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夏イベ
先輩と肝試しっ
しおりを挟む「唯利くん。行きましょうか」
爽やかな笑顔を見せる明海先輩。
肝試しなんかへっちゃらのようだ。
そりゃそっか、先輩、研究者タイプだもんね。お化けなんていう非化学的なもん、信じてないよね。
なんて、思ってた俺。
だけど、…………。
あたりいったい真っ暗で、おそらくルートを示している、足元に設置された明かりをたよりに歩き始めて、数分後…………
パキ…………
「ひっ…………なんですか、いまのっ……!!(小声)」
震える声でそう言って、俺の後ろに隠れる先輩。
「…………、多分、木の枝が折れる音ですよ??」
懐中電灯を向けてなにもないことを確認し先輩を安心させるように前を歩く俺。
………という構図が出来上がっていた。
「こ、ここ、掴んでていいですか…………??(小声)」
ぅほっ…………
今の先輩の顔、見たかった!!!
先輩が後ろで、俺の背中のTシャツのすそ掴んでる感覚がある!!
絶対、顔を真っ赤にしてたよね、
絶対、可愛かったよ!!
まあいい。
先輩のこの声聞けただけで燃えるわ!!
「いいですよぉ~。けど、どっちかっていうと、こっちがいいです~」
先輩の手を、俺の腕の方に持っていく
「先輩がここにいる、ってゆー感覚が欲しい!!」
っと、日本語下手になっちゃった、
明海先輩の手がびくってしたよ、
「あの、先輩の手の感覚があると俺も安心するっていうか、あの…………」
意味通じたかな、
えっと、
つまり、
俺も先輩がそこにいるってわかってないと、ちょっと怖いっていうか。
先輩が、転んじゃったりしても危ないし。
…………なんで腕にしたのって??
手を繋がなかったのは、単に俺が恥ずかしかっただけだよっ///
でも、せっかくの機会だし、手を繋いで貰えば良かったかも…………。
ん~…………ちょっと後悔。
まあ、でも、俺の言いたい事は通じたようだ。
先輩の指が恐る恐る俺の腕に触れて、
…………さすさす…
「ちょっ、くすぐったいですって!」
変な気分になるからやめてって!!
ただでさえ真っ暗だから、先輩の顔とかよく見えなくて、声だけが鮮明に聞こえるし。その声も、ささやき声だから、耳がぞわぞわするっていうか~
って、なに言ってんだ、俺。
「唯利くんの腕って、結構筋肉質ですよね…………」
なんですか、急に。
「俺、男ですし。女の子の腕はふわふわですけど」
俺、見た目そんなに女の子に見えるかな~
これでも、れっきとした、男だよっ!!
腕くらい血管も浮き出てるし、ふつーに、筋肉がぼこってしてるよ。
子供の頃は、女顔ってよく言われたけど、最近はそんな事言われなく…………う…………言われてるかも…………はぁ…………。
「…………唯利くんは女の子の体、さわりなれてるんですね」
はいっ!?
いやいや、触り慣れてるんじゃなくて、
触られ慣れて……
……いや、慣れてないけど、
よく触られるから…………
振りほどくために触ったりすることもあるけど…………
ひゃ~ぁぁぁぁ!!
なんて返事するのが正解なのっ!!
ぁー!!もういい!!
「でも、俺が一番さわりたいのは、明海先輩ですぅっ!!」
「…ゴク(息を飲む音)…………………」
ありゃ、無言になっちゃった、
って、あれ、俺、さっきなんか変なこと言ってなかった!?
なんて言ったっけ、俺!!
って思った時、
バンッ!!!!!!!!!!!!!!
っていう大きな音が聞こえて、
「わっっっっっっっ!!!」
「なっ…………!!!!!!!!!!」
って二人で震える羽目になった。
そうだったっ、今、肝試しの最中だったっ!!!!
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