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第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略
第879話 シュウゲン 62 美佐子の新しい従魔 ピンキー&ベヒモス討伐をしに魔界へ
沙良は摩天楼のダンジョンで、結界魔法を使用する魔物を発見したらしく、習得させるために移転組を連れ出した。
先日、子供達が誘拐されそうになったばかりじゃ。
ヒルダちゃんが結界魔法を覚えて魔石に付与した物を子供達に持たせれば、少しは安心するだろう。
結界魔法をLv5まで上げた皆が戻ってくると、美佐子の隣に初めて見る魔物がいた。
全身がピンク色をしたゴリラとは……、また派手な魔物だな。
どうやら結界魔法を使うのは、この魔物だったらしい。
沙良の従魔にしない代わりに、美佐子がテイムしたようだ。
ピンキーと名付けたそうだが、大方その特徴的な色から取って付けたのだろう。
しかし、テイム出来るのは雄ではなかったか?
シルバーウルフのボブより、ましな名前だろうか?
これからピンキーと畑に行くと聞いて、儂も一緒に向かった。
畑に到着すると、美佐子がピンキーに鍬を持たせて耕し方を指導する。
通常のテイム方法と違い、魅了された魔物は調教の必要がないため、ピンキーは美佐子の言う事を素直に聞いて実践した。
何を思ってゴリラをテイムしたのか、それを見て納得する。畑仕事を手伝ってもらいたかったのだな。
ボブには無理だが、両手を自在に動かせるゴリラなら作業するのに困らない。耕運機代わりになるだろう。
その後も、ピンキーは耕した畑に肥料を蒔き、新しい種を等間隔に一つずつ植える作業を器用に熟した。
その間、儂は美佐子に言われて草むしりをさせられたが……。
完全に草むしり要員とされておらんか? ピンキーより扱いが下のような感じがするのは、気の所為じゃろうか……。
畑仕事を終えて家に戻ると、沙良から「今夜ベヒモスの討伐に行くので来てほしい」とお願いされた。
はて? 摩天楼のダンジョンに居たベヒモスは、もう出現せんのではなかったかの?
そう思い尋ねると、魔界のダンジョンに居るそうだ。
魔界とな? それは魔族であるルシファーが住んでいる世界の事か……。
この世界とは違う場所にあるらしいが、どんな方法で行くのか気になった。
まっ、その時になれば分かるだろう。
魔界がどんな所か楽しみだったため、二つ返事で了解し行ってみる事にした。
午後7時。
ベヒモスの討伐に行くのは皆に内緒だと言うので、美佐子と奏には響君と飲みに行くと伝え家を出た。
今回の討伐に参加するのは、沙良、茜、響君、ヒルダちゃん、セイ、ガーグ老、ゼン(ガーグ老の長男)と儂だけのようだ。
皆と異世界の家に移動して、そのままガーグ老の工房へ向かう。
工房の庭には、疲れ切った様子のルシファーがいた。
あれからずっと、ガーグ老達に扱かれていたのだろう。
「ルシファー、黒竜はどうやって召喚するの?」
彼の顔を見た早々に沙良が質問を投げ掛ける。
黒竜? 時空を司る属性の竜か?
また記憶にない知識が湧き上がり、首を傾げる。
竜族の事など何一つ知らない筈じゃが、儂は一体どこでそんな知識を得たのか……。
「指輪を擦りながら、魔界へ行きたいと念じればいい」
沙良の質問にルシファーが端的に答え、ヒルダちゃんを見て破顔する。
会えたのが余程嬉しいのか、ヒルダちゃんに纏わりつき、見えない尻尾を振っていた。
「じゃあゼンさん、よろしくお願いします」
「はっ!」
指輪を嵌めているのはゼンなのか……。
この場に居るヒルダちゃんや沙良じゃない事を疑問に思いつつ、ゼンが指輪を擦る仕草を見ていると、周囲が深い闇に包まれた。
頭上に巨大な生物が居る気配を感じ取り、思わず上空を見上げる。
その影は、どんどん地上に近付いてくる途中で大きさが変化し、人の姿と変わらぬ質量となった。
そしてトンッと軽い着地音を響かせ降りてきたのは、偉丈夫な高齢の男性だった。
ゼンが召喚したのは黒竜なので、この者がそうなのであろう。人の姿になれるとは驚いた。
ただし、背丈は3mもあるので威圧感がある。
「北東の魔王の新しい伴侶は、どこにおる?」
人化した黒竜が威厳のある声で言うと、伴侶候補のヒルダちゃんと茜を一瞥した。
ゼンが嵌めている指輪は、魔王の伴侶だという証か?
「……私です」
黒竜の質問にゼンがおずおずと手を上げ、蚊の鳴くような声で答える。
彼がこの役目に就いたのは、何か事情がありそうだな。
「なんとっ! あやつは宗旨替えでもしたのか?」
「ご安心下さい。此度は契約を結んだだけです」
ふむ、契約が絡んでいるのか。魔族と何らかの取引をして、魔界へ行けるようにしたのだろう。
「あぁ、魔界へ行きたいのだな」
「はい、お願い出来ますか?」
「指輪の持ち主であれば願いを叶えよう。そなたの他に……、おや? ちい姫がおるではないか!! 相変わらず、めんこいのぅ」
魔王の伴侶に成り得る年齢の女性しか見ていなかった黒竜は、沙良に気付いた瞬間、顔を綻ばせ抱き上げた。どうやら黒竜は転生前の沙良と知り合いらしい。
ちい姫と呼んでいるから、ヒルダちゃんの娘というのは本当だと思ってよさそうだ。
突然抱き上げられた沙良は目を白黒させておったが、今までも散々人違いをされてきたからか訂正せず、笑顔で対応していた。
「儂が与えた指輪は、どうしたのだ? いつでも遊びに来て良いと言ったではないか」
「娘と親しくされているようですね。私は母親のヒルダと申します」
黒竜に親しげに話し掛けられ困った様子の沙良を見て、ヒルダちゃんが助け船を出す。
「おおっ、母君もいらしておったか。ちい姫は、お転婆で大変ですなぁ」
黒竜は沙良にそっくりなヒルダちゃんに笑いかけ、続いて儂とセイを見るなり、「ぶはっ」と吹き出し背を向けてゴホゴホ咳き込む。
むっ、何故だか馬鹿にされておるようで感じの悪い竜だな。
これでも儂はドワーフ王なのだぞ? 鍛冶の腕は国一番だというのに、少しは敬わんか!
正面に向き直った黒竜は未だ笑いを堪えきれないようで、口元がひくついている。
儂とセイの姿に可笑しなところなど、ありゃせんぞ!!
儂が内心で怒りを抑えているというのに、セイは黒竜から目を逸らし続けているのが不思議だった。
「あ~、同行者は非常に濃いメンバーのようだ。それでは、異界へ参ろうか」
黒竜がそう言った瞬間、目前の景色ががらりと変わった。
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読んで下さる全ての皆様、ありがとうございます。
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先日、子供達が誘拐されそうになったばかりじゃ。
ヒルダちゃんが結界魔法を覚えて魔石に付与した物を子供達に持たせれば、少しは安心するだろう。
結界魔法をLv5まで上げた皆が戻ってくると、美佐子の隣に初めて見る魔物がいた。
全身がピンク色をしたゴリラとは……、また派手な魔物だな。
どうやら結界魔法を使うのは、この魔物だったらしい。
沙良の従魔にしない代わりに、美佐子がテイムしたようだ。
ピンキーと名付けたそうだが、大方その特徴的な色から取って付けたのだろう。
しかし、テイム出来るのは雄ではなかったか?
シルバーウルフのボブより、ましな名前だろうか?
これからピンキーと畑に行くと聞いて、儂も一緒に向かった。
畑に到着すると、美佐子がピンキーに鍬を持たせて耕し方を指導する。
通常のテイム方法と違い、魅了された魔物は調教の必要がないため、ピンキーは美佐子の言う事を素直に聞いて実践した。
何を思ってゴリラをテイムしたのか、それを見て納得する。畑仕事を手伝ってもらいたかったのだな。
ボブには無理だが、両手を自在に動かせるゴリラなら作業するのに困らない。耕運機代わりになるだろう。
その後も、ピンキーは耕した畑に肥料を蒔き、新しい種を等間隔に一つずつ植える作業を器用に熟した。
その間、儂は美佐子に言われて草むしりをさせられたが……。
完全に草むしり要員とされておらんか? ピンキーより扱いが下のような感じがするのは、気の所為じゃろうか……。
畑仕事を終えて家に戻ると、沙良から「今夜ベヒモスの討伐に行くので来てほしい」とお願いされた。
はて? 摩天楼のダンジョンに居たベヒモスは、もう出現せんのではなかったかの?
そう思い尋ねると、魔界のダンジョンに居るそうだ。
魔界とな? それは魔族であるルシファーが住んでいる世界の事か……。
この世界とは違う場所にあるらしいが、どんな方法で行くのか気になった。
まっ、その時になれば分かるだろう。
魔界がどんな所か楽しみだったため、二つ返事で了解し行ってみる事にした。
午後7時。
ベヒモスの討伐に行くのは皆に内緒だと言うので、美佐子と奏には響君と飲みに行くと伝え家を出た。
今回の討伐に参加するのは、沙良、茜、響君、ヒルダちゃん、セイ、ガーグ老、ゼン(ガーグ老の長男)と儂だけのようだ。
皆と異世界の家に移動して、そのままガーグ老の工房へ向かう。
工房の庭には、疲れ切った様子のルシファーがいた。
あれからずっと、ガーグ老達に扱かれていたのだろう。
「ルシファー、黒竜はどうやって召喚するの?」
彼の顔を見た早々に沙良が質問を投げ掛ける。
黒竜? 時空を司る属性の竜か?
また記憶にない知識が湧き上がり、首を傾げる。
竜族の事など何一つ知らない筈じゃが、儂は一体どこでそんな知識を得たのか……。
「指輪を擦りながら、魔界へ行きたいと念じればいい」
沙良の質問にルシファーが端的に答え、ヒルダちゃんを見て破顔する。
会えたのが余程嬉しいのか、ヒルダちゃんに纏わりつき、見えない尻尾を振っていた。
「じゃあゼンさん、よろしくお願いします」
「はっ!」
指輪を嵌めているのはゼンなのか……。
この場に居るヒルダちゃんや沙良じゃない事を疑問に思いつつ、ゼンが指輪を擦る仕草を見ていると、周囲が深い闇に包まれた。
頭上に巨大な生物が居る気配を感じ取り、思わず上空を見上げる。
その影は、どんどん地上に近付いてくる途中で大きさが変化し、人の姿と変わらぬ質量となった。
そしてトンッと軽い着地音を響かせ降りてきたのは、偉丈夫な高齢の男性だった。
ゼンが召喚したのは黒竜なので、この者がそうなのであろう。人の姿になれるとは驚いた。
ただし、背丈は3mもあるので威圧感がある。
「北東の魔王の新しい伴侶は、どこにおる?」
人化した黒竜が威厳のある声で言うと、伴侶候補のヒルダちゃんと茜を一瞥した。
ゼンが嵌めている指輪は、魔王の伴侶だという証か?
「……私です」
黒竜の質問にゼンがおずおずと手を上げ、蚊の鳴くような声で答える。
彼がこの役目に就いたのは、何か事情がありそうだな。
「なんとっ! あやつは宗旨替えでもしたのか?」
「ご安心下さい。此度は契約を結んだだけです」
ふむ、契約が絡んでいるのか。魔族と何らかの取引をして、魔界へ行けるようにしたのだろう。
「あぁ、魔界へ行きたいのだな」
「はい、お願い出来ますか?」
「指輪の持ち主であれば願いを叶えよう。そなたの他に……、おや? ちい姫がおるではないか!! 相変わらず、めんこいのぅ」
魔王の伴侶に成り得る年齢の女性しか見ていなかった黒竜は、沙良に気付いた瞬間、顔を綻ばせ抱き上げた。どうやら黒竜は転生前の沙良と知り合いらしい。
ちい姫と呼んでいるから、ヒルダちゃんの娘というのは本当だと思ってよさそうだ。
突然抱き上げられた沙良は目を白黒させておったが、今までも散々人違いをされてきたからか訂正せず、笑顔で対応していた。
「儂が与えた指輪は、どうしたのだ? いつでも遊びに来て良いと言ったではないか」
「娘と親しくされているようですね。私は母親のヒルダと申します」
黒竜に親しげに話し掛けられ困った様子の沙良を見て、ヒルダちゃんが助け船を出す。
「おおっ、母君もいらしておったか。ちい姫は、お転婆で大変ですなぁ」
黒竜は沙良にそっくりなヒルダちゃんに笑いかけ、続いて儂とセイを見るなり、「ぶはっ」と吹き出し背を向けてゴホゴホ咳き込む。
むっ、何故だか馬鹿にされておるようで感じの悪い竜だな。
これでも儂はドワーフ王なのだぞ? 鍛冶の腕は国一番だというのに、少しは敬わんか!
正面に向き直った黒竜は未だ笑いを堪えきれないようで、口元がひくついている。
儂とセイの姿に可笑しなところなど、ありゃせんぞ!!
儂が内心で怒りを抑えているというのに、セイは黒竜から目を逸らし続けているのが不思議だった。
「あ~、同行者は非常に濃いメンバーのようだ。それでは、異界へ参ろうか」
黒竜がそう言った瞬間、目前の景色ががらりと変わった。
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