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ヤンデレルート
ヤンデレ編番外編2 2/2
如月の夫、井領陽介には何度か会った頃がある。初めて会ったのは俺と他の大学時代の友人で企画した披露宴パーティーの時だ。聞けば井領とはそういった祝い行事をするつもりはないとのことなので、如月には内緒で披露宴を企画してやるかと友人らと企てたのだ。単に旧友らを集めて、如月を囲んで久しぶりにどんちゃん騒ぎをしたかったという理由もあったが。
如月はきっと近い将来、どこぞのお嬢さんに請われるまま盛大に結婚式や披露宴をやらされるのだとばかり思っていたが、井領という突然如月の人生に降って沸いた男のせいでその予想は大きく覆されてしまった。友人代表スピーチは俺がやってやると如月をしょっちゅう揶揄していたのに、その予想はまるで間違うものになってしまった。
披露宴を企画した当時、友人らと悪ノリして真っ白なタキシードも準備してやったのだが、これは嫌味なくらい似合っていて誰も文句のつけようもなかった。しかし残念なことに、どこぞの王子のようにキマっている新郎の如月の横に立つのは、やはり同様にタキシードを着た新郎だった。
それを見た女共はきゃあきゃあと騒いでいたが、男連中は「あの如月が男と? マジかよ」「あいつなら選び放題なのに、もったいない」「心神耗弱状態に陥っていて判断能力が著しく低下してるんじゃないか」「なるほど、どうりで」「でも相手は医者だっていうじゃないか」「おい、相手の名前ググってみろよ。金持ち一族らしいぞ」「玉の輿じゃないか、羨ましい……」「俺ならヒモになるわ」と下世話な会話とともに哀れみなのか羨望なのかよく分からない視線を向けていた。
そこで初めて会った夫の井領の印象というのは……顔はまぁまぁ。背も如月より少し高く、体つきもいい。性格は一見温和そうで物腰も柔らかい。上流階級の出だろうなと思ったら案の定、親類揃って医者一族だそうだ。
如月からそいつはαだと聞いていたが、如月のようないかにもαという感じの雰囲気やある種のカリスマ性なんかは見受けられなかった。男にしてはどこかおっとりした垢抜けない雰囲気で、言われてみればたしかにαかもしれないなという程度だ。
何故如月がこいつと? 如月の好みの性別、外見ともに正反対じゃないか。男でデカくて美人でも可愛らしい顔立ちでもなく、胸もない。……こいつがありなら、俺でもいけたのでは? そういう淡い期待のような気持ちが湧いたが、現時点で結婚まで決めた状態では今更どうにもならない。
二人が一緒にいるところを見るまで、如月が井領という男と結婚を決めたことはどうにも腑に落ちなかったが、パーティーで二人を見ていたらなんとなく理解した。性格的には、井領は如月の好みど真ん中だったからだ。
如月は根が単純だ。分かりやすく素直に感情をさらけ出して、子犬みたいに甘えて好意を寄せてくる相手に弱い。彼は相手を甘やかすのが好きなのだ。井領の外見を抜きにすると、今まで付き合ってきた女のタイプを男に当てはめたなら、中身はこんな感じだろう。……俺とは正反対だ。プライドが高く、本心を隠して物事を斜に構える。
なるほど、如月が好きになるわけだと納得した。そしてノンケのはずだったのに男相手でも体の関係を持てるに至ったのは、恐らく彼がΩだからだろうと推察した。
ーーどういう手段を使ったか知らんが、うまくやったな。
如月と井領が結婚することは受け入れたが、同時に俺は井領という男が気に食わなかった。出し抜かれて如月と結婚したからという理由ではない。単にその目が気に食わなかった。
如月は話し振りからすると恐らく、この男のことを無邪気な子犬くらいに考えているようだがとんでもない。この男子犬なんかじゃなく狡猾な蛇野郎だ。ノンケのはずだった如月を嵌める手管。俺を含め如月の周囲の人間を見る目つき。俺が悪ふざけで如月の尻に触れた途端、視線で人を殺せそうな目つきをして睨みつけてきた瞬間を俺は見逃さなかった。無邪気なんぞとは程遠い、嫉妬深く暗い目だ。
井領は一見すると誰にでも丁寧な物腰で人当たりはいいが、その実は異なるのだということを感じさせる男だった。披露宴中はずっと如月にへばりついていて、さりげなく周囲の人間を牽制しているようだった。
ーーおいおい、こんな奴と結婚して大丈夫か。
俺はその場で心配になったが、自分が企画までした祝いの席でそんな水を差すわけにはいかず飲み込んだ。せめてもっと早く教えてくれたなら。時すでに遅しだ。
こうして俺は如月と井領が結婚するのをただ指を咥えて見ていただけだった。
二度目に会ったのは確か職場の忘年会か打ち上げだかの際だ。まだ一軒目の途中で如月がソワソワとしているから、どうしたんだと聞いたら、そろそろ帰ると言い出した。
「はぁ? お前、あれだけ所長に気に入られてるんだから当然、二次会にも行くんだよな? 鹿島さんもお前が来るって楽しみにしてたんだぞ。出世したいんだろう? ここで帰るなんてもったいないことするな」
「……いや、悪いけど今日は帰るよ。このところ陽介のことを全然構ってやれてないから」
鹿島というのは勤める事務所の新しいパートナー弁護士だ。やり手で、一緒に仕事をすると実に勉強になる。彼に気に入られることは大いに如月のプラスになるはずで、彼もそれを分かっていないはずはないのに、久しぶりに夫を構ってやりたいからというふざけた理由で帰ると言い出したのた。
「おいおい、そんなんで俺より先に出世できると思ってんのか?」
「もちろん。負ける気はない。……それで悪いんだが、帰ったこと、お前からうまく言っといてくれないか」
「しょうがない奴だな、まったく。……わかったよ」
渋々了承した俺に如月は頼む、と言い目立たないようさりげなく会場から消えていった。
確かその日の朝は雨で、如月が席に折り畳み傘を忘れたことに気がついたので渡してやろうと店の外まで追いかけたところ、ちょうど井領といるところに出くわした。
成人した男をわざわざ店の前まで迎えに来るなんて、と俺は若干引いた。その時、俺の表情は感情が漏れて少し引き攣っていたかもしれない。目が合った井領は如月から見えない角度で俺を睨みつけた。
ーー相変わらず嫌な目をしてるな。
明らかに俺は『敵』認定されていた。如月は井領が俺を見る視線には全く気がついていない。井領も、気づかせないようにしているらしかった。
「ありがとう。わざわざ悪いな室賀」
「いいって。明日も雨らしいから、今日渡したほうがいいと思ってな」
「そうだな……あ、まずい。もう一つ忘れ物してる。陽介、悪いけどもう少し待っていてくれるか?」
そう言うと、俺と一緒に店に戻ればいいのに如月は慌てて一人で店が入るビルの中に足早に向かって行ってしまった。
まぁいいかと、俺はこの際だから目の前の井領に忠告することにした。井領に簡単に再会の挨拶を交わすと、すぐに本題に入った。
「井領さん。差し出がましいようで恐縮ですが、少し束縛が過ぎるのでは?」
俺は今日のようなことが初めてではないことや、井領が如月のスマートフォンを監視していることを知っていた。雑談の中でこともなげな様子で漏らしたその事実に俺はドン引きしたのだが、如月はそのことについて「陽介は心配性だからな」とその異常性に気付いていないようだった。
俺の知る限り如月は昔からこういった束縛をしてくる相手とばかり付き合っている。大学時代の如月の歴代彼女達は、皆始めは優しそうな普通の女の子だと思っていたのに気がつけば『メンヘラ』化していたことを思い出した。激しい束縛に行動の監視、鬼のような着信履歴に恋愛駆け引きや試し行為。彼はしょっちゅうそういったメンヘラ女に引っかかり、その行動に振り回されては疲弊し、破局した。それに懲りるとしばらくは後腐れのない相手を選ぶのだが時間が経つと寂しくなるのか忘れてしまうのかは知らないが、また懲りずにメンヘラ女に引っかかるという、まるでメンヘラ沼でキャッチアンドリリースをしているような負のサイクルを繰り返していた。
そうして徐々にメンヘラに耐性がつき束縛されること慣れてしまった如月は哀れにも、『交際相手から行動を監視、制限されることは普通のことである』という間違った学習をしてしまったようだ。
如月はメンヘラ女に好かれるタイプなのかと思っていたが、井領を見るところそれはどうやら男にも当てはまるらしい。
またか、と俺は呆れた。いつまで経っても懲りもせずにどこからかメンヘラを引っ掛けてくる如月の趣味の悪さと脇の甘さが心配になる。ここまでくるとむしろ、如月こそがメンヘラ製造機なのでは? と疑いたくなる次第だ。
それに如月の交際相手が病む気持ちもわからないでもない。もっとも親しい友人として、彼の歴代の元カノから相談、時には牽制を受けてきた俺にはその理由が簡単に察せられた。
『最初は彼から色々話しかけてくれるんだけど、実は聞き上手で私の話をたくさん聞いてくれる』
『忙しいし、友達も多いから二人きりでいられる時間がすごく少ない。連絡の返信も遅いし彼からもあまりしてくれない。でも、いざ二人きりになるとすごく甘やかしてくれるの。お姫様みたいに大事に扱ってくれる』
『二人の時間が少なすぎて寂しい。でも耐えられなくなる直前で連絡が来て欲しい言葉をくれるの。そのタイミングがあまりに絶妙で』
『もっと一緒にいたいのに、男友達との時間を優先しすぎ。だから彼を誘うのをやめてくれないかな?』
『ただでさえ周りに女がうろついてるのに、なんで彼を他の女がいる飲み会に誘うの? それって、ひどくない?』
そう言う女たちはどいつもこいつも如月には直接言わずに、何故か俺のところにクレームを寄越す。俺にはなんのメリットもないどころか、時には親の仇かのような目で敵視された理不尽な記憶が蘇る。
大学時代、その毎度の恒例行事に俺は辟易していた。これで如月がいい奴じゃなかったらとっくに友人を辞めているところだった。
如月も悪い。元カノらの証言が本当だとすれば、たしかにメンヘラにもなりそうなものだ。女からしたら王子のごときイケメンが絶妙な飴と巧妙な鞭で弄ぶような扱いをしてくる。若い女は嵌っても仕方がないだろう。本人に聞く限りいくらそれが無意識とはいえ、そこそこタチが悪い。
いい加減理不尽なクレームに飽き飽きした俺が女の扱いについて如月に苦言を呈すと彼は「そんなつもりじゃなかった。悪い、反省する」と言うが、その後がまた酷い。「室賀は悪くないから、責めないでくれ」と如月に言われた女たちは、その言葉を無視してさらに俺に食ってかかった。
『なんで如月君に言うの』
『最低』
『信じてたから相談したのに』
都度悪評をばら撒かれた俺は、それを三度繰り返して以降二度と如月に文句を言わなかった。これは、彼の最も近い友人でいることの代償なのだと知ったからだ。黙って話を聞き、女や如月を責めることなく「そうだね、寂しいね」と話を聞いてやるふりをして適当に共感してやることが最も楽にやり過ごせる方法だと学んだ。そうすることで俺の評判は跳ね上がる。「優しい人」と評価されて時折女の友人を紹介してもらえるようにすらなった。ようやくwin-winの良いバランスになったのだ。
大学を卒業してからはそのような出来事から遠ざかっていたから、てっきり如月はメンヘラ製造をやめて交際相手の上手い扱いを覚えたのかと安堵していたのだが、そうではなかったようだ。目の前の男を見るに、むしろさらにたちの悪い相手を選んでしまったらしい。
ーーメンヘラの度合いがレベルアップしてないか? 如月の奴、いい加減にしないといつか刺されるんじゃないか……。
痴情のもつれで如月がメッタ刺しにされる、考えたくもない恐ろしい未来が脳裏によぎる。
半ば自業自得とはいえ、結婚してもなおメンヘラに振り回される友人を心配に思った俺は井領に忠告してやることにした。すると奴は如月には決して見せないしかめ面とふてぶてしい口調で俺に言い返したのだ。つい先程まで如月に向けていた、人の良さそうな優しげな微笑みは見事に消え去っていた。
「束縛が過ぎる、とは? どう意味か分かりかねますが」
「では率直に言いましょう。如月はいい大人だ。夫夫とはいえ、個人の交友関係にまで口を挟むべきではないのでは? 今日みたいな日の宴会では彼の出世もかかっているんです。如月が出世を望んで、頑張っていることはご存知でしょう。あなたも社会人なのだから事情は分かるはずだ。だから夫のあなたが足を引っ張るようなーー」
「ッ、修は!」
俺の声を遮るように井領が声を被せた。失礼な奴だと思ったが、俺はそれを聞いてやることにした。
「修一は、それを許してくれています。修一がいいと言ってくれている以上、問題はないのでは? ……大学からの友人だかなんだか知りませんが、あなたには関係ない。これは夫夫の問題です。口を出さないでもらえますか」
「しかし……」
井領は「夫夫」というところを殊更強調して言うと勝ち誇ったような態度を見せた。そのことに俺が言葉を詰まらせているうちに、ちょうど如月が戻ってきた。
「待たせた。……二人とも何だか顔が怖くないか。なにを話してたんだ?」
「別に、再会の挨拶をしてただけだ」
「そう。なんでもないよ、修。室賀さんには久しぶりに会ったからね。それで、忘れ物はもう大丈夫なの? 早く帰ろう」
「そうか、ならいいが……。じゃあ室賀、また明日な」
それでは、室賀さん。などとニッコリと笑い、いけしゃあしゃあと態度を豹変させた井領は乗ってきた車に如月を乗せると去っていった。
どうやら、相当俺は如月の夫に嫌われたらしい。忠告をする前からひどい目つきで睨まれていたから、そもそも初めて会った時から俺のことは気に食わなかったのだろう。たしかに披露宴の時には如月が人のものになる前の最後の機会にと思って、多少の下心を持って体に触れたことは認める。過去に如月で抜いたことがないとも言わないが、これは関係ないだろう。
井領の立場からしたら、自分の夫の周りを下心を持った奴がうろついていたらピリピリするのも仕方がない。それにしてもそれを隠すあの猫のかぶり方には感心したが。
ふと思う。もし俺が大学時代、あいつより先に一歩踏み出せていたら今頃隣にいたのは自分だったのだろうかと。……いや、そんなことは無意味な妄想に過ぎない。俺は井領より三年も前からあいつのそばにいたのに、友人の立場に甘んじてただの一歩も踏み出せなかった腰抜けだ。その報いを今、思い知らされているだけだ。
井領はどんな手を使ったのか知らないが勇気を出してノンケの如月に挑み、困難に打ち勝ってその隣の席を得たのだ。そのことは称賛に値する。そして俺は友人として如月のそばにいることを選んだ。それだけの違いだ。
「俺は腰抜けの、ただの負け犬だな」
思わずそう呟いた。
なんだか賑やか過ぎる飲み会の席に戻る気にもなれなくて、如月には悪いが俺もさっさと帰ることにした。そのままどこか沈んだ気分で帰途につく為に目の前の通りでタクシーを捕まえたのだった。
「……よし、片付いた。悪い室賀。待たせたな」
昔の記憶を思い出していた俺に如月が声をかけた。
「いや、大して待ってないよ。じゃあ行こうか。今日はなに食う?」
「いつもの定食屋でいいんじゃないか?」
「またあそこか? たまにはもっと豪勢に行かないか」
「豪勢ってなんだよ。ホテルのレストランのランチでも行こうってのか」
「ああ、それもいいかもな」
「男二人で? はは、冗談だろう。最近、近くにできたイタリアンバルはどうだ? 混んでるかもしれないが、ダメだったらいつもの定食屋で」
冗談だろうって、お前はその男二人で結婚までしてるじゃないか。ランチどころかもっと過激なことだってやってるんだろう?
そう言いたかったが友人として不適切なその言葉は飲み込んだ。俺は友人として、この男の隣に立つことを選んだのだから。
「なぁ、如月」
「うん?」
如月がエレベーターのボタンを押しながら返事をする。
「……今度こそ幸せになれよ。結婚おめでとう」
「突然だな、おい。結婚どころかまだプロポーズすらしてないけど……ありがとう」
先日、如月から聞かされたのは離婚した筈の井領にプロポーズをするという驚きのニュースだった。偶然再会して再び付き合い出したとは聞いていたが、まさか再婚しようとは。一度失敗した相手とまた再婚しようだなんて学習しないのか、そこまで愛が深いのか俺にはわからない。
如月が離婚してフリーになっていた間、俺は何のアプローチもかけなかった。如月が男と付き合えると知っても、まったく如月の好みでない上にそういう対象として意識すらされていない俺が仕掛けてうまくことが運ぶ確率は? 15年かけて如月との間に築き上げたものを賭けるには、井領が座っていた席を俺が得る確率は低すぎた。
わずかな可能性に賭けて全てを手に入れるか、全てを失うか。それとも今まで通り無二の友人として、仕事上のパートナーとしての立場でいるか。腰抜けの俺が選ぶのは当然、後者だった。俺は全てなんて望まない。彼の8割を得られればそれでいい。自分の中でとうに折り合いはついていた。
「井領君なら間違いなくイエスと言うだろ。そういえば再婚の祝い、まだ言ってなかったと思ってな。ついでに今日のランチも奢ってやる」
「お、いいのか。じゃあ有り難くご馳走になるかな。プロポーズに失敗したら奢り損になるけど。……そういえば、お前は結婚はしないのか?」
「おい、余計なお世話だ。……まぁ、俺もそのうちな。まだいまいちイメージ沸かないから、お前らが幸せな結婚生活のお手本でも見せてくれよ。そうしたら俺も結婚したい気持ちが湧いてくるかも」
「はは、なんだよそれ」
「だから、ちゃんと幸せになるんだぞ」
「はいはい。今度お前に結婚生活がなんたるかを教えてやるから、覚悟しとけよ」
こういう何気ない会話が楽しい。如月はいっそ清々しいほどに俺を友人としてしか見ていない。過去に下手に動いていたら、もしかしたら今のこの立場にない可能性だってあった。やはり俺には、この立ち位置が相応しいのだと思う。
夫の席は井領にくれてやる。だが親友と仕事のパートナーの席は俺のものなのだと、俺は負け犬らしく内心でそう如月の夫に告げてやったのだった。
如月はきっと近い将来、どこぞのお嬢さんに請われるまま盛大に結婚式や披露宴をやらされるのだとばかり思っていたが、井領という突然如月の人生に降って沸いた男のせいでその予想は大きく覆されてしまった。友人代表スピーチは俺がやってやると如月をしょっちゅう揶揄していたのに、その予想はまるで間違うものになってしまった。
披露宴を企画した当時、友人らと悪ノリして真っ白なタキシードも準備してやったのだが、これは嫌味なくらい似合っていて誰も文句のつけようもなかった。しかし残念なことに、どこぞの王子のようにキマっている新郎の如月の横に立つのは、やはり同様にタキシードを着た新郎だった。
それを見た女共はきゃあきゃあと騒いでいたが、男連中は「あの如月が男と? マジかよ」「あいつなら選び放題なのに、もったいない」「心神耗弱状態に陥っていて判断能力が著しく低下してるんじゃないか」「なるほど、どうりで」「でも相手は医者だっていうじゃないか」「おい、相手の名前ググってみろよ。金持ち一族らしいぞ」「玉の輿じゃないか、羨ましい……」「俺ならヒモになるわ」と下世話な会話とともに哀れみなのか羨望なのかよく分からない視線を向けていた。
そこで初めて会った夫の井領の印象というのは……顔はまぁまぁ。背も如月より少し高く、体つきもいい。性格は一見温和そうで物腰も柔らかい。上流階級の出だろうなと思ったら案の定、親類揃って医者一族だそうだ。
如月からそいつはαだと聞いていたが、如月のようないかにもαという感じの雰囲気やある種のカリスマ性なんかは見受けられなかった。男にしてはどこかおっとりした垢抜けない雰囲気で、言われてみればたしかにαかもしれないなという程度だ。
何故如月がこいつと? 如月の好みの性別、外見ともに正反対じゃないか。男でデカくて美人でも可愛らしい顔立ちでもなく、胸もない。……こいつがありなら、俺でもいけたのでは? そういう淡い期待のような気持ちが湧いたが、現時点で結婚まで決めた状態では今更どうにもならない。
二人が一緒にいるところを見るまで、如月が井領という男と結婚を決めたことはどうにも腑に落ちなかったが、パーティーで二人を見ていたらなんとなく理解した。性格的には、井領は如月の好みど真ん中だったからだ。
如月は根が単純だ。分かりやすく素直に感情をさらけ出して、子犬みたいに甘えて好意を寄せてくる相手に弱い。彼は相手を甘やかすのが好きなのだ。井領の外見を抜きにすると、今まで付き合ってきた女のタイプを男に当てはめたなら、中身はこんな感じだろう。……俺とは正反対だ。プライドが高く、本心を隠して物事を斜に構える。
なるほど、如月が好きになるわけだと納得した。そしてノンケのはずだったのに男相手でも体の関係を持てるに至ったのは、恐らく彼がΩだからだろうと推察した。
ーーどういう手段を使ったか知らんが、うまくやったな。
如月と井領が結婚することは受け入れたが、同時に俺は井領という男が気に食わなかった。出し抜かれて如月と結婚したからという理由ではない。単にその目が気に食わなかった。
如月は話し振りからすると恐らく、この男のことを無邪気な子犬くらいに考えているようだがとんでもない。この男子犬なんかじゃなく狡猾な蛇野郎だ。ノンケのはずだった如月を嵌める手管。俺を含め如月の周囲の人間を見る目つき。俺が悪ふざけで如月の尻に触れた途端、視線で人を殺せそうな目つきをして睨みつけてきた瞬間を俺は見逃さなかった。無邪気なんぞとは程遠い、嫉妬深く暗い目だ。
井領は一見すると誰にでも丁寧な物腰で人当たりはいいが、その実は異なるのだということを感じさせる男だった。披露宴中はずっと如月にへばりついていて、さりげなく周囲の人間を牽制しているようだった。
ーーおいおい、こんな奴と結婚して大丈夫か。
俺はその場で心配になったが、自分が企画までした祝いの席でそんな水を差すわけにはいかず飲み込んだ。せめてもっと早く教えてくれたなら。時すでに遅しだ。
こうして俺は如月と井領が結婚するのをただ指を咥えて見ていただけだった。
二度目に会ったのは確か職場の忘年会か打ち上げだかの際だ。まだ一軒目の途中で如月がソワソワとしているから、どうしたんだと聞いたら、そろそろ帰ると言い出した。
「はぁ? お前、あれだけ所長に気に入られてるんだから当然、二次会にも行くんだよな? 鹿島さんもお前が来るって楽しみにしてたんだぞ。出世したいんだろう? ここで帰るなんてもったいないことするな」
「……いや、悪いけど今日は帰るよ。このところ陽介のことを全然構ってやれてないから」
鹿島というのは勤める事務所の新しいパートナー弁護士だ。やり手で、一緒に仕事をすると実に勉強になる。彼に気に入られることは大いに如月のプラスになるはずで、彼もそれを分かっていないはずはないのに、久しぶりに夫を構ってやりたいからというふざけた理由で帰ると言い出したのた。
「おいおい、そんなんで俺より先に出世できると思ってんのか?」
「もちろん。負ける気はない。……それで悪いんだが、帰ったこと、お前からうまく言っといてくれないか」
「しょうがない奴だな、まったく。……わかったよ」
渋々了承した俺に如月は頼む、と言い目立たないようさりげなく会場から消えていった。
確かその日の朝は雨で、如月が席に折り畳み傘を忘れたことに気がついたので渡してやろうと店の外まで追いかけたところ、ちょうど井領といるところに出くわした。
成人した男をわざわざ店の前まで迎えに来るなんて、と俺は若干引いた。その時、俺の表情は感情が漏れて少し引き攣っていたかもしれない。目が合った井領は如月から見えない角度で俺を睨みつけた。
ーー相変わらず嫌な目をしてるな。
明らかに俺は『敵』認定されていた。如月は井領が俺を見る視線には全く気がついていない。井領も、気づかせないようにしているらしかった。
「ありがとう。わざわざ悪いな室賀」
「いいって。明日も雨らしいから、今日渡したほうがいいと思ってな」
「そうだな……あ、まずい。もう一つ忘れ物してる。陽介、悪いけどもう少し待っていてくれるか?」
そう言うと、俺と一緒に店に戻ればいいのに如月は慌てて一人で店が入るビルの中に足早に向かって行ってしまった。
まぁいいかと、俺はこの際だから目の前の井領に忠告することにした。井領に簡単に再会の挨拶を交わすと、すぐに本題に入った。
「井領さん。差し出がましいようで恐縮ですが、少し束縛が過ぎるのでは?」
俺は今日のようなことが初めてではないことや、井領が如月のスマートフォンを監視していることを知っていた。雑談の中でこともなげな様子で漏らしたその事実に俺はドン引きしたのだが、如月はそのことについて「陽介は心配性だからな」とその異常性に気付いていないようだった。
俺の知る限り如月は昔からこういった束縛をしてくる相手とばかり付き合っている。大学時代の如月の歴代彼女達は、皆始めは優しそうな普通の女の子だと思っていたのに気がつけば『メンヘラ』化していたことを思い出した。激しい束縛に行動の監視、鬼のような着信履歴に恋愛駆け引きや試し行為。彼はしょっちゅうそういったメンヘラ女に引っかかり、その行動に振り回されては疲弊し、破局した。それに懲りるとしばらくは後腐れのない相手を選ぶのだが時間が経つと寂しくなるのか忘れてしまうのかは知らないが、また懲りずにメンヘラ女に引っかかるという、まるでメンヘラ沼でキャッチアンドリリースをしているような負のサイクルを繰り返していた。
そうして徐々にメンヘラに耐性がつき束縛されること慣れてしまった如月は哀れにも、『交際相手から行動を監視、制限されることは普通のことである』という間違った学習をしてしまったようだ。
如月はメンヘラ女に好かれるタイプなのかと思っていたが、井領を見るところそれはどうやら男にも当てはまるらしい。
またか、と俺は呆れた。いつまで経っても懲りもせずにどこからかメンヘラを引っ掛けてくる如月の趣味の悪さと脇の甘さが心配になる。ここまでくるとむしろ、如月こそがメンヘラ製造機なのでは? と疑いたくなる次第だ。
それに如月の交際相手が病む気持ちもわからないでもない。もっとも親しい友人として、彼の歴代の元カノから相談、時には牽制を受けてきた俺にはその理由が簡単に察せられた。
『最初は彼から色々話しかけてくれるんだけど、実は聞き上手で私の話をたくさん聞いてくれる』
『忙しいし、友達も多いから二人きりでいられる時間がすごく少ない。連絡の返信も遅いし彼からもあまりしてくれない。でも、いざ二人きりになるとすごく甘やかしてくれるの。お姫様みたいに大事に扱ってくれる』
『二人の時間が少なすぎて寂しい。でも耐えられなくなる直前で連絡が来て欲しい言葉をくれるの。そのタイミングがあまりに絶妙で』
『もっと一緒にいたいのに、男友達との時間を優先しすぎ。だから彼を誘うのをやめてくれないかな?』
『ただでさえ周りに女がうろついてるのに、なんで彼を他の女がいる飲み会に誘うの? それって、ひどくない?』
そう言う女たちはどいつもこいつも如月には直接言わずに、何故か俺のところにクレームを寄越す。俺にはなんのメリットもないどころか、時には親の仇かのような目で敵視された理不尽な記憶が蘇る。
大学時代、その毎度の恒例行事に俺は辟易していた。これで如月がいい奴じゃなかったらとっくに友人を辞めているところだった。
如月も悪い。元カノらの証言が本当だとすれば、たしかにメンヘラにもなりそうなものだ。女からしたら王子のごときイケメンが絶妙な飴と巧妙な鞭で弄ぶような扱いをしてくる。若い女は嵌っても仕方がないだろう。本人に聞く限りいくらそれが無意識とはいえ、そこそこタチが悪い。
いい加減理不尽なクレームに飽き飽きした俺が女の扱いについて如月に苦言を呈すと彼は「そんなつもりじゃなかった。悪い、反省する」と言うが、その後がまた酷い。「室賀は悪くないから、責めないでくれ」と如月に言われた女たちは、その言葉を無視してさらに俺に食ってかかった。
『なんで如月君に言うの』
『最低』
『信じてたから相談したのに』
都度悪評をばら撒かれた俺は、それを三度繰り返して以降二度と如月に文句を言わなかった。これは、彼の最も近い友人でいることの代償なのだと知ったからだ。黙って話を聞き、女や如月を責めることなく「そうだね、寂しいね」と話を聞いてやるふりをして適当に共感してやることが最も楽にやり過ごせる方法だと学んだ。そうすることで俺の評判は跳ね上がる。「優しい人」と評価されて時折女の友人を紹介してもらえるようにすらなった。ようやくwin-winの良いバランスになったのだ。
大学を卒業してからはそのような出来事から遠ざかっていたから、てっきり如月はメンヘラ製造をやめて交際相手の上手い扱いを覚えたのかと安堵していたのだが、そうではなかったようだ。目の前の男を見るに、むしろさらにたちの悪い相手を選んでしまったらしい。
ーーメンヘラの度合いがレベルアップしてないか? 如月の奴、いい加減にしないといつか刺されるんじゃないか……。
痴情のもつれで如月がメッタ刺しにされる、考えたくもない恐ろしい未来が脳裏によぎる。
半ば自業自得とはいえ、結婚してもなおメンヘラに振り回される友人を心配に思った俺は井領に忠告してやることにした。すると奴は如月には決して見せないしかめ面とふてぶてしい口調で俺に言い返したのだ。つい先程まで如月に向けていた、人の良さそうな優しげな微笑みは見事に消え去っていた。
「束縛が過ぎる、とは? どう意味か分かりかねますが」
「では率直に言いましょう。如月はいい大人だ。夫夫とはいえ、個人の交友関係にまで口を挟むべきではないのでは? 今日みたいな日の宴会では彼の出世もかかっているんです。如月が出世を望んで、頑張っていることはご存知でしょう。あなたも社会人なのだから事情は分かるはずだ。だから夫のあなたが足を引っ張るようなーー」
「ッ、修は!」
俺の声を遮るように井領が声を被せた。失礼な奴だと思ったが、俺はそれを聞いてやることにした。
「修一は、それを許してくれています。修一がいいと言ってくれている以上、問題はないのでは? ……大学からの友人だかなんだか知りませんが、あなたには関係ない。これは夫夫の問題です。口を出さないでもらえますか」
「しかし……」
井領は「夫夫」というところを殊更強調して言うと勝ち誇ったような態度を見せた。そのことに俺が言葉を詰まらせているうちに、ちょうど如月が戻ってきた。
「待たせた。……二人とも何だか顔が怖くないか。なにを話してたんだ?」
「別に、再会の挨拶をしてただけだ」
「そう。なんでもないよ、修。室賀さんには久しぶりに会ったからね。それで、忘れ物はもう大丈夫なの? 早く帰ろう」
「そうか、ならいいが……。じゃあ室賀、また明日な」
それでは、室賀さん。などとニッコリと笑い、いけしゃあしゃあと態度を豹変させた井領は乗ってきた車に如月を乗せると去っていった。
どうやら、相当俺は如月の夫に嫌われたらしい。忠告をする前からひどい目つきで睨まれていたから、そもそも初めて会った時から俺のことは気に食わなかったのだろう。たしかに披露宴の時には如月が人のものになる前の最後の機会にと思って、多少の下心を持って体に触れたことは認める。過去に如月で抜いたことがないとも言わないが、これは関係ないだろう。
井領の立場からしたら、自分の夫の周りを下心を持った奴がうろついていたらピリピリするのも仕方がない。それにしてもそれを隠すあの猫のかぶり方には感心したが。
ふと思う。もし俺が大学時代、あいつより先に一歩踏み出せていたら今頃隣にいたのは自分だったのだろうかと。……いや、そんなことは無意味な妄想に過ぎない。俺は井領より三年も前からあいつのそばにいたのに、友人の立場に甘んじてただの一歩も踏み出せなかった腰抜けだ。その報いを今、思い知らされているだけだ。
井領はどんな手を使ったのか知らないが勇気を出してノンケの如月に挑み、困難に打ち勝ってその隣の席を得たのだ。そのことは称賛に値する。そして俺は友人として如月のそばにいることを選んだ。それだけの違いだ。
「俺は腰抜けの、ただの負け犬だな」
思わずそう呟いた。
なんだか賑やか過ぎる飲み会の席に戻る気にもなれなくて、如月には悪いが俺もさっさと帰ることにした。そのままどこか沈んだ気分で帰途につく為に目の前の通りでタクシーを捕まえたのだった。
「……よし、片付いた。悪い室賀。待たせたな」
昔の記憶を思い出していた俺に如月が声をかけた。
「いや、大して待ってないよ。じゃあ行こうか。今日はなに食う?」
「いつもの定食屋でいいんじゃないか?」
「またあそこか? たまにはもっと豪勢に行かないか」
「豪勢ってなんだよ。ホテルのレストランのランチでも行こうってのか」
「ああ、それもいいかもな」
「男二人で? はは、冗談だろう。最近、近くにできたイタリアンバルはどうだ? 混んでるかもしれないが、ダメだったらいつもの定食屋で」
冗談だろうって、お前はその男二人で結婚までしてるじゃないか。ランチどころかもっと過激なことだってやってるんだろう?
そう言いたかったが友人として不適切なその言葉は飲み込んだ。俺は友人として、この男の隣に立つことを選んだのだから。
「なぁ、如月」
「うん?」
如月がエレベーターのボタンを押しながら返事をする。
「……今度こそ幸せになれよ。結婚おめでとう」
「突然だな、おい。結婚どころかまだプロポーズすらしてないけど……ありがとう」
先日、如月から聞かされたのは離婚した筈の井領にプロポーズをするという驚きのニュースだった。偶然再会して再び付き合い出したとは聞いていたが、まさか再婚しようとは。一度失敗した相手とまた再婚しようだなんて学習しないのか、そこまで愛が深いのか俺にはわからない。
如月が離婚してフリーになっていた間、俺は何のアプローチもかけなかった。如月が男と付き合えると知っても、まったく如月の好みでない上にそういう対象として意識すらされていない俺が仕掛けてうまくことが運ぶ確率は? 15年かけて如月との間に築き上げたものを賭けるには、井領が座っていた席を俺が得る確率は低すぎた。
わずかな可能性に賭けて全てを手に入れるか、全てを失うか。それとも今まで通り無二の友人として、仕事上のパートナーとしての立場でいるか。腰抜けの俺が選ぶのは当然、後者だった。俺は全てなんて望まない。彼の8割を得られればそれでいい。自分の中でとうに折り合いはついていた。
「井領君なら間違いなくイエスと言うだろ。そういえば再婚の祝い、まだ言ってなかったと思ってな。ついでに今日のランチも奢ってやる」
「お、いいのか。じゃあ有り難くご馳走になるかな。プロポーズに失敗したら奢り損になるけど。……そういえば、お前は結婚はしないのか?」
「おい、余計なお世話だ。……まぁ、俺もそのうちな。まだいまいちイメージ沸かないから、お前らが幸せな結婚生活のお手本でも見せてくれよ。そうしたら俺も結婚したい気持ちが湧いてくるかも」
「はは、なんだよそれ」
「だから、ちゃんと幸せになるんだぞ」
「はいはい。今度お前に結婚生活がなんたるかを教えてやるから、覚悟しとけよ」
こういう何気ない会話が楽しい。如月はいっそ清々しいほどに俺を友人としてしか見ていない。過去に下手に動いていたら、もしかしたら今のこの立場にない可能性だってあった。やはり俺には、この立ち位置が相応しいのだと思う。
夫の席は井領にくれてやる。だが親友と仕事のパートナーの席は俺のものなのだと、俺は負け犬らしく内心でそう如月の夫に告げてやったのだった。
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