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夏イベ
肝試しの最中です
しおりを挟む俺が、
先輩を触りたいとか、触りたくないとか、触って欲しいだか、なんだか、変なことを言っちゃって?
変な空気になったところ、
バンッ!!!!!!!
って大きな物音がして、
肝試しの最中だった事を思い出した。
人間、驚きすぎると、体動かせないんだね。逃げるって思うより、思考停止したわ。
一気に寒気が背中を通り抜けていく。
さっきを薔薇色ムードとしたら、
今は………
あー。……………何ムードっていうんだろ??
まあ、つまり………
「ゆ、唯利くん、さ、さっきの、なんの音でしょうかっ」
「き…………っと、大きな枝が折れる音ですよっ…………!!!」
「大きな枝は折れてもあんな音はしませんっ!!」
「じゃあ、風船が割れる音ですっ……!!!!!」
「こんな所に風船なんかありません!」
「でもっ!!!!この世に幽霊なんかいないから、とにかく幽霊じゃないことは確かですっ…………!!」
二人して、びゅんびゅん会話を飛ばす。
ていうか、なにか話してないと変な物音を聞いてしまいそうで、とにかく何かを喋ってないとっていう気持ちにさせられる。
別に幽霊とか信じてるわけじゃないからっ!!
ほら、変な音すると怖いじゃんっ!!
誰だって、びくってなるじゃん!
それだけだよっ!!
それに、
暗いから怖く感じるだけだよっ!!
日中は平気だもん!!!
って、脳内で幽霊存在する説を必死で否定してるのに、
バンッ!!!!
「うひっっ……………………!!!」
「ひゃぁっ………………………………!!!!!」
また音したよっ!!!
背中、無意識にびくびくしたよっ。
反射的に音がした方を懐中電灯で照らす。
「…………何もない……」
音がしたあたりをゆらゆら懐中電灯を回して照らしてみるけど、雑木林があってよくわからない。
な、なんで何もないのっ!?
「唯利くん、もう、早く行きましょう、離れましょう!」
先輩に腕を引っ張られて、進む。
星明かりがあるとはいえ、雑木林で葉っぱが明かりを覆い隠しちゃって暗いから、足元にきをつけて、ゆっくり、怪我しないように、でも、できるだけはやく歩く。
と、いうか、へっぴり腰っていうんだっけ、及び腰っていうんだっけ、足がゆっくりしか動いてくれないよ。心は早く進みたいって思ってるのに。
カサカサ俺たちが歩く音と、パキってたまに俺たちが木の枝を踏んでなる音と、ざわざわ風によって鳴る音が、普段より大きく聞こえる。
う~、先輩の手の震えが伝わってくるよぉ
と、
「唯利くん、あれ、なんですかね…………」
前方に、なんか郵便ポストみたいなのがある。
「ちっちゃな家みたいですね……」
「これ、はっ!!家じゃないですよっ。祠じゃないですかっ!!!」
俺の腕を握る先輩の手が強くなって、先輩は、それを見ないように俺の後ろに隠れる。
「ほこら……っていうんですか?あ、なんか細い紙も貼ってありますね」
「それは、細い紙じゃなくてお札ですっ」
「あ、お札は知ってます。封印するやつですよね………」
祠か~初めてみたかも。
俺、日本の怖い話しとかにあんまり縁がなかったから、先輩ほど恐ろしいっていう思いに鈍感というか…………。
ん??
でも、このお札は、なんか作り物っぽい気が…………
っていうか、ほこらも最近できたように新しいというか…………
一度不信感持つとどんどん薄れていく恐怖。
近付いて確認してみたいっていう気持ちの方が強くなる
「唯利くん、はやく、ゴールまで行きましょう!!!」
「大丈夫ですよ、先輩。確認してみるだけですから」
「あー、もう。ダメですよ、近付いちゃ!!お札も剥がしちゃダメですよ!」
「でも先輩。これに、持ってけって書いてありますよ」
ちょっと怖い赤い字だけど、「持ってけ」って書いてある。
ほこらの中をよくみると、
「あ、花火置いてある」
「ひっ…血文字…………」
と言いながらも
後ろに隠れてた先輩が横にきて、ほこらを覗いて…………
あー。
つまり、
俺の横に、先輩の顔が近づく。
さらさらの髪の毛が俺の頬をくすぐって、シャンプーにまじった先輩の匂いを嗅いで、つい、すんすん先輩の匂いに集中してたら
「なるほど、これを持ってけばいいってことですね」
ほっとしたように言って。
不意に先輩の顔がぐるんって俺の方を向いて、先輩の息が俺の顔に…………!!!
「は、はい…………」
あぁ、先輩の顔が近くにある!!
暗くて先輩の顔がよく見えないけど!
むしろ、俺の顔がみられなくて良かったかも、真っ赤になってると思うから!
「じゃあ、これ持ってはやくゴールまで行きましょうね!!」
先輩に腕を引っ張られる。
「あ、はい…………。」
「懐中電灯は前を照らしてくださいね。横とか照らして変なものが見えちゃうのは嫌ですから!」
「は、はい…………。」
先輩の顔が遠のく。
でも、まだドキドキしていて、
ヤバイ、
先輩の息が、俺の顔のここら辺にかかっちゃったんだよ、
って、頭のなかでぐるぐるぐるぐる。
もうすでに脳ミソパンク状態で、これ以上のドキドキは来ないと思ったのに、それを上回ってドキドキさせられることが起きるのが、生徒会合宿というね…………。
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