予報してください

かよ太

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01(完)



二人が別れることは始めからわかりきったことだった。
実際俺は何日で別れるのか数えていたくらいだ。

(だから言ったんだ。不純交遊を着て歩くようなやつとはつき合うなって)

幼なじみの隼斗(はやと)に、同じクラスの宏茂(ひろしげ)を紹介したのは俺だった。
それが気づかぬうちに、友情から恋に発展したという。

男同士の恋愛の上、ましてや学校中に浮名を馳せていた宏茂だ。それを知ったとき、大事な幼なじみを泣かすなよと何度も釘を刺した。だから、幼なじみと友人の間で俺が置いてけぼりにされても隼斗が笑うのなら……と、そう思っていたのに。

ある日、隼斗が宏茂とはもう友達に戻れないと俺の家にきて泣いた。

「よくもあいつを泣かせたな」
俺は宏茂を屋上に呼び出して殴ってやった。つき合うときに散々言い聞かせたはずだった。こいつが今まで相手をとっかえひっかえしようと構いはしなかったが、身内同然の隼斗となると話は別だ。

「お前、よく言うぜ……」
向けられた表情に驚いた。宏茂はこんな笑い方をする奴だっただろうか。なんだか含みのある嘲笑だった。
そのせいで訊きたかった宏茂の浮気の理由も、二人が別れる理由も……俺は聞き出せなかった。


 ■ ■ ■


放課後の学校帰りに、恋愛ひいては人間関係に臆病になってしまった隼斗の家に行き、しょげている彼を慰めていた。

「耕輔(こうすけ)はずっと一緒にいてくれる?」
「ああ、ずっと友達だ。なにがあっても。今までも喧嘩しながらもやってきただろう」
「……こうちゃん」
懐いてくる隼斗はかわいい。身長差はあまりなくとも、甘いアイドル系の容姿のためどこかしら過保護な気分にさせる。

「そうだよね。こうちゃんが裏切るわけないよね」
「ああ、……って、へ?」
ドサリと隼斗のベッドに押し倒され、ネクタイをぐいと引っ張られる。

「こうちゃん、僕を慰めてよ」
「はやと? 何を……」
「ナニをし損なったんだ。せっかく堕ちたと思ったのにさ」
見上げた隼斗の顔はいつもと違った男前で、いたずらするのが待ち遠しいという風にぺろりと唇を舐めた。

「こうちゃん、心の準備は良い?」


――――あの日は、嵐のように過ぎ去っていった。来ると知っていたら雨戸をきちんと閉めたり、屋根が飛ばないようにしたりしたのに。天気予報とはその知識のない人間にとって、実にお手軽に手に入る情報だったのだとようやく気がづいた。
いや、そんなことはどうでもいい。正直、宏茂の気持ちがわかった。しかし俺の方は未遂では済まなかった。

「お前、恨むぞ」
「ははっ、してやったりだな。ずっと猫被ってたんだろあいつは」
痛む腰をかばいながら、宏茂と昼ご飯を食べる。
宏茂はさっぱりした気分屋だから、問題が解決すればわだかまりもなくつき合える。むしゃくしゃした気持ちを押しつけても、この間殴ったこともすべて笑い飛ばして今では俺をバカにしている。

「こうちゃん、浮気は許さないよ」
呼んでもいないのに、ひょっこりとお弁当を引っ提げてヤツはやってきた。
宏茂と俺の間を割くように入ってくる。

「宏茂はダチだ……」
「なに? 満足してないなら、僕にも考えがあるけど」
ビクリと肩を揺らす俺を見てまた宏茂は笑う。

「一件落着だな」
食べ終わった弁当を手に持つと、つき合ってられんと俺たちに手を振った。

「てめ、俺を置いていくなっ、友達だろうが!」
俺の悲痛の叫びは、青い空に吸い込まれていったのだった。




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