去られていった。ルームの扉が閉まると扉に無数の弾痕の後が付いていて、その部屋のカメラに変わると警備員二人は真っ赤な血で倒れており彼女だけ立っていた。



「博士!これは一体?」

「君にも私にも分からない事だ……。」
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