自宅アパート一棟と共に異世界へ 蔑まれていた令嬢に転生(?)しましたが、自由に生きることにしました

如月 雪名

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第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略

第892話 恐竜の魔物が棲む島 双子達の通信魔法 2&性別変化の魔法

 ★コミカライズの3話が公開されましたので、読んで頂けると嬉しいです!

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 次に私と母の分のスマホを雅人まさと遥斗はるとに渡して、通信魔法が掛けられるのを待つ。
 このスマホは兄のマンションをホームに設定した際、住民の部屋にあったものだ。
 私が使用していた携帯より新しかったので、交換しておいた。
 今まで写真と動画しか撮ってないけどね。
 通話出来るか確認しようとして、番号を知らない事に気付く。
 電話が掛けられなかったため、自分の携帯番号を知る必要がなかったんだけど……。
 ずっとガラケーユーザーだった私はスマホの操作方法が分からず、雅人に番号を表示してもらい、母に掛けてみる。
 すると隣から着信音が鳴り、通話可能だと証明された。
 念のため、設定してもらった2台のスマホを持ちホーム外でも使えるか調べてみよう。
 一瞬だけ島に移転し、電話が通じるか試してみたけど着信音は鳴らず、PCと同じ結果に終わった。

「やっぱり、スマホもホーム内しか使えないみたい」

 実家に戻って残念そうにつぶやくと、双子達は納得したように顔を見合わせる。

「だろうね。異世界に居る、しずくちゃんと話してみたかったな」

 遥斗は家族より、亡くなってしまった大切な幼馴染が異世界で生きていると知り、気になって仕方ないみたい。
 行方不明だった兄の事は、雫ちゃんより優先順位が低いのか……。
 双子達を可愛がっていた兄が知れば、落ち込みそうだ。

「じゃあ、最後に性別変化の魔法を試してみましょ!」

「ええっ~、それは必要ないんじゃない?」

「試す意味が分からない」

 双子達が嫌がる様子を見て、

「あら、せっかく新しい魔法を与えられたのよ? ホームに居る10日間だけだし、使ってみせてほしいわ」

 母が私の提案に賛同してくれた。
 どうせ双子達が私達と行動を共にするようになれば、使う事になる能力だ。
 事前に調べておいたほうがいい。
 母も、それを分かった上で言ってくれたのだろう。

「まぁ、10日だけなら……」

「何で、こんな能力を与えられたんだ? 使う機会もないのに……」

 遥斗は渋々、雅人は最後まで抵抗しながらも性別変化の魔法を使用してくれた。
 私が召喚する時のような派手な演出はなく、本当に瞬く間に姿が変化する。
 顔が変わった双子達を見て、母と私は思わず目をみはった。
 そこに居たのは、私がよく知る生前の幼い頃の二人だった。
 可愛らしい女の子にしか見えない……って、今は本当に女の子になってるんだろうけど……。

「まぁまぁ、遥斗も雅人も昔と同じ姿じゃない! やっぱり、そっちのほうがしっくりくるわ」

 別人になっていた2人が、若返ったとはいえ元の姿に戻ったのものだから、母は手放しで喜んでいた。
 私も懐かしい姿を目にして嬉しくなる。
 やっぱり、双子達はこうでなくちゃ。

「今の姿を見てみるといいよ」

 私と母の驚きように、目をぱちくりさせている2人の前に姿見を出してあげた。

「ああっ、またこの顔かよ!」

「性別変化した感じがしないね~」

 見慣れた自分達の顔を鏡で見て、雅人と遥斗がそれぞれ感想をらす。
 
「でも……なくなっちゃった」

 ズボンの上から股の間を触った遥斗が、悲しそうな顔で雅人に視線を送った。
 それを受けた雅人も同じように確認したあと、ショックを受けていた。
 双子の悲痛な表情に、男性はソレがなくなるとかなり動揺するんだなと他人事のように思う。
 逆に考えれば、突然生えたソレを見て私も落ち込みそうだけど……。
 12歳じゃ、そこまで劇的な変化はないから下着の準備はしなくていいかな?
 でも、子供用のスポーツブラは必要かしら?
 そこまで考えて、いつきおじさんの時を思い出す。
 何か、あまり女性になっても態度が変わらなかったような……。
 高級下着を嬉々として選んでたし。
 人によって、性別が変わる事による抵抗感が違うのかしら?

「また別人の顔になるよりましでしょ? 新しい能力の検証も済んだし、これからLv上げをしに行こう!」

「えっ? 沙良お姉ちゃんが飛ばされた島に向かうの?」

 遥斗の疑問には速攻で否定した。

「そんなわけないじゃない。アイテムBOXに生きたまま魔物が収納されているから、それを出して2人が倒すのよ」

「アイテムBOXに生き物が入ってるのか!」
 
 アイテムBOXの能力を聞いた雅人は、その仕様に驚愕きょうがくしたのか叫び声を上げる。
 まぁ普通は入らないと思うだろう。
 この世界のアイテムBOXは、かなり性能がいい。
 魔物が入るなら、当然人間だって入れられると気付く。
 雅人は、まさにそれに思い当たり、これほど驚いてみせたのだと思う。

「姉さん、アイテムBOXを持っているのは知られないようにしろよ」

「大丈夫、ダミー用のマジックバッグを持ってるから」

 能力の危険性に対し、優しい弟が忠告してくれる。
 遥斗は黙ったまま、そわそわと私を見ていた。
 歳の離れた弟2人から心配されて、姉としての矜持きょうじが刺激される。
 早く冒険者として一人前になるよう、手助けしてあげなくちゃ!

「お母さん、行ってきます。昼には戻ってくるね」

 やる気に満ちた私は双子の手を引っ張り、広いグラウンドに移動した。

「倒した事のある魔物を教えてくれる?」

「スライム、ゴブリン、つのウサギ、ウルフくらい」

「剣術や槍術のLvは?」

「剣術はLv10、槍術はLv5だよ」

 私の質問に雅人と遥斗が交互に答える。
 う~ん、Lv10だとそんなものか……。
 やけに剣術のLvが高いのは、王子だから護身術でも習っていたためかも知れない。
 しかし、剣かぁ……。
 私が持っている性能のいい武器は、シュウゲンさんに鍛えてもらったアダマンタイト製の槍とダンジョンの魔物から入手したターンラカネリの槍だけなんだよね。
 いや、待てよ。そういえば、シュウゲンさんに玄武げんぶの甲羅から剣を作ってもらう約束をしていたんだった。
 あれから随分ずいぶん経っているし、もう出来上がっているんじゃない?

「2人共、剣術Lvが高いから、武器は剣のほうがいいよね?」

「剣は父さんに習っていたから、騎士団長にも筋がいいと褒められた事がある」

 私は知らなかったけど、父は双子達に剣術を教えていたらしい。
 見た目から暴漢に襲われるのを心配していたんだろうな。
 
「槍より剣のほうが使い慣れてるよ。王宮には、俺達専用の剣があったんだけど……」

 召喚時に持って来れず、遥斗が残念そうにしていた。

「ちょっと待ってね」

『お兄ちゃん、聞こえる?』

『沙良、おはよう』

『シュウゲンさんに代わってほしいの』

『呼んでくる』

 魔道具から聞こえた兄の声は、なんだか疲れているようだった。
 
『沙良ちゃん、代わったぞ』

 5分後、シュウゲンさんの声が聞こえてくる。

『以前に渡した玄武の甲羅なんですけど、もう剣は出来てますか?』

『おう、10本製作済みじゃ。ガーグ老といつき君に渡しておるから残りは8本だが、儂も貰えるかの?』

『ええ、双子達を召喚したので2本だけ先にくれませんか?』

『その話は今朝聞いたが、厄介やっかいな立場に転生したらしいの。ひびき君が頭を抱えておったわ』

『それなんですけど……召喚した時、与えられた能力に性別変化の魔法があったんですよ。だから、異世界人に見つかる心配はなさそうです』

『それは本当か!? また、奇遇だな……』

『王子二人が消えた事は、もうどうにも出来ませんけど……。一緒に行動する分には、問題ないと思います』

『そうか、分かった。皆に伝えておこう。ちょうどガーグ老の庭にいるから、ルシファーに剣を持たせよう』
 
『ありがとうございます。5分後にルシファーを呼び出しますね』

『剣には風魔法を付与しておくでの、豆腐みたいにスパスパ切れるじゃろう』

 風魔法?
 武器に魔法を付与出来るのは知っていたけど、玄武は水属性じゃなかったかしら?
 それに、シュウゲンさんのステータスには風魔法がなかったような気がするんだけどなぁ。

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