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夏イベ
回顧録 ユイリ
しおりを挟むその時、初めて教えて貰った。
お母さんは、フランスの有名な代々続く由緒ある家の娘で、
父は日本人留学生で行った先の学校の交友の妹が母だった。
その交友が、今のおじさん。
父と母は駆け落ちしたらしい。
それで、連絡手段がなくて行方が暫くわからなかったらしい。
俺が見つかるのも、それで遅れたらしい。
謝られた。
おじさんのせいじゃないのに。
叔父さんや優希さんに、必要最低限の日本語を教えて貰った。
優希さんのお陰で日本語はマスターできた
なんとか日本語になれたとき、
いろんな言葉が俺に向けられてた。
…………とは言ってもね~
俺だって悪かったんだよねぇ………………
学校では、まー。
日本語よくわかんなかったから、ほとんど口を聞かなかったし??
反応してもしなくても髪の毛引っ張られたりするから、無視を続けてたりして、学校ではいじめられるのほっといてたから。
まー端から見れば、
いくら話しかけても言ってること伝わらないし、無視されるし、そりゃムカつくやつだよねぇ……。
そういう人のこと嫌いになるのも今では理解できる。
俺としてはつらい日々だったけど、
今思えば
そりゃ、ひどい言葉もあったけど、俺を気遣う言葉もあった。
俺が見つかった後、おじさん達フランスに帰るのかなって思うじゃん。
実は
この叔父さんも、フランスの家飛び出してきてるらしい。実家とは違う会社を立ち上げて、勘当されたって。
笑える。兄弟なんだね
でも、海外飛び回って仕事してる。
俺も、おじさんにつれられて色んな国行った。
学校は、滞在が長いと言ったけど、ほとんど家で本読んでたな。
学校行ってない間は優希さんと話てたりしたからいつの間にか日本語の方が上達してたりして
言語の問題もある。
英語かフランス語が使えるなら、学校で意志疎通できる
国による教育のカリキュラムの違いもある。
日本だと、小学校6年、中学校3年、高校3年でしょ。
フランスだと、
初等教育5年、中等教育前期4年、中等教育後期3年
勉強のスピードも違うし、結局は自分で勉強する方が早道だね
おじさんの家族は優しくてね、
すぐに慣れた。
リュカとは今と違って、
最初はうまく意志疎通ができなかったんだよね。
俺も日本語とフランス語と英語が混ざってよくわからない言語話してたからだと思うけど、……よく思われてなかったみたい。
優希さんと俺が日本語で話してると、
リュカは無理やりフランス語で俺たちの会話を遮ったり。
最初は意地悪だなって思ってたんだけど、
ある日、
リュカが、「僕のパパとママなのに」って泣いているのを聞いてしまったら、
申し訳ない気持ちと、俺がここにいていいのだろうかっていう気持ちでいっぱいになった。
今でも忘れられない。
俺がリュカの両親をとっちゃったんだ。
リュカは今は凄く優しいけど、ほんとはどう思ってるんだろう。
あの日の事を、今でも覚えているのだろうか、
横に寝てるリュカに、そっと声をかける。
「リュカ」
「なに~???」
「俺のこと…………」
どう思ってるの?
って聞こうとして、やめた。
嫌いって言われたら、きっと俺、心折れちゃうだろうし。なんて返事して言いかもわかんないし……
「も~なになに~??」
「ん~、何でもないよ~」
リュカと反対の方向を向いて、ごまかす。
俺の心のなにかを悟ったのか、
「大好きだよ」
って言って、
ぎゅーって俺を抱き締めてくれる。
こういう気遣いも、リュカらしい。
いつからか、
俺のこといつも甘やかしてくれようになったんだけど、
多分、本当はもっと両親に甘えたかったんじゃないかな。
きっと、俺が来る前までは、甘える側だったんだと思う。
俺が来たから、きっと甘やかす側に成長してしまった。
いや、俺が成長させてしまったんだ。
そんな俺なんかのこと、気にかけなくていいのに。
けれども、
そんなリュカが、
俺を家族の一人として扱ってくれることが嬉しくて、
リュカの優しさが心地よくって、
もう一人でだいじょうだよって言えないでいる。
俺って、サイテーだ。
ほら。リュカがまた、俺が寒くないように布団をかけなおしてくれてる。
ごめんね。
ありがとう。
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