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第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略
第885話 迷宮都市 地下16階・地下12階 移転陣の罠
月曜日。
シーリーを抱いて実家へ行き、シュウゲンさんに預けようとしたところ、
「沙良、悪いが今日は異世界で用があるから一緒に行かせてくれ」
ホームで留守番をするのではなく、異世界に行きたいと言われた。
何の用事があるのか分からないけど、ダンジョンを攻略しに異世界へ向かうので一緒に送ろう。
「じゃあ、帰りは夜9時に家に居て下さいね」
夕食を安全地帯で食べて帰るから、二度手間にならないよう迎えに来る時間を伝え、シュウゲンさんと樹おじさんを残してメンバーとダンジョンに向かった。
地下11階で果物採取をする兄と別れ、地下16階の安全地帯に到着後、茜と地下17階に移動する。
地下17階に生っている苺とメロンを全て採ったら、ハニー達のもとへ行き薬草が入っているマジックバッグの中身を移し替える。
今回も薬草が沢山あるなぁ~。
毎週ハニー達が薬草を採取してくれるおかげで、迷宮都市のポーションは子供でも買える値段に下がっている。
「皆、頑張ってくれてありがとう!」
働き者の従魔達にお礼を言って、私達は摩天楼ダンジョンの99階にベヒモスを放逐するため移動した。
安全地帯から出ず、マッピングでアイテムBOXから出したベヒモスの様子を見て満足する。
「よし! まずは1匹。残りのベヒモスも魔界に行って、早く捕まえないとね」
「でも、残りは2匹しかいないと黒竜が言っていたじゃないか」
「まぁ、個体数の少ない魔物だから仕方ないわよ。居ないよりマシでしょ?」
「兄貴が99階を攻略するのは当分先だから、もう少し他のダンジョンで探したほうがいいと思う」
それは茜が移転陣を使って、他のダンジョンを攻略したいだけじゃないかしら?
「まぁ……、考えておくわ」
父に内緒で移転陣を使用するのは拙い。
そのためにガーグ老達に護衛役を頼んだのだ。
休日を返上して来てくれるセイさんにも悪いしね。
安全地帯を出て魔物を狩りたそうにしている茜を尻目に、迷宮都市のダンジョンへ戻った。
地下12階の魔物相手に槍を繰り出す。
今日も絶好調で、向かってくる魔物を穂先でスパスパと薙ぎ払う。
シュウゲンさんが鍛えてくれた槍は、本当に切れ味がいいな。
Lv100を超えて力が強くなった所為もあるんだろうけど、私の腕がいいのかと勘違いしそうだ。
槍術のLvが簡単に上がらないところを見ると、そうじゃないって分かるんだけどね。
でもシュウゲンさんに稽古を付けてもらう前と比べたら、格段に上達してるよ。
私達が地下12階に来たのに気付いた従魔達が、騎乗者を乗せたまま集まってきた。
父、奏伯父さん、セイさん、茜の4人は、私が魔物を安全に倒せるよう周囲に気を配っているのが分かる。
私は4人に守られながらターンラカネリの槍に交換して、投擲練習を始めた。
地下12階に出現するハイリザードマンを的にして投げつけると、槍は魔物の体をかすめもせず地面に突き刺さり戻ってくる。
もう何度も投擲してるのに、一向に当たらないのは何故なのか……不思議だ。
攻撃されたと気付いた魔物が襲ってくる前に、セイさんが大槍を構え接近して首の骨を折った。
ボキッと凄い音がしたと思ったら、首が逆方向に曲がっている。
見た目が酷い事になっているけど、皮に傷がないので問題ない。
換金額が下がるような倒し方をされなければいいのだ。
次はコカトリスの卵を獲りに行こう。
マッピングで階層内を見渡し、メンバーを引き連れ移動する。
先に手前に居たコカトリス・クイーンとキングを倒してから巣に向かう途中で、突然地面が光り出しシルバーが「ウォン!!」と大きく吠えた。
「沙良!」
「姉さん!」
「沙良さん!」
「沙良ちゃん!」
私を呼ぶ皆の声に何が起こったのか分からず、混乱している間に目の前の景色が歪む。
一瞬目を落とした地面に魔法陣が描かれているのを見て、これはヤバイッと思った時には既に遅く、私はたった一人で別の場所に移動させられていた。
「えっ、嘘でしょう? ここは何処!?」
明らかに地下12階と異なる密林を前にした私は、うろうろと忙しなく動くシルバーを宥めて口をぽかんと開けて絶句する。
いやいや、呆然としてる場合じゃない。
魔物が近くに居るかも知れないのだ。
急いで結界を張ってから地上より空の方が安全だと思い、シルバーに飛んでもらった。
飛行する魔物もいるだろうけど数は少ないし、ドレインで昏倒させれば落下する。
上空から見下ろすと、海に囲まれた大きな島に見えるんだけど……。
間違いなく、カルドサリ王国がある西大陸じゃないなぁ。
そう思いながらカマラさんから貰った世界地図を広げて似たような地形を探すも、該当する島はなかった。
現在居る場所が不明なままでは、戻るに戻れない。
もし私が設置型の移転陣を踏んでこの場所に来たなら、心配した父達が現れないのはおかしい。
迷宮都市のダンジョンに罠はないと聞いていたので、油断しすぎた。
これからどうしようと考えて腕を組む。
数分後、思考を中断し念話が出来る通信の魔道具を取り出した。
『もしもし、お兄ちゃん聞こえる~』
『沙良、何があった! フォレストが突然走り出したぞ!』
対の魔道具を持った兄とかなり離れていたため繋がるか心配だったけど、ガーグ老がくれた魔道具は高性能らしい。声がクリアに聞こえてほっとする。
ここで連絡手段も途絶えていたら、いくらホームに帰れるとしても私と母だけじゃ打つ手がない。
『それは私がダンジョンから消える時に、シルバーが鳴いた所為だと思う』
『ダンジョンから消えたって、どういう事だ?』
『それがね……地下12階でコカトリスの卵を獲ろうとして、どうやら移転陣の罠を踏んじゃったみたいなの。多分、フォレストは地下12階に行こうとしているから、そのままお父さん達と合流して』
『ちょっと待て、お前は今何処にいるのか分からないのか?』
『マッピングで調べた限りでは、カルドサリ王国から離れた場所の海に囲まれた島みたいだけど、西大陸への方角が分からないから、簡単には戻れないかも?』
『なら、一度ホームに帰れ。父さんと合流してから、また連絡する』
『了解!』
念のため移転させられた場所に魔法陣がないか調べてみよう。
シルバーの足跡が沢山残っている場所に降り立ち、何度も地面を足で踏み付けてみたけど何の反応もない。
どうやらダンジョンで起動した魔法陣は一方通行だったようだ。
ホームへ帰る前に、先ほど視界をちらりとかすめた生き物を拡大して見る。
まさかと思っていたけど、ステゴサウルスだった!
他にもトリケラトプス、ティラノサウルス、ブラキオサウルスなどの姿も見える。
なんと、ここは恐竜の魔物が生息する島だったらしい。
視界に入った珍しい魔物をアイテムBOXに収納しておこう。
ベヒモスの代わりのLv上げに丁度いい魔物が居たよ。
私は今の状況を忘れて、片っ端から魔物を生きたまま収納していった。
『沙良! 無事か!! 怪我はないか?』
通信の魔道具から声が聞こえ、はっと気付いた時は10分ほど経過していた。
おっと、ホームに帰らなきゃ!
目の前で消えた娘を心配した父が、兄に魔道具を借りたのだろう。
切羽詰まったような声に、呑気に魔物を収納していた事が申し訳なくなった。
『うん、今はホームに居るから大丈夫だよ』
急いでホームへ帰り、何事もなかったように返事をする。
『賢也から話は聞いた。お前が踏んだ移転陣は一度きりしか発動しないものだったらしく、俺達はそこに行けない。知らない場所のようだが、こっちでも帰れるよう考えてみるからホーム内で大人しくしてるんだぞ』
『それはいいんだけど……、お父さん達はホームに帰れないから私の家で生活してね』
『そんな事は心配しなくていい。はぁ……、生きた心地がしなかったぞ』
父の随分と憔悴した声を聞き、
『困ったね~』
素直に心情を吐露すれば、
『お前は、もっと危機感を持て!』
今後は怒った兄の声がする。
そう言われてもホーム内にいる分には安全だし、マッピングとアイテムBOXを組み合わせれば魔物の襲撃も怖くない。
『えっと、お母さんに事情を説明してくるね』
今直ぐには帰る手段も見付からないだろうと、強引に通信を切って実家へ向かった。
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お気に入り登録をして下さった方、いいねやエールを送って下さった方とても感謝しています。
読んで下さる全ての皆様、ありがとうございます。
応援して下さる皆様がいて大変励みになっています。
これからもよろしくお願い致します。
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シーリーを抱いて実家へ行き、シュウゲンさんに預けようとしたところ、
「沙良、悪いが今日は異世界で用があるから一緒に行かせてくれ」
ホームで留守番をするのではなく、異世界に行きたいと言われた。
何の用事があるのか分からないけど、ダンジョンを攻略しに異世界へ向かうので一緒に送ろう。
「じゃあ、帰りは夜9時に家に居て下さいね」
夕食を安全地帯で食べて帰るから、二度手間にならないよう迎えに来る時間を伝え、シュウゲンさんと樹おじさんを残してメンバーとダンジョンに向かった。
地下11階で果物採取をする兄と別れ、地下16階の安全地帯に到着後、茜と地下17階に移動する。
地下17階に生っている苺とメロンを全て採ったら、ハニー達のもとへ行き薬草が入っているマジックバッグの中身を移し替える。
今回も薬草が沢山あるなぁ~。
毎週ハニー達が薬草を採取してくれるおかげで、迷宮都市のポーションは子供でも買える値段に下がっている。
「皆、頑張ってくれてありがとう!」
働き者の従魔達にお礼を言って、私達は摩天楼ダンジョンの99階にベヒモスを放逐するため移動した。
安全地帯から出ず、マッピングでアイテムBOXから出したベヒモスの様子を見て満足する。
「よし! まずは1匹。残りのベヒモスも魔界に行って、早く捕まえないとね」
「でも、残りは2匹しかいないと黒竜が言っていたじゃないか」
「まぁ、個体数の少ない魔物だから仕方ないわよ。居ないよりマシでしょ?」
「兄貴が99階を攻略するのは当分先だから、もう少し他のダンジョンで探したほうがいいと思う」
それは茜が移転陣を使って、他のダンジョンを攻略したいだけじゃないかしら?
「まぁ……、考えておくわ」
父に内緒で移転陣を使用するのは拙い。
そのためにガーグ老達に護衛役を頼んだのだ。
休日を返上して来てくれるセイさんにも悪いしね。
安全地帯を出て魔物を狩りたそうにしている茜を尻目に、迷宮都市のダンジョンへ戻った。
地下12階の魔物相手に槍を繰り出す。
今日も絶好調で、向かってくる魔物を穂先でスパスパと薙ぎ払う。
シュウゲンさんが鍛えてくれた槍は、本当に切れ味がいいな。
Lv100を超えて力が強くなった所為もあるんだろうけど、私の腕がいいのかと勘違いしそうだ。
槍術のLvが簡単に上がらないところを見ると、そうじゃないって分かるんだけどね。
でもシュウゲンさんに稽古を付けてもらう前と比べたら、格段に上達してるよ。
私達が地下12階に来たのに気付いた従魔達が、騎乗者を乗せたまま集まってきた。
父、奏伯父さん、セイさん、茜の4人は、私が魔物を安全に倒せるよう周囲に気を配っているのが分かる。
私は4人に守られながらターンラカネリの槍に交換して、投擲練習を始めた。
地下12階に出現するハイリザードマンを的にして投げつけると、槍は魔物の体をかすめもせず地面に突き刺さり戻ってくる。
もう何度も投擲してるのに、一向に当たらないのは何故なのか……不思議だ。
攻撃されたと気付いた魔物が襲ってくる前に、セイさんが大槍を構え接近して首の骨を折った。
ボキッと凄い音がしたと思ったら、首が逆方向に曲がっている。
見た目が酷い事になっているけど、皮に傷がないので問題ない。
換金額が下がるような倒し方をされなければいいのだ。
次はコカトリスの卵を獲りに行こう。
マッピングで階層内を見渡し、メンバーを引き連れ移動する。
先に手前に居たコカトリス・クイーンとキングを倒してから巣に向かう途中で、突然地面が光り出しシルバーが「ウォン!!」と大きく吠えた。
「沙良!」
「姉さん!」
「沙良さん!」
「沙良ちゃん!」
私を呼ぶ皆の声に何が起こったのか分からず、混乱している間に目の前の景色が歪む。
一瞬目を落とした地面に魔法陣が描かれているのを見て、これはヤバイッと思った時には既に遅く、私はたった一人で別の場所に移動させられていた。
「えっ、嘘でしょう? ここは何処!?」
明らかに地下12階と異なる密林を前にした私は、うろうろと忙しなく動くシルバーを宥めて口をぽかんと開けて絶句する。
いやいや、呆然としてる場合じゃない。
魔物が近くに居るかも知れないのだ。
急いで結界を張ってから地上より空の方が安全だと思い、シルバーに飛んでもらった。
飛行する魔物もいるだろうけど数は少ないし、ドレインで昏倒させれば落下する。
上空から見下ろすと、海に囲まれた大きな島に見えるんだけど……。
間違いなく、カルドサリ王国がある西大陸じゃないなぁ。
そう思いながらカマラさんから貰った世界地図を広げて似たような地形を探すも、該当する島はなかった。
現在居る場所が不明なままでは、戻るに戻れない。
もし私が設置型の移転陣を踏んでこの場所に来たなら、心配した父達が現れないのはおかしい。
迷宮都市のダンジョンに罠はないと聞いていたので、油断しすぎた。
これからどうしようと考えて腕を組む。
数分後、思考を中断し念話が出来る通信の魔道具を取り出した。
『もしもし、お兄ちゃん聞こえる~』
『沙良、何があった! フォレストが突然走り出したぞ!』
対の魔道具を持った兄とかなり離れていたため繋がるか心配だったけど、ガーグ老がくれた魔道具は高性能らしい。声がクリアに聞こえてほっとする。
ここで連絡手段も途絶えていたら、いくらホームに帰れるとしても私と母だけじゃ打つ手がない。
『それは私がダンジョンから消える時に、シルバーが鳴いた所為だと思う』
『ダンジョンから消えたって、どういう事だ?』
『それがね……地下12階でコカトリスの卵を獲ろうとして、どうやら移転陣の罠を踏んじゃったみたいなの。多分、フォレストは地下12階に行こうとしているから、そのままお父さん達と合流して』
『ちょっと待て、お前は今何処にいるのか分からないのか?』
『マッピングで調べた限りでは、カルドサリ王国から離れた場所の海に囲まれた島みたいだけど、西大陸への方角が分からないから、簡単には戻れないかも?』
『なら、一度ホームに帰れ。父さんと合流してから、また連絡する』
『了解!』
念のため移転させられた場所に魔法陣がないか調べてみよう。
シルバーの足跡が沢山残っている場所に降り立ち、何度も地面を足で踏み付けてみたけど何の反応もない。
どうやらダンジョンで起動した魔法陣は一方通行だったようだ。
ホームへ帰る前に、先ほど視界をちらりとかすめた生き物を拡大して見る。
まさかと思っていたけど、ステゴサウルスだった!
他にもトリケラトプス、ティラノサウルス、ブラキオサウルスなどの姿も見える。
なんと、ここは恐竜の魔物が生息する島だったらしい。
視界に入った珍しい魔物をアイテムBOXに収納しておこう。
ベヒモスの代わりのLv上げに丁度いい魔物が居たよ。
私は今の状況を忘れて、片っ端から魔物を生きたまま収納していった。
『沙良! 無事か!! 怪我はないか?』
通信の魔道具から声が聞こえ、はっと気付いた時は10分ほど経過していた。
おっと、ホームに帰らなきゃ!
目の前で消えた娘を心配した父が、兄に魔道具を借りたのだろう。
切羽詰まったような声に、呑気に魔物を収納していた事が申し訳なくなった。
『うん、今はホームに居るから大丈夫だよ』
急いでホームへ帰り、何事もなかったように返事をする。
『賢也から話は聞いた。お前が踏んだ移転陣は一度きりしか発動しないものだったらしく、俺達はそこに行けない。知らない場所のようだが、こっちでも帰れるよう考えてみるからホーム内で大人しくしてるんだぞ』
『それはいいんだけど……、お父さん達はホームに帰れないから私の家で生活してね』
『そんな事は心配しなくていい。はぁ……、生きた心地がしなかったぞ』
父の随分と憔悴した声を聞き、
『困ったね~』
素直に心情を吐露すれば、
『お前は、もっと危機感を持て!』
今後は怒った兄の声がする。
そう言われてもホーム内にいる分には安全だし、マッピングとアイテムBOXを組み合わせれば魔物の襲撃も怖くない。
『えっと、お母さんに事情を説明してくるね』
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◇小説家になろうでも同時連載中です◇