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<外伝> 椎名 賢也
椎名 賢也 19 ダンジョン 教会での炊き出し
★第16回ファンタジー小説大賞。5/3207位で『特別賞』を受賞しました!!
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翌日の土曜日。
帰宅したのが朝7時頃だったため、お昼過ぎに起きてから昼食を食べる。
沙良が教会に寄付をしに行きたいと言うので、一緒に付いていく事にした。
そう言えば昨日、ファングボアの肉を1体換金しないで引き取っていたな。
確か銀貨3枚(3万円)引かれていた。
牛サイズの大きさで銀貨3枚とは。
かなり破格な値段だ。
毎日ダンジョンで狩られるんだろうから数が多いのは分かるが、それでも日本に比べると激安に思える。
食べた事がないため、味の方は分からないが……。
猪の肉は固くて臭みが強いイメージがある。
牡丹鍋を昔食べた事があったけれど、俺は豚肉の方が食べ慣れていた所為かそう美味しいと感じる事が出来なかった。
教会に到着すると、沙良がシスターにファングボアの肉を寄付する話をしている。
この世界の教会は孤児院と治療院を兼ねているらしく、基本的に治療時にお布施を払ってもらい、そのお布施で孤児院を運営しているらしい。
炊き出しも週2回行われているようだ。
シスターがファングボアの肉が寄付される事に嬉しそうな表情を見せる。
お布施だけじゃ、無料で炊き出しを続けるのも難しいのだろう。
ちょうど今日が3日に1度の炊き出しの日だったらしく、沙良が炊き出しの手伝いを申し出た。
俺は料理する事が出来ないので雑用係に徹する。
沙良がシスターに路上生活をしている子供の人数を聞くと、100人程だと言われていた。
ミリオネの町の倍だ。
ダンジョンがあるから亡くなる冒険者が多いのか……。
沙良が持参した野菜を提供したお陰で、いつもより多くのスープを作る事が出来たようだ。
俺は子供達に食べてもらえるように、小さな子供を集めて先導していった。
途中で自分達の分が減ると考えた大人が睨んできたが、俺はその視線を受け止める。
視線を外す事無く睨みつけてきた大人達を平然とした態度で見続けていると、何も言う事は無かった。
いつもはシスターと子供達しかいないので、怒鳴っているらしい。
自分の事しか考えられない程、切羽詰まった生活をしているのか?
普通は子供達を優先するものだろうに……。
異世界では子供があまり大切にされていないみたいだ。
人口が減少傾向にある訳でもなければ、日本のように高齢化が進んでいる訳でもない。
結婚年齢も比較的早く子供も2~3人と多ければ、社会的に保護される立場じゃなくなるのかも知れないが……。
今回は無事に子供達全員にスープを食べさせる事が出来た。
ただ、パンの数は足らず全員には渡らない。
これは、炊き出しの仕方を改善する必要があるな。
来週土曜日にまた来る事を伝えて教会を出た。
沙良が教会での炊き出しの様子を見て、子供達の分は自分で作りたいと言ってきた。
この町でもミリオネの町と同じように支援をしたいのだろう。
大した金額じゃないし、食べられない子供達を見るのは胸が痛む。
勿論了解した。
出来る事は俺も手伝おう。
来週の炊き出し用に色々買い込んで自宅に戻る。
1日の収入が100万円を超えたお祝いに、夜は外食する事になった。
かと言って日本円が増える訳じゃないので、沙良お勧めは【2時間しゃぶしゃぶ食べ放題3千円】の店だ。
よく食べる俺の事を心配しているのか?
最初から値段が決まっている方が安心するんだろうな……。
実は食べ放題の店には初めて入る。
学生時代は旭の面倒を見るのに忙しく、悠長に2時間も食事している時間が無かった。
医者時代は収入が増えたため、学生が入るような質より量の店には行かなかったし。
俺は家庭教師よろしく、毎日旭に勉強を教えていた。
あの時の家庭教師代を時給換算すると、かなりの金額になるだろう。
自分の家より旭の部屋にいる方が多かったんじゃないか?
旭の母親が気遣って、毎回夕食を食べさせてくれるんだが……。
自分の母親が料理上手な事もあって、正直旭の家の食事は残念すぎた。
こんな事を言うと怒られてしまいそうだが、味付けが毎回薄かったり濃かったりして食べる度にドキドキさせられたんだ。
味見はちゃんと、してくれているんだろうか?
一度なんか塩と砂糖を完全に間違えている料理が出てきて、旭が嘆いていた。
しかし旭の父親は怒る事無く無言で料理を食べていたので、珍しい事ではないんだろう。
夫婦円満の秘訣は、出された料理に文句を言うなという事か……。
確かに折角作った料理の味に、文句を言われたら気分が良い訳ないよな。
家の父は、毎食必ず出された料理の一品を褒めていたし。
母は褒められた料理を、じゃあまた作るわねと嬉しそうに返していた。
ああやって機嫌を取り自分の好物を覚えてもらっていたんだろう。
美味しいと言ってもらうだけで、料理を作る人間も嬉しい筈だ。
食事を作る事を面倒だと思わずにいられるだろうし、相手の好物が分かればメニュー選びにも役立つに違いない。
父はそういった意味で、母を嬉しがらせる事に積極的だったようだ。
まぁあの夫婦は年中ラブラブな状態だから、見ているこっちが恥ずかしいくらいなんだが……。
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読んで下さる全ての皆様、ありがとうございます。
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帰宅したのが朝7時頃だったため、お昼過ぎに起きてから昼食を食べる。
沙良が教会に寄付をしに行きたいと言うので、一緒に付いていく事にした。
そう言えば昨日、ファングボアの肉を1体換金しないで引き取っていたな。
確か銀貨3枚(3万円)引かれていた。
牛サイズの大きさで銀貨3枚とは。
かなり破格な値段だ。
毎日ダンジョンで狩られるんだろうから数が多いのは分かるが、それでも日本に比べると激安に思える。
食べた事がないため、味の方は分からないが……。
猪の肉は固くて臭みが強いイメージがある。
牡丹鍋を昔食べた事があったけれど、俺は豚肉の方が食べ慣れていた所為かそう美味しいと感じる事が出来なかった。
教会に到着すると、沙良がシスターにファングボアの肉を寄付する話をしている。
この世界の教会は孤児院と治療院を兼ねているらしく、基本的に治療時にお布施を払ってもらい、そのお布施で孤児院を運営しているらしい。
炊き出しも週2回行われているようだ。
シスターがファングボアの肉が寄付される事に嬉しそうな表情を見せる。
お布施だけじゃ、無料で炊き出しを続けるのも難しいのだろう。
ちょうど今日が3日に1度の炊き出しの日だったらしく、沙良が炊き出しの手伝いを申し出た。
俺は料理する事が出来ないので雑用係に徹する。
沙良がシスターに路上生活をしている子供の人数を聞くと、100人程だと言われていた。
ミリオネの町の倍だ。
ダンジョンがあるから亡くなる冒険者が多いのか……。
沙良が持参した野菜を提供したお陰で、いつもより多くのスープを作る事が出来たようだ。
俺は子供達に食べてもらえるように、小さな子供を集めて先導していった。
途中で自分達の分が減ると考えた大人が睨んできたが、俺はその視線を受け止める。
視線を外す事無く睨みつけてきた大人達を平然とした態度で見続けていると、何も言う事は無かった。
いつもはシスターと子供達しかいないので、怒鳴っているらしい。
自分の事しか考えられない程、切羽詰まった生活をしているのか?
普通は子供達を優先するものだろうに……。
異世界では子供があまり大切にされていないみたいだ。
人口が減少傾向にある訳でもなければ、日本のように高齢化が進んでいる訳でもない。
結婚年齢も比較的早く子供も2~3人と多ければ、社会的に保護される立場じゃなくなるのかも知れないが……。
今回は無事に子供達全員にスープを食べさせる事が出来た。
ただ、パンの数は足らず全員には渡らない。
これは、炊き出しの仕方を改善する必要があるな。
来週土曜日にまた来る事を伝えて教会を出た。
沙良が教会での炊き出しの様子を見て、子供達の分は自分で作りたいと言ってきた。
この町でもミリオネの町と同じように支援をしたいのだろう。
大した金額じゃないし、食べられない子供達を見るのは胸が痛む。
勿論了解した。
出来る事は俺も手伝おう。
来週の炊き出し用に色々買い込んで自宅に戻る。
1日の収入が100万円を超えたお祝いに、夜は外食する事になった。
かと言って日本円が増える訳じゃないので、沙良お勧めは【2時間しゃぶしゃぶ食べ放題3千円】の店だ。
よく食べる俺の事を心配しているのか?
最初から値段が決まっている方が安心するんだろうな……。
実は食べ放題の店には初めて入る。
学生時代は旭の面倒を見るのに忙しく、悠長に2時間も食事している時間が無かった。
医者時代は収入が増えたため、学生が入るような質より量の店には行かなかったし。
俺は家庭教師よろしく、毎日旭に勉強を教えていた。
あの時の家庭教師代を時給換算すると、かなりの金額になるだろう。
自分の家より旭の部屋にいる方が多かったんじゃないか?
旭の母親が気遣って、毎回夕食を食べさせてくれるんだが……。
自分の母親が料理上手な事もあって、正直旭の家の食事は残念すぎた。
こんな事を言うと怒られてしまいそうだが、味付けが毎回薄かったり濃かったりして食べる度にドキドキさせられたんだ。
味見はちゃんと、してくれているんだろうか?
一度なんか塩と砂糖を完全に間違えている料理が出てきて、旭が嘆いていた。
しかし旭の父親は怒る事無く無言で料理を食べていたので、珍しい事ではないんだろう。
夫婦円満の秘訣は、出された料理に文句を言うなという事か……。
確かに折角作った料理の味に、文句を言われたら気分が良い訳ないよな。
家の父は、毎食必ず出された料理の一品を褒めていたし。
母は褒められた料理を、じゃあまた作るわねと嬉しそうに返していた。
ああやって機嫌を取り自分の好物を覚えてもらっていたんだろう。
美味しいと言ってもらうだけで、料理を作る人間も嬉しい筈だ。
食事を作る事を面倒だと思わずにいられるだろうし、相手の好物が分かればメニュー選びにも役立つに違いない。
父はそういった意味で、母を嬉しがらせる事に積極的だったようだ。
まぁあの夫婦は年中ラブラブな状態だから、見ているこっちが恥ずかしいくらいなんだが……。
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