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断章 勇者編
断章 逃避行する者
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「ラァ!!」
「ちょっと!火はやめてよ、森が焼けちゃうでしょ!?」
「森くらいいいだろうが。俺たちがこの先にいるっつードラゴン倒しゃあ英雄とか言われるんだしよ」
(このバカ、何も考えてない!山火事になったら私たちまで危なくなるとか考えてないわけ!?)
「せめて水属性の魔法剣にしなさいよ……」
「火が一番カッケーだろ!」
こんな調子で勇者一行は霊峰登山を開始した。相変わらず考えなしの俊を諌めながら登山をする。
それでも勇者たち一行には喋るだけの余裕と油断しても何とかなる力があった。
「もし敵わないと少しでも思ったらすぐ逃げる、いい!?」
「わぁーたよ、ただし、俺に勝てる奴なんかいなぁと思うけど、なッ」
俊は相変わらず火属性の魔法剣でゴブリンを焼き尽くすとヘラヘラした様子で歩いていく。
(一回、痛い間に合わないかな……いつまでも俊の尻拭いとかやってられなーー
「俊」
「おう、囲まれてんな」
「ほ、ほんと?」
歩く三人をいつの間にか取り囲む気配を二人は感じたって止まる。
「かなり頭のいいヤツがいるわ。一体ずつなら確実に倒せるけど一斉に来られたら面倒」
「だな、俺よりは頭悪いみてぇだが」
警戒する俊と美玲。
美玲の頬を汗が伝っていき雫となって地面に落ちるのと同時、四方から影が飛び出してくる!
「結界!」
迫る影を結界で防ぐ美玲を他所に俊は真正面から返り討ちにした。その火は結界に群がっていた影をも焼き尽くした。
「ふぅ、何とかなったぜ。コイツらかなり骨があったな、影だけど」
「何上手いこと言ったって顔してんの?私が江口君を守らなきゃ私たちも俊の炎に焼かれてたんだけど?」
二人が終わったと思い会話を始めた瞬間。
三人の影から真っ暗な犬が飛び出してきた。
「えっ」
「やべっ」
「……」
二人は急に現れた犬に驚き身体が硬直した。唯一、江口だけが驚きもせずに行動を起こした。
「そ、速度低下、防御力上昇!」
ギリギリ剣が間に合った俊は牙を防ぎ、間に合わなかった美玲も江口の掛けたバフのお陰で無傷だった。
渾身の攻撃を防がれた犬は再び影に潜っていった。
「危なかったー。あんなのがウロウロしてる山なんか行っていいのぉ?」
「ハッ!だからこそだろ、親玉を倒せばパレードでも開いてくれんじゃねえか?」
「は、ハーレムとか出来たらいいな……」
「こんなの幾つ命あっても足りないわよ……」
霊峰の番犬、ハティの洗礼を受けた三人は再び登山を開始する。その間何度か襲撃は来たものの、返り討ちにした三人は遂に巨人が入るようなとても大きな空洞を発見する。
「おい!こんなに沢山お宝あるぞ!?」
「ここが王様たちが言っていた邪竜の巣……?」
「ひ、広い。そ、それにドラゴンは?」
三人は辺りを見渡すがそれらしきものは居なかった。
ちょうどこの時、フィメルは果実をとりに留守にしていた。
「いつか帰ってくるだろ、ここで待ち構えとこうぜ。居ないんだったら罠の一つでも持ってくればよかったな、痺れ罠とか」
「だ、だね。動けなくして三人でやれば倒せると思う」
明らかに元の世界のゲーム基準でドラゴンを測っている二人は大したことないと思っている。
二人と違いゲームなどはあまりやっていない美玲にとってはファンタジー小説などで出てくる強いモンスターという認識で緊張を解かずにいた。
そんな三人は急に物凄い気配を感じて空に意識を持っていかれた。
純白の翼
仄かに輝く体躯
神々しさを感じさせる雰囲気
その全てに圧倒され美玲は言葉を失った。
(これが邪竜?私にはそんな風には見えない。邪悪なんて感じさせないくらい神聖な雰囲気)
「喰らえッ」
美玲とは打って変わって俊はいち早く攻撃を開始した。
実のところ邪竜だろうが聖龍だろうが倒すつもりだった。
何故なら……
(コイツ倒して英雄になってやる!)
俊は異世界にきて王や周りのものたちに持ち上げられ、美人などもあてがわれた。
要するにハニートラップに引っかかった。
王の思うがままに邪竜討伐の英雄となっていい思いがしたいだけなのだから。
「おう、トカゲ俺のためにハントされてくれや」
「俊、こんなの私たちじゃ勝てないわよ!?」
(うるせぇなぁ、俺なら倒せんだよ!)
逃げることを提案する美玲を説得して俊はドラゴンに突撃する。その瞬間、ドラゴンは全く敵意がないように見えたが俊にとっては関係なかった。
『グォオオオオオオオオオ!』
放たれる咆哮
モロにくらった様子の勇者一行だが、美玲の結界と江口のバフによって防がれた。
既にやられたと勘違いしたフィメルの不意をつき攻撃する俊。
しかし、攻撃は無意識に放たれる魔力によって当たる前に弾かれる。
「クソかてぇ!江口もっとバフ回せッ」
「うん!」
俊は未だ諦めず戦っていたが美玲は既に撤退を視野に入れていた。
(いつでも危なくなったらこの石を!)
その意識の違いだろうか。
フィメルの本気の咆哮を至近距離で浴びた二人は倒れ遠くに逃げ結界を張った美玲だけが意識を保っていた。
(二人とも倒れ、殺され、死ぬ?怖い怖い怖いッ)
美玲は死を覚悟した。
だが、ここで奇跡が起こった。
(攻撃して、こない?あっ……私のバック…)
フィメルがバックの中にあるお菓子を見つけ、食べて放心している瞬間がチャンスだった。
美玲はいつでも使えるようにと握りしめていた石を倒れる二人の元まで駆け寄って破壊した。
現れたのは王城の中。
響き渡る驚きの声の中。
「まさか生きて帰ってくるとは………計画を変える必要があるな」
(けい、かく……?)
緊張が解け二人同様薄れる意識の中、美玲は聞き覚えのある声を最後に意識を手放した。
「ちょっと!火はやめてよ、森が焼けちゃうでしょ!?」
「森くらいいいだろうが。俺たちがこの先にいるっつードラゴン倒しゃあ英雄とか言われるんだしよ」
(このバカ、何も考えてない!山火事になったら私たちまで危なくなるとか考えてないわけ!?)
「せめて水属性の魔法剣にしなさいよ……」
「火が一番カッケーだろ!」
こんな調子で勇者一行は霊峰登山を開始した。相変わらず考えなしの俊を諌めながら登山をする。
それでも勇者たち一行には喋るだけの余裕と油断しても何とかなる力があった。
「もし敵わないと少しでも思ったらすぐ逃げる、いい!?」
「わぁーたよ、ただし、俺に勝てる奴なんかいなぁと思うけど、なッ」
俊は相変わらず火属性の魔法剣でゴブリンを焼き尽くすとヘラヘラした様子で歩いていく。
(一回、痛い間に合わないかな……いつまでも俊の尻拭いとかやってられなーー
「俊」
「おう、囲まれてんな」
「ほ、ほんと?」
歩く三人をいつの間にか取り囲む気配を二人は感じたって止まる。
「かなり頭のいいヤツがいるわ。一体ずつなら確実に倒せるけど一斉に来られたら面倒」
「だな、俺よりは頭悪いみてぇだが」
警戒する俊と美玲。
美玲の頬を汗が伝っていき雫となって地面に落ちるのと同時、四方から影が飛び出してくる!
「結界!」
迫る影を結界で防ぐ美玲を他所に俊は真正面から返り討ちにした。その火は結界に群がっていた影をも焼き尽くした。
「ふぅ、何とかなったぜ。コイツらかなり骨があったな、影だけど」
「何上手いこと言ったって顔してんの?私が江口君を守らなきゃ私たちも俊の炎に焼かれてたんだけど?」
二人が終わったと思い会話を始めた瞬間。
三人の影から真っ暗な犬が飛び出してきた。
「えっ」
「やべっ」
「……」
二人は急に現れた犬に驚き身体が硬直した。唯一、江口だけが驚きもせずに行動を起こした。
「そ、速度低下、防御力上昇!」
ギリギリ剣が間に合った俊は牙を防ぎ、間に合わなかった美玲も江口の掛けたバフのお陰で無傷だった。
渾身の攻撃を防がれた犬は再び影に潜っていった。
「危なかったー。あんなのがウロウロしてる山なんか行っていいのぉ?」
「ハッ!だからこそだろ、親玉を倒せばパレードでも開いてくれんじゃねえか?」
「は、ハーレムとか出来たらいいな……」
「こんなの幾つ命あっても足りないわよ……」
霊峰の番犬、ハティの洗礼を受けた三人は再び登山を開始する。その間何度か襲撃は来たものの、返り討ちにした三人は遂に巨人が入るようなとても大きな空洞を発見する。
「おい!こんなに沢山お宝あるぞ!?」
「ここが王様たちが言っていた邪竜の巣……?」
「ひ、広い。そ、それにドラゴンは?」
三人は辺りを見渡すがそれらしきものは居なかった。
ちょうどこの時、フィメルは果実をとりに留守にしていた。
「いつか帰ってくるだろ、ここで待ち構えとこうぜ。居ないんだったら罠の一つでも持ってくればよかったな、痺れ罠とか」
「だ、だね。動けなくして三人でやれば倒せると思う」
明らかに元の世界のゲーム基準でドラゴンを測っている二人は大したことないと思っている。
二人と違いゲームなどはあまりやっていない美玲にとってはファンタジー小説などで出てくる強いモンスターという認識で緊張を解かずにいた。
そんな三人は急に物凄い気配を感じて空に意識を持っていかれた。
純白の翼
仄かに輝く体躯
神々しさを感じさせる雰囲気
その全てに圧倒され美玲は言葉を失った。
(これが邪竜?私にはそんな風には見えない。邪悪なんて感じさせないくらい神聖な雰囲気)
「喰らえッ」
美玲とは打って変わって俊はいち早く攻撃を開始した。
実のところ邪竜だろうが聖龍だろうが倒すつもりだった。
何故なら……
(コイツ倒して英雄になってやる!)
俊は異世界にきて王や周りのものたちに持ち上げられ、美人などもあてがわれた。
要するにハニートラップに引っかかった。
王の思うがままに邪竜討伐の英雄となっていい思いがしたいだけなのだから。
「おう、トカゲ俺のためにハントされてくれや」
「俊、こんなの私たちじゃ勝てないわよ!?」
(うるせぇなぁ、俺なら倒せんだよ!)
逃げることを提案する美玲を説得して俊はドラゴンに突撃する。その瞬間、ドラゴンは全く敵意がないように見えたが俊にとっては関係なかった。
『グォオオオオオオオオオ!』
放たれる咆哮
モロにくらった様子の勇者一行だが、美玲の結界と江口のバフによって防がれた。
既にやられたと勘違いしたフィメルの不意をつき攻撃する俊。
しかし、攻撃は無意識に放たれる魔力によって当たる前に弾かれる。
「クソかてぇ!江口もっとバフ回せッ」
「うん!」
俊は未だ諦めず戦っていたが美玲は既に撤退を視野に入れていた。
(いつでも危なくなったらこの石を!)
その意識の違いだろうか。
フィメルの本気の咆哮を至近距離で浴びた二人は倒れ遠くに逃げ結界を張った美玲だけが意識を保っていた。
(二人とも倒れ、殺され、死ぬ?怖い怖い怖いッ)
美玲は死を覚悟した。
だが、ここで奇跡が起こった。
(攻撃して、こない?あっ……私のバック…)
フィメルがバックの中にあるお菓子を見つけ、食べて放心している瞬間がチャンスだった。
美玲はいつでも使えるようにと握りしめていた石を倒れる二人の元まで駆け寄って破壊した。
現れたのは王城の中。
響き渡る驚きの声の中。
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