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百華祭
可愛い後輩
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神無月明美視点
好きだと、
そう自覚し始めたのは、いつだったのか。
最初は、
可愛い後輩だった。
なついた犬みたいだった。
ころころ表情をかえ、
おっちょこちょいでミスをしては慌てて、
仕草がとても愛おしい。
あの子が笑った時
私も笑顔を返し、
あの子が悲しそうな顔をすると、
私はあの子を慰めたくなった。
あの子は日本語以外にフランス語も英語も話せる。
普段は日本語をペラペラ話しているから
そこまではそれを意識することは少ない。
よく日本の生活に溶け込めていると思う。
意外と日本の常識も知っていて、
電車等の公の場では大声で会話しようとしないし
ゴミもポイ捨てせずに、持ち帰る。
かと思うと、
箸がうまく使えずグリンピースを転がして唸ってたり、
頼んだ生徒会の書類がフランス語で提出されていたり……。
特に、ペラペラと日本語を話しているとき、
急にカタカナが流暢な英語で発音していた時は、普段とのギャップに可笑しくて声をだして笑ってしまった。
とにかく、
あの子のする事なにもかもが可愛かった。
そんな後輩が、
明美をいつも優先にしていることに気づいて、嬉しくなったことを覚えている。
何でも、私にあわせるのだ。
「そろそろ夕食食べに明美先輩が来ると思って席をとっておきました!こっちに座ってください!」
「今日はトワイニングの紅茶にしました。先輩はアールグレイがお好きでしたよね?イギリスの紅茶は日本で売られているより香りがいいんです!飲んで見てください!」
「今日のおやつは、こっちのチョコにしました!いちごミント味、明美先輩好きでしたよね?」
他の生徒会メンバーをおいて、自分を優先にする。
ちょっと気恥ずかしいけれども、
嫌ではなかった。
そんなことが続いて、
ずっと優しくされたら。
笑顔を振り撒いて
「明美先輩とずっと一緒にいれたらいいのになぁ……」
なんて言われたら。
好きにならないでいられる方がおかしい。
「唯利くんは、明美のことが好きなんじゃないかな」
そんなことを周囲の人達に言われて、
少し舞い上がって。
けれども、
自信が持てなくて。
それでも、
ゆいり君は明美を一番に優先してくれるから、調子に乗ってたのだと思う。
唯利君は私のそばにいることが多くて
きっと、こんな関係がずっと続くのだと、
そう思ってた。
けれど。
いつの間にか
ライバルはたくさんいた。
今は、蓮と楽しそうに話している。
夏休み中
唯利くんにLINEしようと思って
何を送っていいかわからなくて。
ずっと悩んで。
唯利君からメール来ないかスマホの着信音に耳をすませて。
その悩みに逃れるように実験に没頭して。
実験が一段落つくと、
また来ないLINEが気になるから、
新しい研究を始めた。
それを繰り返して
ついに一言もメールのやり取りをすることなく
そのまま、夏休みが開けてしまった。
けれども、
明美がぐずぐず悩んでいたそんななか
蓮とはほとんど毎日のように連絡をしていたらしい。
なぜ、
なぜ……?
私とはメールのやり取りは一回もしなかったのに。
蓮とは、
あんなに、仲良くなって。
抱きついたり、
笑いあったり、
私の知らない話をしたり……。
私より、蓮と一緒にいる方が、自然に見える。
なついていた犬が、
気づいたら他の所で甘えていたみたいな……
なにか、
心にもやもやしたものを感じる。
気づいたら、
距離がこんなに……離れてて。
なんで……?
どうして……?
唯利くんは、わたしのこと……
どう思ってたんですか?
もしかして、
ほんとは…………
好きだと、
そう自覚し始めたのは、いつだったのか。
最初は、
可愛い後輩だった。
なついた犬みたいだった。
ころころ表情をかえ、
おっちょこちょいでミスをしては慌てて、
仕草がとても愛おしい。
あの子が笑った時
私も笑顔を返し、
あの子が悲しそうな顔をすると、
私はあの子を慰めたくなった。
あの子は日本語以外にフランス語も英語も話せる。
普段は日本語をペラペラ話しているから
そこまではそれを意識することは少ない。
よく日本の生活に溶け込めていると思う。
意外と日本の常識も知っていて、
電車等の公の場では大声で会話しようとしないし
ゴミもポイ捨てせずに、持ち帰る。
かと思うと、
箸がうまく使えずグリンピースを転がして唸ってたり、
頼んだ生徒会の書類がフランス語で提出されていたり……。
特に、ペラペラと日本語を話しているとき、
急にカタカナが流暢な英語で発音していた時は、普段とのギャップに可笑しくて声をだして笑ってしまった。
とにかく、
あの子のする事なにもかもが可愛かった。
そんな後輩が、
明美をいつも優先にしていることに気づいて、嬉しくなったことを覚えている。
何でも、私にあわせるのだ。
「そろそろ夕食食べに明美先輩が来ると思って席をとっておきました!こっちに座ってください!」
「今日はトワイニングの紅茶にしました。先輩はアールグレイがお好きでしたよね?イギリスの紅茶は日本で売られているより香りがいいんです!飲んで見てください!」
「今日のおやつは、こっちのチョコにしました!いちごミント味、明美先輩好きでしたよね?」
他の生徒会メンバーをおいて、自分を優先にする。
ちょっと気恥ずかしいけれども、
嫌ではなかった。
そんなことが続いて、
ずっと優しくされたら。
笑顔を振り撒いて
「明美先輩とずっと一緒にいれたらいいのになぁ……」
なんて言われたら。
好きにならないでいられる方がおかしい。
「唯利くんは、明美のことが好きなんじゃないかな」
そんなことを周囲の人達に言われて、
少し舞い上がって。
けれども、
自信が持てなくて。
それでも、
ゆいり君は明美を一番に優先してくれるから、調子に乗ってたのだと思う。
唯利君は私のそばにいることが多くて
きっと、こんな関係がずっと続くのだと、
そう思ってた。
けれど。
いつの間にか
ライバルはたくさんいた。
今は、蓮と楽しそうに話している。
夏休み中
唯利くんにLINEしようと思って
何を送っていいかわからなくて。
ずっと悩んで。
唯利君からメール来ないかスマホの着信音に耳をすませて。
その悩みに逃れるように実験に没頭して。
実験が一段落つくと、
また来ないLINEが気になるから、
新しい研究を始めた。
それを繰り返して
ついに一言もメールのやり取りをすることなく
そのまま、夏休みが開けてしまった。
けれども、
明美がぐずぐず悩んでいたそんななか
蓮とはほとんど毎日のように連絡をしていたらしい。
なぜ、
なぜ……?
私とはメールのやり取りは一回もしなかったのに。
蓮とは、
あんなに、仲良くなって。
抱きついたり、
笑いあったり、
私の知らない話をしたり……。
私より、蓮と一緒にいる方が、自然に見える。
なついていた犬が、
気づいたら他の所で甘えていたみたいな……
なにか、
心にもやもやしたものを感じる。
気づいたら、
距離がこんなに……離れてて。
なんで……?
どうして……?
唯利くんは、わたしのこと……
どう思ってたんですか?
もしかして、
ほんとは…………
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