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第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略
第873話 シュウゲン 56 ポチの能力&火の精霊王との邂逅
沙良と茜は、南大陸に繋がる132階以降の移転先を調べていないようだった。
これから行きたいと言ったが、それには響君が賛成しかねるといった様子で駄目だと強い口調で断言する。
アシュカナ帝国に直接行ける移転先かも知れないと思い、人数不足を懸念したようだ。
沙良を狙う帝王がいる国へ、たった5人で行くのは得策ではない。
それに、王族を護衛するガーグ老達が一緒のほうが安心出来るじゃろう。
ダンジョンを出たあと、商業ギルドに向かう沙良達と別れ、儂は受け取った玄武の甲羅を剣にするため一度王都へ戻る事にした。
迷宮都市には騎獣屋がなく移動手段に困っていたが、幸い当てがある。
ガーグ老の工房に行き、ガルムを貸してもらおう。
工房の扉を開け中へ入ると、庭には誰もいなかった。
ヒルダちゃんと沙良が一緒に居ない時は、事前に待っておったりはせんか……。
そのまま庭を突っ切り工房内に入ると、ガーグ老達は何処かに出掛ける準備をしていた。
2匹いる白梟が1匹しかいないので、迷宮都市にいるヒルダちゃんの魔力を察知し、偵察に行っているのだろう。
「何だシュウゲン。お主1人で来るとは何用だ」
ガーグ老が胡散臭い者でも見るかのように、顔を顰める。
まぁ、歓迎してもらえぬのは想定内だ。さっさと用件を伝えよう。
「悪いがガルムを1匹貸してくれんか? 沙良から玄武の甲羅を剣に鍛えてほしいとお願いされたのだ」
ヒルダちゃんの娘の名前を出せば断れまい。
「ぐぬぬ……。ガルムはサラ……ちゃんの従魔になっておるから、笛がないと言う事を聞かせられん。渡せば、他の9匹が騎獣として使えなくなり困るのだ。致し方ない、特別にポチを貸し出そう。ポチ、グリフォンに変態したあとシュウゲンを乗せ、上空で風竜に再度変態せよ。シュウゲン、行き先を言え」
ガーグ老の従魔が変態出来ると知り、少々驚いた。かなり高Lvな魔物らしい。
「王都に行ったあとで摩天楼のダンジョンへ向かいたい」
「分かった。用事を済ませたら、この笛を吹けばポチが迎えに行く」
そう言ったガーグ老から、短い縦笛のような物を渡される。
儂が笛をしげしげと眺めている間、ガーグ老はポチと無言で何かを遣り取りしていた。
黒曜も出来たように、ポチも念話が可能なのだろう。
やがて「ホーホー」とポチが鳴き、出発の準備が整う。
目の前でグリフォンに変態したポチに騎乗し、空へと舞い上がった。
黒曜以外の魔物で空を飛ぶのは初めてじゃな。
迷宮都市から少し離れた場所までくると、ポチが騎獣の中で最速を誇る風竜に変態する。
おおっ、これは良い!
かなりの速さで飛んでおるが、儂は空気抵抗を感じる事なく快適に空の旅を楽しんだ。
迷宮都市から30分も掛からず王都の家に到着し、儂はバールに会いに武器屋へ向かった。
店内に入ると、店番をしていたバールが儂の姿に気付き声を上げる。
「親父! 急に戻ってきて、どうしたんだ? もう放浪の旅は終わったのか?」
聞かれて放浪の旅に出ると言い、家を出た事を思い出す。
「いや、まだ旅の途中だが……良い素材が手に入ったので戻ってきた。これを見てみろ」
儂がマジックバッグになっている腕輪から玄武の甲羅を取り出すと、バールがずさっと後退り、わなわなと震え出した。
「それは、玄武の甲羅ではありませんか!! そんなものを、どうやって入手されたのですか! まさか……倒したのではありませんよね?」
素材に驚きすぎたのか、バールの口調が元に戻っておる。
しかし、聖獣を倒すなど罰当たりな事はせんよ。
沙良は病気を治療したと言っておったしな。
戦ってみたいとは思うが、弱っている相手に挑むほど愚かではない。
「そんな事はしておらん。知り合いに貰ったのじゃ。これを溶かすには、火の精霊王か火竜王の助けがいる。火の精霊王を呼び出してくれんかの?」
「心臓に悪いな……。親父、火の精霊王は魔法陣で呼び出すしか方法がない。ドワーフの国に行って、魔法陣があるダンジョンに行く必要があるぞ」
「あぁ、それで問題ない。騎獣を借りたから、摩天楼のダンジョン付近にある移転陣から国へ戻ろう」
「店を閉めるから少し待ってくれ」
武器屋を出たあと王都の家で待機させていたポチにハイエーテルを飲ませ、グリフォンに変態してもらう。
2人乗りして空を飛んでから、風竜に変態したポチを見てバールは微妙な顔をしておったが……。
変態する魔物を見るのは初めてだったのかの?
摩天楼付近にある移転陣に到着後、ポチは一度帰っていった。
儂とバールはドワーフの国にある、マクサルトのダンジョン99階層まで戻っていく。
そのまま100階層の何もない空間に移動すると、バールが床に手を突き何かの呪文を唱え魔法陣を出現させた。
「火の精霊王、私の召喚に応えて下さい」
バールが厳かに言った瞬間、美しい女性が現れる。
火の精霊王とは一度だけ会った事があるが懐かしいのう。
精霊は年を取らぬのか、記憶にあるままの姿だった。
「これは御方様、お久し振りです。お元気でいられましたか?」
「うむ、久し振りだの。儂は元気にしておるよ。突然に呼び出して申し訳ないが、この素材を溶かしてくれんか?」
忙しい火の精霊王を煩わせては悪いと思い、簡単に用件を伝え玄武の甲羅を取り出して見せる。
「まぁ、玄武の甲羅ではないですか! もう代替わりの時期に入ったのでしょうか……。ええっと、溶かすのは問題ありませんが、鍛冶Lvが100以上ないと武器には出来ませんよ?」
「それは心配せんでもいい。儂の鍛冶Lvは100を超えておるからの」
「ドワーフ王になったのでしたね。鍛冶を楽しんでおられるようで幸いです。私が一度溶かして加工すれば、バールでも溶かせるようになりましょう」
火の精霊王は儂の願いを聞き入れ、玄武の甲羅を見る間に溶かし幾つもの四角い物体に変えた。
これ一つで丁度、武器1個が作製出来る大きさだな。数は全部で10個ある。
「御方様。いずれまた、お会いする日を楽しみに待っていますわ。その時は、目的が達成されている事を願っております」
10本の剣を誰に渡そうか悩んでいると、火の精霊王はにこやかに挨拶して姿を消した。
儂は早速、火の精霊王が加工してくれた素材を手に取りバールに溶かしてもらうよう頼む。
剣を鍛造するイメージを強く持ち、鍛冶魔法を発動させるとグングン魔力が消費されていく。
しかも中々、剣を生成出来ない。これは、思った以上に時間が掛かりそうじゃ。
結局、ハイエーテルを5本も飲み、1時間も掛かって鍛えられた剣は1本だけだった。
沙良との待ち合わせ時間を考え、急いで移転陣から迷宮都市に戻り、ポチを呼び出すための笛を吹く。
すると、僅か10分でポチが姿を現した。
もしや変態するだけでなく、移転の能力まで持っているのか?
その後、なんとか時間ぎりぎりで迷宮都市の沙良の家に戻ってくる。
乗せてくれたポチの首を撫で、労をねぎらい見送った。
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読んで下さる全ての皆様、ありがとうございます。
応援して下さる皆様がいて大変励みになっています。
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沙良を狙う帝王がいる国へ、たった5人で行くのは得策ではない。
それに、王族を護衛するガーグ老達が一緒のほうが安心出来るじゃろう。
ダンジョンを出たあと、商業ギルドに向かう沙良達と別れ、儂は受け取った玄武の甲羅を剣にするため一度王都へ戻る事にした。
迷宮都市には騎獣屋がなく移動手段に困っていたが、幸い当てがある。
ガーグ老の工房に行き、ガルムを貸してもらおう。
工房の扉を開け中へ入ると、庭には誰もいなかった。
ヒルダちゃんと沙良が一緒に居ない時は、事前に待っておったりはせんか……。
そのまま庭を突っ切り工房内に入ると、ガーグ老達は何処かに出掛ける準備をしていた。
2匹いる白梟が1匹しかいないので、迷宮都市にいるヒルダちゃんの魔力を察知し、偵察に行っているのだろう。
「何だシュウゲン。お主1人で来るとは何用だ」
ガーグ老が胡散臭い者でも見るかのように、顔を顰める。
まぁ、歓迎してもらえぬのは想定内だ。さっさと用件を伝えよう。
「悪いがガルムを1匹貸してくれんか? 沙良から玄武の甲羅を剣に鍛えてほしいとお願いされたのだ」
ヒルダちゃんの娘の名前を出せば断れまい。
「ぐぬぬ……。ガルムはサラ……ちゃんの従魔になっておるから、笛がないと言う事を聞かせられん。渡せば、他の9匹が騎獣として使えなくなり困るのだ。致し方ない、特別にポチを貸し出そう。ポチ、グリフォンに変態したあとシュウゲンを乗せ、上空で風竜に再度変態せよ。シュウゲン、行き先を言え」
ガーグ老の従魔が変態出来ると知り、少々驚いた。かなり高Lvな魔物らしい。
「王都に行ったあとで摩天楼のダンジョンへ向かいたい」
「分かった。用事を済ませたら、この笛を吹けばポチが迎えに行く」
そう言ったガーグ老から、短い縦笛のような物を渡される。
儂が笛をしげしげと眺めている間、ガーグ老はポチと無言で何かを遣り取りしていた。
黒曜も出来たように、ポチも念話が可能なのだろう。
やがて「ホーホー」とポチが鳴き、出発の準備が整う。
目の前でグリフォンに変態したポチに騎乗し、空へと舞い上がった。
黒曜以外の魔物で空を飛ぶのは初めてじゃな。
迷宮都市から少し離れた場所までくると、ポチが騎獣の中で最速を誇る風竜に変態する。
おおっ、これは良い!
かなりの速さで飛んでおるが、儂は空気抵抗を感じる事なく快適に空の旅を楽しんだ。
迷宮都市から30分も掛からず王都の家に到着し、儂はバールに会いに武器屋へ向かった。
店内に入ると、店番をしていたバールが儂の姿に気付き声を上げる。
「親父! 急に戻ってきて、どうしたんだ? もう放浪の旅は終わったのか?」
聞かれて放浪の旅に出ると言い、家を出た事を思い出す。
「いや、まだ旅の途中だが……良い素材が手に入ったので戻ってきた。これを見てみろ」
儂がマジックバッグになっている腕輪から玄武の甲羅を取り出すと、バールがずさっと後退り、わなわなと震え出した。
「それは、玄武の甲羅ではありませんか!! そんなものを、どうやって入手されたのですか! まさか……倒したのではありませんよね?」
素材に驚きすぎたのか、バールの口調が元に戻っておる。
しかし、聖獣を倒すなど罰当たりな事はせんよ。
沙良は病気を治療したと言っておったしな。
戦ってみたいとは思うが、弱っている相手に挑むほど愚かではない。
「そんな事はしておらん。知り合いに貰ったのじゃ。これを溶かすには、火の精霊王か火竜王の助けがいる。火の精霊王を呼び出してくれんかの?」
「心臓に悪いな……。親父、火の精霊王は魔法陣で呼び出すしか方法がない。ドワーフの国に行って、魔法陣があるダンジョンに行く必要があるぞ」
「あぁ、それで問題ない。騎獣を借りたから、摩天楼のダンジョン付近にある移転陣から国へ戻ろう」
「店を閉めるから少し待ってくれ」
武器屋を出たあと王都の家で待機させていたポチにハイエーテルを飲ませ、グリフォンに変態してもらう。
2人乗りして空を飛んでから、風竜に変態したポチを見てバールは微妙な顔をしておったが……。
変態する魔物を見るのは初めてだったのかの?
摩天楼付近にある移転陣に到着後、ポチは一度帰っていった。
儂とバールはドワーフの国にある、マクサルトのダンジョン99階層まで戻っていく。
そのまま100階層の何もない空間に移動すると、バールが床に手を突き何かの呪文を唱え魔法陣を出現させた。
「火の精霊王、私の召喚に応えて下さい」
バールが厳かに言った瞬間、美しい女性が現れる。
火の精霊王とは一度だけ会った事があるが懐かしいのう。
精霊は年を取らぬのか、記憶にあるままの姿だった。
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火の精霊王は儂の願いを聞き入れ、玄武の甲羅を見る間に溶かし幾つもの四角い物体に変えた。
これ一つで丁度、武器1個が作製出来る大きさだな。数は全部で10個ある。
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10本の剣を誰に渡そうか悩んでいると、火の精霊王はにこやかに挨拶して姿を消した。
儂は早速、火の精霊王が加工してくれた素材を手に取りバールに溶かしてもらうよう頼む。
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しかも中々、剣を生成出来ない。これは、思った以上に時間が掛かりそうじゃ。
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沙良との待ち合わせ時間を考え、急いで移転陣から迷宮都市に戻り、ポチを呼び出すための笛を吹く。
すると、僅か10分でポチが姿を現した。
もしや変態するだけでなく、移転の能力まで持っているのか?
その後、なんとか時間ぎりぎりで迷宮都市の沙良の家に戻ってくる。
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◇小説家になろうでも同時連載中です◇