のんちゃんシリーズ 【のんちゃんのおるすばん】【のんちゃんのふしぎなぼうけん】

零兆

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不安な夜

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「ママ、いってらっしゃーい!」

ドアがバタンと閉まって、私はソファにぽすんって座った。 今日はママがちょっと用事で出かけるから、ひとりでおるすばん。 とはいえ、もふにゃんもいるし、おやつもあるし、大丈夫、大丈夫。

最初はいつもみたいにおえかきしたり、もふにゃんと追いかけっこしたりして楽しく遊んでた。 でもね――

時計の針が、トク…トク…って音を立てて進んでいくたびに、私はだんだん落ち着かなくなってきた。

「えーと、ママのかえってくる時間……もうすぐだよね?」 壁の時計を見上げる。 針は、ぐるーって回ってるけど、ママの気配はしない。

玄関のほうをじーっと見て、でも気配はなし。 テレビをつけても、なんだか声が遠くに聞こえる感じで、まったく笑えない。

「もふにゃん……ママ、まだかなぁ」 もふにゃんは毛布のうえで丸くなってるだけ。 うんともすんとも言わない。

私はリビングを何回もぐるぐる歩き回った。 時計を見る。 冷蔵庫をのぞく。 カーテンのすきまから外をのぞく。 でも、ママのくる足音も、玄関のドアが開く音も聞こえない。

胸の中が、なんだかきゅうってなってきた。

「もし……もし、ママがもう帰ってこなかったら、どうしよう……」

ぽつん、とつぶやいたら、目の奥がじんってしてきて、涙がにじんできた。 がまん、がまんって思ってたのに、涙がぽろり。

「ママ……ままぁ……」

その時――

「ただいまーーーっ!」

バタン、と玄関のドアが開いて、私の涙が止まった。

「のんちゃん、ごめーん!ちょっとだけ用事長引いちゃって!おみやげ買ってきたから!」

「……ママぁああああああああっ!!!」

私は走ってママに抱きついた。 涙ぼろぼろ、声もぐちゃぐちゃ、でもママの腕はあったかかった。

「ほんとにごめんね。でもちゃんとおるすばんしてて、えらかったね」 ママがやさしく頭をなでてくれる。

「……もう、ずーっと待ってたんだよぉ……」 「うんうん、ごめんね。でも、ほら……これ」

ママがバッグから出してくれたのは――

「いちごのアイスーーーーっ!!」

「のんちゃんの好きなやつ、ちゃんと買ってきたよ」 「……うわああああああんっ、ママだいすきーっ!」

私はママの腕の中で、また泣いた。 今度は、うれしくて、うれしくて、涙が止まらなかった。

その日の夜。 私はママと一緒にアイスを食べながら、テレビを見て笑った。 さっきまでの不安な気持ちは、どこかにぽんっと飛んでった。

「のんちゃん、今日はすーぱーがんばりおるすばんだったね」 「うんっ!」

ママと一緒にいると、なんでもない夜が、とびっきり特別な時間に感じるんだ。

また明日もがんばれる。 そんな気持ちで、おふとんにもぐりこんだ夜だった。

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