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百六 やっぱり何処かズレている!だよお
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執務室に戻り、鴉のクーちゃんをそれ用に用意した止まり木に止まらせると、ハンベエはイザベラからの手紙を読んだ。
イザベラ情報に拠れば・・・・・・。
ステルポイジャン軍はバスバス平原に兵士三万人を駐屯させ、ドルドル鉱山の労働者達を厳しく監視していると有る。
また、ゲッソリナからボルマンスクへの街道を遮断し、頻りに通行者の身元確認等を行っていると言う。
推測を含むとして、イザベラは次のような内容の事を書いていた。
諜報機関であるサイレント・キッチンの隠密兵士が、未だ多数ゲッソリナやその周辺に潜んでおり、ステルポイジャン軍はその謀略を恐れ、日夜その炙り出しに余念が無いようだ。既に百名以上の人間がサイレント・キッチン関係の人間として、処刑されている。
貴族達とステルポイジャン軍の関係は微妙。バトリスク一門への苛烈な処置に震え上がって、一も二も無くフィルハンドラへの忠誠を誓った彼等であるが、同時に次は自分がステルポイジャンに滅ぼされるのでは無いかと疑心暗鬼に陥っている者が多い。
彼等は王妃モスカの所に頻りに顔を出して御機嫌伺いをしている。
王妃モスカはステルポイジャンの部下ガストランタと情交関係に有るが、その一方で貴族のノーバーという男と関係を結んだようだ。相当な淫乱である。
此処まで読んでハンベエはちょっと笑った。お色気満点で男を手玉に取るイザベラが王妃に対して、『淫乱』とは五十歩百歩、とハンベエは思ったのだ。
が、直ぐに考えを改めた。イザベラは別に王妃を揶揄したわけでもあるまい。客観的に事実を伝えて来ただけに過ぎない。
次に、ステルポイジャンと王妃の関係が伝えられていた。
両者の関係も友好的とは言えないようだ。
ステルポイジャンはフィルハンドラには忠誠を誓い、後ろ盾になっているが、王妃モスカの振る舞いを苦々しげに思っている様子。一方、王妃は王妃でステルポイジャンを煙たく感じているようだ。
世間一般はステルポイジャン達に恐れを抱き、政治向きの話をする者はほとんどいない。
読みながら、ハンベエはイザベラの情報収集力に舌を巻いている。時間的に考えて、ゲッソリナに着いてからせいぜい一日であろう。風聞を集めたのか、忍び込んで直接確かめたのか。
尚も、手紙は続く。
大分前に、ラシャレー大浴場が破壊されたようだ。これには、市民から幾分不満の声が出ている。
全体的観測としては、ステルポイジャンはラシャレー側の謀略を警戒して、ゲッソリナから直ぐには兵を動かさないように見える。
最後にイザベラの手紙はそういう内容で結ばれていた。
(ラシャレー浴場が破壊された・・・・・・ステルポイジャンめ。)
ハンベエはそこを読んだ時、俄かに口を歪めた。
(何故風呂を壊しやがる、誰が作ろうと風呂はいいもんじゃねえか。)
先頃、ゲッソリナで対面した時の印象から、実はハンベエ、ステルポイジャンという人物がそれほど嫌いでもなかったのである。
なるほど敵である。だが、かつてバンケルクに向けたほどの憎悪を抱くには至ってなかった。むしろ、重厚さを思わせるステルポイジャンの挙措発言に、一抹の敬意すら払うべきかも知れない、とさえ思っていた。
だが、ラシャレー浴場の破壊という情報はハンベエを怒らせた。たかが風呂と言うなかれ、ハンベエにとって風呂は師フデンと共有した嗜好であり、文化であった。ラシャレー浴場の破壊にハンベエは師や自分の生き方の一部を否定されたように感じたのだ。
(俺であれば、いかにラシャレーが憎くともラシャレー浴場は破壊せん。所詮、ステルポイジャンとはその程度の奴という事か。)
と急にハンベエの中でステルポイジャンの人物像が小さくなってしまった。
底が割れたわ! とハンベエは思った。
が、どうであろう? このハンベエの感情をステルポイジャンが知れば、迷惑そうな顔をするのではないだろうか。
既に何度も述べたように、この大陸では入浴の習慣は一般には普及していない。大部分の人々は行水等で事足れりとしていた。ラシャレー大浴場が繁盛していたとは云え、入浴の嗜好は一部の好事家に留まる状況である。
大部分の人間に言わせれば、『風呂なんて入らなくたって死にゃあしねえだろう。』と言ったところなのである。
そんな些細な(きっとステルポイジャンはそう思うに違いない)事で憎まれようとは困った酔狂人に巡り会ってしまったと困惑するに違いない。
例えば、後からタゴロロームにやって来たモルフィネスはラシャレー浴場が破壊された事実を知っていたが、ハンベエには伝えていなかった。彼が問題にしたのはステルポイジャン軍が行った虐殺等の非道な行為である。ラシャレー浴場の破壊等、重要視していなかったのである。
だが、ハンベエは違った。モルフィネスから伝え聞いたステルポイジャン軍の非道に対し、不人情な事には、この若者はさしたる感情を抱かなかった。
しかし、ラシャレー浴場破壊という暴挙(ハンベエに言わせれば)を知り、ステルポイジャン達への新たな憎しみが沸々と湧き始めたのであった。
同じ日にモルフィネスからも、ゲッソリナからの情報の報告が有った。配下の群狼隊兵士のもたらしたものである。
部屋に入って来て、執務室の壁に作られた止まり木に騒ぎもせず止まっている鴉を見つけると、『おかしな物を飼いはじめたな。』とモルフィネスは冷やかすように軽口を叩いた。ハンベエは敢えて説明もせず、椅子を進めた。
イザベラ情報より五日ほど古いものであるが、大同小異のものであり、総合すれば、まだしばらくステルポイジャン達はタゴロロームには攻めて来そうに無いようだ。
「ステルポイジャン達がラシャレー浴場を壊したのは知っているか?」
ハンベエは報告を聞き終えた後、何気ない口調でモルフィネスに尋ねた。
「そう言えば、南方軍到着直後に破壊されたようだな。坊主憎くけりゃ何とやら、まるで子供だ。詰まらない事をするもんだと思ったが。それがどうかしたか?」
「いや、何でもない。」
ハンベエは胸中の怒りを吐き出し、吠え猛りたかったのだが、とても共感は得られないと感じて止めた。考えてみれば、モルフィネスは一族皆殺しと言う煮えたぎるほどの目に遭っている。
そんなモルフィネスに、ラシャレー浴場が破壊された事の怒りをぶちまけても、共感を得るどころか、お門違いの場所で怒っている変な奴と思われるばかりである。解ってもらえない怒りは胸の中に仕舞っておこうとハンベエは諦めたのだった。
「ステルポイジャン達が直ぐに攻めて来ないと分かった所で、私から提案、いや頼みが有るのだが。」
「頼み?。」
「弓部隊の編成をさせてもらいたい。」
「弓か・・・・・・。」
ハンベエの脳裏を、かつてアルハインド族との戦いでタゴロローム守備軍がタゴロローム城塞からやってのけた一斉掃射の一幕が横切った。
なるほど、目の前にいるモルフィネスという男は弓兵の運用が得手であったんだな、とハンベエは思い当たった。
「ふっ、弓が好みかい。」
せせら笑うようにハンベエは言った。
「笑われる覚えはないが。」
モルフィネスは少しムッとしたように言った。氷のように無表情、感情を面に出さない事を信条にしているかのようなモルフィネスには珍しい事である。
だが、直ぐにその事に気付いたのか、無表情に戻った。
(いかん、いかん。私とした事が平静さを失うところであった。ハンベエを前にすると口が滑ってしまう。妙な男だ。)
胸の内でモルフィネスは自分自身を毒づいた。そして、それをハンベエのせいにした。
それはそれとして、ハンベエの反応はモルフィネスにとっては心外であったようだ。『弓』と一言言えば、打てば響くようにハンベエが身を乗り出し来るような、そんな錯覚を抱いていた自分にモルフィネスは気付いた。
かつての敵、いや今だって、本来は敵であるはずのこの男に私は何を期待しているのだ、と自嘲が湧く。
「何で弓なんだ?。」
ハンベエはお構い無しに尋ねる。
「敵は味方の二十倍。」
「十倍だ。取り敢えず貴族共は数に入れなくて良い。それに、こっちも募兵して兵数を増やす予定だ。」
「それにしても、兵力に大きな隔たりが有る事に違いない。敵味方の死傷の比率を有利に持って行かねばならない。それには、弓。飛び道具の運用が大きな鍵を握ると私は考えている。」
「こっちが弓を使えば、向こうも使う。大差ないだろう。」
「それは違う。相手より射程が長ければ、同じ弓でも圧倒的に有利だ。それに高低の地の利、遮蔽物の有る無し。目標の選択その他、運用によって大きな差の出るのが飛び道具だ。」
「ふーん、だが、どうも話を聞いていると、モルフィネスの戦略では、一撃では終らない気がするが・・・・・・。」
「そうだ。何度も戦い、順々に敵の兵力を削る。・・・・・・ハンベエは決戦主義、一撃で事を終らせようと考えているのか。」
「俺は剣術使いだからな。敵の頭にぶち当たって斬るだけよ。」
「真っ向から攻撃したら、人数で勝負が決まってしまうぞ。今回はバンケルク将軍を相手にした時のように、上手く奇襲できるとは限らないぞ。」
「ふむ。」
ハンベエは腕を組んだ。元より、ステルポイジャンを打ち破る戦略を用意しているわけではない。その場その場で、反射的に行動を起こして来たのであった。
「まあ、何でもやってみるさ。好きにするがいい。で、規模は?」
「了承してくれるか。規模は最低でも一個連隊欲しい。」
「任せる。」
ハンベエは鷹揚に言った。
「では、直ぐに掛からせてもらう。」
「待て、今後の方針も含めて少し話をしたい。」
踵を返して部屋を出ようとするモルフィネスをハンベエが呼び止めた。
モルフィネスは振り返ってハンベエの目を射るように見詰めた後、
「それは願ってもない事だ。」
と座り直した。
イザベラ情報に拠れば・・・・・・。
ステルポイジャン軍はバスバス平原に兵士三万人を駐屯させ、ドルドル鉱山の労働者達を厳しく監視していると有る。
また、ゲッソリナからボルマンスクへの街道を遮断し、頻りに通行者の身元確認等を行っていると言う。
推測を含むとして、イザベラは次のような内容の事を書いていた。
諜報機関であるサイレント・キッチンの隠密兵士が、未だ多数ゲッソリナやその周辺に潜んでおり、ステルポイジャン軍はその謀略を恐れ、日夜その炙り出しに余念が無いようだ。既に百名以上の人間がサイレント・キッチン関係の人間として、処刑されている。
貴族達とステルポイジャン軍の関係は微妙。バトリスク一門への苛烈な処置に震え上がって、一も二も無くフィルハンドラへの忠誠を誓った彼等であるが、同時に次は自分がステルポイジャンに滅ぼされるのでは無いかと疑心暗鬼に陥っている者が多い。
彼等は王妃モスカの所に頻りに顔を出して御機嫌伺いをしている。
王妃モスカはステルポイジャンの部下ガストランタと情交関係に有るが、その一方で貴族のノーバーという男と関係を結んだようだ。相当な淫乱である。
此処まで読んでハンベエはちょっと笑った。お色気満点で男を手玉に取るイザベラが王妃に対して、『淫乱』とは五十歩百歩、とハンベエは思ったのだ。
が、直ぐに考えを改めた。イザベラは別に王妃を揶揄したわけでもあるまい。客観的に事実を伝えて来ただけに過ぎない。
次に、ステルポイジャンと王妃の関係が伝えられていた。
両者の関係も友好的とは言えないようだ。
ステルポイジャンはフィルハンドラには忠誠を誓い、後ろ盾になっているが、王妃モスカの振る舞いを苦々しげに思っている様子。一方、王妃は王妃でステルポイジャンを煙たく感じているようだ。
世間一般はステルポイジャン達に恐れを抱き、政治向きの話をする者はほとんどいない。
読みながら、ハンベエはイザベラの情報収集力に舌を巻いている。時間的に考えて、ゲッソリナに着いてからせいぜい一日であろう。風聞を集めたのか、忍び込んで直接確かめたのか。
尚も、手紙は続く。
大分前に、ラシャレー大浴場が破壊されたようだ。これには、市民から幾分不満の声が出ている。
全体的観測としては、ステルポイジャンはラシャレー側の謀略を警戒して、ゲッソリナから直ぐには兵を動かさないように見える。
最後にイザベラの手紙はそういう内容で結ばれていた。
(ラシャレー浴場が破壊された・・・・・・ステルポイジャンめ。)
ハンベエはそこを読んだ時、俄かに口を歪めた。
(何故風呂を壊しやがる、誰が作ろうと風呂はいいもんじゃねえか。)
先頃、ゲッソリナで対面した時の印象から、実はハンベエ、ステルポイジャンという人物がそれほど嫌いでもなかったのである。
なるほど敵である。だが、かつてバンケルクに向けたほどの憎悪を抱くには至ってなかった。むしろ、重厚さを思わせるステルポイジャンの挙措発言に、一抹の敬意すら払うべきかも知れない、とさえ思っていた。
だが、ラシャレー浴場の破壊という情報はハンベエを怒らせた。たかが風呂と言うなかれ、ハンベエにとって風呂は師フデンと共有した嗜好であり、文化であった。ラシャレー浴場の破壊にハンベエは師や自分の生き方の一部を否定されたように感じたのだ。
(俺であれば、いかにラシャレーが憎くともラシャレー浴場は破壊せん。所詮、ステルポイジャンとはその程度の奴という事か。)
と急にハンベエの中でステルポイジャンの人物像が小さくなってしまった。
底が割れたわ! とハンベエは思った。
が、どうであろう? このハンベエの感情をステルポイジャンが知れば、迷惑そうな顔をするのではないだろうか。
既に何度も述べたように、この大陸では入浴の習慣は一般には普及していない。大部分の人々は行水等で事足れりとしていた。ラシャレー大浴場が繁盛していたとは云え、入浴の嗜好は一部の好事家に留まる状況である。
大部分の人間に言わせれば、『風呂なんて入らなくたって死にゃあしねえだろう。』と言ったところなのである。
そんな些細な(きっとステルポイジャンはそう思うに違いない)事で憎まれようとは困った酔狂人に巡り会ってしまったと困惑するに違いない。
例えば、後からタゴロロームにやって来たモルフィネスはラシャレー浴場が破壊された事実を知っていたが、ハンベエには伝えていなかった。彼が問題にしたのはステルポイジャン軍が行った虐殺等の非道な行為である。ラシャレー浴場の破壊等、重要視していなかったのである。
だが、ハンベエは違った。モルフィネスから伝え聞いたステルポイジャン軍の非道に対し、不人情な事には、この若者はさしたる感情を抱かなかった。
しかし、ラシャレー浴場破壊という暴挙(ハンベエに言わせれば)を知り、ステルポイジャン達への新たな憎しみが沸々と湧き始めたのであった。
同じ日にモルフィネスからも、ゲッソリナからの情報の報告が有った。配下の群狼隊兵士のもたらしたものである。
部屋に入って来て、執務室の壁に作られた止まり木に騒ぎもせず止まっている鴉を見つけると、『おかしな物を飼いはじめたな。』とモルフィネスは冷やかすように軽口を叩いた。ハンベエは敢えて説明もせず、椅子を進めた。
イザベラ情報より五日ほど古いものであるが、大同小異のものであり、総合すれば、まだしばらくステルポイジャン達はタゴロロームには攻めて来そうに無いようだ。
「ステルポイジャン達がラシャレー浴場を壊したのは知っているか?」
ハンベエは報告を聞き終えた後、何気ない口調でモルフィネスに尋ねた。
「そう言えば、南方軍到着直後に破壊されたようだな。坊主憎くけりゃ何とやら、まるで子供だ。詰まらない事をするもんだと思ったが。それがどうかしたか?」
「いや、何でもない。」
ハンベエは胸中の怒りを吐き出し、吠え猛りたかったのだが、とても共感は得られないと感じて止めた。考えてみれば、モルフィネスは一族皆殺しと言う煮えたぎるほどの目に遭っている。
そんなモルフィネスに、ラシャレー浴場が破壊された事の怒りをぶちまけても、共感を得るどころか、お門違いの場所で怒っている変な奴と思われるばかりである。解ってもらえない怒りは胸の中に仕舞っておこうとハンベエは諦めたのだった。
「ステルポイジャン達が直ぐに攻めて来ないと分かった所で、私から提案、いや頼みが有るのだが。」
「頼み?。」
「弓部隊の編成をさせてもらいたい。」
「弓か・・・・・・。」
ハンベエの脳裏を、かつてアルハインド族との戦いでタゴロローム守備軍がタゴロローム城塞からやってのけた一斉掃射の一幕が横切った。
なるほど、目の前にいるモルフィネスという男は弓兵の運用が得手であったんだな、とハンベエは思い当たった。
「ふっ、弓が好みかい。」
せせら笑うようにハンベエは言った。
「笑われる覚えはないが。」
モルフィネスは少しムッとしたように言った。氷のように無表情、感情を面に出さない事を信条にしているかのようなモルフィネスには珍しい事である。
だが、直ぐにその事に気付いたのか、無表情に戻った。
(いかん、いかん。私とした事が平静さを失うところであった。ハンベエを前にすると口が滑ってしまう。妙な男だ。)
胸の内でモルフィネスは自分自身を毒づいた。そして、それをハンベエのせいにした。
それはそれとして、ハンベエの反応はモルフィネスにとっては心外であったようだ。『弓』と一言言えば、打てば響くようにハンベエが身を乗り出し来るような、そんな錯覚を抱いていた自分にモルフィネスは気付いた。
かつての敵、いや今だって、本来は敵であるはずのこの男に私は何を期待しているのだ、と自嘲が湧く。
「何で弓なんだ?。」
ハンベエはお構い無しに尋ねる。
「敵は味方の二十倍。」
「十倍だ。取り敢えず貴族共は数に入れなくて良い。それに、こっちも募兵して兵数を増やす予定だ。」
「それにしても、兵力に大きな隔たりが有る事に違いない。敵味方の死傷の比率を有利に持って行かねばならない。それには、弓。飛び道具の運用が大きな鍵を握ると私は考えている。」
「こっちが弓を使えば、向こうも使う。大差ないだろう。」
「それは違う。相手より射程が長ければ、同じ弓でも圧倒的に有利だ。それに高低の地の利、遮蔽物の有る無し。目標の選択その他、運用によって大きな差の出るのが飛び道具だ。」
「ふーん、だが、どうも話を聞いていると、モルフィネスの戦略では、一撃では終らない気がするが・・・・・・。」
「そうだ。何度も戦い、順々に敵の兵力を削る。・・・・・・ハンベエは決戦主義、一撃で事を終らせようと考えているのか。」
「俺は剣術使いだからな。敵の頭にぶち当たって斬るだけよ。」
「真っ向から攻撃したら、人数で勝負が決まってしまうぞ。今回はバンケルク将軍を相手にした時のように、上手く奇襲できるとは限らないぞ。」
「ふむ。」
ハンベエは腕を組んだ。元より、ステルポイジャンを打ち破る戦略を用意しているわけではない。その場その場で、反射的に行動を起こして来たのであった。
「まあ、何でもやってみるさ。好きにするがいい。で、規模は?」
「了承してくれるか。規模は最低でも一個連隊欲しい。」
「任せる。」
ハンベエは鷹揚に言った。
「では、直ぐに掛からせてもらう。」
「待て、今後の方針も含めて少し話をしたい。」
踵を返して部屋を出ようとするモルフィネスをハンベエが呼び止めた。
モルフィネスは振り返ってハンベエの目を射るように見詰めた後、
「それは願ってもない事だ。」
と座り直した。
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