7 / 75
第一章・マンダーの呪い
蜜蜂の剣
しおりを挟む
チーネは卒業試験ではなく、普通にSEXを申し出れば良かったのにと、ちょっとソングの想いを摘み取るのに残念な気がしている。
『そしたら、してあげたのに……』
鋭い剣先の襲撃が止んだので、ソングはチーネの足を払うように剣を地に這わせたが、チーネはジャンプしながら避けて間を取り、表情を引き締めて蜜蜂の構えを始めた。
「ソング。もう手加減はしないから、覚悟しなさい」
三十センチ幅に立つチーネの背後にゴールはあるが、きっちりとソングを這いつくばらせて、卒業試験を失敗に終わらせてやるつもりだった。
蜜蜂の剣のグリップを両手で握り締め、胸元に引き寄せてから、柄頭に息を吹き込むと、鍔からプクッとした膨らみが剣先まで移動して、細い剣がグリャっと波打ってからピンと張る。
「蜜蜂の剣を生き返らせたか?」
「ソング、これで少し刺されただけで毒がまわるよ。もちろん、死なない程度に弱めてあげるね」
「いやいや、背中見せなきゃ刺されはしないぜ。それより、妖精の羽を用意しておけ」
ソングはここが勝負の分かれ目と、パワーでチーネを吹き飛ばして岩橋から落とすつもりだ。
スリムだが全身の筋肉にパワー送ると、風が谷から湧き上がり、黒髪がハリネズミみたいに跳ね上がった。
『剣のラリーなったら、蜜蜂の毒針に刺される』
楕円形のスペースに足を広げて剣を斜め下に振り下ろした瞬間、素早く体を回転させて背中を向け、バックスピンソードをチーネの胸に突き出す。
ソングが興奮するとハリネズミみたいに頭髪がとんがるのは知っていたが、アソコまでもがキルトの布を突っ張らせている。
チーネはそれに目を奪われ油断した。
バックスピンソードの一撃が甲虫の胸当ての真ん中に当たり、ガツッと緑色のカップが割れて吹き飛ぶ。
チーネは後ろに倒れ、蜜蜂の剣をソングの剣に巻き付かせて堪えるが、片足を狭い足場から踏み外して落下してゆく。
「あっ……」
ソングは剣を巻き取られ、チーネが仰向けになって目の前から消えたので、逆に驚いて楕円形のスペースから前に乗り出して谷底を見下ろした。
妖精は危機に直面すると、特殊な分泌物を発して耳の花冠が開き、メシベがオシベに受粉して体が縮小し、蝶の羽で飛ぶと聞いているが見た事はない。
「チーネ!」
ソングは谷底へ落ちたかと心配して四つん這いになって叫んだ。
しかしその時、岩橋の下から蜜蜂の剣先が伸びてきて胸をチクっと刺す。
「呼んだ?ソング」
チーネは両足のつま先を岩の突起に引っ掛け、逆さまになってぶら下がっていたのである。ソングの剣を左手に持ち、右手に持った蜜蜂の剣でソングが下を覗き込んだ瞬間に刺した。
「い、いや。呼んでない。空耳だ……」
チーネが見上げる微笑みと、谷底の景色がぼやけて歪んで見えた。蜜蜂の毒針に、神経が麻痺してソングは焦って向きを変えた。
『まだ、負けてない。絶対、先にゴールしてやる……』
『そしたら、してあげたのに……』
鋭い剣先の襲撃が止んだので、ソングはチーネの足を払うように剣を地に這わせたが、チーネはジャンプしながら避けて間を取り、表情を引き締めて蜜蜂の構えを始めた。
「ソング。もう手加減はしないから、覚悟しなさい」
三十センチ幅に立つチーネの背後にゴールはあるが、きっちりとソングを這いつくばらせて、卒業試験を失敗に終わらせてやるつもりだった。
蜜蜂の剣のグリップを両手で握り締め、胸元に引き寄せてから、柄頭に息を吹き込むと、鍔からプクッとした膨らみが剣先まで移動して、細い剣がグリャっと波打ってからピンと張る。
「蜜蜂の剣を生き返らせたか?」
「ソング、これで少し刺されただけで毒がまわるよ。もちろん、死なない程度に弱めてあげるね」
「いやいや、背中見せなきゃ刺されはしないぜ。それより、妖精の羽を用意しておけ」
ソングはここが勝負の分かれ目と、パワーでチーネを吹き飛ばして岩橋から落とすつもりだ。
スリムだが全身の筋肉にパワー送ると、風が谷から湧き上がり、黒髪がハリネズミみたいに跳ね上がった。
『剣のラリーなったら、蜜蜂の毒針に刺される』
楕円形のスペースに足を広げて剣を斜め下に振り下ろした瞬間、素早く体を回転させて背中を向け、バックスピンソードをチーネの胸に突き出す。
ソングが興奮するとハリネズミみたいに頭髪がとんがるのは知っていたが、アソコまでもがキルトの布を突っ張らせている。
チーネはそれに目を奪われ油断した。
バックスピンソードの一撃が甲虫の胸当ての真ん中に当たり、ガツッと緑色のカップが割れて吹き飛ぶ。
チーネは後ろに倒れ、蜜蜂の剣をソングの剣に巻き付かせて堪えるが、片足を狭い足場から踏み外して落下してゆく。
「あっ……」
ソングは剣を巻き取られ、チーネが仰向けになって目の前から消えたので、逆に驚いて楕円形のスペースから前に乗り出して谷底を見下ろした。
妖精は危機に直面すると、特殊な分泌物を発して耳の花冠が開き、メシベがオシベに受粉して体が縮小し、蝶の羽で飛ぶと聞いているが見た事はない。
「チーネ!」
ソングは谷底へ落ちたかと心配して四つん這いになって叫んだ。
しかしその時、岩橋の下から蜜蜂の剣先が伸びてきて胸をチクっと刺す。
「呼んだ?ソング」
チーネは両足のつま先を岩の突起に引っ掛け、逆さまになってぶら下がっていたのである。ソングの剣を左手に持ち、右手に持った蜜蜂の剣でソングが下を覗き込んだ瞬間に刺した。
「い、いや。呼んでない。空耳だ……」
チーネが見上げる微笑みと、谷底の景色がぼやけて歪んで見えた。蜜蜂の毒針に、神経が麻痺してソングは焦って向きを変えた。
『まだ、負けてない。絶対、先にゴールしてやる……』
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
事務仕事しかできない無能?いいえ、空間支配スキルです。~勇者パーティの事務員として整理整頓していたら、いつの間にか銅像が立っていました~
水月
恋愛
「在庫整理しかできない無能は不要だ」
第一王子から、晩餐会の場で婚約破棄と国外追放を告げられた公爵令嬢ユズハ。
彼女のギフト【在庫整理】は、荷物の整理しかできないハズレスキルだと蔑まれていた。
だが、彼女は知っていた。
その真価は、指定空間内のあらゆる物質の最適化であることを。
追放先で出会った要領の悪い勇者パーティに対し、ユズハは事務的に、かつ冷徹に最適化を開始する。
「勇者様、右腕の筋肉配置を効率化しました」
「魔王の心臓、少し左にずらしておきましたね」
戦場を、兵站を、さらには魔王の命までをも在庫として処理し続けた結果、彼女はいつしか魔王討伐勇者パーティの一人として、威圧感溢れる銅像にまでなってしまう。
効率を愛する事務屋令嬢は、自分を捨てた国を不良債権として切り捨て、再出発する。
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる