百色学園高等部

shine

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夏イベ

回顧録

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唯利視点
ーーーーーーーーーーーーー







昔。




ほんとに色々あった。







子供の頃の記憶はほとんどない。



母が優しかったのを、覚えてる。


ほとんどフランス語しか話さない母。

大体は、ずっと母のそばにいた。


とっさの時、日本語よりフランス語で話してしまうのはそのせい。


父は、仕事に行ってた。

父は日本語も話してたけど、母は日本語がわからないから結局英語を話す方が多かった。



まあ、父が英語で話しても、母はフランス語で返事してたりしてたけどね。




俺は、その影響か、その頃は日本語はあまり話せなかった。


日本語の語順はフランス語や英語と比べて、違う。


がんばって日本語で話してみても、途中からフランス語に変わっちゃったりしてた。



母が言うには、俺は最初は英語とフランス語が混ざって話してたんだって。


Rの発音が、フランス語と英語で結構違うから苦労したっけ。


母は、優しかった。よくおしゃべりして、いろんな服着て、写真撮った。

父とは、キャッチボールしたかな。公園で。



ある時、


そんな二人が帰って来なくなった




最初は父がいなくなって、なかなか帰って来ない日が続いた。



どうしたの?って母に聞いたことがあったけど、なんて言われたんだっけ?忘れちゃった。




その後、母が帰ってこなくなった。






俺一人が取り残された。





広い空間で、俺は一人取り残された。



心細かった。



お腹が痛くて、ぎゅーぎゅーして。



待っても待っても、戻ってこない、父と母。


お腹がすいたとき、



水を飲んでお腹を満たした。




調味料とかも食べてみたけど、味が濃くって食べれたもんじゃない。




ふらふらになって、これはやばいなって思った時、







たくさんの人が入ってきた。


怖かった。


日本語を喋ってた。

何話してるのかわからなかった。



座って、とか、食べて、とかの単語はわかったけど。



なんでもっと日本語勉強しなかったんだろうってその時後悔した。




起きたら、いろんなチューブが体についていて、「なにこれ」って、とろうとしたら、

ビービー怖い音がして、




すっごく怖い顔の女の人達が来た。

全然なに言ってるかわかんなかったけど、怒られたんだと思う。

母に会いたかった。父に会いたかった。


抱き締められたかった。

家に帰って、パパ、ママってだきつきたかった

退院して、
どこかにつれてかれた
ハウスって聞こえたから、お家に帰れると思った。

走って帰った。

けど、そこにはいっぱい俺と同じくらいの年齢の子供がいて、数人の大人がいた。





そこは施設だった。


多分、親がいないとか、いても一緒に暮らせないとかの子供達が集まる場所。


皆日本語を話してた。




俺が話す言葉は理解してくれなかった。






学校につれてかれた。



小学校だと思う。





日本語わかんなかったから、ずっと椅子に座ってるだけだった。




なんか日本人の子に言われてたけど、何言われてるかわかんなかった。





先生は困った顔をしてた。




日本語は全然わかんないのに、



「バカ」、とか、「おとこおんな」、とか、泣き虫、とかの意味はなんとなく理解した。






母と父に会いたくってたまらなかった。





施設の先生に、


「パパとママは??」


って聞いたけど、変な顔されて、


聞いちゃいけない質問だったんだなって理解した。



そんななか、



俺の親戚を名乗る人が現れた。


親戚っていうのはよくわからなかったんだけど、家族って言われた。




やっと俺の言葉を理解してくれる人が現れた。





俺の母の弟って言ってた。

そう。おじさんのこと。






おじさんの奥さんの優希さんは、フランス語も日本語も二人ともペラペラだった。




俺と一歳差の男の子がいて。
それがリュカ。

新しい家族だって言われた。



やっと、言葉が通じる人が現れて、俺は嬉しかったんだ。



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