自宅アパート一棟と共に異世界へ 蔑まれていた令嬢に転生(?)しましたが、自由に生きることにしました

如月 雪名

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第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略

第887話 恐竜の魔物が棲む島 隠れていた敵

 さて、この島が本当に無人かどうか確かめてみよう。
 シルバーに騎乗したまま周囲に結界を張り、空へと浮き上がる。
 ダンジョンに罠を設置した人がいるなら、移転してくる人間を見張っているかも知れない。
 姿を現した瞬間、アイテムBOXに収納すれば何か手掛かりが分かるだろう。
 尋問は専門外なので、合流したあとガーグ老に任せればいい。
 姿を隠せるような魔道具を持っている場合は厄介やっかいだなぁ。
 マッピングで視認出来なければ、アイテムBOXに収納するのは無理だ。
 シルバーになるべくゆっくり飛んでもらうようお願いして、上空からの探索を続ける。
 人探しのついでに、視界に入った恐竜の魔物を次々と収納していった。
 いや~、この島にはLv上げに最適な魔物が沢山居て助かるわ。

 島の外縁を一周して地面に降りた瞬間、結界が何かに反応してあわく輝き出す。
 この反応は魔法攻撃を受けた時のものだ。
 魔物はあらかた収納したので、攻撃してきたのは人間かな?
 毎日MP値が上がる飴をめているおかげで、結界の魔法防御力はかなり高い。
 女官長達のような魔術に長けている者じゃない限り、破れないだろう。
 今この時を狙ったのならば、魔法の射程距離は短いはず
 私はとっさにそう考えて、シルバーが顔を向けた方角にドレイン魔法を最大で掛けた。
 すると、300mくらい前方に誰かが倒れている姿が見える。
 今までマッピングに映らなかった事を思えば、何らかの魔道具で姿を隠していた可能性が高い。
 私はその場から動かず、昏倒した人をアイテムBOXに収納した。
 まずは1人確保ね。当然、敵は1人だけじゃないだろうし、少しおとりになってみよう。
 しかし数分待っても攻撃されず、敵は様子見をしているようだ。
 まぁ、仲間が突然倒れて姿を消したのを見たのだ。慎重にもなるか……。
 このまま島に居るのは時間の無駄だと思い、ホームへ帰った。

 実家のリビングで、撮影した写真と動画をTVにつなげて母と見る。

「生きた恐竜が見られるなんて感動だわ! ティラノサウルスは流石さすがの迫力ね~。スピノサウルスもいるじゃない!」

 TV画面に映し出される映像を食い入るように見つめ、母が歓声を上げ恐竜の種類を羅列していく。
 私の知らない恐竜の名前も、しっかり把握しているらしい。
 
「直接見られないのが残念だわ。妊娠してなければ、私も島に行きたかったのに……」

「それは止めたほうがいいよ! 恐竜の魔物なら何匹もアイテムBOXに収納したから、あとで見せてあげるね」

 魔法で攻撃された件は言わず、残念そうな母をなだめるために魔物をアイテムBOXに入れた事を話した。
 
「本当? 嬉しいわ! じゃあ、これから見せてちょうだい」

 期待して目をキラキラさせる母に押され、ホーム内にある広いグラウンドへ移動してトリケラトプスを出してあげた。 
 勿論もちろん、攻撃される前にドレインで昏倒させたので倒れてしまったけど……。

「沙良……テイムは出来ないの?」

 これじゃない感が伝わるくらいガッカリした表情の母に言われても、魅了みりょうしてみようとは思わなかった。
 どう考えてもMP消費量が足りない気がするのだ。

「お母さん、かなり高Lvの魔物だから無理だよ。ここで私が昏倒したら大変でしょう?」

「う~ん、そうね……。動いている姿を見たかったのだけど、あきらめるわ。近付いても大丈夫かしら?」

「少しの時間ならいいよ」

 私の言葉を聞いて、母がゆっくりと倒れたトリケラトプスに進んでいく。
 大きな顔の近くで立ち止まると、しげしげと観察を続け、角に触れて満足そうに微笑んだ。

「夢が一つ叶ったわ。また時間がある時に、他の恐竜も見せてね」

「うん。じゃあ仕舞うよ」

 放っておいたら回復し、動き出してしまうかも知れない。
 そろそろ連絡が来る頃だと思い、一旦母と別れて自宅に戻ると通信の魔道具が光った。

『沙良、聞こえるか?』  

『お兄ちゃん? ルシファーからスマホと食料を受け取った?』

『あぁ、インスタント食品が入っていて助かった。スマホの画像を確認してしずくちゃんが島の絵を描いてくれたから、ガーグ老に聞いてみようと思っている。知っている可能性は低いが、何かの手掛かりになるかもな』

『あっ、手掛かりといえば……。ルシファーが帰ったあとに魔法で攻撃されたから、犯人を収納しておいたよ』

『何だと!? 怪我はないのか?』 

『結界を張っていたから大丈夫。だけどね、アシュカナ帝国人じゃないみたい』

 マッピングで確認した人物は帝国人特有の浅黒い肌をしておらず、目も赤くなかったし耳もとがっていなかったのだ。
 こんな場所で姿を隠して待機するくらいだから、わざわざ姿変えの魔道具は使用していないだろう。

『お前を狙った帝国の仕業しわざの可能性は消えたか……。そうじゃないかとは思っていたが、これで犯人の特定が難しくなったな。島に魔物以外の人間が居るなら、絶対に勝手な行動はするなよ』

『は~い。ちょっと、お父さんに代わってくれる?』

『どうした沙良!』

 近くに居たのか、父が直ぐに出て大きな声を出す。
 
『念話に切り替えて、場所を移してほしいの』

 通信の魔道具は、声を出さずとも念話同士の会話が可能だ。
 頭で考えている事を相手に伝えられるので、聞かれたくない話をしたい時は大変便利だと思う。

『誰も居ない2階の部屋に来たから、話しても大丈夫だ』
 
 少ししてから、父の声が頭の中に入ってきた。

『ルシファーに聞いたら、魔王との契約が切れる1ヶ月後に伴侶の指輪で黒竜を呼び出せば、カルドサリ王国に送ってもらえるらしいよ』
  
『1ヶ月後か……島で敵の姿を確認したなら、むやみに動かないほうが安心出来るな』

『食料はルシファーを呼び出して渡せるし、足りないものがあれば言ってね。黒竜の件は、お兄ちゃん達に上手く話しておいて』

『分かった。こちらでも島の場所が特定出来ないか当たってみるが、素直に待ったほうがよさそうだ。あ~取りえず、食料以外に酒があると助かる』

『ビールと日本酒でいい?』

『シュウゲンさん用に焼酎も用意してくれ』

『了解。30分後に、ルシファーを呼び出してね』

 通信を切って、アイテムBOXにあるビール、日本酒、焼酎をマジックバッグに入れ替える。
 再度、島に移転してルシファーを呼び出し、お使いを頼んだ。
 簡単な願いだから、必要なMPは1でいいらしい。
 きっと女性化したいつきおじさんに会うのが嬉しいんだろうな。

「姫に、お礼を言われた」

 そう頬を染めつぶやくルシファーを見て、女性化が戻った時の事を心配してしまう。
 彼は正体を知っても、召喚に応えてくれるだろうか?
 せっかく侯爵まで上げたのに、縁が切れてしまったら元も子もない。
 これまで購入したハイ・エーテル代も、馬鹿にならないのだ。
 ルシファーの父親も呼び出せるけど、相手は魔王だから気軽に召喚するわけにはいかないし……。
 なるべくショックを受けないよう、正体を明かす方法はないかしら?
 そんな事を思いながらホームに戻り、実家へ向かった。

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