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夏イベ
ドキドキがとまらない
しおりを挟む「じゃあ、これ持ってはやくゴールまで行きましょうね!!」
って先輩に腕を引っ張られてる俺。
「あ、はい…………。」
「懐中電灯は前を照らしてくださいね。横は絶対照らさないように!変なもの見たくないですし!」
「は、はい…………。」
先輩の顔が遠のいて、緊張がやっとほぐれる俺。
ドキドキして、上の空の俺。
今度は逆に俺が引っ張られてる。
まあ、ずっと生返事してた俺が悪いんだよね、
自然に無言の時間がきて、
なんか早歩きになっちゃって、
「……………………」
「……………………」
って、やっぱり無言の時間が永遠に感じて
俺の腕に先輩の手の熱を感じてるところ。
「…………何か、聞こえません……??」
そう先輩に言われて、耳をすます俺。
先輩と俺の、息の音と…………
ざざっ…………
っていう木が擦れる音と、
「シクシク………シクシクシク……………」
っていうなにか、小さな…………
「「泣き声!?!?」」
「な、なんで泣き声するんですかっ!?子供いないのに!」
「....迷子になっちゃったとかっ!?」
「夜中出歩く子供なんかいませんっ!!」
「喧嘩して…………家出しちゃったみたいな…………??」
「そもそも生徒会長の敷地ですよっ」
え、この林まで生徒会長の土地なの、って驚きつつも、
やっぱり俺と先輩で大声で声をだして、怖さを吹き飛ばしてたんだけど、
がさっ
って、
俺たちの近くの木が動いて、
バサッ
って白い物が飛び出してきて、
『おうち…………かえりたい………』
って、低い声。
「「………………………………!!!!!!!!!!!!!!!!」」
それはそれは
声もでないくらい驚いて、
俺と明海先輩は走って逃げだす。
けど、
足元は土だし、
木の根っこはぼこぼこしてるし、
俺たちはふらふらしながら走ってるし…………
何かにつまずいた明海先輩の体が傾く。
危ない…!!
って頭のなかの俺が叫んだ。
あわてて先輩を腕を掴んで抱き寄せるけど、
まー。
俺も不安定な足場にいたんだ。
木の根っこで滑って、
先輩の体重でバランスが上手くとれなくて、
ずさっ
っていう音と共に俺は背中を地面に打ち付けることとなってしまった。
うぅっ…………痛い………
痛みで目をつぶったけど、
パッ
って目を開いたら、
先輩の顔が、め、目の前に…………!?!?
え、ゆ、夢!?
先輩が俺の体の上にある!!
それも、向かい合う感じになってて、下半身なんか俺にぴったりくっついている。先輩の足が、俺の足に絡んで、
俺、無意識に先輩の腰を引き寄せたらしくて俺の手が先輩の背中にあるし…………
先輩の手は、俺の肩にあって、
こ、これが、肩ドンっていうやつですか……!?
顔なんか、
先輩の唇と俺の唇が近くて、一センチも離れてないんじゃないかってくらい!!
先輩がうっかり腕の力緩めたら、キスしちゃいそ…………!!
鼻なんか、軽く当たって…………
え、
ほんとに、夢じゃないよね?
え、違うよ、先輩の荒い息づかいが聞こえてくるし、ほとんど距離がないから、先輩の体温がじんわり感じられるし!!
っていうか、俺の心臓の音うるさい!!
ドクドクドクドク…………
あれ、俺だけの心音じゃないような…………
先輩の心音もまざってる…………??
脳ミソはふる回転だけど時間はゆっくり進んで、先輩と見つめあって、
見つめあって…………
「ありがとうございます…………」
先輩の口が動いて囁き声が聞こえる
一瞬、キスされるのかと思ったのは内緒。
「いえ…………」
むしろ、先輩の体にこんなに密着して、こちらこそありがとうございます!先輩のファンにみられたら俺ぼっこぼこにされそうな格好してるもんね!
「花火のことですよ」
先輩の目線が俺の目から離れて、立ち上がろうと動く。よかった、先輩が俺の上からどいてくれたお陰で、やっと俺も立ち上がれるよ。
え??
花火…………??
一瞬思考停止してると、
痛っ!!
なんか小石がぶつかってたきたんだけど!
ばって、石が飛んできた方向を見ると、
「お家…………帰りたい…………!!!」
なんか白いものが近付いてきてる!
うへっ。小石って暴力的な幽霊だな!
先輩もそれに気づいたみたいで、
「花火を落とさなくて良かったです!!」
そう小声で叫んで、俺が立ち上がろうとするのを助けてくれて、俺たちそのまま手を繋いでダッシュ。
花火!?…………あ、花火ね!!!
そっち…………
うん、
失くしたら大変だもんね、
ゴールまで行っても花火なかったから困るよね、
無事でよかったね…………花火!!!
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