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第三章・戦士チームの旅立ち
門番の地竜
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石床に落ちた二つの松明の火が消えかかり、広い岩室の奥の暗闇に赤い眼光が浮かび、天井のすぐ下付近で線を描いて侵入者の動きを監視し、ウルズの泉の前き立ち塞がる。
「地竜だ」とチーネが小声で教え、ジェンダ王子とトーマが石床に落ちた松明を拾い、残り火で奥の方を照らすと、地竜のゴツゴツとした尻尾が見えて全員に緊張が走った。
地竜はユグドラシルの地下に棲み、ミズガルズ(人間界)へと通じるウルズの泉を守る番人であり、罪深い者は餌食にされると恐れられている。
後ろ足に金属の拘束具が嵌められ、太い鎖に繋がれて行動範囲は限られていたが、岩室のスペースを動き回るには造作無い。
「興奮させるな。怒らせると厄介だぞ」
「といっても、すでに機嫌悪そうっすよ」
「登場の仕方が悪過ぎた。アルダリ、早く交渉しろ」
「フム、ちょっと待ってくれ」
アルダリが頭を振りながらよろよろと立ち上がり、リュックから金貨の入った布袋を取り出し、ジェンダ王子とトーマは火薬を貰って松明の明かりを復活させた。
「ソング。戦えるの?」
「お股が痛いけど、大丈夫だ」
「天罰が下ったのね」
ソングが股間を押さえて屈伸し、チーネの横に立って剣を抜くと、エリアンもその横で盾と剣を構え、ジェンダ王子とトーマが松明を眼光の方へ向けて地竜の全体像を照らし出す。
「めちゃ、でかいっすね」
「その割には翼は小さい」
地竜は翼が退化して飛べないが、火炎はドラゴンよりも凄まじく、鋼の鱗は剣を砕いて矢は弾き返し、太い尻尾は岩をも砕く。
「おまえら、此処をウルズの泉の最終ゲートと知って来たのか?」
鋭い牙を剥いて蒸気を鼻の穴から吹き出し、戦士チームを赤い眼光で睨み、宙に尻尾を振って威嚇する。
「もちろんだ。スマフグよ」
「俺の名を呼ぶのはアリダリか?」
「ああ、金貨も人数分用意してあるぞ」
ゲートを通るにはスマフグに金貨か宝石を渡さなけれならない。奥の寝床には財宝が転がり、壁際には骨の残骸が散らばっている。アリダリは用意した七枚の金貨をスマフグの足元に放り、スマフグは人数と合わせて足りないと告げた。
「アリダリ。半分しかねーぞ」
「ナヌ?一名につき金貨一枚の筈じゃ」
「値上がりしたんだ。つまり、この倍の金貨十四枚が必要」
「ふざけるな。我らは王女の命を受けて旅立っている。勝手な事をほざくでない」
数千年の間、通行料が変更された事はなく、九つの刻印のある純金の金貨は異世界共通貨幣として流通している。
「買収されたのか?入り口にはクォレルの矢、螺旋階段は絶妙なタイミングで崩れ、通行料は値上げされた」
ジェンダ王子が「これが最後の罠」だと剣を抜いたが、スマフグは意に介さず「イケメンの神族か?」と舌舐めずりをして喜んだ。
颯爽と前に進み出てスマフグに剣を向けたジェンダ王子であったが、「美味そうな奴だな」と脅かされ、すごすごと後退してトーマと一緒にエリアンとチーネとソングの陣形に隠れ、遺恨を残す女同士の争いに耳を傾ける。
「そんなか細い剣が刺さるかしら?」
「フン、そのぶっとい剣で尻尾を切り落とすことを願ってるわ」
『了解』とエリアンが筋肉を盛り上がらせて片手で太い剣を一振りし、チーネは『眼に突き刺す』と身を低くして蜜蜂の剣を頭上に構え、ソングは『下は俺に任せろ』とアイコンタクトした。
「いくわよ」とチーネが走り出してジャンプすると、ソングは前転してスマフグの足に斬りかかり、エリアンは背後に回り込んで地竜の尻尾に剣を振り下ろす。
「愚かな奴らだ」
スマフグは久しぶりの戦いを愉しみ、空中で顔面に剣先を向けるチーネを軽く振り払い、チーネは寸前で躱したが、裏拳で叩き落とされて、ソングが剣を持つ手を痺れさせ、火花が飛び散るのを石床に倒れて見た。
「鋼の鱗で剣が弾かれる」
「堅すぎだ」
エリアンの太い剣でさえ皮膚に傷も付けられず、荒ぶる尻尾に壁際まで弾き飛ばされてしまう。ソングはジャンプして避けたが、チーネが踏み潰されそうになり、寸前で抱き上げて岩陰へ避難する。
「くそっ、腹を切り裂いてやるぜ」
「ソング。その剣では無理だ。背骨の剣を抜き、臀部の盾を使うのよ」
「いや、そう言われても。また、恥ずかしい思いをするだけだぜ」
ソングはドラゴンの神器が使えるなら、カッコよく取り出して戦っていたが、面接試験の時も失敗したし、体の中に剣と盾がある感覚さえなかった。
「アリダリ、余分の金貨はないのか?このままでは全滅だ」
「実は帰りの金貨も覚束無い」
岩室の隅っこで、ジェンダ王子がアルダリに全額を支払えと提言したが、アリダリは金貨の入った袋の中を覗いて嘆き、城の金庫を開けたトーマが「王国は財政難っす」と呟く。
「チーネが時間を稼ぐから、ソング、なんとかして背骨の剣を抜きなさい。この危機を乗り越えるにはそれしかないよ」
「いや、でも……」
ソングに抱えられていたチーネが立ち上がり、隅の壁に座り込むエリアンも三角の耳とパンクヘアーを逆立たせて、チーネと一緒に剣を構えてスマフグへ立ち向かう。
「わかった。やってやるぜ」
ソングがチーネとエリアンの背中に声を上げ、両手を広げて仁王立ちになり、アソコにエネルギーを集中させ、体の中の武器をイメージするが、森の湖に霧がかかったように背骨の剣も臀部の盾も見えてこない……。
「地竜だ」とチーネが小声で教え、ジェンダ王子とトーマが石床に落ちた松明を拾い、残り火で奥の方を照らすと、地竜のゴツゴツとした尻尾が見えて全員に緊張が走った。
地竜はユグドラシルの地下に棲み、ミズガルズ(人間界)へと通じるウルズの泉を守る番人であり、罪深い者は餌食にされると恐れられている。
後ろ足に金属の拘束具が嵌められ、太い鎖に繋がれて行動範囲は限られていたが、岩室のスペースを動き回るには造作無い。
「興奮させるな。怒らせると厄介だぞ」
「といっても、すでに機嫌悪そうっすよ」
「登場の仕方が悪過ぎた。アルダリ、早く交渉しろ」
「フム、ちょっと待ってくれ」
アルダリが頭を振りながらよろよろと立ち上がり、リュックから金貨の入った布袋を取り出し、ジェンダ王子とトーマは火薬を貰って松明の明かりを復活させた。
「ソング。戦えるの?」
「お股が痛いけど、大丈夫だ」
「天罰が下ったのね」
ソングが股間を押さえて屈伸し、チーネの横に立って剣を抜くと、エリアンもその横で盾と剣を構え、ジェンダ王子とトーマが松明を眼光の方へ向けて地竜の全体像を照らし出す。
「めちゃ、でかいっすね」
「その割には翼は小さい」
地竜は翼が退化して飛べないが、火炎はドラゴンよりも凄まじく、鋼の鱗は剣を砕いて矢は弾き返し、太い尻尾は岩をも砕く。
「おまえら、此処をウルズの泉の最終ゲートと知って来たのか?」
鋭い牙を剥いて蒸気を鼻の穴から吹き出し、戦士チームを赤い眼光で睨み、宙に尻尾を振って威嚇する。
「もちろんだ。スマフグよ」
「俺の名を呼ぶのはアリダリか?」
「ああ、金貨も人数分用意してあるぞ」
ゲートを通るにはスマフグに金貨か宝石を渡さなけれならない。奥の寝床には財宝が転がり、壁際には骨の残骸が散らばっている。アリダリは用意した七枚の金貨をスマフグの足元に放り、スマフグは人数と合わせて足りないと告げた。
「アリダリ。半分しかねーぞ」
「ナヌ?一名につき金貨一枚の筈じゃ」
「値上がりしたんだ。つまり、この倍の金貨十四枚が必要」
「ふざけるな。我らは王女の命を受けて旅立っている。勝手な事をほざくでない」
数千年の間、通行料が変更された事はなく、九つの刻印のある純金の金貨は異世界共通貨幣として流通している。
「買収されたのか?入り口にはクォレルの矢、螺旋階段は絶妙なタイミングで崩れ、通行料は値上げされた」
ジェンダ王子が「これが最後の罠」だと剣を抜いたが、スマフグは意に介さず「イケメンの神族か?」と舌舐めずりをして喜んだ。
颯爽と前に進み出てスマフグに剣を向けたジェンダ王子であったが、「美味そうな奴だな」と脅かされ、すごすごと後退してトーマと一緒にエリアンとチーネとソングの陣形に隠れ、遺恨を残す女同士の争いに耳を傾ける。
「そんなか細い剣が刺さるかしら?」
「フン、そのぶっとい剣で尻尾を切り落とすことを願ってるわ」
『了解』とエリアンが筋肉を盛り上がらせて片手で太い剣を一振りし、チーネは『眼に突き刺す』と身を低くして蜜蜂の剣を頭上に構え、ソングは『下は俺に任せろ』とアイコンタクトした。
「いくわよ」とチーネが走り出してジャンプすると、ソングは前転してスマフグの足に斬りかかり、エリアンは背後に回り込んで地竜の尻尾に剣を振り下ろす。
「愚かな奴らだ」
スマフグは久しぶりの戦いを愉しみ、空中で顔面に剣先を向けるチーネを軽く振り払い、チーネは寸前で躱したが、裏拳で叩き落とされて、ソングが剣を持つ手を痺れさせ、火花が飛び散るのを石床に倒れて見た。
「鋼の鱗で剣が弾かれる」
「堅すぎだ」
エリアンの太い剣でさえ皮膚に傷も付けられず、荒ぶる尻尾に壁際まで弾き飛ばされてしまう。ソングはジャンプして避けたが、チーネが踏み潰されそうになり、寸前で抱き上げて岩陰へ避難する。
「くそっ、腹を切り裂いてやるぜ」
「ソング。その剣では無理だ。背骨の剣を抜き、臀部の盾を使うのよ」
「いや、そう言われても。また、恥ずかしい思いをするだけだぜ」
ソングはドラゴンの神器が使えるなら、カッコよく取り出して戦っていたが、面接試験の時も失敗したし、体の中に剣と盾がある感覚さえなかった。
「アリダリ、余分の金貨はないのか?このままでは全滅だ」
「実は帰りの金貨も覚束無い」
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「チーネが時間を稼ぐから、ソング、なんとかして背骨の剣を抜きなさい。この危機を乗り越えるにはそれしかないよ」
「いや、でも……」
ソングに抱えられていたチーネが立ち上がり、隅の壁に座り込むエリアンも三角の耳とパンクヘアーを逆立たせて、チーネと一緒に剣を構えてスマフグへ立ち向かう。
「わかった。やってやるぜ」
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