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第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略
第878話 シュウゲン 61 警護用の従魔&小夜とシーリー
★10月21日(火)より、コミカライズが連載になりました!!
登場人物の表情や動きを楽しんで頂けたら嬉しいです。
是非、読んでみて下さいね♪
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翌日の水曜日から、沙良はダンジョン攻略へ行く前にシーリーを儂に預けていった。
孵化したばかりの子竜は一日の大半を寝て過ごしているため、特に世話をする必要はないが、自分に懐く姿を見ているだけで心が癒される。
儂のマントがお気に入りのようで、常にマントに包まり眠っていた。
この小さな生き物が、この先も無事成長する事を願わずにはいられない。
儂は時折り起こさぬよう注意しながら優しく鱗を撫で、そこから伝わる仄かな温かさを感じ安堵した。
あぁ、早く小夜にも会わせてやりたいのう。
日曜日。
炊き出し前に美佐子の家で集まった家族が、何やら嬉しそうに騒いでおる。
どうやら結花さんに、ヒルダちゃんが指輪をプレゼントしたらしい。
指輪から尋常じゃない力を感じ、思わず鑑定してみると、素材が青龍の鱗だった。
なんとっ! エンハルト王国を守護している青龍から貰ったのか!?
これはアマンダ嬢に頼まれた時、沙良が対価として受け取ったのだろうか?
それを何故、結花さんに譲ったのか分からぬが……。
一方、美佐子は沙良からイヤリングとネックレスのセットを受け取り、姿見の前で着けてもらっていた。
「まぁ、綺麗! 娘から貰えるなんて母親冥利に尽きるわね~」
「宝石はダンジョンで見つけた物だけど、加工したのはお兄ちゃんなんだよ。私と、お揃いになってるの」
「賢也は何でも出来るのね。ありがとう、とっても嬉しいわ!」
こちらも満面の笑みを浮かべ、喜んでいた。
期せずして同じ日にプレゼントを貰った2人は、お互い見せ合い嬉しそうにしている。
これは偶然というには、いかにも出来すぎじゃ。まるで狙ったかのようなタイミングではないか。
そう思いヒルダちゃんを見ると、とても満足そうな笑顔で響君と話していた。
おや? 響君が驚いて羨ましそうにしておるな。
なるほど……、昨晩何か良い事があったようだ。
儂も大いに興味があるが、残念ながらそれは女性化した樹君しか体験出来ぬだろう。
男の夢を叶えるとは、ヒルダちゃんは両得で実に羨ましい。
それから沙良は、摩天楼のダンジョンでテイムした新しい魔物を紹介してくれた。
「ファイト・カンガルーのガルボとガルシングよ!」
孫娘がどんな魔物をテイムしたか気になっていた儂は、見た瞬間に仰け反った。
てっきりシルバーのような騎獣に適した魔物を選んだかと思えば、カンガルーとは……。
子供達の警護に向いておるように思えんが?
そして、カンガルーとボクシングを合せたような名前に苦笑する。
「まぁ、カンガルーの魔物もいるのね~」
美佐子は珍しい魔物を見たかのように近付き、カンガルーのお腹にある袋の中を覗き込む。
「お母さん、雄だから赤ちゃんはいないよ」
「そうなの、残念だわ」
娘が袋を覗いたのは、赤ちゃんがいるか確かめるためだったらしい。
結花さんと雫ちゃんが、興味津々の様子でカンガルーのムキムキの筋肉を触っている。力は強そうじゃの。
「沙良ちゃん! どうしてカンガルーなの!?」
奏は予想外の魔物を見て声を上げ、
「強そうでしょう? ガルボとガルシングは警備用の従魔ですから!」
そう胸を張って言い切る沙良の返事を聞き、響君へ視線を向け溜息を吐く。
いや、これは親の教育云々の前に沙良の特殊な趣味の所為じゃろう。
「確かに強そうな魔物だが、うちの孫は少し趣味が変わっておるようだ」
身の置き所がなさそうな響君に代わり、儂は軽口を叩いて話を終わらせた。
異世界の家へ移動して、沙良が肉うどん店の母親達にも2匹のカンガルーを紹介すると、初めて見る魔物に目が点になっておった。
集まって来た子供達は大きな魔物に大はしゃぎで、沙良が「危険な時は、お腹の袋に入るんだよ」と伝えると、カンガルーの袋の中に入り遊び出す。
小さな子供なら5人が入れるようで、袋からちょこんと顔を出す様子が可愛らしい。
カンガルーは跳びはねて移動するが、袋の中にいる子供達はあまり衝撃を受けないのかキャッキャッと笑い声を上げている。
それを見ていた雫ちゃんも入りたいと言い、ガルシングの袋に入り楽しそうにしていた。
炊き出し終了後、ガーグ老の工房へ皆と移動する。
工房内に入ると、ルシファーが女官長達に筋トレをさせられていた。
彼は爵位を侯爵まで上げた筈だが、まだ上を目指す心算かの?
いつもはヒルダちゃんの両肩を占領する2匹の白梟も、ルシファーの周囲を飛び回り、女官長の号令に少しでも遅れると脇腹を突いている。
ルシファーは涙目になりながらも、ヒルダちゃんの姿を見た途端に張り切り出した。
好きな相手を前に良いところを見せようという気概は感心するが、ヒルダちゃんは既婚者だからのう。その努力は報われまい。
「こんにちは~。今日も、よろしくお願いします」
「サラ……ちゃん、よう来たの。では、稽古を始めるとしよう」
今週は沙良が来た事に、ほっとした顔を見せたガーグ老が稽古の開始を告げる。
儂は今日もガーグ老相手に仕合い、引き分けた。
昼食に沙良がオムレツを作り始めると、雫ちゃんが「私もやりたい」と言い手伝っていた。
沙良のように綺麗にまとまらずオムレツの形ではなくなっていたが、焦げていないだけましだろう。
他にもハンバーグとナンを焼き、周囲に美味しそうな匂いが漂い始める。
出来上がった料理をガーグ老の三男が運び(相変わらず2人の嫁は動かない)、食事を開始した。
「あぁ、サラ……ちゃんの料理は旨いのぅ」
先週食べた結花さんのナポリタンが相当ショックだったのか、ガーグ老がしみじみと言う。
大きなハンバーグは2口で完食したようだ。
雫ちゃんが作った形の悪いオムレツを、ヒルダちゃんはニコニコ顔で食べ、
「私が作ったんだよ!」
褒めてと言う娘の頭を撫でていた。
そして今日は寝坊したという結花さんのお供え物はなく、妖精に扮したガーグ老の部下達は安心している事じゃろう。
自分達が食事をしている間も筋トレを続けているルシファーを可哀想に思ったのか、沙良がサンドイッチを出し渡すと、彼は得体の知れないものでも見るかのようにサンドイッチを凝視してから嫌々口に運ぶ。
「あれ? 何で美味しいんだ!?」
以前食べた時とは違い、刺激のない味に驚いたように目を瞠り瞬く間に平らげると、結花さんと沙良を交互に見遣って呟く。
「あれは罰ゲームだったのか……」
そう思うのも無理はないが、本人にその心算はなかろう。
食後、このままルシファーの訓練を続けるというガーグ老達と別れ、小夜を迎えに華蘭へ寄った。
美佐子の家に移動すると、沙良が早速シーリーを小夜に紹介する。
「まぁ、とても可愛らしい子ね。少し抱かせてちょうだい」
シーリーは小夜に抱かれた瞬間目を覚まし、
「キィキィ」
羽をパタパタさせ鳴き声を上げ、小夜の胸に顔を埋めて喜んでいた。
「小夜に甘えているようだの」
シーリーの懐く仕草に儂は顔を綻ばせ、仲の良い姿を見守る。
「本当に孵る事が出来て嬉しいわ」
小夜は心底嬉しそうに言うと、目に涙を浮かべながら儂を見た。
もしかして、儂が感じたような事を彼女も想ったのだろうか?
微笑ましく見つめていると、もっと近くに来いとばかりにシーリーが儂の服を引っ張る。
今は傍に居ない両親と儂らを重ねているようだ。
シーリーが再び眠るまで、小夜は愛おしそうに何度も背中を撫で続けていた。
ふと脳裏に、『やはり孵らぬか……』と沈鬱な表情で呟く男性の姿が思い浮かぶ。
これは誰だ? シーリーの父親か?
その心情は痛いほど儂に伝わり、胸が切なくなった。
安心せい。子供は無事に孵ったぞ。
これからは儂が責任を持って面倒見るから、心配せずとも良い。
小夜も母親代わりになってくれる事じゃろう。
知らぬ記憶に存在する男性に、そう呼び掛けるよう目を瞑った。
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お気に入り登録をして下さった方、いいねやエールを送って下さった方とても感謝しています。
読んで下さる全ての皆様、ありがとうございます。
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これからもよろしくお願い致します。
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孵化したばかりの子竜は一日の大半を寝て過ごしているため、特に世話をする必要はないが、自分に懐く姿を見ているだけで心が癒される。
儂のマントがお気に入りのようで、常にマントに包まり眠っていた。
この小さな生き物が、この先も無事成長する事を願わずにはいられない。
儂は時折り起こさぬよう注意しながら優しく鱗を撫で、そこから伝わる仄かな温かさを感じ安堵した。
あぁ、早く小夜にも会わせてやりたいのう。
日曜日。
炊き出し前に美佐子の家で集まった家族が、何やら嬉しそうに騒いでおる。
どうやら結花さんに、ヒルダちゃんが指輪をプレゼントしたらしい。
指輪から尋常じゃない力を感じ、思わず鑑定してみると、素材が青龍の鱗だった。
なんとっ! エンハルト王国を守護している青龍から貰ったのか!?
これはアマンダ嬢に頼まれた時、沙良が対価として受け取ったのだろうか?
それを何故、結花さんに譲ったのか分からぬが……。
一方、美佐子は沙良からイヤリングとネックレスのセットを受け取り、姿見の前で着けてもらっていた。
「まぁ、綺麗! 娘から貰えるなんて母親冥利に尽きるわね~」
「宝石はダンジョンで見つけた物だけど、加工したのはお兄ちゃんなんだよ。私と、お揃いになってるの」
「賢也は何でも出来るのね。ありがとう、とっても嬉しいわ!」
こちらも満面の笑みを浮かべ、喜んでいた。
期せずして同じ日にプレゼントを貰った2人は、お互い見せ合い嬉しそうにしている。
これは偶然というには、いかにも出来すぎじゃ。まるで狙ったかのようなタイミングではないか。
そう思いヒルダちゃんを見ると、とても満足そうな笑顔で響君と話していた。
おや? 響君が驚いて羨ましそうにしておるな。
なるほど……、昨晩何か良い事があったようだ。
儂も大いに興味があるが、残念ながらそれは女性化した樹君しか体験出来ぬだろう。
男の夢を叶えるとは、ヒルダちゃんは両得で実に羨ましい。
それから沙良は、摩天楼のダンジョンでテイムした新しい魔物を紹介してくれた。
「ファイト・カンガルーのガルボとガルシングよ!」
孫娘がどんな魔物をテイムしたか気になっていた儂は、見た瞬間に仰け反った。
てっきりシルバーのような騎獣に適した魔物を選んだかと思えば、カンガルーとは……。
子供達の警護に向いておるように思えんが?
そして、カンガルーとボクシングを合せたような名前に苦笑する。
「まぁ、カンガルーの魔物もいるのね~」
美佐子は珍しい魔物を見たかのように近付き、カンガルーのお腹にある袋の中を覗き込む。
「お母さん、雄だから赤ちゃんはいないよ」
「そうなの、残念だわ」
娘が袋を覗いたのは、赤ちゃんがいるか確かめるためだったらしい。
結花さんと雫ちゃんが、興味津々の様子でカンガルーのムキムキの筋肉を触っている。力は強そうじゃの。
「沙良ちゃん! どうしてカンガルーなの!?」
奏は予想外の魔物を見て声を上げ、
「強そうでしょう? ガルボとガルシングは警備用の従魔ですから!」
そう胸を張って言い切る沙良の返事を聞き、響君へ視線を向け溜息を吐く。
いや、これは親の教育云々の前に沙良の特殊な趣味の所為じゃろう。
「確かに強そうな魔物だが、うちの孫は少し趣味が変わっておるようだ」
身の置き所がなさそうな響君に代わり、儂は軽口を叩いて話を終わらせた。
異世界の家へ移動して、沙良が肉うどん店の母親達にも2匹のカンガルーを紹介すると、初めて見る魔物に目が点になっておった。
集まって来た子供達は大きな魔物に大はしゃぎで、沙良が「危険な時は、お腹の袋に入るんだよ」と伝えると、カンガルーの袋の中に入り遊び出す。
小さな子供なら5人が入れるようで、袋からちょこんと顔を出す様子が可愛らしい。
カンガルーは跳びはねて移動するが、袋の中にいる子供達はあまり衝撃を受けないのかキャッキャッと笑い声を上げている。
それを見ていた雫ちゃんも入りたいと言い、ガルシングの袋に入り楽しそうにしていた。
炊き出し終了後、ガーグ老の工房へ皆と移動する。
工房内に入ると、ルシファーが女官長達に筋トレをさせられていた。
彼は爵位を侯爵まで上げた筈だが、まだ上を目指す心算かの?
いつもはヒルダちゃんの両肩を占領する2匹の白梟も、ルシファーの周囲を飛び回り、女官長の号令に少しでも遅れると脇腹を突いている。
ルシファーは涙目になりながらも、ヒルダちゃんの姿を見た途端に張り切り出した。
好きな相手を前に良いところを見せようという気概は感心するが、ヒルダちゃんは既婚者だからのう。その努力は報われまい。
「こんにちは~。今日も、よろしくお願いします」
「サラ……ちゃん、よう来たの。では、稽古を始めるとしよう」
今週は沙良が来た事に、ほっとした顔を見せたガーグ老が稽古の開始を告げる。
儂は今日もガーグ老相手に仕合い、引き分けた。
昼食に沙良がオムレツを作り始めると、雫ちゃんが「私もやりたい」と言い手伝っていた。
沙良のように綺麗にまとまらずオムレツの形ではなくなっていたが、焦げていないだけましだろう。
他にもハンバーグとナンを焼き、周囲に美味しそうな匂いが漂い始める。
出来上がった料理をガーグ老の三男が運び(相変わらず2人の嫁は動かない)、食事を開始した。
「あぁ、サラ……ちゃんの料理は旨いのぅ」
先週食べた結花さんのナポリタンが相当ショックだったのか、ガーグ老がしみじみと言う。
大きなハンバーグは2口で完食したようだ。
雫ちゃんが作った形の悪いオムレツを、ヒルダちゃんはニコニコ顔で食べ、
「私が作ったんだよ!」
褒めてと言う娘の頭を撫でていた。
そして今日は寝坊したという結花さんのお供え物はなく、妖精に扮したガーグ老の部下達は安心している事じゃろう。
自分達が食事をしている間も筋トレを続けているルシファーを可哀想に思ったのか、沙良がサンドイッチを出し渡すと、彼は得体の知れないものでも見るかのようにサンドイッチを凝視してから嫌々口に運ぶ。
「あれ? 何で美味しいんだ!?」
以前食べた時とは違い、刺激のない味に驚いたように目を瞠り瞬く間に平らげると、結花さんと沙良を交互に見遣って呟く。
「あれは罰ゲームだったのか……」
そう思うのも無理はないが、本人にその心算はなかろう。
食後、このままルシファーの訓練を続けるというガーグ老達と別れ、小夜を迎えに華蘭へ寄った。
美佐子の家に移動すると、沙良が早速シーリーを小夜に紹介する。
「まぁ、とても可愛らしい子ね。少し抱かせてちょうだい」
シーリーは小夜に抱かれた瞬間目を覚まし、
「キィキィ」
羽をパタパタさせ鳴き声を上げ、小夜の胸に顔を埋めて喜んでいた。
「小夜に甘えているようだの」
シーリーの懐く仕草に儂は顔を綻ばせ、仲の良い姿を見守る。
「本当に孵る事が出来て嬉しいわ」
小夜は心底嬉しそうに言うと、目に涙を浮かべながら儂を見た。
もしかして、儂が感じたような事を彼女も想ったのだろうか?
微笑ましく見つめていると、もっと近くに来いとばかりにシーリーが儂の服を引っ張る。
今は傍に居ない両親と儂らを重ねているようだ。
シーリーが再び眠るまで、小夜は愛おしそうに何度も背中を撫で続けていた。
ふと脳裏に、『やはり孵らぬか……』と沈鬱な表情で呟く男性の姿が思い浮かぶ。
これは誰だ? シーリーの父親か?
その心情は痛いほど儂に伝わり、胸が切なくなった。
安心せい。子供は無事に孵ったぞ。
これからは儂が責任を持って面倒見るから、心配せずとも良い。
小夜も母親代わりになってくれる事じゃろう。
知らぬ記憶に存在する男性に、そう呼び掛けるよう目を瞑った。
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