お姉ちゃん今回も我慢してくれる?

あんころもちです

文字の大きさ
3 / 4

中編

しおりを挟む
「マリィが気にいるかわからないけどマリィの瞳と同じ色をした美しい宝石があったから送るよ」

「マリィのために一流の音楽家たちを用意した。一緒に聞きに行きませんか」

「マリィは本が好きということでたくさん書物を用意したよ。受け取ってくれないか」

公爵様はあのパーティー以後、うちの家にたくさんの贈り物をくださるようになった。
貧乏な我が家からすればとても嬉しいことだけど、それが全部お姉ちゃん宛だというのが気に食わなかった。

私が買ってもらったこともないような美しい宝石も全部お姉ちゃんへって。しかも私が出かけている好きに二人で出かけた時に採寸してもらったらしく、毎週毎週新作のドレスまで贈られてきた。お姉ちゃんと私は体型も全部一緒だからお姉ちゃんに理由をつけて何着か貰ったけど本当に気に食わない。

お父様もお母様もお姉ちゃんが公爵様に気に入られたことが嬉しいのか私が何しても放置して、お姉ちゃんに急に二人揃って優しくなり私のために使ってくれていたお金を減らしてお姉ちゃんのために使うようになり出した。あぁ腹が立つ。腹が立つ。お姉ちゃんも私に譲ろうとしたんだからそのまま公爵様ごと贈り物全部くれたらいいのに。

「お姉ちゃん鼻歌なんて歌ってご機嫌だね。贈り物がそんなに嬉しいわけ?」

「え? あっうん! 今まで贈り物なんて貰ったことがなかったから……それに公爵様は私の話をすごく聞いてくださるからお話しするのもすごく楽しくて」

「いいなぁ高級なものばっかり、お姉ちゃんが羨ましい」

「リリィだって毎日色々な男性から贈り物もらっているじゃない」

それは当たり前なのお姉ちゃん。リリィ宛に贈られてくるものもあるけど、どれもこれも金のかかってなさそうなものばかり。何この花、何この化粧品、せめて流行りのものを送りなさいよ。
花を部屋に持ち帰ってはぐしゃぐしゃに踏みつけて使用人に掃除させて、気に入らないドレスはちぎって掃除させてって感じで何もかも気に食わなくてイライラする。どうして私に金を寄越さないのよ皆、普通に考えて誰がその辺の野花で喜ぶかよ。全部あれも偶像だよ、頭おかしいでしょそんなことで喜ぶ令嬢って。

「何自慢?」

「そういうわけじゃ……あ、そうだ。私ね今日は公爵様のためにお菓子を作るの。公爵様が早めにいらっしゃったらごめんだけどリリィがお相手してくださる?」

「え、うん! いいよお姉ちゃん!」

ラッキー公爵様来るんだ。
しかもお姉ちゃん直々のご命令でお相手をって……まぁ二人きりになれば私に落とせない男はいないはず。
早速化粧を直して谷間が見えるようなドレスに着替えてお出迎えしなくちゃ。

使用人たちに次々と命令して私は美しい艶やかなドレスに着替え紅をさして公爵様を待つ。
あぁ~私にもいっぱい買って欲しいものがあるんだ。お姉ちゃんみたいにたくさんもらいたい。

馬のいななく声が聞こえたので私は慌てて玄関を開く。
光り輝くように美しい公爵様が馬車から降りてきて私を見た瞬間キョロキョロと露骨にお姉ちゃんを探し出す。
ふーんまぁまぁ今はいいわ。私の魅力さえわかれば公爵様も簡単に心変わりするだろうし。

「お姉様はどうしたんだい?」

「お姉ちゃんは公爵様のためにお菓子を作っているそうよ! その間リリィが公爵様のお世話まかされたの! さぁさぁ早く早く」

無邪気な子供のようなふりをして公爵様を無理やり引っ張り私の部屋へと案内する。
公爵様もお姉ちゃんが私のこと可愛がっているのを知っているからか、無下にもできない公爵様そのまま部屋へと引き摺り込まれる。

「寝室に連れ込むなんてどういうつもりなんだ」

「怖い顔しないでお義兄様。あ、まだ違いましたよね? お姉ちゃんとは婚約できていないんですよね~お姉ちゃんも罪な人だよね。好きな人がいるのに公爵様からのプレゼントが欲しくて仕方ないから断ることすらできていない。公爵様お姉ちゃんに利用されてるんですよ?」

「本当か?」

「えぇ妹の私がいうから間違いないじゃないですか。可哀想な公爵様をお慰めしてあげようと思ってリリィの部屋まで連れてきたんです。どうせまだケーキを焼いている途中ですから時間もかかります。リリィの愛で公爵様を癒してあげますね」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

だってお義姉様が

砂月ちゃん
恋愛
『だってお義姉様が…… 』『いつもお屋敷でお義姉様にいじめられているの!』と言って、高位貴族令息達に助けを求めて来た可憐な伯爵令嬢。 ところが正義感あふれる彼らが、その意地悪な義姉に会いに行ってみると…… 他サイトでも掲載中。

婚約破棄をしてきた婚約者と私を嵌めた妹、そして助けてくれなかった人達に断罪を。

しげむろ ゆうき
恋愛
卒業パーティーで私は婚約者の第一王太子殿下に婚約破棄を言い渡される。 全て妹と、私を追い落としたい貴族に嵌められた所為である。 しかも、王妃も父親も助けてはくれない。 だから、私は……。

婚約者の番

ありがとうございました。さようなら
恋愛
私の婚約者は、獅子の獣人だ。 大切にされる日々を過ごして、私はある日1番恐れていた事が起こってしまった。 「彼を譲ってくれない?」 とうとう彼の番が現れてしまった。

妹と婚約者が結婚したけど、縁を切ったから知りません

編端みどり
恋愛
妹は何でもわたくしの物を欲しがりますわ。両親、使用人、ドレス、アクセサリー、部屋、食事まで。 最後に取ったのは婚約者でした。 ありがとう妹。初めて貴方に取られてうれしいと思ったわ。

好きな人と友人が付き合い始め、しかも嫌われたのですが

月(ユエ)/久瀬まりか
恋愛
ナターシャは以前から恋の相談をしていた友人が、自分の想い人ディーンと秘かに付き合うようになっていてショックを受ける。しかし諦めて二人の恋を応援しようと決める。だがディーンから「二度と僕達に話しかけないでくれ」とまで言われ、嫌われていたことにまたまたショック。どうしてこんなに嫌われてしまったのか?卒業パーティーのパートナーも決まっていないし、どうしたらいいの?

飽きたと捨てられましたので

編端みどり
恋愛
飽きたから義理の妹と婚約者をチェンジしようと結婚式の前日に言われた。 計画通りだと、ルリィは内心ほくそ笑んだ。 横暴な婚約者と、居候なのに我が物顔で振る舞う父の愛人と、わがままな妹、仕事のフリをして遊び回る父。ルリィは偽物の家族を捨てることにした。 ※7000文字前後、全5話のショートショートです。 ※2024.8.29誤字報告頂きました。訂正しました。報告不要との事ですので承認はしていませんが、本当に助かりました。ありがとうございます。

うまくいかない婚約

ありがとうございました。さようなら
恋愛
エーデルワイスは、長年いがみ合っていた家門のと結婚が王命として決まっていた。 そのため、愛情をかけるだけ無駄と家族から愛されずに育てられた。 婚約者のトリスタンとの関係も悪かった。 トリスタンには、恋人でもある第三王女ビビアンがいた。 それでも、心の中で悪態をつきながら日々を過ごしていた。

私が消えたその後で(完結)

ありがとうございました。さようなら
恋愛
シビルは、代々聖女を輩出しているヘンウッド家の娘だ。 シビルは生まれながらに不吉な外見をしていたために、幼少期は辺境で生活することになる。 皇太子との婚約のために家族から呼び戻されることになる。 シビルの王都での生活は地獄そのものだった。 なぜなら、ヘンウッド家の血縁そのものの外見をした異母妹のルシンダが、家族としてそこに溶け込んでいたから。 家族はルシンダ可愛さに、シビルを身代わりにしたのだ。

処理中です...