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第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略
第884話 シュウゲン 67 ドワーフの国に里帰り
★コミカライズ第2話が11月18日に公開されます。
原作者の私も楽しみですが、読んで下ると嬉しいです!!
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迷宮都市に行く途中、現在の時間を確認して思案する。
沙良が迎えに来るまで、あと6時間か……。家で時間を潰すには、ちと長いな。
どうしようか考えていると、
『お父さん。空を飛んでいるの? 私、竜になった姿が見たいな』
腕の中のシーリーが目を覚まし、本体である竜の姿を見たいと言う。
だが一度竜の姿に戻れば、おそらく再び人化した時の姿は変わってしまうだろう。
ドワーフの姿でいる必要がある限り、本体には戻れん。
『悪いが、理由があって今は竜の姿になれぬ。我も見せてやりたいが、我慢してくれるかの?』
『そっか……、残念。じゃあ、少しだけ私も空を飛んでみていい?』
『良いぞ』
望みを聞いてやると、シーリーは腕の中から抜け出しパタパタと小さな羽を動かした。
竜族は魔法を使用して空を飛ぶが、子竜のシーリーはまだ風魔法を上手く使いこなせず自前の羽を動かし空中に留まっている。
もう少し経てば体内の魔力を蓄積する器官が発達し、魔法を使用する事が出来るだろう。
落ちないよう、必死に羽をパタパタさせる子供を見て心が和む。
『はぁ~、疲れて眠くなっちゃった。飛ぶのは、もうおしまいにする』
沢山羽を動かして疲れたのかシーリーは我の腕の中に戻るなり、眠ってしまった。
そんな姿も可愛く感じられて、目を細める。
迷宮都市に向かうのはやめて、一度ドワーフの国へ戻るとしよう。
カルドサリ王国がある西大陸とは別の北大陸になるが、最高速度を出せば1時間で辿り着く。
用事を済ませて帰るには、充分な時間があるしな。
そう思い立ち、方角を変更した。
1時間後、両親が住むソレイユの町に降り立つ。
久し振りの里帰りだが、事情を話しておこう。
家の扉を開け、
「ただいま、戻ってきたぞ」
大きな声を発すると、バタバタと足音を立て弟妹達が駆け付けてきた。
「兄さん、おかえりなさい」
「兄ちゃん、おかえり~」
我に纏わりつく小さな子供は、
「お土産は何?」
土産を期待して、目を輝かせていた。
「ダンジョン産の果物を持ってきた。甘くて美味しいぞ」
沙良から貰ったシャインマスカットを取り出して見せると、
「わぁ~い、果物だぁ~」
受け取った果物を見せに、弟妹は母親のもとへ向かう。
玄関に残された我は苦笑しながら、家の中に入っていった。
そんな騒ぎの中でも、シーリーは眠っているようで静かにしている。
孫だと言ったら、両親は腰を抜かすかもしれんが……。
リビングには、大勢の子供達に囲まれた両親の姿があった。
鉱山の仕事を引退して久しい父親は、次々と生まれる子供の世話を焼くのに忙しく、ドワーフにしては子沢山に恵まれた家族を養っている。
まぁ、それは我が冒険者として稼いだ金を母親に仕送りしていた所為もあろう。
子供達に必要な養育費はあまりあるほど渡してきたからな。
「まぁシュウゲン、おかえりなさい」
我を見て母親が笑顔になり、出迎えてくれた。
「シュウゲン、おかえり。この子達が待ちきれないようだから、食事の前に果物を食べよう」
父親は手にしたシャインマスカットを見ながら苦笑しつつ、そう言って弟妹達を安心させる。
だが、その前にシーリーの紹介をせねばなるまい。
「今日は孫の顔を見せに来た」
「あっ、それなら先程バールさんが来て話してくれたわ。とても驚いたけど、シュウゲンは私の息子よ。種族なんか気にならないわ」
なんと、竜谷に戻ったとばかり思っていたバールが、家族に事情を説明してくれたらしい。
相当なショックを受けるかと心配し、構えていた我は拍子抜けしてポカンとする。
「そうだぞ、シュウゲン。遠慮なんかするな、私達はお前の家族なんだから」
父親も気にした素振りを見せず、落ち着いた様子で言い募る。
一緒に話を聞いたであろう弟妹達は理解出来たのかどうか……。
「兄さんはドワーフ王なんだから、凄いんだよ!」
「風竜王は、火竜と一緒の種族なの?」
国を守護している火竜の存在があるおかげで、我の正体を知っても抵抗はないようだった。
ドワーフの国では王と言っても身分や権限があるわけじゃないから、風竜王と聞いてもピンとこないんだろう。
「火竜と同じ種族だが、お前達の兄である事に変わりはない。この子が娘だよ」
シーリーの体を包んでいたマントをそっと外して顔を見せると、弟妹達が興味津々の様子で覗き込んできた。
「ちっちゃくて可愛いね~。鱗が緑なのは風竜だから?」
「そうだ、火竜の鱗は赤い」
「へぇ~、属性によって鱗の色が違うなんて不思議だね」
ひとしきり子竜の姿を眺めた弟妹達は満足したのか離れていき、父親が手に持っている果物を凝視する。
まだまだ食欲のほうが勝つらしい。
これ以上お預けにするのは可哀想に思い、母親へと視線を送った。
「じゃあ皆、手を洗ってきなさい」
「は~い!」
ようやく果物を食べられそうだと思った弟妹達が、我先にと手洗い場へ駆け出していく。
その姿を見送り、母親が近付いてきた。
「私にも孫を抱かせてちょうだい」
孫の誕生を知り、目を潤ませた母親に言われて慎重な手付きでシーリーを渡す。
「あなたは子供の頃から少し変わっていたけど、理由が分かって納得したわ。今度は、奥さんも連れてきなさい。本当に可愛い子ね」
そう言って我の頬に手を触れる母親からは、確かな愛情を感じた。
2度生まれ変わって、我には本当の母親が3人居る事になる。
どの母親も愛情深く育ててくれたと感慨に耽る前に、
「手を洗ってきたよ~」
弟妹達が戻ってきたので、待たせる事なく席に着く。
シャインマスカットの他にも、苺とさくらんぼを出して皿に山盛りにした。
「これも果物なの?」
初めてみる形状をした果物に目が釘付けの弟妹達に、
「それぞれ違う味がするから、食べ比べてみるといい」
食べるよう促すと、遠慮なく手を伸ばして口に入れた。
「甘くて美味しい~。お兄ちゃん、ありがとう」
ここに居る弟妹は、まだ幼く冒険者登録する前だ。
冒険者や鍛冶職に就いた者や鉱山で働く者、結婚して家を出た者は居ない。
夕食は仕事から帰ってきた皆とバーベキューをしよう。
母親に夕食は他国の料理を披露すると伝え、材料の準備を始める。
ホーム内で調味料を見掛けた瞬間、つい大量に買ってしまったが役に立ちそうで良かった。
焼肉のタレがあれば、焼いただけの肉が格段に美味くなる。
皆、初めての味に喜ぶだろう。
帰ってくるのを待っている間、ミノタウロスの肉を切り、ドワーフの国にしか生息していないホロホロ鳥を捌き、ねぎまを大量に作った。
各種の野菜は母親が食べやすい大きさに切ってくれる。
そして、弟妹達が仕事から帰ってきたらバーベキューの開始だ。
見えないよう小皿に焼肉のタレを入れて、全員に配っておく。
焼けた肉や野菜を大皿に盛り、タレに付けて食べるよう伝えると、父親が一番にねぎまを口にした。
「こりゃ美味い! どこの国の食べ物だ?」
聞かれても即座に答えられず、考え込んでしまう。
「あ~色々と旅をしたから、どの国か忘れてしまった。西大陸にある国だったと思う」
「そうか、異国には知らない食べ物があるんだな」
ねぎまを手にエールをグイグイ飲んでいる父親は上機嫌で、どの国の食べ物かという事は気にしていないようでホッとする。
「シュウゲン、この黒い調味料はもうないの?」
ミノタウロスの肉を一口食べた母親が、真剣な表情で聞いてきた。
「空いている瓶があれば移し替えておこう」
「果物もいいけど、私はこの調味料が気に入ったわ!」
母親には、異国の調味料が手に入るほうが重要らしい。
「このタレに付けると、お肉が美味しいね~」
「ねぎまが最高だ!」
成人組はエールを飲みながら、先を競うようにねぎまを頬張っていた。
エールが飲めない幼少組には沙良がくれたみかんを絞り、ジュースにしたものを渡してやる。
「黄色のお水だ~。これ、甘くて好き!」
わいわいと賑やかな夕食を終え別れの言葉を掛けると、皆が手を振り見送ってくれた。
温かい気持ちになりながら、今度こそ迷宮都市を目指して空を駆ける。
待ち合わせの時間まで2時間あるし、9時までには余裕で到着出来るだろう。
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お気に入り登録をして下さった方、いいねやエールを送って下さった方とても感謝しています。
読んで下さる全ての皆様、ありがとうございます。
応援して下さる皆様がいて大変励みになっています。
これからもよろしくお願い致します。
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原作者の私も楽しみですが、読んで下ると嬉しいです!!
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迷宮都市に行く途中、現在の時間を確認して思案する。
沙良が迎えに来るまで、あと6時間か……。家で時間を潰すには、ちと長いな。
どうしようか考えていると、
『お父さん。空を飛んでいるの? 私、竜になった姿が見たいな』
腕の中のシーリーが目を覚まし、本体である竜の姿を見たいと言う。
だが一度竜の姿に戻れば、おそらく再び人化した時の姿は変わってしまうだろう。
ドワーフの姿でいる必要がある限り、本体には戻れん。
『悪いが、理由があって今は竜の姿になれぬ。我も見せてやりたいが、我慢してくれるかの?』
『そっか……、残念。じゃあ、少しだけ私も空を飛んでみていい?』
『良いぞ』
望みを聞いてやると、シーリーは腕の中から抜け出しパタパタと小さな羽を動かした。
竜族は魔法を使用して空を飛ぶが、子竜のシーリーはまだ風魔法を上手く使いこなせず自前の羽を動かし空中に留まっている。
もう少し経てば体内の魔力を蓄積する器官が発達し、魔法を使用する事が出来るだろう。
落ちないよう、必死に羽をパタパタさせる子供を見て心が和む。
『はぁ~、疲れて眠くなっちゃった。飛ぶのは、もうおしまいにする』
沢山羽を動かして疲れたのかシーリーは我の腕の中に戻るなり、眠ってしまった。
そんな姿も可愛く感じられて、目を細める。
迷宮都市に向かうのはやめて、一度ドワーフの国へ戻るとしよう。
カルドサリ王国がある西大陸とは別の北大陸になるが、最高速度を出せば1時間で辿り着く。
用事を済ませて帰るには、充分な時間があるしな。
そう思い立ち、方角を変更した。
1時間後、両親が住むソレイユの町に降り立つ。
久し振りの里帰りだが、事情を話しておこう。
家の扉を開け、
「ただいま、戻ってきたぞ」
大きな声を発すると、バタバタと足音を立て弟妹達が駆け付けてきた。
「兄さん、おかえりなさい」
「兄ちゃん、おかえり~」
我に纏わりつく小さな子供は、
「お土産は何?」
土産を期待して、目を輝かせていた。
「ダンジョン産の果物を持ってきた。甘くて美味しいぞ」
沙良から貰ったシャインマスカットを取り出して見せると、
「わぁ~い、果物だぁ~」
受け取った果物を見せに、弟妹は母親のもとへ向かう。
玄関に残された我は苦笑しながら、家の中に入っていった。
そんな騒ぎの中でも、シーリーは眠っているようで静かにしている。
孫だと言ったら、両親は腰を抜かすかもしれんが……。
リビングには、大勢の子供達に囲まれた両親の姿があった。
鉱山の仕事を引退して久しい父親は、次々と生まれる子供の世話を焼くのに忙しく、ドワーフにしては子沢山に恵まれた家族を養っている。
まぁ、それは我が冒険者として稼いだ金を母親に仕送りしていた所為もあろう。
子供達に必要な養育費はあまりあるほど渡してきたからな。
「まぁシュウゲン、おかえりなさい」
我を見て母親が笑顔になり、出迎えてくれた。
「シュウゲン、おかえり。この子達が待ちきれないようだから、食事の前に果物を食べよう」
父親は手にしたシャインマスカットを見ながら苦笑しつつ、そう言って弟妹達を安心させる。
だが、その前にシーリーの紹介をせねばなるまい。
「今日は孫の顔を見せに来た」
「あっ、それなら先程バールさんが来て話してくれたわ。とても驚いたけど、シュウゲンは私の息子よ。種族なんか気にならないわ」
なんと、竜谷に戻ったとばかり思っていたバールが、家族に事情を説明してくれたらしい。
相当なショックを受けるかと心配し、構えていた我は拍子抜けしてポカンとする。
「そうだぞ、シュウゲン。遠慮なんかするな、私達はお前の家族なんだから」
父親も気にした素振りを見せず、落ち着いた様子で言い募る。
一緒に話を聞いたであろう弟妹達は理解出来たのかどうか……。
「兄さんはドワーフ王なんだから、凄いんだよ!」
「風竜王は、火竜と一緒の種族なの?」
国を守護している火竜の存在があるおかげで、我の正体を知っても抵抗はないようだった。
ドワーフの国では王と言っても身分や権限があるわけじゃないから、風竜王と聞いてもピンとこないんだろう。
「火竜と同じ種族だが、お前達の兄である事に変わりはない。この子が娘だよ」
シーリーの体を包んでいたマントをそっと外して顔を見せると、弟妹達が興味津々の様子で覗き込んできた。
「ちっちゃくて可愛いね~。鱗が緑なのは風竜だから?」
「そうだ、火竜の鱗は赤い」
「へぇ~、属性によって鱗の色が違うなんて不思議だね」
ひとしきり子竜の姿を眺めた弟妹達は満足したのか離れていき、父親が手に持っている果物を凝視する。
まだまだ食欲のほうが勝つらしい。
これ以上お預けにするのは可哀想に思い、母親へと視線を送った。
「じゃあ皆、手を洗ってきなさい」
「は~い!」
ようやく果物を食べられそうだと思った弟妹達が、我先にと手洗い場へ駆け出していく。
その姿を見送り、母親が近付いてきた。
「私にも孫を抱かせてちょうだい」
孫の誕生を知り、目を潤ませた母親に言われて慎重な手付きでシーリーを渡す。
「あなたは子供の頃から少し変わっていたけど、理由が分かって納得したわ。今度は、奥さんも連れてきなさい。本当に可愛い子ね」
そう言って我の頬に手を触れる母親からは、確かな愛情を感じた。
2度生まれ変わって、我には本当の母親が3人居る事になる。
どの母親も愛情深く育ててくれたと感慨に耽る前に、
「手を洗ってきたよ~」
弟妹達が戻ってきたので、待たせる事なく席に着く。
シャインマスカットの他にも、苺とさくらんぼを出して皿に山盛りにした。
「これも果物なの?」
初めてみる形状をした果物に目が釘付けの弟妹達に、
「それぞれ違う味がするから、食べ比べてみるといい」
食べるよう促すと、遠慮なく手を伸ばして口に入れた。
「甘くて美味しい~。お兄ちゃん、ありがとう」
ここに居る弟妹は、まだ幼く冒険者登録する前だ。
冒険者や鍛冶職に就いた者や鉱山で働く者、結婚して家を出た者は居ない。
夕食は仕事から帰ってきた皆とバーベキューをしよう。
母親に夕食は他国の料理を披露すると伝え、材料の準備を始める。
ホーム内で調味料を見掛けた瞬間、つい大量に買ってしまったが役に立ちそうで良かった。
焼肉のタレがあれば、焼いただけの肉が格段に美味くなる。
皆、初めての味に喜ぶだろう。
帰ってくるのを待っている間、ミノタウロスの肉を切り、ドワーフの国にしか生息していないホロホロ鳥を捌き、ねぎまを大量に作った。
各種の野菜は母親が食べやすい大きさに切ってくれる。
そして、弟妹達が仕事から帰ってきたらバーベキューの開始だ。
見えないよう小皿に焼肉のタレを入れて、全員に配っておく。
焼けた肉や野菜を大皿に盛り、タレに付けて食べるよう伝えると、父親が一番にねぎまを口にした。
「こりゃ美味い! どこの国の食べ物だ?」
聞かれても即座に答えられず、考え込んでしまう。
「あ~色々と旅をしたから、どの国か忘れてしまった。西大陸にある国だったと思う」
「そうか、異国には知らない食べ物があるんだな」
ねぎまを手にエールをグイグイ飲んでいる父親は上機嫌で、どの国の食べ物かという事は気にしていないようでホッとする。
「シュウゲン、この黒い調味料はもうないの?」
ミノタウロスの肉を一口食べた母親が、真剣な表情で聞いてきた。
「空いている瓶があれば移し替えておこう」
「果物もいいけど、私はこの調味料が気に入ったわ!」
母親には、異国の調味料が手に入るほうが重要らしい。
「このタレに付けると、お肉が美味しいね~」
「ねぎまが最高だ!」
成人組はエールを飲みながら、先を競うようにねぎまを頬張っていた。
エールが飲めない幼少組には沙良がくれたみかんを絞り、ジュースにしたものを渡してやる。
「黄色のお水だ~。これ、甘くて好き!」
わいわいと賑やかな夕食を終え別れの言葉を掛けると、皆が手を振り見送ってくれた。
温かい気持ちになりながら、今度こそ迷宮都市を目指して空を駆ける。
待ち合わせの時間まで2時間あるし、9時までには余裕で到着出来るだろう。
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