自宅アパート一棟と共に異世界へ 蔑まれていた令嬢に転生(?)しましたが、自由に生きることにしました

如月 雪名

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第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略

第889話 恐竜の魔物が棲む島 双子達の召喚 2&与えられた能力

 気付いてしまった重大な問題に動悸どうきがして胸を押さえていると、

「でも、どうして実家があるんだ?」

 雅人まさとが不思議そうにたずねてくる。
 私は問題を先送りにして、一旦手紙を読んでもらう事にした。
 家族全員分を渡したから、読み終わるまで時間が掛かるだろうとテーブル席に着くよううながす。
 あっ、驚きすぎて床に落ちている2通の手紙を見落としてた。
 2人の手紙を拾い、コーヒーをれる準備を済ませて私も同席する。
 それに、背が低くなってしまったから子供用の服を準備しないと。
 アイテムBOXにあるアパートの住民さんが持っていた子供服を選び、取り出しておく。
 雅人と遥斗はるとが私の手紙を読みながら、

「へえ~、姉さんはハンフリー公爵令嬢だったのか。それにしては魔法学校で会った記憶がないけど……」

「沙良お姉ちゃん、虐待されてた子に憑依ひょういしたなんて可哀想かわいそう
 
 リーシャの家庭事情を話し出した。

「公爵が虐待に気付かない親だったから同情出来ずに、出奔しゅっぽんして冒険者になったのよ」

「「冒険者!?」」

 2人が見事にハモって声を上げる。
 まぁ高位貴族出身なのに魔法学校にも通わず、冒険者の道を選んだのは驚かれるだろう。

「この時空魔法の能力がチートすぎる!! 俺達が居るのはホーム内なんだ。日本に戻ったわけじゃなかったのか……」

「じゃあ、この召喚の能力で呼び出されたんだね」

「そうよ、私の年齢に合わせて2人共若返っているから先に着替えてきなさい」

 今まで自分の姿を気にしていなかった双子達が、私に言われてお互いの顔を見合わせ噴き出した。

まぁちゃんが子供になってる~」

「お前もだぞ?」

 笑っている2人に着替えを渡して別室に案内する。
 5分程で戻って来た双子達は、妙に落ち着かない様子だった。
 王子だったのなら、私と同じ年齢だったはずなので20歳か……。
 それが突然12歳になれば、目線も下がるし体格や容姿も随分ずいぶんと変化しただろう。
 兄も最初は戸惑とまどっていたから、分からないでもない。
 コーヒーを出してあげると、2人は喜んで飲んでいた。
 
「ホーム内では、日本と同じ生活が出来るんだね。食事が楽しみだなぁ~」

 現状を忘れて呑気のんきな事を言う遥斗の隣で、雅人が溜息を吐く。

「色々と言いたいけど、手紙を読んでからにするよ」

 そう言って、雅人はコーヒーを片手に手紙の続きを読み出した。
 30分後、全ての手紙を読み終わった双子達が大きく息を吐き出す。

「何これ、俺達以外にも家族が異世界に居るんだ。しかもしずくの家族まで?」

「雫ちゃんは? 手紙がないけど同じように転生してないの? それとも、これから召喚するの?」

 サリナに憑依した雫ちゃんには手紙がない。
 本人も記憶がないから転生したわけじゃないと言っていたし……。

「雫ちゃんも、同じ世界にいるよ。今はちょっと厄介やっかいな事情があって、直ぐには会えないけど」

「やっぱり! 雅ちゃん、俺の言った通り雫ちゃんは異世界に居たんだよ。で、いつ会えるの?」

 期待されているところ申し訳ないけど、1ヶ月は無理なんだよね~。

「ごめんね遥斗、雫ちゃんに会うのはもう少し待ってほしいの。その前に2人の事を話してくれない?」

「そうなんだ……。説明は雅ちゃんに任せるよ」

 大好きだった雫ちゃんと会えないと分かり、目に見えて落ち込む遥斗の代わりに雅人が話し出した。

「あ~、俺達はカルドサリ王国の王子として生まれたんだ」

「貴方達、王子なの!?」

 身分の高さに驚いた母が話をさえぎり声を上げる。

「うん、まあね。といっても第二王妃の子だから王位継承権は低いんだけど。記憶が戻って乙女ゲームの世界だと気付いたんだ。主人公の攻略対象になってたから、まずいと思って遥斗だけ他国に留学させた。魔法学校には俺が入学して主人公を避けようと最初のイベントを回避したんだけど、何故か悪役令嬢が出てこなかった。その後、聖魔法を習得するはずの主人公は何の魔法も覚えられず落ちこぼれになってたな。ゲームのシナリオ通りじゃなくなったから安心していたけど……」

「あ~、その悪役令嬢が雫ちゃんで、主人公が彼女のお母さんだよ」

「はっ!? 主人公が雫のお母さんだったのか? それは、全然気付かなかった。どうして悪役令嬢になっていた雫は魔法学校に来なかったんだ?」

「それがねぇ、雫ちゃん私の義妹になってたの。虐待した継母と一緒に公爵家を追い出されてから冒険者になったみたいで、魔法学校には通わなかったみたい」

「それって……偶然にも程があるだろう」

「私も、リーシャになって直ぐだったから雫ちゃんとは気付かなかったのよ。もっと早く再会出来たのに、お互い別人になってると難しいわよね」

「そりゃそうだけど……ままならないな」

 話を聞いていた遥斗も、がっかりして肩を落としていた。

「あ~、それでね。私が召喚したから2人にも新しい能力があるの。手紙を読んでみて」

 私は先程回収した2枚の手紙をそれぞれに渡し、読んでもらった。

【召喚された椎名雅人(フィード・カーランド)様へ】と書かれた封筒

『椎名沙良様から、召喚された方へ
 すべての元凶は私です。
 この責任を取り、出来うる限りの保障をさせて頂きました。
 まず、いま貴方がいる世界は地球ではありません。
 剣と魔法のファンタジーであるところの異世界です。
 椎名沙良様にあわせ、年齢は設定させて頂きました。
 また、貴方様の能力を変更致しました。
 なお既に覚えた能力は、そのままとさせて頂きます。

 椎名雅人(フィード・カーランド)様の能力

 【通信魔法】
 ●10Lv毎に、スマホでの通信が可能になる設定が出来ます。(1台毎に必要)
 ●10Lv毎に、PCでの通信が可能になる設定が出来ます。(1台毎に必要)

 【特殊魔法】
 ●性別変化 Lv×1日。(なお、一度使用すると日数経過後まで解除出来ません) 

 まずは「ステータス」と唱え、能力の確認をお勧めします。
 最後に、このような不幸な目にわせてしまいましたが、これからの貴方の人生が幸多き事でありますよう、お祈り申し上げます。』


【召喚された椎名遥斗(ロステル・カーランド)様へ】と書かれた封筒 

『椎名沙良様から、召喚された方へ
 すべての元凶は私です。
 この責任を取り、出来うる限りの保障をさせて頂きました。
 まず、いま貴方がいる世界は地球ではありません。
 剣と魔法のファンタジーである所の異世界です。
 椎名 沙良様にあわせ、年齢は設定させて頂きました。
 また、貴方様の能力を変更致しました。
 なお既に覚えた能力は、そのままとさせて頂きます。

 椎名遥斗(ロステル・カーランド)様の能力

 【通信魔法】
 ●10Lv毎に、スマホでの通信が可能になる設定が出来ます。(1台毎に必要)
 ●10Lv毎に、PCでの通信が可能になる設定が出来ます。(1台毎に必要)

 【特殊魔法】
 ●性別変化 Lv×1日。(なお、一度使用すると日数経過後まで解除出来ません) 

 まずは「ステータス」と唱え、能力の確認をお勧めします。
 最後に、このような不幸な目に遭わせてしまいましたが、これからの貴方の人生が幸多き事でありますよう、お祈り申し上げます。』

 手紙を読んだ双子達から能力を聞いて驚いた。双子だからなのか全く同じだったらしい。
 そして念願の通信魔法だよ! これでスマホとPCが使用出来るようになる。
 ネット検索も通販も可能だよね!
 しかし、樹おじさんと同じ性別変化は生前の姿に関係してるんだろうか?
 通信魔法はSEだった仕事から与えられた能力だと思うけど……。

「何か姉さん達と比べると、あまりぱっとしない能力だな」

「そんな事ないわよ? 今までホーム内では、スマホが使えなかったんだから」

「それにしたって、性別変化は使い道がないよね?」

 遥斗がこてんと首をかしげて目を瞬かせる。
 いやいや、私が誘拐犯にならないためにも双子達には是非ぜひこの能力を活用してほしい。
 悪いけど行動を共にするなら、ずっと女性化してもらうわよ。
 そのためにも、早くLv上げを急がなきゃ。

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