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<外伝> 椎名 賢也
椎名 賢也 107 迷宮都市 地下12階&地下10階 7パーティーの合流
地下12階から地下10階へ移動して安全地帯に到着すると、怪我人が居る。
シルバーウルフの鋭い爪で胸を引き裂かれたらしく、出血により赤く染まっていた。
俺と旭は素早く鎧を脱がせ、身動き出来ないよう押さえつけて治療を施す。
地下10階は、相変わらずシルバーウルフによる怪我人が多いみたいだ。
怪我人はフリードさんのメンバーだったようで、治療代を渡されお礼を言われる。
ホームに戻り、沙良の作った弁当を開けた。
豚の生姜焼き、里芋の煮転がし、ほうれん草の胡麻和え、だし巻き卵。
それに、あさりの味噌汁が付いている。
俺と旭には、豚の生姜焼きが多く入っていた。
味噌汁から口を付け、あさりから出ただしを味わう。
今日もバランスよく入れられたおかずを食べながら、地下12階に残っている7パーティーの事を考える。
彼らはどうしているだろう?
午後から2回の攻略を終え、ホームに戻り夕食の準備を始める沙良を待つ間、TVのニュースを流し見ていると、栗のスイーツ特集をしていた。
前に妹と食べに行ったホテルで、栗を使ったケーキが食べ放題になっている。
旭はTVに視線が釘付けになっており、
「食べに行きたいなぁ~」
俺を見て、一緒に行こうと画面を指差す。
そのホテルはホームで行ける範囲内にあるから、土曜日のジムの帰りに寄ればいい。
そう思い、軽く頷いてやった。
沙良に夕食が出来たと呼ばれ席に着く。
今夜はキムチ鍋か……。
鳥団子としゃぶしゃぶ用の豚肉がたっぷり入った、肉々しい中身に思わず笑ってしまう。
白菜やキノコの存在感が薄いが、これは俺と旭に合わせてあるんだろう。
3人で鍋を囲み、体が温まったところで最後に雑炊を食べる。
お腹一杯と言っていた沙良は、熱いからアイスを食べたいと1人だけデザートを満喫していた。
水曜日~金曜日も地下12階にエンダ達の姿を確認したので、果物を採取したあと地下10階で魔物を狩った。
沙良はシルバーにも仲間が必要だと言ってきたが、ホーム内で飼うなら要らないだろうと却下した。
ダンジョンでは何があるか分からない。
常時MPが消費される従魔をテイムするのは、もっとLvが上がってからでいい。
冒険者ギルドで換金後、製麺店に寄り沙良がバスクさんにうどんの売り上げを確認する。
135食増産した分は毎日完売したらしい。
肉うどん店で食事をした客が足を運んでくれたのだろう。
幸先のいいスタートに、バスクさんも喜んでいるようだ。
報告を聞いた沙良も笑顔になり、バスクさん達へりんご、みかん、桃を2個ずつ渡している。
元冒険者の彼らは、ダンジョン産の桃を見て驚いていたようだが……。
沢山あるから気にせず食べてくれ。
土曜日。
ジムの帰り、食べ放題のケーキを食べにホテルへ行く。
「わぁ~、栗が入ったケーキが沢山ある!」
電子メニューに表示されたケーキの名前を見て、旭が嬉しそうな声を上げ定番のモンブランと栗のタルトを注文した。
俺は、栗が入ったチョコブラウニーを選択する。
コーヒーと共に出てきたケーキにフォークを入れ、一口味わってからコーヒーを飲む。
「美味しい! これなら、いくらでも食べられそう!」
モンブランを食べた旭が、笑顔で栗のタルトに手を付ける。
「食べすぎると、夕飯が入らなくなるぞ?」
ケーキも量を食べれば、お腹が膨れる。
以前、沙良が食べすぎて夕食がなくなった事を思い出し、注意した。
「5個だけなら大丈夫!」
途中でコーヒーがなくなり、旭が紅茶を頼んだ。
それから追加で3個食べたあと、「沙良ちゃんのお土産にしよう」と言って、旭は全種類をアイテムBOXに収納していた。
食べ放題だから数量に制限はないが……。
アイテムBOX持ちに、このホームの仕様は天国だな。
俺達は食べ放題の元を大いに取り、自宅へ帰った。
月曜日。
地下12階の安全地帯をマッピングで確認した沙良が、
「アマンダさん達のテントがなくなってるよ」
7パーティーのテントがないと伝えてきた。
「エンダ達が居るから、ダンジョンの攻略を中止したんじゃないか?」
「そうかな? まだ1ヶ月経っていないと思うけど……」
毎週帰還する俺達と違い、冒険者達は1ヶ月単位で地上に戻る。
ダンジョンの往復に掛ける時間を省くためだ。
だがエンダ達に居座られて、攻略が出来ないなら一度帰還するのも頷ける。
多分、地上に戻ったのだろうと思い、俺達は果物の採取をして地下10階へ移動した。
地下10階に居る13パーティーと沙良が挨拶を交わしているところに、地下12階に居た7パーティーが顔を出す。
「サラちゃん、階層を変えるなら一言くらい言ってほしかったよ」
アマンダさんに肩を抱かれ、顔を覗き込まれた沙良が目を白黒させて、
「皆さん、地上に戻ったと思ってました」
先ほど予想していた答えを返す。
「配送担当者から、サラちゃん達が地下10階に居ると聞いて来たんだよ。『白銀の剣』が動かない所為で、安全地帯で食事を取る事も出来ないし、いい迷惑だ」
「えっと、クランリーダーのアマンダさんとダンクさんが地下10階に来たら、地下11階と地下10階を配送するパーティーは困りませんか?」
「何、どうせあと1週間の辛抱だ。誰とも接触出来ずに、これ以上居続けるのは無理だろう」
ダンクさんがニヤリと笑って、アマンダさんへ視線を向ける。
彼女は同意するようダンクさんを見て、
「今週は地下10階で攻略するよ」
沙良の肩から手を離して、テントを設置しに行った。
残りの5パーティーは、地下10階の配送担当者と1週間交代してもらったらしい。
7パーティーが合流した事に驚きつつ、2回目の攻略を開始する。
沙良はシルバーウルフをテイムしてから、同じ魔物を殺せなくなった。
シルバーに愛着が沸き、槍で突き刺せないという。
案の定というか、やっぱりなという感想しかない。
仕方なく、襲ってくるシルバーウルフは俺と旭で倒した。
ワイルドウルフはウルフ系の魔物だが、こちらは問題なく殺していた。
種類が違うからいいのだと言っていたが……。
正直、毛色とサイズが違うだけで見た目はあまり変わらない。
沙良の考えがよく分からなかった。
2回の攻略を終え安全地帯に戻ると、20パーティーがバーベキューの準備をしていた。
魔道調理器より、バーベキュー台が活躍しそうだな。
ダンクさんとアマンダさんの所に、4人の見知らぬ冒険者の姿が見える。
話し声が聞こえたので、なんとなく耳を澄ませると、配送リストに炭が増えた事を疑問に思い見に来たようだ。
バーベキュー台を見て納得したらしく、自分達も食べたいと交渉している。
それに、ダンクさんとアマンダさんが許可を出したので、夕食に4パーティーが加わった。
24パーティーと大人数の食事会となったが、沙良は楽しそうにリーダー達と会話をしている。
支援している子供達の共通の話題を振りながら、様子を教えていた。
食後、沙良が皆にりんごを配ってウサギリンゴを皿に並べると、女性冒険者が興味を持ち覗きに来た。
切り方を教える沙良をアマンダさんが微笑ましく見ながら、「桃は無いのか……」と零していたが……。
ここは地下10階なので、沙良も桃は出せなかったんだろう。
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お気に入り登録をして下さった方、いいねやエールを送って下さった方とても感謝しています。
読んで下さる全ての皆様、ありがとうございます。
応援して下さる皆様がいて大変励みになっています。
これからもよろしくお願い致します。
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シルバーウルフの鋭い爪で胸を引き裂かれたらしく、出血により赤く染まっていた。
俺と旭は素早く鎧を脱がせ、身動き出来ないよう押さえつけて治療を施す。
地下10階は、相変わらずシルバーウルフによる怪我人が多いみたいだ。
怪我人はフリードさんのメンバーだったようで、治療代を渡されお礼を言われる。
ホームに戻り、沙良の作った弁当を開けた。
豚の生姜焼き、里芋の煮転がし、ほうれん草の胡麻和え、だし巻き卵。
それに、あさりの味噌汁が付いている。
俺と旭には、豚の生姜焼きが多く入っていた。
味噌汁から口を付け、あさりから出ただしを味わう。
今日もバランスよく入れられたおかずを食べながら、地下12階に残っている7パーティーの事を考える。
彼らはどうしているだろう?
午後から2回の攻略を終え、ホームに戻り夕食の準備を始める沙良を待つ間、TVのニュースを流し見ていると、栗のスイーツ特集をしていた。
前に妹と食べに行ったホテルで、栗を使ったケーキが食べ放題になっている。
旭はTVに視線が釘付けになっており、
「食べに行きたいなぁ~」
俺を見て、一緒に行こうと画面を指差す。
そのホテルはホームで行ける範囲内にあるから、土曜日のジムの帰りに寄ればいい。
そう思い、軽く頷いてやった。
沙良に夕食が出来たと呼ばれ席に着く。
今夜はキムチ鍋か……。
鳥団子としゃぶしゃぶ用の豚肉がたっぷり入った、肉々しい中身に思わず笑ってしまう。
白菜やキノコの存在感が薄いが、これは俺と旭に合わせてあるんだろう。
3人で鍋を囲み、体が温まったところで最後に雑炊を食べる。
お腹一杯と言っていた沙良は、熱いからアイスを食べたいと1人だけデザートを満喫していた。
水曜日~金曜日も地下12階にエンダ達の姿を確認したので、果物を採取したあと地下10階で魔物を狩った。
沙良はシルバーにも仲間が必要だと言ってきたが、ホーム内で飼うなら要らないだろうと却下した。
ダンジョンでは何があるか分からない。
常時MPが消費される従魔をテイムするのは、もっとLvが上がってからでいい。
冒険者ギルドで換金後、製麺店に寄り沙良がバスクさんにうどんの売り上げを確認する。
135食増産した分は毎日完売したらしい。
肉うどん店で食事をした客が足を運んでくれたのだろう。
幸先のいいスタートに、バスクさんも喜んでいるようだ。
報告を聞いた沙良も笑顔になり、バスクさん達へりんご、みかん、桃を2個ずつ渡している。
元冒険者の彼らは、ダンジョン産の桃を見て驚いていたようだが……。
沢山あるから気にせず食べてくれ。
土曜日。
ジムの帰り、食べ放題のケーキを食べにホテルへ行く。
「わぁ~、栗が入ったケーキが沢山ある!」
電子メニューに表示されたケーキの名前を見て、旭が嬉しそうな声を上げ定番のモンブランと栗のタルトを注文した。
俺は、栗が入ったチョコブラウニーを選択する。
コーヒーと共に出てきたケーキにフォークを入れ、一口味わってからコーヒーを飲む。
「美味しい! これなら、いくらでも食べられそう!」
モンブランを食べた旭が、笑顔で栗のタルトに手を付ける。
「食べすぎると、夕飯が入らなくなるぞ?」
ケーキも量を食べれば、お腹が膨れる。
以前、沙良が食べすぎて夕食がなくなった事を思い出し、注意した。
「5個だけなら大丈夫!」
途中でコーヒーがなくなり、旭が紅茶を頼んだ。
それから追加で3個食べたあと、「沙良ちゃんのお土産にしよう」と言って、旭は全種類をアイテムBOXに収納していた。
食べ放題だから数量に制限はないが……。
アイテムBOX持ちに、このホームの仕様は天国だな。
俺達は食べ放題の元を大いに取り、自宅へ帰った。
月曜日。
地下12階の安全地帯をマッピングで確認した沙良が、
「アマンダさん達のテントがなくなってるよ」
7パーティーのテントがないと伝えてきた。
「エンダ達が居るから、ダンジョンの攻略を中止したんじゃないか?」
「そうかな? まだ1ヶ月経っていないと思うけど……」
毎週帰還する俺達と違い、冒険者達は1ヶ月単位で地上に戻る。
ダンジョンの往復に掛ける時間を省くためだ。
だがエンダ達に居座られて、攻略が出来ないなら一度帰還するのも頷ける。
多分、地上に戻ったのだろうと思い、俺達は果物の採取をして地下10階へ移動した。
地下10階に居る13パーティーと沙良が挨拶を交わしているところに、地下12階に居た7パーティーが顔を出す。
「サラちゃん、階層を変えるなら一言くらい言ってほしかったよ」
アマンダさんに肩を抱かれ、顔を覗き込まれた沙良が目を白黒させて、
「皆さん、地上に戻ったと思ってました」
先ほど予想していた答えを返す。
「配送担当者から、サラちゃん達が地下10階に居ると聞いて来たんだよ。『白銀の剣』が動かない所為で、安全地帯で食事を取る事も出来ないし、いい迷惑だ」
「えっと、クランリーダーのアマンダさんとダンクさんが地下10階に来たら、地下11階と地下10階を配送するパーティーは困りませんか?」
「何、どうせあと1週間の辛抱だ。誰とも接触出来ずに、これ以上居続けるのは無理だろう」
ダンクさんがニヤリと笑って、アマンダさんへ視線を向ける。
彼女は同意するようダンクさんを見て、
「今週は地下10階で攻略するよ」
沙良の肩から手を離して、テントを設置しに行った。
残りの5パーティーは、地下10階の配送担当者と1週間交代してもらったらしい。
7パーティーが合流した事に驚きつつ、2回目の攻略を開始する。
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シルバーに愛着が沸き、槍で突き刺せないという。
案の定というか、やっぱりなという感想しかない。
仕方なく、襲ってくるシルバーウルフは俺と旭で倒した。
ワイルドウルフはウルフ系の魔物だが、こちらは問題なく殺していた。
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正直、毛色とサイズが違うだけで見た目はあまり変わらない。
沙良の考えがよく分からなかった。
2回の攻略を終え安全地帯に戻ると、20パーティーがバーベキューの準備をしていた。
魔道調理器より、バーベキュー台が活躍しそうだな。
ダンクさんとアマンダさんの所に、4人の見知らぬ冒険者の姿が見える。
話し声が聞こえたので、なんとなく耳を澄ませると、配送リストに炭が増えた事を疑問に思い見に来たようだ。
バーベキュー台を見て納得したらしく、自分達も食べたいと交渉している。
それに、ダンクさんとアマンダさんが許可を出したので、夕食に4パーティーが加わった。
24パーティーと大人数の食事会となったが、沙良は楽しそうにリーダー達と会話をしている。
支援している子供達の共通の話題を振りながら、様子を教えていた。
食後、沙良が皆にりんごを配ってウサギリンゴを皿に並べると、女性冒険者が興味を持ち覗きに来た。
切り方を教える沙良をアマンダさんが微笑ましく見ながら、「桃は無いのか……」と零していたが……。
ここは地下10階なので、沙良も桃は出せなかったんだろう。
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◇小説家になろうでも同時連載中です◇