百色学園高等部

shine

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学校始まりました

不審物

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朝。


いつも遅刻しないすれすれを狙って登校してたけど、今日はなんとなく早く学校に登校した。


朝、のんびり野球部が朝練してる様子や、植木の近くを飛び回ってる白い蝶々を見ながら学校に登校するのもいいな~なんて思いながら。


なんてほのぼのするのも、ここまで。

昇降口。


下駄箱開けます。


俺の上履きに、白いが。


これはもしやっ


俺が、皆と仲良くできるように笑顔振り撒いてチャラ男っぽい演技しているから、調子のってるんじゃねーぞっていう脅迫状?あるいはキモいとか死ねとか書かれた中傷の手紙??不幸の手紙??
いや、そうだとしてもこんな丁寧に封筒にいれるか?そういう場合はノートの切れ端とかに書いて、一緒に画鋲とか泥とかで埋め尽くされてるはず。




「おはよう~」
俺がもうスピードで脳みそを回転させてる間、急に肩を叩かれた。


「あっ。三藤くんおはよう~」

あわてて笑顔をつくって自分の下駄箱を隠す。


危ない危ない。
三藤くんや他の生徒たちもちらほら登校してきている。
予想外の手紙に少しフリーズしてしまったが、なんにしても、この手紙の事を悟られてはいけないと思った。

俺がいじめを(これから)受け(て)るかもしれないって知ったら、三藤くんはどう思うんだろう。巻き込まれたくないよね。きっと、他人みたいに振る舞って、今までのように声をかけてくれなくなるんじゃないかな。
それはやだな……暫くは隠せるかな……


「ねえ、あそこにワンちゃんがいるよ~可愛くない~?」





さりげなく廊下の方を指差す


三藤くんが目をそらした隙に俺はサッと手紙を鞄にいれる。


「何もいないじゃんか。ていうか校舎内に動物がいるわけないだろ」

「えぇ~いたと思ったのに~」


さらに俺は素早く上履きの確認をする。

うん、接着剤で上履きは固定されていないし、中もべとべとしてないし、画鋲も入ってない。






教室に入るのがちょっと怖かった。影でこそこそ悪口叩かれてるだろうな~って思って。

なかなかドアを開けない俺を不審に思った三藤くんは、先に開けて入ってくれた。

「皆おはよう~」

「おはっよ~」


なんか三藤くんの広い背中が、大丈夫だよっていってくれてるみたいで、俺も普段の自分になりきって挨拶できた。


でも、現実は甘くない。


クラスの皆は、三藤くんが挨拶をしたときは、にこやかにおはよ~っていってたのに、俺の挨拶の時は俺が声を発したのと一緒にバッとこっちを見る

「今日は三藤と一緒か~(三藤羨ましすぎるだろ、俺とかわれ!!)」
「今日はスゲー速いな(最近遅いから、朝こっそりチラ見できなくて残念だったんだよな~)」


っていう声が聞こえる。






三藤くんみたいなクラスの人気者と、俺が一緒に登校するのが気にくわないんだろう。


そんな聞こえるような声で呟かないで欲しい……



一応ひらひら手を振って笑顔振り撒いとくけど、顔ひきつってそう……



自分の机にきたら、落書きチェック。
何もない。


椅子に座るのも、気を使う。座布団のしたに、おしっこが入った袋も入ってない。
間違えて座ったら、その袋が破れて臭いしお漏らしみたいになるもんな。

引き出しの中も平気だ。


あれ、俺っていじめられてない?考えすぎだったか。



良かった~


確かに、このクラスの皆結構優しい人が多いもんね。
それにこの学校頭いいし。頭いい人は、いじめなんてことするわけないっか。


ん??じゃあ、あの手紙はなんだ??



鞄に手を突っ込んで、こっそり袖に手紙をいれる




「俺、トイレ行ってくる~」

個室でこっそり見よう。


俺がトイレのドアを開けると、男子生徒たちは気まずそうにこっちを見て、トイレを出ていく。
いや、君、トイレ我慢しなくていいんだよ。



クラスの皆に迷惑かけないようにホームルームまで個室にこもって俺の姿を見せないように粘ろうって思ったけど、逆にその方が迷惑か……トイレ問題は深刻だもんね。



ちなみに読者の皆様はすでにお気づきだと思われるが、桜河唯利は超絶勘違いしてるのである。本人は皆に嫌われてると思っているが、実際は逆である。
桜河唯利が教室に入って来たときは、通常より早くきたことに喜んで机のしたで小さくガッツポーズをしていたし、今日は普段と違った憂いをおびた桜河唯利の表情に保護欲がかきたてられ、あそこがでかくなってしまっていた。あわててトイレの個室に駆け込みなんとか始末したのに、おかずにしていた張本人がやって来てしまったんだから、気まずくなって目をそらすのも無理はない。







だが主人公桜河唯利はそんなことは微塵にも気づかず、個室の中で開いた手紙に愕然としていた





『今日の昼休み、体育館裏に来てください      柴田カナエ』





「こ、れは……、しめられる!!??やっぱり俺調子にのってるってしめられるのか!?!?」


手から、ハラハラと手紙が落ちる。




桜河唯利の脳内は、本日何度目かわからない高速回転をしていた。


「体育館裏って、暗くて草とか木とかいっぱいだし、めったに人こないし、やっぱりしめられるのか……?」




確かに人通りが少ない所は、殴ったり蹴ったりするのに最適だ。顔バレせずに暴力をふるえる。



「柴田カナエ....確か、フランスと日本のハーフの小さくて可愛いカナエちゃん??そんな子が俺に……人は顔で判断しちゃダメなんだな……確か朝、4,5人で固まって話してて、俺と目があった瞬間顔をそらしていたわ……」


いくら脳内であっても、若干失礼である。
確かに、柴田カナエは、背が低くてフランスの血ゆずりのふわふわ髪の毛とくりくりの目はかわいらしい。女子の制服を着させると、本物のJKよりかわいいのではないだろうか。そんな容貌の柴田カナエは、友人たちにカナエちゃんと呼ばれていた。本人はどう思っていたか知らないが。




「俺、今日はもう寮に帰りたい……」
そんでもって、一歩も部屋をでたくない…………

すっかり力が抜けた主人公はトイレの便器にズルズルと座り込んでしまった。




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