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おるすばんと、そらのうた
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「ママ、いってらっしゃ~い!」
のんちゃんは、ドアの前で両手をぶんぶんふっていた。
ふわふわのワンピースが、金色の夕陽にゆれている。
「いい子にしててね。ニャンコと仲よくね」
そう言って、ママはやさしく頭をなでて出かけていった。
バタン。
ドアの音がして、リビングはしん……と静かになる。
のんちゃんは、足もとで丸くなっている白いネコ――もふにゃんを見おろして、にこっと笑った。
「また、ふたりっきりになっちゃったね~」
ぺたんと座って、テレビもつけずに、ただただ窓の外をながめる。
おそらがすこーしずつ、オレンジからあおに変わっていく。
「ねぇ、もふにゃん……おそらのうえって、どうなってるのかなぁ?」
もふにゃんはこてん、と首をかしげる。しゃべらないけど、ちゃんと聞いてくれてる。
「うんとね、のんちゃんね、おそらをとんでみたいの~」
ちょこんとのぞく雲のすきま。
そのとき――のんちゃんの目が、まんまるになった。
「あれ?」
雲と雲のあいだから、なにか……おおきな青いものが、ぬうっと顔を出した。
ゆっくり、ゆっくりと空を泳ぐ、それは――
「……クジラ、さん……?」
おおきな青いクジラが、まるで空を“海みたい”に泳いでいた。
背中はふかふかのおふとんみたいにまるくて、からだからキラキラした星のかけらがこぼれている。
のんちゃんは、まばたきも忘れて見つめていた。
「……あれ、夢?」
そのとき――
窓の外にいたクジラが、にっこりと笑った気がした。
すると、次の瞬間。
「のんちゃん、のんちゃん!」
びゅおおおおっ
カーテンがまいあがって、風がひゅるると部屋をつつみこむ。
そして――のんちゃんのからだが、ふわっ!と軽くなった。
「わわわっ!? と、飛んでる~~~~~!!」
リビングの床がすーっと遠ざかり、もふにゃんも一緒に浮かびあがる。
二人はそのまま、クジラの背中へ、ふわりと運ばれていった。
「ようこそ、そらのたびへ」
耳の奥で、ふんわりとした声がきこえた。
のんちゃんは、目をきらきらさせながら、クジラの背中にぎゅっとしがみついた。
「もふにゃん、いっしょに空をとぶんだって~! すっごーいね~!」
クジラは空をすべり、星がちらばる空のトンネルへ――
のんちゃんのふしぎな旅が、いまはじまる。
クジラの背中は、ふかふかのおふとんみたい。
のんちゃんはもふにゃんをぎゅっと抱きしめながら、ゆらゆらと空の上を旅していた。
「わあぁ……おほしさまが、ぴかぴかしてる……」
見わたすかぎりの星の海。空の上には、ちいさな島がぽつりぽつりと浮かんでいる。
その中のひとつ、もくもくの雲でできた島に、クジラがそっと降りた。
「ここは“そよかぜのしま”。風の妖精たちがすんでいるんだよ」
声がしたほうを振りむくと、そこには髪がふわふわと風になびく小さな女の子――風の妖精「そよちゃん」がいた。
「こんにちは、のんちゃん! はじめての空の旅、楽しんでる?」
「うんっ! すっごくたのしいの~! ね、もふにゃんもね~!」
もふにゃんは「ふにゃ~」と返事した(ような気がした)。
そよちゃんはにこにこしながら、空に手をかざした。
「でもね、空のどこかで“ほしのなみだ”がこぼれちゃったの。見つけてくれる?」
「うんっ、のんちゃん、がんばるよ!」
そう言って、のんちゃんともふにゃんは、星の光をたどって“なみだ”を探す旅に出ることにした――
のんちゃんは、ドアの前で両手をぶんぶんふっていた。
ふわふわのワンピースが、金色の夕陽にゆれている。
「いい子にしててね。ニャンコと仲よくね」
そう言って、ママはやさしく頭をなでて出かけていった。
バタン。
ドアの音がして、リビングはしん……と静かになる。
のんちゃんは、足もとで丸くなっている白いネコ――もふにゃんを見おろして、にこっと笑った。
「また、ふたりっきりになっちゃったね~」
ぺたんと座って、テレビもつけずに、ただただ窓の外をながめる。
おそらがすこーしずつ、オレンジからあおに変わっていく。
「ねぇ、もふにゃん……おそらのうえって、どうなってるのかなぁ?」
もふにゃんはこてん、と首をかしげる。しゃべらないけど、ちゃんと聞いてくれてる。
「うんとね、のんちゃんね、おそらをとんでみたいの~」
ちょこんとのぞく雲のすきま。
そのとき――のんちゃんの目が、まんまるになった。
「あれ?」
雲と雲のあいだから、なにか……おおきな青いものが、ぬうっと顔を出した。
ゆっくり、ゆっくりと空を泳ぐ、それは――
「……クジラ、さん……?」
おおきな青いクジラが、まるで空を“海みたい”に泳いでいた。
背中はふかふかのおふとんみたいにまるくて、からだからキラキラした星のかけらがこぼれている。
のんちゃんは、まばたきも忘れて見つめていた。
「……あれ、夢?」
そのとき――
窓の外にいたクジラが、にっこりと笑った気がした。
すると、次の瞬間。
「のんちゃん、のんちゃん!」
びゅおおおおっ
カーテンがまいあがって、風がひゅるると部屋をつつみこむ。
そして――のんちゃんのからだが、ふわっ!と軽くなった。
「わわわっ!? と、飛んでる~~~~~!!」
リビングの床がすーっと遠ざかり、もふにゃんも一緒に浮かびあがる。
二人はそのまま、クジラの背中へ、ふわりと運ばれていった。
「ようこそ、そらのたびへ」
耳の奥で、ふんわりとした声がきこえた。
のんちゃんは、目をきらきらさせながら、クジラの背中にぎゅっとしがみついた。
「もふにゃん、いっしょに空をとぶんだって~! すっごーいね~!」
クジラは空をすべり、星がちらばる空のトンネルへ――
のんちゃんのふしぎな旅が、いまはじまる。
クジラの背中は、ふかふかのおふとんみたい。
のんちゃんはもふにゃんをぎゅっと抱きしめながら、ゆらゆらと空の上を旅していた。
「わあぁ……おほしさまが、ぴかぴかしてる……」
見わたすかぎりの星の海。空の上には、ちいさな島がぽつりぽつりと浮かんでいる。
その中のひとつ、もくもくの雲でできた島に、クジラがそっと降りた。
「ここは“そよかぜのしま”。風の妖精たちがすんでいるんだよ」
声がしたほうを振りむくと、そこには髪がふわふわと風になびく小さな女の子――風の妖精「そよちゃん」がいた。
「こんにちは、のんちゃん! はじめての空の旅、楽しんでる?」
「うんっ! すっごくたのしいの~! ね、もふにゃんもね~!」
もふにゃんは「ふにゃ~」と返事した(ような気がした)。
そよちゃんはにこにこしながら、空に手をかざした。
「でもね、空のどこかで“ほしのなみだ”がこぼれちゃったの。見つけてくれる?」
「うんっ、のんちゃん、がんばるよ!」
そう言って、のんちゃんともふにゃんは、星の光をたどって“なみだ”を探す旅に出ることにした――
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