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第四章・人間界での戦い
中山教授の危機
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錬金術師アルダリが飛ばした紙飛行機は窓ガラスをすり抜け、重力を無視して浮遊し、夜空に舞い上がって星と朧月の淡い光に照らされた。
錬金紙に含まれるアルダリと中山教授の油分を解析し、二人の存在を結ぶ赤い糸の軌道に乗って飛んでゆく。
その赤い軌跡は人間には不可視のスペクトルであるが、錬金紙の紙飛行機はその光のレーンこそが飛行ルートであると自己認識している。
電車なら渋谷駅から二子玉川駅まで15分程であるが、アルダリの紙飛行機は駅前のスクランブル交差点を眺めてから30分程のフライトで、郊外の住宅地にある中山教授の家に到着した。
「Wow!」
二階の窓ガラスとカーテンを素通りして机の滑走路に音も無く着陸した紙飛行機を見て、中山教授は外人っぽいジェスチャーで驚いた。
「アルダリだな?」
こんな事を可能にするのは異界の錬金術師しか存在しない。
「やはり、危険を察知してくれたか?」
数時間前に無言電話が何度かあり、もしやアルダリが異世界から到着したのではと期待し、その時の為に対策を練っていたのである。
「逢うのが楽しみだが……」
紙飛行機を開くと数秒で文字が浮き出て、『明日11時に国立国会図書館』というメッセージを読み終えると、文字は数秒で消えて紙はシワクチャになった。
「とにかく、アルダリに悪の存在を教えなければ……」
数日前から何者かに見張られ、電話やメールなど盗聴されていると不安に感じ、重要な事は話さないようにしている。
「人間界も毒素に侵されている」
中山教授は二階の作業部屋で窓のカーテンを閉め切り、スタンドの小さな電球だけで机に科学雑誌を広げ、重要な部分にペンで印を付けていた。
「君のペンが役立ちそうだよ」
そのペンは普通の万年筆に見えるが、特殊なインクを使用された錬金術師の炎のペンであり、秘密の伝達として使われている。
「ラブレター用だと言われたが、世界を守る為に君にコレを贈る」
中山教授が不安視したように、数日前からマンダー家のガレージの別棟に住むウルガンが室内に盗聴器を仕掛け、電話があると自動的にオープンリールに録音し、パソコンもハッキングして監視している。
狭い部屋の丸椅子に座り、ヘッドホンをしてテープを再生して電話の受信音を聴いていると、長女ファラが夕食を持って現れた。
テーブルの上に料理の皿を置き、棚のオープンデッキとMacintosh Classicのレアなパソコンを見て呆れている。
「ウルガン、もっと最新の機材を買ったら?これじゃ賃金が安いって思われるわ」
ウルガンのすぐ前に立ち、ロングスカートをひらひらさせて今はノーパンだと誘惑しているが、ウルガンは鼻を鳴らしてそっぽを向く。
『変な真似をしたら、無理やりエッチな事されたと主人に言いつけるんだろ?』
長身の美女であるが、ウルガンは四姉妹の中でファラが一番性悪だと毛嫌いした。実際、何かと意地悪されて揶揄われた。
「クラシカルな機械が趣味なんで、逆に金かかってるんすよ」
狼族のウルガンは体格も良く忠誠心も高いので、異世界からずっとマンダー家のボディーガードとして雇われている。
「つまり無駄遣いって事ね。それで教授の様子は?」
「電話が何度かありましたが、特に変わった様子はありません」
「明日の朝、中山教授を調べろと言われたわ。私の指示で動いて貰うから、準備しとくのよ」
「わかりました。まさか、リードを付けるなんて言いませんよね」
「はっ?これは父の命令なの。別に好きで貴方と狩りに行くわけじゃない」
「しかし……目立ちますが」
「文句は禁止です」
ファラは眼鏡を掛け直して上から目線でそう言って、ロングスカートをひらひらさせて出て行った。
「魔女め……」
ウルガンはドアが閉まると溜息を漏らし、冷蔵庫からビールを出して鋭い牙で骨付きの鶏肉に齧り付いた。
翌日の朝、四姉妹は朝食を終えるとリビングのデスクに飾られた禁欲の鉄の下着を手に取り、スカートを捲り上げて装着し、父ランスのチェックを受けてから二階の部屋へ戻る。
「アン、しっかり閉めろ」
「ハイ。すいません。お父さま」
他の姉妹は問題なかったが、三女のアンだけが緩んでいたので穿き直しを命じられた。
螺旋階段を上って部屋に入ったファラは鏡の前で派手なメイクをし、クローゼットから赤と黒の洋服をチョイスして外出の準備をする。
「じゃ、私は父の命令でウルガンと出かけるので、遅くなったら昼食は外でするわね」
「あっ、いいな~」
「お姉さま。頑張ってくださいね」
「何をです?」
帽子を被って鞭とリードを手にしてポーズを決めるファラ。ウィンとアンが呆れた表情で手を振り、エナは笑顔で玄関まで見送った。
四姉妹は全員二階の広い部屋に住み、カーテンなどの仕切りはあったが、鉄の下着という共通の制約を受けてオープンな共同生活をしている。
「父が王になれば終わるさ」
ファラは昨夜ベッドの中で悔し涙を流すアンにそう言って励ました。
『鉄の下着とはオサラバだ』
ファラは異世界の戦士チームがこちらに来たという事は、父の計画が順調に進んでいる証拠であり、この任務も重要だと自分に言い聞かせた。
「四姉妹の長女の力を見せ付けてやる」
錬金紙に含まれるアルダリと中山教授の油分を解析し、二人の存在を結ぶ赤い糸の軌道に乗って飛んでゆく。
その赤い軌跡は人間には不可視のスペクトルであるが、錬金紙の紙飛行機はその光のレーンこそが飛行ルートであると自己認識している。
電車なら渋谷駅から二子玉川駅まで15分程であるが、アルダリの紙飛行機は駅前のスクランブル交差点を眺めてから30分程のフライトで、郊外の住宅地にある中山教授の家に到着した。
「Wow!」
二階の窓ガラスとカーテンを素通りして机の滑走路に音も無く着陸した紙飛行機を見て、中山教授は外人っぽいジェスチャーで驚いた。
「アルダリだな?」
こんな事を可能にするのは異界の錬金術師しか存在しない。
「やはり、危険を察知してくれたか?」
数時間前に無言電話が何度かあり、もしやアルダリが異世界から到着したのではと期待し、その時の為に対策を練っていたのである。
「逢うのが楽しみだが……」
紙飛行機を開くと数秒で文字が浮き出て、『明日11時に国立国会図書館』というメッセージを読み終えると、文字は数秒で消えて紙はシワクチャになった。
「とにかく、アルダリに悪の存在を教えなければ……」
数日前から何者かに見張られ、電話やメールなど盗聴されていると不安に感じ、重要な事は話さないようにしている。
「人間界も毒素に侵されている」
中山教授は二階の作業部屋で窓のカーテンを閉め切り、スタンドの小さな電球だけで机に科学雑誌を広げ、重要な部分にペンで印を付けていた。
「君のペンが役立ちそうだよ」
そのペンは普通の万年筆に見えるが、特殊なインクを使用された錬金術師の炎のペンであり、秘密の伝達として使われている。
「ラブレター用だと言われたが、世界を守る為に君にコレを贈る」
中山教授が不安視したように、数日前からマンダー家のガレージの別棟に住むウルガンが室内に盗聴器を仕掛け、電話があると自動的にオープンリールに録音し、パソコンもハッキングして監視している。
狭い部屋の丸椅子に座り、ヘッドホンをしてテープを再生して電話の受信音を聴いていると、長女ファラが夕食を持って現れた。
テーブルの上に料理の皿を置き、棚のオープンデッキとMacintosh Classicのレアなパソコンを見て呆れている。
「ウルガン、もっと最新の機材を買ったら?これじゃ賃金が安いって思われるわ」
ウルガンのすぐ前に立ち、ロングスカートをひらひらさせて今はノーパンだと誘惑しているが、ウルガンは鼻を鳴らしてそっぽを向く。
『変な真似をしたら、無理やりエッチな事されたと主人に言いつけるんだろ?』
長身の美女であるが、ウルガンは四姉妹の中でファラが一番性悪だと毛嫌いした。実際、何かと意地悪されて揶揄われた。
「クラシカルな機械が趣味なんで、逆に金かかってるんすよ」
狼族のウルガンは体格も良く忠誠心も高いので、異世界からずっとマンダー家のボディーガードとして雇われている。
「つまり無駄遣いって事ね。それで教授の様子は?」
「電話が何度かありましたが、特に変わった様子はありません」
「明日の朝、中山教授を調べろと言われたわ。私の指示で動いて貰うから、準備しとくのよ」
「わかりました。まさか、リードを付けるなんて言いませんよね」
「はっ?これは父の命令なの。別に好きで貴方と狩りに行くわけじゃない」
「しかし……目立ちますが」
「文句は禁止です」
ファラは眼鏡を掛け直して上から目線でそう言って、ロングスカートをひらひらさせて出て行った。
「魔女め……」
ウルガンはドアが閉まると溜息を漏らし、冷蔵庫からビールを出して鋭い牙で骨付きの鶏肉に齧り付いた。
翌日の朝、四姉妹は朝食を終えるとリビングのデスクに飾られた禁欲の鉄の下着を手に取り、スカートを捲り上げて装着し、父ランスのチェックを受けてから二階の部屋へ戻る。
「アン、しっかり閉めろ」
「ハイ。すいません。お父さま」
他の姉妹は問題なかったが、三女のアンだけが緩んでいたので穿き直しを命じられた。
螺旋階段を上って部屋に入ったファラは鏡の前で派手なメイクをし、クローゼットから赤と黒の洋服をチョイスして外出の準備をする。
「じゃ、私は父の命令でウルガンと出かけるので、遅くなったら昼食は外でするわね」
「あっ、いいな~」
「お姉さま。頑張ってくださいね」
「何をです?」
帽子を被って鞭とリードを手にしてポーズを決めるファラ。ウィンとアンが呆れた表情で手を振り、エナは笑顔で玄関まで見送った。
四姉妹は全員二階の広い部屋に住み、カーテンなどの仕切りはあったが、鉄の下着という共通の制約を受けてオープンな共同生活をしている。
「父が王になれば終わるさ」
ファラは昨夜ベッドの中で悔し涙を流すアンにそう言って励ました。
『鉄の下着とはオサラバだ』
ファラは異世界の戦士チームがこちらに来たという事は、父の計画が順調に進んでいる証拠であり、この任務も重要だと自分に言い聞かせた。
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