百色学園高等部

shine

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百華祭

久しぶりですね

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「ゆいりくん。久しぶりですね」



って、
いつものように、

優しく微笑んでるのは。


「明美先輩……。」



「おう。俺もいるぞ。懐かしいな」


と、

蓮先輩だった。
わぁ、凄い。俺がぶつかってしまって、転びそうになった明美先輩を支えてる。

反射神経いいなぁ……。
なかいいんだなぁ……。

いつまでその手、明美先輩の腰をさわってるつもりだろう……。

なんて脳みその半分は考えながら、


「お、お久しぶりです……。先輩方……」



どうしよう。陰キャの俺は、久しぶりの先輩方への挨拶の方法がわからない……から、


凄い、反応に困る……。



けど、やっぱり本物の陽キャの蓮先輩は、



「どうしたんだ~??何かから逃げてたのか??」

うん。さすが。話題作り出すのうまいね。

この一言のお陰で
すぐにすんなり会話が始まる。



「そうなんです!俺、メイド服が追いかけてくるんです!危機なんです!!」


なんてはちゃめちゃな日本語なんだろう。

テンパってんだ。ゆるしてくれ。
とはいっても
それで通じてくれたらしい。

の、だが……

「唯利がメイド服??くっ……くくくく!!!!!」

「わ、笑わないでくださいよ!!!!!!//////」


豪快に笑われてしまった……。
いや、
蓮先輩のこんな感じの笑いは慣れてるけども!
明美先輩のポカンとした顔が、こっちを見て……
うぅ……
はずかしぃよぉ……涙


「笑ってないぞ。いいじゃないか!!メイド服。似合うと思うぞ……ぷっ……」



「ムリムリ!!へそがでるくらい、お腹が短いんです!絶対おかしい!腹筋見えちゃう!」

そう、俺のメイド服姿、
そこまで嫌って訳じゃないけど、
女装だって、
それは企画の一部だってわかってるし、けど、

ゆるせないの、

お腹、短いの!!

しかも、お腹だけじゃないんだよ、短いの!!
足だって、ミニスカ!!
足の筋肉があるのが見えるじゃん!

見苦しいじゃん!

俺、男だよ!?
ムキムキの男の筋肉がでてるなんて、ムリムリ!!!

「ああいうメイド服は女の子が着るから可愛いんであって、オレなんかが着たら、もはやネタを通り越して見苦しいというか……!!!」


でも、
俺は必死に反論してるのに、

「いや、でもお前、コスプレとか好きじゃん。アロハとか」

まだまだちゃかしてくるから、
オレはさらに反撃……


「いやいや、アロハシャツはコスプレじゃないですよ!!」

「でも、頭に花冠着けてたじゃん!!」

「いや、だから、それは、リュカに無理やりつけられて……!!」

オレが激熱に口論……言い合い……言い訳……弁明してたら、



「アロハ……??」


明美先輩が口を開く。

おっと、
いけない、明美先輩をおいてけぼりにして
明美先輩が知らない話をしちゃってた……

「リュカ達と沖縄に行った時、アロハシャツ着たから、それを蓮先輩にLINEで送って……」

「LINEで……??」

うっ、ごめんなさい、

いや、その、話の輪に入らせないようにしてたわけじゃなくて……


なんか、
明美先輩が、
俺の顔をじってみるから……


「蓮先輩と、どこ行ったとか、たまに連絡とりあってたんです……!!」

うぅ、
なんかちょっとうしろめたくて
焦ってる感じに勝手に口が早口になる。


「そうそう、こいつ夏休み中に家族で日本を色々旅行したらしいよ、」

「そうなんですぅ……」

うぅ、
なんか明美先輩がこっち見てる気配するけど、
なんか直視できない……!



「…………。……そうですか……唯利くんと、蓮、夏休み中にそんなに連絡とってたんですね(小声)……」

いや、

まあ、
確かに
よく蓮先輩とは夏休みLINEして……
ていうか、今もしてますけど……


まぁそのお陰で、
夏休み最後に大風邪ひいたの見つけてもらえるのに繋がったから、よかったです……!!



「風邪……?誰が……?」


「唯利。LINEの返信が遅いから、唯利の部屋に行ったら風邪で倒れてたんだ」

はい。その節はお世話になりました……

うん、ほんとに。

あれは猛反省したよー!
みーたんとドクターに猛烈に怒られたし!

「俺が病院棟に行った時は看護師さんにも怒られてただろ笑笑」

「そ、それは、夏休みの宿題が終わらなかったから……!」

ナースさん達に隠れてやるの大変だったんだよ!
急に点滴変えにきたりとかするから、急いで勉強道具を布団の中に隠してね……



「お見舞いにも行ったんですか?そんな、唯利くんが風邪ひいたなんて、私知りませんでしたよ!」


「ま、そりゃ、明美は実験室にこもってたからだろ……」


へぇ、
明美先輩、夏休み実験室で過ごしてたんだ……
知らなかったなぁ……

「教えてくれればよかったじゃないですか!!そしたら私も、お見舞いに行ったのに!!」


「い、いや、そんな、俺のお見舞いより実験優先してくださいよ!!」

だってほら、一時間ごとに統計とらないきゃいけない実験とかあるでしょ?

そんな、明美先輩の貴重な時間を俺にさいてもらう事なんかできないよ……!


「なんですか?ゆいり君は、私にお見舞いにきてほしくなかったていう事ですか!?」

「い、いや、そ、そういうことではなくて……汗」

あれ、なぜか、
明美先輩がすねてるような……?
なんでだろ?



てか、
むしろ、明美先輩が夏休み中も実験室にこもってたなんて知らなかったなぁ……

理科実験棟かな……?

俺も行きたかったなぁ……ゴールデンウィークの時みたいに。

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