百色学園高等部

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体育祭イベント

おまけの、おまけの、おまけっって、続きすぎぃ

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天音サイド


起きたら、ユニットバスからガタガタ音が聞こえる。



昨日、桜河唯利は夜遅くに酔って帰ってきたうえに、俺のベッドで寝やがった。しかも俺を抱き枕にして寝やがる。
あんな見た目をしてる癖に筋肉はあるから、なかなか腕をほどくことはできなかった。ほどこうとするとむしろぎゅうぎゅう無意識に腕をしめて足を絡めてくる。

だから、あきらめてそのまま寝たのだが…………


「寝違えた……」


首とか腰とか捻った感じで痛い。


そんな感じで寝たから、昨日はよく寝てないっていうのに、

今日はシャワーしながらガタガタ音をさせやがる。



どこまで俺の邪魔をすれば気が済むのか。あの男は。


これはガツンといっておかないと。

そう思って、不機嫌そうに、実際不機嫌なのだが…………ユニットバスへ歩いていく。




そして。


天音は、ユニットバスのドアを開けて、一瞬何が起きてるのか理解できなかった。


湯気が一気にユニットバスから消え去って、周囲が見えるようになってやっと状況を飲み込めるようになる。




金髪の男、つまり俺の同室の桜河唯利が、お風呂の中でうずくまってる。
お風呂のそこには湯が少し張ってあり、今にも溺れそうだ。


「なにしてんだっ」


あわてて、お風呂のなかで溺れかけていた人物をお風呂の外へなんとか引っ張り出して助け出す。
男子高校生一人を持ち上げるのは、けっこう力がいる。やっとのことでお風呂から出して、


だが、
桜河唯利は天音の腕からずるずる滑り落ちる。


「おい。おい!!どうした!!!」
必死に呼び掛けても、ぐったりして、動かない。
「桜河!!!起きろ!!!」

身体を揺さぶるって頬を軽く叩く。


はっとして息を飲む。

頬が、熱い。


よく見ると投げ出された肢体は胸で息をするように揺れ、頬は不自然なほど赤く染まって、口からは荒い息がこぼれている。





発熱…………しかも、かなりの高熱だ。





「こういう時はどうすればいい……くそっ」




焦って逆に、脳みそは上手くはたらかない。

ぎゅっと、桜河の体を抱く。
顔とは反対に、体は冷たい。


思考停止寸前の脳みそを無理やり動かして、考える。



「そうだ、濡れた身体を拭く………乾いた服を着せてあっためる…………」



急いでバスタオルを取り出す。






意識はないが、つらそうに息をしながら時々ピクピク力が入る身体は、天音が思ったように動かず、タオルから滑り落ちて拭きづらい。




ピーンポーン




不意にチャイムがなって、

はっと我に帰った状態になる。


「桜河~一緒に朝飯食べに行かない~」





知っている声。

『いつも桜河といっしょにいるやつだよな。』




急いでドアを開ける。


三藤雄也と、その他に何人か人が立っていた。

「助けてくれ」

そう言ったのに、一斉に顔を真っ赤になって、鼻血を吹き出したり、へなへな失神してしまった。
こっちは急いでいるというのに。





桜河唯利の肢体。

それは、

ミケランジェロのダビデ像のような、
彫刻のような美しい身体が赤く火照り、
金髪の髪の毛もしっとり濡れている。



大事なところはさっき使っていたタオルで隠れているが、むしろ逆に興奮させる。

さらに、目をつむって、薄く開いた赤い口は、こちらを誘っているようだ。




彼らがこうなるのは無理もない。

だが、こっちとしてはそんなに待っちゃいられない。急いでるんだ。





彼らの中で、三藤雄也だけが固まってはいるが、軽く赤面するだけでとどまっている。使えるやつはこいつだけか。


「入ってくれ。」

三藤雄也の手を掴んで部屋に引きずりこみ状況を説明する



最初こそは驚いていた三藤だが、状況を把握すると、行動は早かった。


てきぱきと桜河の身体を拭いてベッドに運ぶ。

さらに、
「寮長に報告したほうがいいかな。保健の先生にきてもらって、病院につれていってもらったほうがいいよな」




電話が終わったあとも、先生が来るのを待つ間、三藤は濡れタオルを桜河の頭に乗っけたりエアコンの温度を調節したりしていた。

その間、俺は何もすることができなかった。

自分だけだとこんなに手際よくできなかった。


三藤が来なかったら、桜河はもっと重症になっていただろう。

自分の頭が上手く動かなかった事に腹が立つ。





暫く待つと先生がきて、桜河を抱き抱えて車に乗せ、病院につれていった。








その後、今日は部屋には帰らないと連絡がきた。
学園が保持している病棟で、熱が落ち着くまで過ごすらしい。



学校の授業が終わってから三藤に誘われて桜河のお見舞いに行った。



もう夕方だというのに、まだ熱で顔が赤くなってうなされていた。


時々、


「…Maman(お母さん)…………」


と、うわ言のように呟き、点滴をつけた手が宙をさ迷う。


「je suis ici(ここにいる).」

小さい声で呟いて、彼の手を握り、布団の中へ手を戻す。

ぜぃぜぃ息をしている彼を見て、やるせない気持ちになる。



こんなに悪化させたのは、俺の責任だ。



もしかしたら、昨日の夜から体調が悪かったのかもしれない。

エアコンをしっかりつけて寝ておけばよかった。


あるいは、もっと俺が早く起きていれば。


もっと早く気づいて、風呂場から出していれば。







それなのに、
数日後、桜河唯利の熱がひいて部屋に戻ってきたとき、

「心配かけてごめんね~天音君が俺の事助けてくれたんでしょ。ありがとう~」


って満面の笑みでお礼を言われた。






助けたのは風呂場だけだ。

それ以外は、すべて三藤が動いていた。


小さく拳を握る。




「…………俺じゃない。三藤だ」




小さい声でそう応える。


「でも、お風呂場で助けてくれたでしょ~。あの時まじで死ぬかと思った~。後ちょっとで俺走馬灯みるところだったよ~。それに、寝てるときお母さんが手を繋いでくれた気がするんだけど、妙にリアルだったような………」


そういいながら、手をにぎにぎ動かして首をかしげる。



それは俺だ。




こいつの、明るい声が、俺の心の痛みをほぐしてくれるような感覚があった。













「…………あ、今ちょっと笑ったでしょ。珍しい~」


「……。いや。笑ってない」


「うそ!!!絶対笑った!なんでなんで~」


「いや、お前の手を握ったのは俺だっていうだけだ」


「ええ!!そうなの!!だからか~俺、寝てるときなんか言ってた~???はずいなぁ…」


「ままん~って言ってたぞ。子供みたいに」



「うそ!!うそうそうそ!!!!記憶消して!!今すぐ!!!」




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