「水に溶ける恋」花と読み解く物語

田丸哲二

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プロローグ・蓮の花

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 自称、水の錬金術師。水樹洋介はそう名乗り始め、花にまつわる依頼を受け、その想いを感じとって解決していく記憶の探偵のような仕事を始めた。

 その能力を得たのは子どもの頃の出来事で、洋介が森の公園にあったハスの花の咲く池に溺れて姉に助けられた時からである。

 死の淵で心の奥底に沈めていた姉への密かな想いが泡となり、ハスの花がそれに答えるように姉の言葉を囁いてくれた。

『愛している。だから、死なないで』

 水の中で姉の願いと洋介の想いが混じり合い、花の想いが水に溶けて聴こえて、いつしか花が見た映像が頭の中に再現されるようになった。

 花は嘘をつかない……。

 そして人も花に嘘をつけない。

『僕は……あなたを愛している……』




 ハスの池での告白は泡となって虚しく水の中で消え去ったが、洋介は死から逃れて花の想いの聴こえる不思議な水の世界と通じ合った……。

(水の錬金術師・水樹洋介より)
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