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第13話 学院の失態と追放の因果
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場面は王立学院へと移る。そこはかつてレオンが「無能」と嘲られ、そして追放を受けた因縁の場所だった。
その追放を主導した一人――勇者候補パーティに名を連ねるセラフィーナは、銀髪をポニーテールに結い、紫の瞳を鋭く光らせながら、自信満々に仲間を率いていた。
学院最強と称される天才魔術師であり、魔力増幅の杖と魔導書を携え、その姿は周囲の学生から畏怖と憧れを集めていた。
「魔族に襲撃された村があるらしいわ。私たちの力を示すには格好の舞台ね」
金色の杖を手にしたセラフィーナは、同級生の三人と共に学院を後にした。彼女の足取りは迷いなく、声には確固たる自信が宿っていた。周囲の学生たちもその姿に憧れの視線を向けていた。
現地に着くと、セラフィーナは漆黒の魔族を前に高らかに宣言した。
「見せてあげるわ、学院最強の魔術師の力を――《星火の降臨》!」
天空から炎の流星群が降り注ぎ、大地を焦がす。仲間たちはその圧倒的な魔力に息を呑み、村人たちは一瞬安堵の声を上げた。だが――魔族は炎の嵐を受けてもなお立ち上がり、逆に獰猛な笑みを浮かべた。
仲間たちは必死に防戦へと回った。剣士の一人は盾で魔族の爪を受け止め、もう一人は傷つきながらも反撃の刃を振るう。
僧侶役の少女は震える手で治癒魔法を唱え続けたが、次々と襲いかかる魔族の猛攻に押し潰されそうになっていた。セラフィーナの魔法も次第に精度を欠き、焦燥がその表情に滲み出していた。
やがて彼女は仲間の悲鳴を背に聞きながらも、冷たい瞳で背を向けた。
「ここで死ぬなんて、私には似合わないわ」
そう吐き捨てると、セラフィーナは一人だけで村の外へと走り去った。置き去りにされた仲間は必死に抗おうとしたが、次々と倒れ伏し、退却するしかなかった。
その一部始終を村人たちは目撃していた。「仲間を見捨てて逃げた……」という声はすぐに広がり、恐怖と失望を込めた噂となって王都へ伝わっていった。
三日後。学院に戻ってきたのは、見るも無惨な姿のセラフィーナと彼女と一緒に戦った三人の同級生の姿だった。
全員が深手を負い、包帯に巻かれ、歩くのもやっとの有様だった。
学院の門前に集まっていた生徒や市民たちは、その惨状に息を呑み、驚愕と失望の入り混じった視線を向けた。
「な、なんだあれは……」
「勇者候補が、あのザマか……?」
街の人々がざわめく中、さらに衝撃の噂が広がっていった。――セラフィーナは戦いの最中、仲間を置き去りにして真っ先に逃げ出した、というのだ。
その醜聞は瞬く間に広まり、王都の大通りでは人々が口々に語り合った。学院の生徒たちの間でも失望と嘲笑が渦巻いた。「あれほど偉そうにしていたセラフィーナが……」「結局、実力じゃなく虚勢だったのか」と囁き合う声が教室や訓練場を満たしていった。
「仲間を捨てて逃げた勇者候補だってよ」
「結局、学院は大言壮語ばかりか……」
信頼は地に堕ち、王立学院は世間から激しい非難を浴びることとなった。事態を収めるべく学院は記者会見を開かざるを得なかったが、その場でも厳しい質問が飛び交った。
「勇者候補が仲間を見捨てるなど前代未聞です。学院はどう責任を取るのですか?」
「そもそも、彼女は本当に勇者の器なのですか?」
学院の重役たちは顔を青ざめ、言葉を詰まらせた。セラフィーナ本人の姿はそこになく、ただ沈黙が会場を支配するばかりだった。
かつてレオンを「無能」と切り捨てた学院。だが今、追放の因果は皮肉にもその学院自身へと跳ね返ってきていた。街の人々は囁き合う。「やはり、本当に必要な者を追放したのは間違いだったのではないか」と。
学院の生徒の中には、すでにレオンが魔族を討ち倒したという活躍を耳にしている者も多かった。そのため「レオンの方がまだマシだった」と口にする声も後を絶たなかった。しかし、勇者パーティや学院の校長など責任者たちは、レオンを追放した立場から絶対にその活躍を認めまいとし、頑なに口を閉ざしていた。
その一方で、市民の声は新聞や落書きとして形を変え、街に溢れていた。
「裏切り者セラフィーナ」「勇者失格」の文字が壁に書かれ、新聞の見出しは連日この醜聞を取り上げた。人々の嘲笑と失望は止まらず、学院の権威は大きく揺らいでいった。
その追放を主導した一人――勇者候補パーティに名を連ねるセラフィーナは、銀髪をポニーテールに結い、紫の瞳を鋭く光らせながら、自信満々に仲間を率いていた。
学院最強と称される天才魔術師であり、魔力増幅の杖と魔導書を携え、その姿は周囲の学生から畏怖と憧れを集めていた。
「魔族に襲撃された村があるらしいわ。私たちの力を示すには格好の舞台ね」
金色の杖を手にしたセラフィーナは、同級生の三人と共に学院を後にした。彼女の足取りは迷いなく、声には確固たる自信が宿っていた。周囲の学生たちもその姿に憧れの視線を向けていた。
現地に着くと、セラフィーナは漆黒の魔族を前に高らかに宣言した。
「見せてあげるわ、学院最強の魔術師の力を――《星火の降臨》!」
天空から炎の流星群が降り注ぎ、大地を焦がす。仲間たちはその圧倒的な魔力に息を呑み、村人たちは一瞬安堵の声を上げた。だが――魔族は炎の嵐を受けてもなお立ち上がり、逆に獰猛な笑みを浮かべた。
仲間たちは必死に防戦へと回った。剣士の一人は盾で魔族の爪を受け止め、もう一人は傷つきながらも反撃の刃を振るう。
僧侶役の少女は震える手で治癒魔法を唱え続けたが、次々と襲いかかる魔族の猛攻に押し潰されそうになっていた。セラフィーナの魔法も次第に精度を欠き、焦燥がその表情に滲み出していた。
やがて彼女は仲間の悲鳴を背に聞きながらも、冷たい瞳で背を向けた。
「ここで死ぬなんて、私には似合わないわ」
そう吐き捨てると、セラフィーナは一人だけで村の外へと走り去った。置き去りにされた仲間は必死に抗おうとしたが、次々と倒れ伏し、退却するしかなかった。
その一部始終を村人たちは目撃していた。「仲間を見捨てて逃げた……」という声はすぐに広がり、恐怖と失望を込めた噂となって王都へ伝わっていった。
三日後。学院に戻ってきたのは、見るも無惨な姿のセラフィーナと彼女と一緒に戦った三人の同級生の姿だった。
全員が深手を負い、包帯に巻かれ、歩くのもやっとの有様だった。
学院の門前に集まっていた生徒や市民たちは、その惨状に息を呑み、驚愕と失望の入り混じった視線を向けた。
「な、なんだあれは……」
「勇者候補が、あのザマか……?」
街の人々がざわめく中、さらに衝撃の噂が広がっていった。――セラフィーナは戦いの最中、仲間を置き去りにして真っ先に逃げ出した、というのだ。
その醜聞は瞬く間に広まり、王都の大通りでは人々が口々に語り合った。学院の生徒たちの間でも失望と嘲笑が渦巻いた。「あれほど偉そうにしていたセラフィーナが……」「結局、実力じゃなく虚勢だったのか」と囁き合う声が教室や訓練場を満たしていった。
「仲間を捨てて逃げた勇者候補だってよ」
「結局、学院は大言壮語ばかりか……」
信頼は地に堕ち、王立学院は世間から激しい非難を浴びることとなった。事態を収めるべく学院は記者会見を開かざるを得なかったが、その場でも厳しい質問が飛び交った。
「勇者候補が仲間を見捨てるなど前代未聞です。学院はどう責任を取るのですか?」
「そもそも、彼女は本当に勇者の器なのですか?」
学院の重役たちは顔を青ざめ、言葉を詰まらせた。セラフィーナ本人の姿はそこになく、ただ沈黙が会場を支配するばかりだった。
かつてレオンを「無能」と切り捨てた学院。だが今、追放の因果は皮肉にもその学院自身へと跳ね返ってきていた。街の人々は囁き合う。「やはり、本当に必要な者を追放したのは間違いだったのではないか」と。
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その一方で、市民の声は新聞や落書きとして形を変え、街に溢れていた。
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