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第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略
第866話 シュウゲン 49 沙良の偽装結婚式 2
沙良の結婚相手を見てから無言だったダンクの父親が、
「もっと若い者はいなかったのか? 年の差があり過ぎると思うが……」
誰もが内心思っている事を心配そうに尋ねる。
「実は……、私の代役をするため産みの母が来ているんです」
沙良は花嫁役の変更を話すのに丁度いいと思ったようで、樹君が産みの母だという設定を口にした。
美佐子とは外見が似ていないため、2人を知る者は本当の親子だと気付いてない。
沙良そっくりのヒルダちゃんが、産みの母だと言えば納得するだろう。
「あぁ、実の母親が代役を務めるのか……」
少女姿の沙良ではなく母親が花嫁役をすると聞き、年齢差が縮まると考えたのかダンクの父親は頷いてほっとした様子を見せた。
花嫁衣裳に着替えた樹君が冒険者達の前に登場すると、会場内が騒めき立つ。
沙良に似ているが、身長や年齢が明らかに違うと気付き驚いているようだ。
騒然とする冒険者達へ沙良が事情を説明し終える頃には、皆が2人を見比べ理解を示した。
それにしても、着飾ったヒルダちゃんは綺麗だのう~。
瞳と同じ色をした額飾りの宝石から強い力を感じるが、あれは精霊が加護を与えた物ではないか?
エルフの姫は精霊に好かれているようじゃ。
「皆さん本日は結婚式にご出席下さり、ありがとうございます。変則的ですが、先に料理を食べて下さいね。式にはアシュカナ帝国からの襲撃が予想されるため、お酒はありませんが、その分ご馳走を用意しましたから楽しんで下さい」
沙良が挨拶して、その場から退場した瞬間、冒険者達の歓声が上がる。
テーブル一杯に並べられた珍しい料理を、皆一斉に食べだした。
先程から良い匂いを発していた料理を前に、冒険者達はお預け状態で待っていたのだ。
我先にと口に頬張る姿を見て、儂もピザを手に取った。
料理に使用されている皿の下には、保温機能が付いた魔道具が置かれているので温かいまま食べられる。
沙良から一番にピザをお勧めされたので口にしてみると、薄いパンの上に溶けたチーズが絡み美味かった。
花嫁衣裳を着た樹君が空いてる儂の隣に座ったので、今がチャンスとばかりに小声で話す。
「ヒルダちゃん。お礼は、いつでもいいからの」
儂の言葉にビクッと肩を震わせた樹君は、無言のまま料理を食べだした。
うむ、皆の前で返事は出来んだろう。分かっているぞ。
花嫁衣裳を着た姿を尚人君にじっと見つめられ、樹君は気まずそうにしている。
儂らのテーブルは身内ばかりの席なので、ヒルダちゃんの姿に戻った彼は居たたまれないようじゃな。
セイだけは、「良くお似合いです」と衣装を褒めていた。
料理に夢中になっていると思われた冒険者だが、アマンダ嬢だけは沙良に似たヒルダちゃんが気になるようで、何度かそわそわと視線を送っていた。
何か話したい事でもあるのか?
大量にあった料理が冒険者の腹に収まる頃、エルフの正装に着替えた沙良がエルフの女性達と戻ってきた。
顔は見えないようベールに覆われているが、1人だけかなり浮いている。
その理由を賢也が口にした。
「沙良……。花嫁の代役を立てた意味がないくらい豪華な衣装だな?」
「私もそう思うんだけど、女官達がこれ以外は駄目だって言うの」
沙良が、もじもじしながら返事をする。
「……顔を見せなければ大丈夫か?」
これには響君も困ったようで、衣装を着つけた女性達を見た。
が、彼女達は響君を一瞥しただけで何も言わない。
「少し、顔を見せてほしいな。まだ、大丈夫だろう?」
樹君がそうお願いすると、沙良はベールを上げて顔を見せた。
うっすらと化粧を施された顔は、いつもより大人びて見える。
よりヒルダちゃんとの相似性が際立った。
「あぁ、ちゃんと付いているね」
それは、自分とお揃いの額飾りの事だろう。
樹君は確認したあと満足気に微笑むと、ベールを下ろし沙良の顔を隠した。
一瞬見えただけだが、沙良がしていた額飾りの宝石に内包されている力は、とんでもないものだった。
儂は一度だけ火の精霊王と相まみえた事があるが……、その時以上の力を感じる。
もしかして、複数の精霊王から加護を受けた宝石なのではないか?
そんなものがどうして存在するのか分からぬが、あれ一つで国が傾く程の金額になると予想出来た。
恐ろしくて、儂は手にしたくないわ。
席に着いた沙良が残りの料理を食べてから、冒険者全員に『MAXポーション』を配っていく。
このポーションは迷宮都市だけに販売されている、エリクサーと同等の回復量がある物だ。
それを沙良達が薬師ギルドで卸していると聞いた時は、また目立つ物をと思ったが……。
迷宮都市の薬師ギルドマスターは獣人らしいので、人族に味方する事はないと知り安心した。
襲撃人数が予想出来ず、治療が間に合わない場合に備えて沙良が自腹を切ったようだな。
一応こちらの救護班には、結花さん、賢也、尚人君が待機している。
ハイヒールが使える3人がいれば、大抵の怪我は即座に治療可能だ。
3人共Lv50を超え、MPも異世界人の数倍はある。
ハイエーテルを飲まずとも、怪我人の治療が出来るだろう。
冒険者達が戦いの準備を済ませ、各々の武器を手に家から庭へ移動する。
結婚式を始める時間がきた。
教会の12時の鐘が鳴り、皆が見ている中でヒルダちゃんとガーグ老が中央に進み出る。
その瞬間、主人である沙良の危険を察知して、ガルム達が大きく吠えた。
総員が警戒態勢を取る間、沙良はエルフの女性達に囲まれ見えなくなった。
彼女達は魔法士のようだが、長槍を手にしているところを見ると武器も相応に扱うらしい。
Lvもかなり高そうだし、沙良を任せてもいいだろう。
ガーグ老達は双剣を構え、高い塀を越えてくる敵を油断なく待つ。
数分後、10mもある壁を乗り越え四方から敵が現れた。
今日この時を、ずっと待っておったのじゃ! 沙良を狙う者は、全て儂が蹴散らしてやるぞ!
そう意気込み足を踏み出した途端、周囲に雷が落ちドンッと盛大な音が響き渡る。
先制攻撃をしたのはヒルダちゃんであった。これまた派手な魔法じゃなぁ~。
エルフは精霊との親和性が高いので、魔法の威力も半端ない。
見れば、半数以上の敵が地面に倒れ伏していた。多分、即死だな。
魔法を放ったヒルダちゃんは不敵に笑い、敵を挑発するような仕草で誘う。
半分に減った仲間を見ても、戦意を喪失しない敵が彼女に向かっていった。
儂も負けておられん。
槍を大きく振り回し、ヒルダちゃんに近付く敵を次々と屠る。
冒険者達も意気揚々と敵に突っ込み、戦果を上げていった。
その中でもヒルダちゃんの両隣を陣取ったガーグ老とセイが、人外の動きで切り倒す姿は圧巻だった。
100人程の襲撃者は、あっという間に打ち取られ辺りが静寂に包まれる。
しかし、まだこれで終わりではないと皆が気付いていた。
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「実は……、私の代役をするため産みの母が来ているんです」
沙良は花嫁役の変更を話すのに丁度いいと思ったようで、樹君が産みの母だという設定を口にした。
美佐子とは外見が似ていないため、2人を知る者は本当の親子だと気付いてない。
沙良そっくりのヒルダちゃんが、産みの母だと言えば納得するだろう。
「あぁ、実の母親が代役を務めるのか……」
少女姿の沙良ではなく母親が花嫁役をすると聞き、年齢差が縮まると考えたのかダンクの父親は頷いてほっとした様子を見せた。
花嫁衣裳に着替えた樹君が冒険者達の前に登場すると、会場内が騒めき立つ。
沙良に似ているが、身長や年齢が明らかに違うと気付き驚いているようだ。
騒然とする冒険者達へ沙良が事情を説明し終える頃には、皆が2人を見比べ理解を示した。
それにしても、着飾ったヒルダちゃんは綺麗だのう~。
瞳と同じ色をした額飾りの宝石から強い力を感じるが、あれは精霊が加護を与えた物ではないか?
エルフの姫は精霊に好かれているようじゃ。
「皆さん本日は結婚式にご出席下さり、ありがとうございます。変則的ですが、先に料理を食べて下さいね。式にはアシュカナ帝国からの襲撃が予想されるため、お酒はありませんが、その分ご馳走を用意しましたから楽しんで下さい」
沙良が挨拶して、その場から退場した瞬間、冒険者達の歓声が上がる。
テーブル一杯に並べられた珍しい料理を、皆一斉に食べだした。
先程から良い匂いを発していた料理を前に、冒険者達はお預け状態で待っていたのだ。
我先にと口に頬張る姿を見て、儂もピザを手に取った。
料理に使用されている皿の下には、保温機能が付いた魔道具が置かれているので温かいまま食べられる。
沙良から一番にピザをお勧めされたので口にしてみると、薄いパンの上に溶けたチーズが絡み美味かった。
花嫁衣裳を着た樹君が空いてる儂の隣に座ったので、今がチャンスとばかりに小声で話す。
「ヒルダちゃん。お礼は、いつでもいいからの」
儂の言葉にビクッと肩を震わせた樹君は、無言のまま料理を食べだした。
うむ、皆の前で返事は出来んだろう。分かっているぞ。
花嫁衣裳を着た姿を尚人君にじっと見つめられ、樹君は気まずそうにしている。
儂らのテーブルは身内ばかりの席なので、ヒルダちゃんの姿に戻った彼は居たたまれないようじゃな。
セイだけは、「良くお似合いです」と衣装を褒めていた。
料理に夢中になっていると思われた冒険者だが、アマンダ嬢だけは沙良に似たヒルダちゃんが気になるようで、何度かそわそわと視線を送っていた。
何か話したい事でもあるのか?
大量にあった料理が冒険者の腹に収まる頃、エルフの正装に着替えた沙良がエルフの女性達と戻ってきた。
顔は見えないようベールに覆われているが、1人だけかなり浮いている。
その理由を賢也が口にした。
「沙良……。花嫁の代役を立てた意味がないくらい豪華な衣装だな?」
「私もそう思うんだけど、女官達がこれ以外は駄目だって言うの」
沙良が、もじもじしながら返事をする。
「……顔を見せなければ大丈夫か?」
これには響君も困ったようで、衣装を着つけた女性達を見た。
が、彼女達は響君を一瞥しただけで何も言わない。
「少し、顔を見せてほしいな。まだ、大丈夫だろう?」
樹君がそうお願いすると、沙良はベールを上げて顔を見せた。
うっすらと化粧を施された顔は、いつもより大人びて見える。
よりヒルダちゃんとの相似性が際立った。
「あぁ、ちゃんと付いているね」
それは、自分とお揃いの額飾りの事だろう。
樹君は確認したあと満足気に微笑むと、ベールを下ろし沙良の顔を隠した。
一瞬見えただけだが、沙良がしていた額飾りの宝石に内包されている力は、とんでもないものだった。
儂は一度だけ火の精霊王と相まみえた事があるが……、その時以上の力を感じる。
もしかして、複数の精霊王から加護を受けた宝石なのではないか?
そんなものがどうして存在するのか分からぬが、あれ一つで国が傾く程の金額になると予想出来た。
恐ろしくて、儂は手にしたくないわ。
席に着いた沙良が残りの料理を食べてから、冒険者全員に『MAXポーション』を配っていく。
このポーションは迷宮都市だけに販売されている、エリクサーと同等の回復量がある物だ。
それを沙良達が薬師ギルドで卸していると聞いた時は、また目立つ物をと思ったが……。
迷宮都市の薬師ギルドマスターは獣人らしいので、人族に味方する事はないと知り安心した。
襲撃人数が予想出来ず、治療が間に合わない場合に備えて沙良が自腹を切ったようだな。
一応こちらの救護班には、結花さん、賢也、尚人君が待機している。
ハイヒールが使える3人がいれば、大抵の怪我は即座に治療可能だ。
3人共Lv50を超え、MPも異世界人の数倍はある。
ハイエーテルを飲まずとも、怪我人の治療が出来るだろう。
冒険者達が戦いの準備を済ませ、各々の武器を手に家から庭へ移動する。
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ガーグ老達は双剣を構え、高い塀を越えてくる敵を油断なく待つ。
数分後、10mもある壁を乗り越え四方から敵が現れた。
今日この時を、ずっと待っておったのじゃ! 沙良を狙う者は、全て儂が蹴散らしてやるぞ!
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先制攻撃をしたのはヒルダちゃんであった。これまた派手な魔法じゃなぁ~。
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見れば、半数以上の敵が地面に倒れ伏していた。多分、即死だな。
魔法を放ったヒルダちゃんは不敵に笑い、敵を挑発するような仕草で誘う。
半分に減った仲間を見ても、戦意を喪失しない敵が彼女に向かっていった。
儂も負けておられん。
槍を大きく振り回し、ヒルダちゃんに近付く敵を次々と屠る。
冒険者達も意気揚々と敵に突っ込み、戦果を上げていった。
その中でもヒルダちゃんの両隣を陣取ったガーグ老とセイが、人外の動きで切り倒す姿は圧巻だった。
100人程の襲撃者は、あっという間に打ち取られ辺りが静寂に包まれる。
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◇小説家になろうでも同時連載中です◇